バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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an old tale

 

 警察を呼ばれそうになった僕はその手を止める。実の母親に警察に通報されそうになるなんてゴメンだ。

 

「ま、待って!母さんなんだろ!?名前は吉井明葉でしょ!」

「……な、なんで私の名前を……!?」

「ふ、不審者か……!?」

 

 実の父親と母親に不審者と呼ばれる日が来ようとは。僕泣くぞ?いいのか?実の父親と母親からこんな扱い受けるのって普通無いからな?

 

「そっちは吉井晴人!僕の父さんだろ!?僕だよ!吉井明久だ!」

「嘘おっしゃい!明久はまだ10なのよ!」

 

 今の発言で過去に来たのが確定したが、僕が成長した明久だと証明しない限り僕は豚箱行きだ。

 

「嘘じゃない!それを証明できる!そこの子供は美柑で、まだ3歳だ!それに今は仕事に折り合いが着いて久しぶりに家に帰ってきたんだろ!?だから美柑の世話をしている!」

 

 二人は顔を見合せた。まだ疑心暗鬼な二人にまだあるぞと告げる。

 

「父さんと母さんは普段は海外で仕事をしている!母さんはその手伝い!だから普段僕は家で美柑の世話と家事をしている!たまに帰ってきた姉さん……吉井玲と一緒に!」

「……う、嘘……!?」

「吉井明葉、現在年齢35歳……夫の晴人とは同じ年齢で、父さんと母さんは大学の時に同じ学部で知り合った!それも同じ講義で!きっかけは同じ講義を受けていた際に母さんが筆記用具と教科書を忘れたからだ!」

 

 まさか父さんと母さんから聞いた惚気話が役に立つとは……結構効いてるし。

 

「う、嘘だろ……」

「まだ言いたいが本人達を前に恥ずかしいのは嫌だろうし……美柑も泣いちまうから……」

 

 今にも泣き出しそうな美柑を抱き上げてあやす。するとすぐに美柑の顔に笑みが戻った。それを見た2人も信じられないと言いながら僕を見る。美柑を下ろして僕は答えた。

 

「……信じられないだろうけど……僕の友達が僕とこの時代の僕を入れ替えちまったんだ。だからここに居る」

「本当に……明久なの?」

「……あぁ」

 

 立派になってと涙を流しながら言われる。そのままソファに座らされ、お茶をもてなしてもらう。

 

「にしても……未来と今の明久が入れ替わったなんて……」

「僕も驚きだよ。……こうなるはずじゃなかったから」

「……にしても随分大人びたわね」

「……色々あったからさ」

「話しなさい、何があったの?」

 

 僕がトラブルを起こして引き篭る事になること。宇宙人の女の子と出会い、そこからハチャメチャな人生になっていること。助けたい人がいて、その人を助ける為に死にかけた事、いつの間にかハーレムを許容しないといけなくなったこと。

 

「……私達は許容してるの?」

「……うん。どうせやめろと言っても辞めないだろうし、死ぬ気で頑張ってみろって」

「……そうなの……」

「にしても明久がハーレムかぁ……世の中わからないな」

「僕だって分からないよ……にしても……姉さん今いくつ?」

「17だったかしら」

「姉さんと同い年か」

 

 なんて言ってたら玄関からただいまと声が聞こえてくる。間違いない。学生時代の姉さんだ。

 

 リビングに入ってきたのは学生服を身に纏う姉さん。……なんか姉の制服姿って本当に印象ないけどこんなんだったっけ?

 

 そんな事を考えていると僕の顔を見てから母さん達に聞いた。

 

「あれ、お客さんですか?」

 

 まぁ、こうなるだろうな。予想はしていたけれど。

 

「当ててみなさい、あなた何度も会ってるでしょ」

「初対面ですよ?」

「そんな酷いこと言わなくてもいいじゃないか、姉さん」

「……えっ、姉さんって……」

 

 僕の顔をジロジロと見ながら考える。そして数秒後、わなわなと震えながら僕を指差して聞いてくる。

 

「あ、アキ……くん……?」

「正解、ちゃんと答えられなかったら家族かどうか疑ったよ……父さんと母さんも気づいてくれなかったけどね、気づいてくれたのは美柑だけだ」

「う、嘘……私と同じくらいの歳に……」

 

 ムンクの叫びのような顔をしている。面白過ぎでしょ。姉さんのこんな顔初めて見た。

 

「色々あってね。未来から来た」

「……は、はは!嘘です!そんなの嘘で……」

「吉井玲、現在17歳。成績トップで運動神経抜群。唯一ダメな所は家事全般できない。学園では成績優秀スポーツ万能人格者な事から年下からはお姉様と、友達からはアキちゃんと呼ばれている」

「……な、なんでそれを……」

「未来の姉さんから聞いたんだよ」

「……本物なのですね……うぅ、同い年のアキくんだなんて……合法じゃないですか……」

 

 待て、悪寒がしたぞ?おかん、助けてくれ。……ごめんなさい。こんな非常事態に。て言うかおかんが母親って意味なのどうなってるんだ?

 

「この時代の僕は……僕の時代に行っちまったと思う。……多分もうすぐ元通りにはなると思うんだ」

「……そうか。……私達は元気か?」

「病気もなく元気にやってる。……姉さんも元気……美柑も、10歳で……家事全般できる様になるから」

「……そうか。……お前は?」

「……僕も元気。さっき言った通り、女の子の為に死にかけたり、自分の願いの為にボロボロになったりしたけど……今は僕とても楽しいよ」

「そうだ玲、明久に彼女が10人以上いるらしいぞ」

「……嘘、ですよね……?」

「……残念ながら……ハーレム王認定されたよ」

 

 過去の家族と話す事が……いいや、家族全員と話すのがとても楽しい。長らく話していると、ご飯の時間になる。

 

「……明久。一つ聞かせて欲しい。……大人になったお前だから聞ける」

「?」

「……お前は、私達を恨んでないか?家を空けてばかりの私達を」

「……その件で、少し前に僕は腹を割って話したんだ」

 

 ……本当は……いなくて寂しいとか思う事はあった。だけど……父さんも母さんも……僕らの為に頑張ってくれてるんだってわかってるから。感謝こそすれど、恨んだりはしない。

 

「だから……ありがとう、父さん、母さん……きっと、この時代の僕は何も言わないだろう。……色々大変で、自分の気持ちすら吐露する事もない。だけど……言葉を交わす事がこの時代の僕は難しいだろうけど……今は……それでも、待って欲しい。……きっとすぐ、話せる様になるから」

「……一人前になったのね」

「皆が居たから。父さんも母さんも……背中を押してくれたから……皆がいて、本当に嬉しかったんだ。だから変わることが出来た。……僕は父さんや母さんが思ってるよりヤワじゃないよ。……今この時は美柑を守る為に躍起になってるし、僕も……これから沢山の人と出会う。沢山の事を経験する。……それでこうなったんだ」

 

 僕の見る目がかなり変だ。なんか『私の知ってる明久と違う』とのこと。

 

「……僕だって成長してるんだ。……まだまだ子供だけど……もう未熟だった頃の僕じゃない。……そうだ、ご飯作ってあげるよ」

 

 そう言って台所に立つ。過去においても僕は料理とかが出来るのか。もうタイムマシンとかそういったものの類だな、ララの作ったのって……

 

 見られながら料理を作る。背中で美柑をあやしながら炒めたり、焼いたり。美柑は後ろでキャッキャっと笑ってくれている。

 

 数分後、夜ご飯をもてなすことに。父さんと母さんが僕に教えてくれた料理であるオムライスだ。

 

「父さんと母さんに教えてもらったんだ。味は保証していい」

「い、いただきます」

 

 三人とも食べて目を丸くした。美味しいと言ってくれる。その言葉に嬉しいと感じながら、美柑の為のご飯も用意した。

 

「はい、美柑の分だよ」

 

 美柑も喜んでくれているのが目に見えてわかる。今の美柑も充分可愛いけどまだ3歳の頃の美柑凄い可愛いんだよな……

 

「美柑は……7年後、どう?」

「モテモテだよ。……料理も出来て可愛いから」

 

 ……僕のこと好きと言われた時にはどうしようと思ったし、それを受け入れてイケないこと教えてしまった僕は罪人です。死んでも親に言えない。

 

「……明久と同じ……なのね」

「皆忙しいのは美柑も分かってるから。……ただ、あまり会えないからって美柑を呼び戻すのはやめてくれよ。ちゃんと帰ってきて」

 

 あの時は子供だったから怒ってしまった。でも、今ならわかる。話し合いで、目を見て言えるのだから。

 

「……気を付けるよ。そっちでも迷惑をかけたみたいだ」

「……でも、この時代の僕が言わないのが悪いから。……僕は……痩せ我慢するタイプだから。どっかの誰かさんに似てね」

「……何よ、私って言いたい訳?」

「さぁ?家族のために頑張る父親も母親もどっちも痩せ我慢するしどっちがどっちとは言ってないよ。……今は元気にやってるけど……身体とか本当に壊したら僕は怒るよ。知ってる?怒ったら僕怖いんだぞ」

「わかったわよ……子供に言われるとはね」

 

 その瞬間、身体が光る。これは……そうか。終わりが来たのか。

 

「……ど、どうしたの?」

「ごめん、もうタイムアップみたいだ。……じゃあ、父さんに母さん、姉さん……身体に気をつけて頑張って。……美柑、元気に育つんだよ」

「……明久も、ちゃんと頑張りなさい。いつまでも応援してるから」

「……ありがとう」

 

 そういうと、身体から溢れる光が爆発し、僕の意識は途絶えた。

 

 

 ◆

 

 

 時同じくして、子供の明久の身体も光り始めた。

 

「……お別れ、みたいだね……いいや、お別れじゃないか。また会えるもんね」

「……アキ……」

「そんな顔しないで。美柑、僕も頑張る。お兄ちゃんは伊達じゃないんだよ!だから安心してね」

「……うん」

 

 ララ達に向き直る明久。笑顔を作って言った。

 

「皆ともまた会えるだろうから、僕はさよならは言わないよ。……皆が僕を好きでいてくれるなら、僕はきっと頑張れるから。こっちの僕をよろしくね」

 

 そう言うと光が爆発を起こし、煙が家に充満していく。そこにはいつもの明久が座っていた。

 

「……あ、戻れた」

「お帰りー!」

「全く……なんてもの開発してくれたんだ」

「ごめんって!……でもそんなに嫌そうな顔してないよ?」

「……今回は別に失敗作って訳でもない。不審者扱いされてたけど……僕は君に感謝するよ」

「……?」

「ただし!二度と開発したものをそこかしこに置いて置くのは禁止!わかった!?」

「うん」

 

 なんかやけに素直だなと明久は勘繰るが、ヤミはそんな明久の頭を後ろから抱きしめて頭を撫で始めた。

 

「……アキ、大丈夫」

「……あの、ヤミさん?何してるんでしょうか?」

「子供の明久にずっと抱きついてママぶってたんだよ!」

「それに何も知らない明久さんが私達がどっちか姉妹か言い当てましたし、ネメシスは子分でしょなんて……」

「……全く、過去のお前に恥をかかされるとはな」

「過去の僕はどんなんだった?」

「「「「純粋」」」」

「何があったんだ……」

 

 明久の事を話すと、そんな時期もあったなと話す。そして、自身が記憶が無い日があった事にも察しが着いたという。

 

「この日があったから僕、一日だけ記憶喪失の時があったんだ……誰が作ったか分からないオムライス……あれも僕が作ったんだ」

 

 明久も嘗て一度体験したと言う。記憶が無い一日。どこに行っていたのかと心配され、家族の誰が作ったのか分からない美味しいオムライス。それは全部、ララが未来からやった事だったんだ……

 

「あの薬って周りに干渉しても過去改変とか起きないように周りの記憶を消す作用もあるんだ……次に繋げる為にメモしておこう!」

「昔の私達、どうだった?」

「姉さんと同い年だったのがショックだったよ」

 

 そんな中、リビングの扉が開く。入ってきたのは明葉だった。

 

「どうしたの?騒がしいけど」

 

 明久は母親の顔を見るなり少しだけ微笑んで明葉を近くに呼び、ソファーに座らせた。

 

「たまには息子が肩揉みをしよう」

「……何アンタ、不気味なんだけど」

「まぁそう言いなさんな。そういう気分なんだ」

「?????」

 

 その光景を皆は微笑んで見ていたのだった。

 

 

 ◆

 

 過去、吉井宅

 

 明久が元の時空に戻ってきた際、戻されたのは自分の部屋だった。寝ていたのかと自分に思い込ませ、明久はリビングへ向かう。

 

 リビングで待っていた家族達は誰もが明久を囲む。その表情は居なくなった息子が戻ってきた安堵に似たものだった。

 

「明久!どこ行ってたの!?」

「心配したんですよ?」

「部屋で寝てた……不思議な夢を見ていたんだ……未来の僕が、どんな風になったかを女の子達が教えてくれる夢……顔も名前も覚えてないんだけど……確かに僕は僕の家で、沢山の女の子に囲まれてた」

「なんだそりゃ」

「頭打った?」

 

 分からないと静かに呟く明久。そんな覚えもないし、ずっと家にいたから、そんなこともなかったと明久は言う。

 

「大丈夫!僕はお兄ちゃんだから!あれ?今日オムライス?」

「そうなんだけど……誰が作ったのか分からなくてね?父さんも母さんも作ってないんだよ、すっごく美味しかったし……玲は無理だし……明久が作ったのかい?」

「覚えてないけど、僕は作ってないと思うよ」

「どちらにせよあるなら食べた方がいいわよね……凄く美味しかったし」

「そう?じゃあ食べようかな」

 

 オムライスを食べて考える。あの夢は本当に夢だったのか。

 

 ……違う。この夢は大事にしないといけない。

 

 そして、僕自身が頑張っていけば、いつか幸せが訪れる。幸福だと思える日々が来る。そう考えて明久はオムライスを食べ終え、美柑のお世話をし始めるのだった。




次回からどうしようと考えるこの頃。。。
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