バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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alone

 

 地獄のお仕置き後、停学一日目。

 

 皆が学校に行ってるのにも関わらず、僕はゆっくりと目が覚める。清々しい朝だ。皆も別室で寝ていたらしいが……いい加減入り浸らずに自分の家に帰れとは言いたいが、好きにさせると決めた手前言いづらい。親御さん心配してるよ?

 

 朝ご飯を作って家を出る。今度は誰も居ないな?よし、今度こそ一人旅敢行する。悪く思うな諸君。僕はそれでも一人旅がしたい。ゆっくりと、静かな場所で静かに過ごしたいのだ。悪く思うな……

 

 戸締りをして電車に乗る前に再度自分の身体を確認した。よしよし、居ないな。三人もちゃんと寝ている。ここまで来ればもう僕はハーレムの事も何も考えなくていい。頭空っぽにして一人旅行を満喫するのだ。誰にも邪魔はさせん。

 

 行き先はもう決まっている。疲れに疲れた身体も心も休ませると言えば温泉しかなかろうて。もう何も考えたくない。温泉旅館のご飯を食べてゆっくりと温泉に浸かってストレスも何もかもを洗い流そうという計画を昨日4時間叱られながら考えていた。

 

 取り戻した音楽プレイヤーを耳につけ、僕は皆が学校に行く中、一人旅行に行くと言う愉悦を感じながら電車に乗り込んだ。

 

 

 ◇

 

 

 Fクラス内

 

「どうしたララ?明久居ないからって機嫌悪くするな」

「本当にどっか行っちゃったんだよ!」

「はぁ?またか?」

 

 プンスカと癇癪を起こすララと共にAクラスである里紗達も癇癪を起こしていた。

 

「一人旅をします、探さないでくださいって!そんなに私達と居るのが嫌かぁ!」

「思い出せ、元々アイツは一人の方が好きだろ。それの名残じゃないか」

「もう!どこ行ったかくらい聞かなきゃ!」

 

 電話を取り出して明久の番号にかける。電話がかかると、電車の音が微かに聞こえてくる。

 

『はい、もしもし』

「今どこに居るの!」

『一人で温泉旅行ですので探さないでください』

 

 その一言にブーイングの嵐が巻き起こる。雄二達も溜息を無意識に零していた。

 

「ねぇなんで!?せめて誘ってよ!」

『君達学校あるじゃん?でも僕は停学じゃん?なら一人で行くしかあるまいて。じゃあね』

「あぁ、切られた……!許さない……!見つけて追いかけてやるんだから!」

「まぁ待て、そんな事しても明久の心象を損ねるだけだ」

「そんなの知らないよ!私の尻尾ビームをお見舞いするんだから!」

「お前の尻尾はビームが出るのかよ……」

 

 鉄人がやってきたので春菜達はAクラスに帰って行った。鉄人は教壇に立つが、何やら痛みに耐えるように顔を苦痛で歪めている。

 

「……おはよう」

「……まだ少し休んでいたらどうだ鉄人、明久にやられた箇所が痛むんだろ」

「……そうもいかん……正直俺はお前らとの勝負、吉井やデビルーク、坂本辺りを抑えれば余裕だと思っていた……その油断が今回の結果を産んだのだ」

「……ほう」

「……まぁ痛み止めは貰っている。すぐ効くそうだから安心しろ」

 

 その一言に雄二は一つだけ質問をした。

 

「……その痛み止め、渡したの御門先生だろ」

「あぁ、そうだ。彼女の渡す薬はすぐ効くと先生や生徒達から評判が良いからな」

 

『絶対明久が少し罪悪感覚えたから差し向けただろ』と、そう考えた雄二であった。

 

「俺はお前達との接し方を改める必要があると実感したよ。……まぁいい。とにかく今度からは関係ないものを持ち込まないように。では授業を行う……ん?吉井は?」

 

 鉄人は辺りを見渡して聞く。その問いに雄二は「聞いてないのか?」と質問で返す。帰ってきた答えは「復帰したてで何も聞いてない」との事。

 

「あいつなら停学だぞ。あの3年3人はどうでもいいとしても鉄人をやっちまったのは流石にアウトだと言うことで学園長からお達しがあったそうだ」

「……そうか。なら仕方ない。気を取り直して授業を行う」

 

 今日ものんびりとした時間が学園で流れていく。試召戦争も何も無く、欠伸が出る程暇で、退屈な……そんな平凡な日常がゆっくりと流れていく。が、昼休みに入ってすぐ、康太の行動から全てが始まった。康太はララを呼び止めて、厳重に封をしてある紙袋を手渡した。

 

「……ララ、これを明久に渡してくれ」

「何これ?」

「……お前が来る前に明久から借りてたものだ。部屋を整理してたら出てきてな。……頼めるか?」

「良いけど……こんな包みとか逆に気になるよ」

「……見ても構わないが……自己責任で頼む」

 

 そう言ってササッと消えた康太。そこに春菜を先頭にAクラスのメンツがぞろぞろやってくる。

 

「ララちゃん、ご飯食べよう……それは?」

「コータが明久から借りてた奴だって。なんだろ……」

「……むっ、これ……エロ本じゃない?」

 

 里紗の一言で顔を赤くするが、確認を敢行。中は里紗の言う通りの4冊のエロ本だった。それらの全てに共通するのが女の衣装だった。全員裸とかではなく、個性的な衣装を身に纏っている。

 

「……あなた達、廊下でそんなもの読んでると誤解されるわよ」

 

 御門先生に言われてビクッとしながら本を隠す。そして、御門先生なのを確認した途端にそれを見せつけ、弁明を行う。

 

「……土屋が明久から借りてたみたいなんです」

 

 それを一瞥した後、一冊の本を眺めながら質問を投げた。

 

「へぇ、明久君ってボディコン好きなの?」

「ボディコン……?」

 

 里紗は分かっていたが、ララや春菜、瑞希はピンと来なかった。そんな衣装を知らなかったのである。そんな3人に御門先生も説明を始める。

 

「ボディコンとはニットなど体に密着する素材を使って体線を強調している服ね。またはボディラインを強調している服の事を言うの。ボディ・コンシャスの略語なんだけど……まぁ競泳水着好きだったしこういう服好きなのも頷けるわね」

「……ボディコンの他に……くノ一……競泳水着に……ナース……バニー、ラバースーツ……ボディコンの次に多いのがボンデージ……嘘でしょ……コスプレ好きなの……?しかもなんか身体に密着した服多くない!?」

「そう言えばこの前ルンちゃんブルーメタリアの格好してたよ!明久それですごい興奮してた……!」

「待って、よく良く考えればあの衣装……ポッチとかどうなってんの……?」

 

 ブルーメタリアの衣装は裸に布面積の少ない衣装となっており、胸の部分は布がなく、牙のようなもので乳首を隠している。ただ、あまりにも隠せるようなものではなく、油断すればそれこそ胸は丸見えと言った状況になってしまう。

 

「明久君も男の子だもの。女の子にこういう格好して欲しい欲求はあるでしょう……決めた、帰りボディコン見てくるわ。あなた達もその本はしまっておきなさい」

 

 御門先生はそう言ってその場を去った。4人も意を決して本をしまい、ルンの居るCクラスへ。

 

「あれ、皆!どうしたの?」

 

 Cクラス眼前で4人に声がかかる。お目当てのルンがそこには居た。どうやら手洗いから帰ってきた様子であった。

 

「良かった、話があるの」

「話?なんだろう」

「コスプレを教えて!」

「……え?」

「ブルーメタリアの衣装も気になるけど!そう言うえっちぃコスプレも着こなす方法を教えてよ!」

「え、えっと……えぇ……?」

 

 

 ◆

 

 

 遂に来た。温泉旅館のランキング第2位の楽園と呼ばれる温泉旅館。1位はちと遠くて行けそうになかったが2位はこの期間ならなんとか行けると踏んだのは正解だった。

 

 いい所だと見ただけでわかる。海が近い事に加えて趣のある和風の作りで、老舗の旅館としては上々。それでいてボロさを感じさせないのは日々の手入れを欠かさない従業員の頑張りが見て取れる。

 

 受付に向かう。まずは部屋でゆっくり休もう。ここに来るまでに30分は歩いたからな……送迎バスに乗り遅れるなんてと思ったけど景色は良かったから悪い事ばかりではない。けれど疲れたのだ。坂が多いのなんのって。

 

「予約していた吉井です」

「確認致します」

 

 少しすると確認できましたと帰ってくる。

 

「2泊3日、朝食夕食付きですね?」

「はい、間違いないです」

「ありがとうございます。お客様のお部屋は201号室でございます」

 

 鍵と浴衣を受け取って3日間自分の部屋となる201号室に向かう。この旅館はそんなに階層がない代わりに横に広いタイプなので自室からロビー等に向かうのも一苦労ではあるが、それらを苦ともさせないくらいにはやはりいいものだ。どこを見ても飽きさせないような装飾の数々。

 

 階段を登って直ぐに201号室が見え、鍵を開けて部屋の中へ入ると、もう既に優勝……三冠王と言ったくらいには部屋の中は素晴らしかった。

 

 表の外装がバリバリの和風だった反面、部屋の中は洋風も盛り込まれているのだ。一人用の部屋でもそれなりに広く、テレビやソファー、冷蔵庫やお茶菓子等完備されている他、この宿には全ての部屋に露天風呂が付いている。地下の温泉に行くも良し、ここから絶景を眺めながら一人でゆったりと……なんてのも出来る。シャワーは無いが、そんなのどうでも良くなるくらいにはこの設備に興奮していた。

 

「ん?電話?」

 

 電話に出ると急に数人分の怒号が飛んでくる。その後に里紗の声が聞こえてきた。

 

『ちょっと!何一人だけいいホテル借りてんのさ!』

 

 いつバレたんだ?僕は話してないはずだが……いや待て、まさか履歴とか見られたのか?若しくはララのレーダー?あれの範囲はもしかして日本どこに居ても分かるのか?僕のプライバシーどこ?

 

「……なんだよ……良いだろ……」

『まぁそこは良いとして……!土屋に貸してた本が今日帰ってきて……!アンタ!ボディコン好きなの!?』

 

 康太に貸してたエロ本……なんだっけ……ボディコン好きなのは好きだけど……そんな本貸してたっけな……

 

『他にもコスプレばっかじゃない!』

 

 完全に思い出した。1年前、ララと出会うほんの少し前、奴にエロ本を貸せとせがまれて4冊ほど貸してたのだ。忘れてた……ていうか……

 

「……なんでどいつもこいつも今になって返すんだ……!」

『とにかく覚えときなさいよ!コスプレするから!』

「……はい?」

 

 何を言ってるんだ?コスプレするだと?いや、嬉しいことこの上ないんだけど……いざ女の子の方から言われると違和感が生まれるのはなんだ?コスプレは確かに女の子が自主的にするものだ。だが……男からせがまれて渋々と言うか仕方ないなぁみたいな感じで着るシチュエーションも好きなのだ。僕はそっちが良かった。沙姫ちゃんにやった時みたいな……

 

 今回は完全なる女子に脅されてそれを見るタイプのシチュエーション。如何なものかと僕は思うよ?

 

『何よ、文句あるわけ!?』

「……どうせ皆エロいコスプレしかしないって思って……」

『ふーん、ヤミちぃの破れナース服見たくないの?』

 

 何食ったらそんなもん思い付くんだよ。僕には分からん。てかヤミがそんな格好承認するわけないだろ。阿呆か?

 

『因みに股と胸の部分を破るから』

「もうそれ服として機能してないのでは?」

『男ってそういうの好きじゃないの?』

「物を大事にしろ!怒るぞ!」

『なんで私達が怒られてるの……』

 

 当たり前だ。僕を喜ばせようとやってるのは嬉しいけれど物を大事にしないのは頂けない。それに破らなくてもエロい衣装なんて沢山あるだろ。ナースなんてその最たる例である。

 

『と、とにかく覚えてなさいよ!私達も全員えっちぃコスプレするから!』

「……ほげ?」

 

 変な声が出るほど突拍子もない事を言われた気がする。最近になって耳遠くなったのかも。確認してみると私達もえっちぃコスプレするからと返ってくる。嘘でしょ……

 

『嬉しくないの!?』

「……痴女になってくれと頼んだ覚えはないんだけど」

『〜ッ!絶対アンタが立てなくなるまで搾り尽くしてやるんだから!』

 

 通話が切れる。どうしてこうなったんだ?僕はようやく重い腰を上げてハーレム容認したはいいが、皆頭が桃色になってきている。いかん、誠に遺憾です。どうにかしなければ。さもないと僕は近いうちに彼女達とそういう行為をするのがストレスになったりしかねない。ただでさえ10人以上相手にしないといけないのに……

 

 辞めだ辞めだ。僕は誓ったのだ。彼女達が笑顔でいられるなら頑張ると。……まぁ休暇は欲しいけど……それでも彼女達の要望に答えると決めたのだ。この吉井明久、一度決めた事は曲げん。

 

 なんにせよコスプレか。嫌いじゃないしなんなら好きまである。もっと欲を言えば全裸で僕のワイシャツ1枚で過ごして欲しい。流石にそんなこと言えないけれど。

 

 さて、風呂に入るのだ。湯治兼慰安を兼ねた旅行。邪魔などさせん。まずはそうさな、地下の風呂から行くか。タオルや愛用のシャンプー等を持ち、ウッキウキで部屋を出た。

 

 

 ◆

 

 

「皆がどう言う誤解をしてるか分からないけど……エッチなコスプレはしてないよ?」

「は?ブルーメタリアはどう説明するのさ!?」

「確かにあれはエッチだとは思うけど特撮のキャラ作りだから仕方ないよ」

 

 皆が明久の家に集まり、コスプレ会議をしていた。ルン以外、コスプレ等は無縁だった為、その極意やらを聞こうとしたのだが……

 

「というか何でコスプレなの?急にどうしちゃったの?」

「明久がコスプレ好きだって発覚したの」

「用事思い出したから帰るね……な、なんで掴むの!?」

 

 一人そそくさと帰ろうとしたルンを全員が掴んで止める。ルンがじだばたするも、一人につき右足、左足、右手に左手を担当して動けなくさせる。

 

「一人だけブルーメタリアで誘惑しようとしたってそうはいかないのよ!」

「て言うか気になってたんだけどあの衣装って乳首とか色々見えない?」

「あれに関してはギリギリだけど……油断してると見えちゃうかも……て言うか離してよ」

「いやいや、あのブルーメタリアの衣装は流石にアウトでしょ。あんなもん小さな男の子の性癖が歪むよ……あ、裏切ろうとしたのでダメです」

「私に言われても……」

「明久も好きなんじゃないの確か?マジカルキョーコ見てなかったっけ」

「そうなんだよ!私の曲も聞いてくれてるしそれだけでお仕事頑張れるの!」

「うわぁ、ヘビーユーザーだったか……」

 

 そこにノックが鳴った。ララが戸を開けると、美柑がお茶を持ってくる。

 

「あの、お茶淹れたのでどうぞ」

「お、ありがとー!」

「なんのお話をされてたのですか?」

「明久がブルーメタリアにメロメロってお話」

「あぁ、いつもテレビ独占して見てますね」

 

 その一言にルンの顔が一際輝いた。それもそのはず。自分の演じる役をリアルタイムで見てくれているとなれば嬉しくもなる。

 

「でもアキってマジカルキョーコ関係なくある衣装も大好きだと思いますよ、皆さんそれ着ればいいんじゃないですか?」

「……ミカン、なんですかそれは」

 

 そう言われて『待ってて』と告げて部屋を出て、数分で戻ってきた美柑。その手には写真が一枚。その写真にはヤミが写っていた。ダークネスの姿で。

 

「これだよ、ヤミさんの着てた服」

「こ、これって……ダークネスの服じゃん……」

「……う、嘘ですよね……これ好きなんですか?」

「アキに限らず男の人ってこう言うの女の子に着てもらうの好きだと思いますよ」

 

 その一言で全員が顔を赤くする。勿論それを着る前提となると、衣装の布面積の少なさと大事な箇所も見えてしまいそうな、もはや服とは言えないのではないかと言わんばかりの衣装に言葉を詰まらせてしまう。

 

「……少なからず何人かは着てはいけない人居るよね、瑞希とか」

「ど、どうしてですか!?」

「……私より胸が大きい人は推奨しません」

「それほぼ全員じゃん!」

「……だって胸の大きい人がこんなの着てたら痴女ですよ」

「それをアンタが言う!?それ着て明久に迫ったアンタが言う!?」

「この服は私の特権ですので」

 

 胸を張って言うヤミの頭をグリグリと拳を押さえつける里紗。

 

「な、何するんですか……!」

「アンタだけのアイデンティティなんて認めないからね!私達もこれ着る!」

「……流石にこれは……もう裸と変わらないのでは……」

 

 その会話の様子にふふっと微笑む美柑。その微笑みに対し、静かに語った。

 

「……私の自慢のお兄ちゃんがこんなに愛されてるなんてって思ったら……ちょっと誇らしいですね」

「そのお兄ちゃんを取り合うのを見て微笑むのはどうなの」

「それだけ皆アキの事が好きなんだなって思ったら別にいいかなって」

「そうは言ってるけど美柑ちゃんだって明久Loveなんだからアピールしないと」

「私は唯一アキと血が繋がってますから他の人とのアドバンテージも大きいんですよ」

「血縁は結婚出来ないんだよ」

「妹として一生アキを甘やかすので」

 

 その発言にブーイングが起こる。そこに明久の母親が入ってきた。

 

「あら?明久は?」

「聞いてください!明久私達を誘わずに一人で温泉旅行なんです!」

「ごめんなさいね、あの子一人で行動するの大好きだから……所でららちゃんのお母さん見てない?」

「え?ママ?まだ見てないけど……いや、まさかね……」

「何か心当たりが?」

「……明久の所に行ったとか」

 

 その仮説はどうしようもなく明久の部屋にいる少女達を凍らせてしまう。

 

「な、ないない!いくらなんでも娘と同じ位の歳の男をねぇ!?……え?」

「……有り得るかもしれません……こうなったら私も……!」

「こらぁ!あんたはすぐ抜け駆けするんだから!」

「あ、ママ!?もしもし!?」

 

 ララがセフィに電話をかけていた。

 

『もしもし?どうしたの?』

「ママ今どこ!?」

『前に請け負ってた仕事でその会合があるから温泉旅館に泊まってるんだけど』

 

 嘘をついている訳ではなかった。セフィは離婚する前の仕事を完遂させようと今回温泉旅館にて会合を行う事になっていた。それはララ達も知っている。ララは明久の母親に電話を渡した。

 

「もしもしセフィさん?何処の旅館に泊まってるんですか?」

『楽園って旅館です』

 

 全員があちゃーとおでこに手を当ててしまう。どうしたのと声が返ってくる。

 

「ごめんなさい。息子が今そちらの旅館で一人で泊まってて」

「あ!言っちゃダメ!」

『あらまぁ!そうなんですか!後で様子を見に行きますね!』

 

 そう言って通話が切れる。全員からブーイングの嵐が巻き起こる。

 

「ダメだよ明久のママ!ママが帰って来たら私、ナナとモモの他に妹出来てるかもしれないよ!?」

「いやいや、流石にそんな事……え?」

「明久のママなんも分かってない!ママはね!すんごい肉食系なんだよ!」

「……頭痛くなってきたから少し寝るわね」

 

 そう言ってフラフラと部屋から出て行った。

 

「とにかくなんとかしないと……ん?」

「どうかしたのか姉上」

「……いや、気の所為。とにかくここから……嘘!?3時間以上もかかるの!?」

「……アイツぅ……!ん?ヤミちぃ何見てんの?」

「……いえ、何やら変なニュースを見てしまって」

 

 そう言ってスマホの画面を見せるヤミ。そこには爬虫類の様な姿で人の様に二足歩行をする化け物と言って差し支えない、人間とは程遠い何かが映っていた。

 

「何これ、キモくない?」

「明久達の旅館近くで目撃されてるらしいです」

「……まさか、ね」

 

 ララがそんなことを呟く。ヤミはその小言を聞き逃さなかった。

 

「知ってるのですか、プリンセス」

「バルケ星人のギブリーって言うの。……結婚迫られてたんだよね」

「……うわぁ……」

「目的は私だろうけど……いや、流石に……ママと私を間違えるかなぁ……」

「……とにかく早く対策を打ちましょう。……明日は学園が召喚獣の調整をするということでお休みだったはずです」

「今から行くよ!」

 

 総員着替え等を持ち、明久を追いかける為に続々と家を出始めた。

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