バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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tenderness

 

 体育館には女の子しか居なかった。皆が皆学園指定のブルマを穿いており、準備運動をしたり、仲良い子で話し合っている。

 

 ……そう言えばヤミって誰と仲が良いんだ?普段のハーレムメンバーや雄二達や僕以外の誰かと仲良くしてる所を見た事が無い。そこは分からないからどうしようも無いな……

 

「ヤミお姉ちゃん、大丈夫?どうかした?」

 

 話しかけてきたのはメアだった。メアなら何とかなるか……

 

「えぇ……なんとか」

 

 そう返すとメアが首を傾げる。なんだ?なんかしくじったか?いや、まともな返事だし特にやらかした要素は無いはずだが……

 

「……今日のお姉ちゃん……マスターと接してる感じがするんだけど」

 

 鋭過ぎる。なんなのこの勘の良さ。ニュータイプかよ。ピキーンって頭の中からなんか響いてない?

 

「き、気の所為ですよ、メア」

「そ、そう……?」

「ヤミさん、大丈夫ですか?」

 

 モモとナナ、ネメシスがやってくる。確かモモとナナには姫って付けて、ネメシスは呼び捨て。これならいける……はずだ。

 

「えぇ、大丈夫です。ありがとうございます、モモ姫」

「ん?どうしてヤミがペケなんて付けてるんだ?」

 

 ナナがペケに触れようとする。やべぇ、何とか隠したつもりだったのに。妙に勘のいい娘だなホント!

 

 てか僕はここからどうやって誤魔化すんだ?……おい、今ビクってしたぞペケのやつ。ロボットでもやはり驚愕とかあるのか。ララの発明ってすげーな……

 

「こ、これは……」

「見苦しいぞ、何をしている?明久」

 

 ネメシスに言われた瞬間、僕は4人を連れ出した。体育館の中にある倉庫に入れて何とか皆が見てないのをいい事に事情を話す。

 

「なるほど、ヤミさんの代わりに明久さんがヤミさんのフリを……」

「凄いよ!最初お姉ちゃんかと迷ったもん!」

 

 そこまでか?僕ってヤミのモノマネ似てる?……秀吉、君の声帯模写のおかげで僕はここまでやれてるんだよ……ありがとう……

 

「ナナ……明久さんも困るからペケには触れないで欲しかったわ」

「悪かったよ……て言うかどうせネメシスがバラしてただろ?」

「そりゃ、ヤミの姿をして若い女に紛れて何してるんだとは思うだろう。ハーレムが足りないのかと思ったが」

「……ネメシスご飯抜きね」

「なら最初から言え」

 

 割と真面目に言うのやめてくれません?てか君が正論で畳みかけてくるの違和感しかないから辞めていただけないか?なんて言うとモモが『確かにネメシスに正論言われたら終わりですね』なんて言ったもんだから、ネメシスに尻尾を触られて悶えてしまう。

 

「あ、ここに居たのね。テスト始めるわよ」

 

 ティアーユ先生が声をかけに来てくれたので、クラスメイトの皆には内緒なのを仲間内で約束して倉庫から出る。

 

 体育のテストと言っても体力測定のようなもので、ソフトボール投げと…… 反復横飛び、20mシャトルラン、50m走、立ち幅飛びくらいか。これさえ終われば帰れるのだ。

 

 僕の番は後々なので皆を眺めているが、やはり中身男で女の子達に紛れるのは罪悪感が背中を這い上ってくる。健康で綺麗な肢体が目の前をチラホラされたら流石の僕も目を逸らさざるを得ない。

 

「ヤミちゃんの番だよ?」

 

 呼ばれていたのに気づかなかったらしい。ていうか体力テストなんて久々過ぎて昔どうしてたかななんて考えるので精一杯だった。

 

「すぐ行きます」

 

 テストを行うも、男の僕としては有り余る体力を有しているので、体力テストは簡単な方だった。……何より鍛えられている。自身で鍛えているのもあるが、ハーレムの皆と寝てりゃ体力も自然と増える。

 

 特に目を見張ったのはシャトルラン。120回をこなしても息が上がる程度だった。ヤミの姿でこれやって流石に申し訳ないとは思うが、ヤミは元殺し屋。問題ないと信じよう。

 

「ヤミちゃん凄い!そんなに出来るんだ!」

「……ここに来る前、結構運動してたんです」

「だとしても120って!男子より多いよ!」

「ありがとうございます。皆さんも身体柔らかかったり、50m走が早かったりするじゃないですか」

「ヤミちゃんには適わないけどね〜」

 

 他愛ない話を繰り返していると、負傷者が出た。クラスでは結構人気のある子らしく、頭は良いのだけれど運動神経がからっきし。瑞希タイプの子だな。

 

「大丈夫ですか?」

「あ、ヤミさん……」

「……足を捻ったのですね、すぐ連れて行きます」

 

 お姫様抱っこして彼女を保健室へ。その間は何を話せばいいか分からず、とにかく急いで保健室へと運んでいた。

 

 保健室の戸を叩くと、御門先生がセリーヌの面倒を見ながら対応をしてくれる。確か御門先生は……ドクターミカドだったかな。

 

「ドクターミカド、彼女、足首の捻挫です。診て下さい」

「はいはい。じゃあ後はこちらで対応しておくわね」

「ありがとうございます」

 

 出て行く際、ありがとうと言われたので無理しないでと微笑んで言ってからテストの為に体育館へと戻る。戻って来たらナナが溜息を吐きながら「何でお前がモテるのがわかったよ」と言われた。ラキスケじゃない、本当の理由があったんだと。

 

「ラキスケは関係ない。お前のあぁいう優しさなんだなって。私も含めた皆が……何気ない優しさに惹かれてたんだなって」

「……帰ったら夕飯リクエストしていいよ」

 

 嬉しくなってしまった。当たり前のことをしているだけで、こんな風に言ってくれるなんて。だからほんの少しだけ、サービスしたくなったのだ。

 

「……パエリア」

「皆リクエスト聞くとそればっかだけどいいの?」

「……最近食べてないから。それにお前のパエリアは本当に美味しいからな」

 

 笑顔で言うナナがあまりにも可愛い。素直になってから色々とやって来たけどその度に従順になると言うか、何とかテストを乗り切り、皆と別れた後、一人空き教室に籠って変身を解き、ペケによって服を用意してもらう。ペケが男物の服を用意してくれているのは本当に助かる。

 

「にしてもよく協力してくれたね、ペケ」

『ワタシそんなに血も涙もないキャラでは無いですし、ララ様がお認めになったのなら協力も致し方ありませんよ』

「ありがと」

 

 誰も居ないのをいい事に荷物を確保する為に保健室へ。扉を開けると、先程怪我していた女の子も何とか捻挫の痛みに耐えながら歩いている所が見えた。

 

「君、大丈夫?」

「あ、はい……」

「足首挫いたんだろ?無理しないでね」

「え、どうして……」

「見ればわかるよ。……なんなら送ろうか?痛むだろ?」

「いえ、お母さんに来てもらうことになってるので……ありがとうございます」

 

 女の子を見送った後に御門先生に話をする為に中へ入る。先生は呆れた顔で僕を迎えてくれる。

 

「ダメよ明久君、もうハーレムを増やすなと言われてるでしょう?」

「……ハーレムを増やす気はありません。……でも、困ってる人が居たら僕は老若男女問わずに助けますよ」

「あなたのラキスケとハーレムって関係ないのね」

「ナナにも言われました。……僕って優しいんですか?」

「優しくなかったら誰も堕ちないわよ」

 

 そんなもんですかとセリーヌを預かる。後はヤミに報告するだけだ。待っててくれ、今僕が帰って君に変身能力を返してあげるからね。

 

 それに悪いことばかりではなかった。僕はヤミとネメシスがちゃんとクラスで馴染めているか、話せる事が出来るか心配だった。メアに関しては問題はない。里紗くらい高いコミュニケーション能力を持っていて、なおかつ天真爛漫な立ち振る舞いは人を引き寄せるものがあると知っている。だからそんなに彼女に関しては心配していない。

 

 だがヤミとネメシスは違う。ヤミはあまり自分から話す子では無いし、ネメシスに関してはもはやアウトだ。だから不安で仕方がなかったが……ちゃんと話す子は居るのだ。

 

「ヤミがちゃんとクラスメイトと話せてるのか心配でした。……でも、話せているのが今日わかったんです」

「随分変わったわ。あなたのおかげでね」

「そうよ、あんなヤミちゃん久しぶりに見たわ」

 

 ティアーユ先生もやって来た。もうやるべき事が終わって帰るから来たと言う。

 

「そうね、保健室も閉めようかしら」

「じゃあ帰りますか。今日はパエリアですよ」

「あら、早く帰りましょ。聞いただけでお腹すいちゃったわ」

 

 二人を連れて家路に着く。その間、色んな話をした。ヤミの事。今回のなりすましについてどう思ったかなど。

 

「……ヤミちゃん、お友達が増えたの。……あなたと出会わなかったら……こんなに変わらなかったし、私達も分かり合えなかった。……本当にありがとう」

「何度も言ってますけど、選んだのはヤミ自身ですから。僕はほとんどなんもしてないですよ。やったと言えばダル絡みしてたくらいで」

「あの子にそれが必要だったから。冷たかったと言っても、ずっとあなたを考えていたと思うの」

 

 そんなもんか。……いや待て、『殺しますよ』とか言ってた裏側では僕の事考えてたってマジ?ギャップ萌えと言うやつだろ。いかん、世間で若者がよく言う「キュン死」してしまうではないか。

 

 家に帰ってくると、装置は治っていた。ララが一時間で治したらしい。これでなんとかなったか……

 

 変身能力は確かに素敵だけれど、制御は難しいし感情に左右されても動いてしまうから僕には要らない。……それに、誰かに押し付けてまで自分のラキスケを消そうとは思わない。……今回の件でわかった。する側もされる側も誰も幸せにならないから。

 

「取り敢えず元に戻そう」

 

 朝やったようにヤミと一緒にケーブルを持ってボタンを押してもらう。すると身体が光り始めた。ヤミは変身能力が使えるかどうか試してみると、見事に髪の毛が変形した。良かった、元に戻ったんだ……

 

「災難だったねヤミちぃ」

「……でも、明久の気持ちを知る事が出来ました」

 

 僕がラキスケした後の罪悪感に駆られる感覚を思い知ったとのこと。まぁ確かに男だから嬉しいとかは1ミリはあるかもしれないけどやはり女の子がそれで心を傷つけてしまう可能性もある。だからこそ罪の意識の方がデカくなってしまうのだ。

 

 一件落着との事でご飯を作ることに。他のメンバーも全員集まっている。なんなら今日はオフとのことでルンまで居た。

 

 因みにルンはさん付けしないで欲しいとの事で呼び名を変えた。多分身内以外であのスターの座を駆け上がっている超時空なんたらのRUNを呼び捨てしてるの僕くらいだろ。……なんかよくいる勘違いオタクになってしまった。清水寺から飛び降りたい。

 

 また、昨日の過去と現在の僕が入れ替わった発明品はルンは最近家でペットとして飼い始めたルンのモドリスカンクを借りたらしい。なんて動物を飼ってるんだ?

 

「凄かったね今日のヤミちゃん」

「そうだねぇ、多分二桁の回数は余裕で超えてるし、美柑ちゃんも犠牲になったからねぇ」

「……ごめんなさい、ミカン」

 

 ……想像するだけでゾッとしたのは内緒。美柑のような小さい子にはラキスケしたら僕はお縄だ。……ヤミだからまだ良かったよ。

 

「気にしなくていいよ。で?ヤミさんにラキスケされた人ってヤミさんのこと好きになったの?」

「あー、それに関してはモテる原因はラキスケじゃなくて明久君自身が理由になってたから。ラキスケしたからモテるということは無いわよ」

 

 その言葉で全員が僕を見てニヤニヤし始めた。なんなんだ全く。

 

「まぁ、全員アキが優しいから堕ちた様なものですしね」

「そんな事ないと思うよ美柑、そんな何も考えてなさそうな単純な子なんてここにはいないよ」

 

 そう言うとニヤケ顔が一斉に暗くなっていく。なんなら「私達単純だって」なんてボソボソと言い始めた。

 

「お帰り……あら?どうしたの?」

「アキが余計な事言って皆を悲しませたの」

「……親子の縁を切ろうかしら」

 

 母親が帰ってきて僕をゴミのような目で見ながら言った。そこまで言うか。て言うかこれに関しては僕は予想外の範囲外だったのだ。全員単純なんて思うか?皆僕が優しいだけで惚れたわけじゃないだろ?そう聞けばそうだけどと返ってくる。ならば話は早い。

 

「僕が優しいだけなら他の人に優しくされてもきっと同じになる。……だから皆は僕の優しい以外も好きになってくれたんだろ。なら単純じゃない。きっかけは優しさかもしれないけど、君達は僕の優しいとこだけが好きって訳でもないだろ」

 

 必死に弁明したらそうだよねとか、沢山好きになったところあるからねと皆がニコニコしながら話し始めた。母親は何故か知らないけどまだゴミのような目で見てくる。

 

「……そう来るのね、女誑し」

「理不尽だし失礼だろ、純愛だ」

 

 なんでこうなったんだろう。僕はどこで間違えたのだろう。結局弄られながら生きていくしかないのか?何もかもわからん。

 

「まぁいいわ。今日のご飯は?」

「リクエストでパエリア。あとは付け合せのサラダとコンソメスープだよ。……てか皆パエリア好きだね」

「アンタのパエリア美味しいんだもん」

「胃袋掴まされたよね」

 

 そんな感想が出てくる。僕はなんか彼女達の保護者になった気分だ。ご飯作って、お風呂沸かして……洗濯したり、掃除したり、皆の頼み事聞いたり、遊んだり……なんかもうパパになった気分だ。

 

「で?これから出かけるの?」

「お父さんと食べてくるから」

「はいはい、気をつけてね」

 

 ご飯を作りながら受け答えすると玄関の扉が開く音と閉める音が聞こえてくる。……なんで今日の献立聞いたんだよ。

 

「アキは変身能力使ってどうだった?」

「制御ムズすぎてほとんど使ってないよ」

「初日で使いこなせたら化け物だぞ」

「あれば便利だと思うけど、僕はもういいよ。あれ使うと頭も疲れる」

 

 にしてもヤミもあんな辛いのを平然と扱うんだから凄いよな……慣れって恐ろしいもんだ。

 

「……アキのえっちぃ転び方……本当にわざとじゃなくて何も無いところで転んでしまうので……アキも苦しんでるって……分かったんです」

「……ヤミちぃがこう言うんだから割とマジだよこれ」

「……被害者が加害者になってようやくわかるあれだね」

「ララ、それ部屋で封印しといてね」

 

 部屋に持って行かせてから後はスープを仕上げるだけ。どうせ彼女達は今日から泊まるとの事だし、全員に風呂に入るように伝える。そう言うとモモが大浴場を用意したとの事で全員そっちに行ってしまう。

 

「モテる男は大変だね、アキ」

「でも……楽しいからいいんだ」

「そうね、皆楽しそうね……所で先生、うちの子達って成績どうなんですか?」

「ご心配なさらずともクラス内でもトップレベルですよ」

「ちゃんと勉強してるのね……淫行三昧で成績落ちたらどうしようと思ったわ」

 

 向こうの話を完全に遮断し、料理も出来たのでリビングに戻るが、突然の眠気が僕を襲う。

 

「あ、アキ!?大丈夫!?」

「あ、あぁ……なんか凄く眠くて……」

「……頑張り過ぎね。ちゃんと寝てる?疲れが取れてないわよ」

「寝るようにはしてるんですが……」

 

 そう言うと溜息を吐きながら薬をくれる。快眠出来るのと、疲れを取る為のお薬だと言う。

 

「今日はもう寝なさい。皆には言っておくから」

「ありがとうございます……美柑も早く寝なよ……」

「う、うん」

 

 家の風呂に入り、身体を温めること15分。僕の瞼はもう開かなくなっていた。部屋に戻ってきて薬を飲み、ベッドに潜る。もうダメだ。色々あって疲れているんだ。

 

なんて考えているとあっという間に意識は闇へと落ちていった。

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