バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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Reason

事件は、とある日の放課後に起きた。

 

「…待て、翔子。もう一度言ってくれるか?」

「…私達、AクラスはFクラスに宣戦布告する」

 

その一言で、全ての時間が止まったかのように感じた。

 

雄二はそれに微動だにせず、眉1つ動かさずに霧島さんに聞き返す。

 

「なんでだ?」

「気が変わった。…雄二、勝った方が何でも言う事を聞く…それも込みで宣戦布告する。…でも、雄二には逃げることができない」

「…上位クラスの参戦は断れない…くそッ、やるしかねぇのか」

「…安心して欲しい。雄二の決めたルール…5対5でいい」

「…何を企んでるのかは知らんが、思うように行くと思うなよ」

「…じゃあ、明後日に」

 

そう言った霧島さんは屋上を去る。

 

「…くそッ、まだ勝てる要素は揃ってないのに」

「5対5でしょ?居るじゃない」

「は?俺に秀吉に康太にデビルーク…あと誰だよ」

「目の前にいるだろバカ」

 

僕自身を指さして言うと、雄二は暗い顔で言った。

 

「お前は出さない」

「はぁ!?なんで!?」

「…1年の時、お前自分で何をしでかしたか覚えてねぇのか?」

 

突如として真面目な顔で雄二は呟く。

 

「…」

「明久、お主はまともに戦えるような状態ではないじゃろ?ましてやお主が100%の力を出そうものなら…」

「…今度こそ無事では済まない」

 

確かに、1年の時に僕は召喚獣が原因で倒れた。だけどそれが何?

 

「知るか、僕の身体なんてどうなっても構わない。今度は上手くやってみせるさ」

「…ダメだ。翔子が何を考えてるか知らんが、代表としてお前を出すわけにはいかない」

「…どうしたのさ、勝ちたくないの?」

「勝ちたいに決まってるだろ…だがそのせいでお前が死んだらどうすんだよ」

「…アホくさ、この程度で死ぬようならもう既にこの世に居ないさ」

「だからって!」

「…とにかく。明後日なんだろ?…だったら僕も準備する。…もう何を言っても聞かないから。…まぁ、それをよく知ってるのは雄二だとは思うけどね」

 

そう呟いて僕は屋上を去る。その階段の下でララとばったり会った。

 

「あれ、先帰ったんじゃないの?」

「明久と帰りたいなって思って、待ってた。でもお話してる最中だったから待ってたんだよ?」

「ごめんね…わかった、帰ろうか」

「わーい!今日もお買い物行く?」

「いいや、今日は家にあるもので何とかするさ。…今日はララにも手伝ってもらおうかな」

「やったー!じゃあ帰ろー!」

 

ララに手を引かれる。何年ぶりだろうか。その出来事と、ララの明るい性格で、今の僕は救われていたのかもしれない。そう思っていた。

 

 

 

――――――

 

 

「…ねぇ霧島さん。本当にFクラスに試召戦争を挑む気?」

 

そう話しかけたのは学園の風紀委員である古手川唯。

 

「…うん。仕掛けるなら今しかない」

「ん?どうしてー?」

 

そう言って古手川と翔子の胸を揉みながら話に入ってきたのは里紗だった。

 

「ちょ、ちょっと!籾岡さん!そんなところ触らないで!」

「ちぇ、わかったよ…」

「…雄二は多分、何か勝てる要素を揃え始めている。…そんな時の雄二はほぼ不可能と言われた勝負を勝ちまで持っていく可能性がある。…そして、吉井の存在もある」

「え?吉井君?どうして?」

 

古手川は少し警戒して明久の名前を呟く。古手川にとって、明久とララは危険人物だったのだ。

 

「…自分の身体を犠牲にする事で、有り得ない動きをし始める。…だけどそれで問題になった」

「そうそう。アイツ無理し過ぎて目とか鼻とか耳から血を垂れ流して相手睨みつけてそのまま召喚獣を使って相手を叩きのめすって事を起こしちゃってね…」

「え、なにそれは…」

「…ただ勝ちに固執してそのまま戦って、病院送りにされた…結構有名」

「でも吉井君は今病気って…あ、代わりのあの人が…?如月明奈さん…」

「警戒してて損は無いね」

「…そうだ、メンバーはどうするの?」

 

里紗が聞くと、翔子は静かにメンバーを告げた。

 

「えっ、私はなし?」

「…ごめんなさい、今回は我慢」

「しょうがないなぁ、その4人に任せるよ」

「…さて、私は帰る」

 

そうして解散になると、残った古手川と里紗が話を始めた。

 

「そう言えば籾岡さんは吉井君と親しいのね」

「まぁね。…あのバカ、放っておくときっともう二度と立ち上がれなくなるし。私ってお節介焼きだしあのバカとは長い付き合いだしね」

「…でも、あの人はあの時に問題を起こしたじゃない」

「まだ誤解してるんだね…明久も可哀想に。良かれと思ってやった事が裏目に出るもんね…まぁ、スカート下ろしたのは悪いけど本当に悪いのは目が節穴だったクソ女の方だと私は思うけどね」

「…誤解…?」

「ま、本人に聞くなりそれに詳しい人に聞くんだね。私はもう帰るよ」

 

里紗も鞄を持って瑞希や春菜の元へ行ってしまった。ただ一人、古手川はその場で立ち尽くしていた。

 

 

 

――――――

 

 

「ただいま」

「たっだいま〜!おっかえり〜っと!」

 

帰ってきてすぐに脱ぎだそうとしていたララの手を止めた明久。

 

「待て、ここで服を脱ぐんじゃない」

「えぇ〜?だって私いつもこんな感じだよ?」

「…次やったらご飯抜きね」

「ぶーらじゃー!」

「パクるな」

 

リビングに鞄を起き、部屋着に着替えてから、風呂場に行き風呂の掃除。それが終わってからエプロンを纏う。

 

「ララ、これ着て。手を洗ったら一緒にご飯作るよ」

「はーい!」

 

エプロン姿似合ってる。そう思っても口に出す事はなかった。

 

「ララって料理作った事は?」

「無いよ!」

「そっか。なら覚えていて損は無い。一緒に作って覚えようね」

「はーい!」

 

しかし初体験ながらもその器用さと手捌きは天性のものかと間違うくらい的確だった。こうしてテキパキと作っていく。凄い。いつもなら倍の時間かかるのに、時間が短縮される。

 

「ねーねー、明久に聞きたいことがあるの」

「何?」

「なんで試召戦争に出ちゃダメって言われてるの?」

「…聞いてたな」

「私って地獄耳なの〜」

 

どうしてあそこに居たのかも納得出来た。

 

「…まぁ、去年色々あったんだ」

「…死んじゃうかもしれないくらい?」

「…僕の召喚獣は特別なんだ。…痛覚共有させるために感覚も全て僕自身とリンクさせる。…そんな召喚獣に科せられた枷…それらを全て外したらどうなると思う?」

「そりゃ、危ないよ」

「それをやったんだ。…そしたら予想通りに病院送りさ。…だけど大丈夫。…今度は上手くやってみせる」

「…なんで、そこまでして勝ちたいの?…自分の為?」

 

ララの一言に、僕は手を止めて呟く。

 

「…自分の為じゃないな。…僕が今ここにいる…それは皆のお陰なんだ。…その皆の為に、僕はこの身体を使いたい」

「…自己犠牲って訳でもないし…なんだろう、変わってるね」

「宇宙一の変わり者の君に言われたらおしまいさ」

「うぅー!なんてこと言うのー!」

「…でも、それのお陰で今の僕は気が楽なんだ。感謝してるよ」

「え、えへへ…そう?」

『ただいまー!』

 

美柑が帰ってきた。何やら急いで帰ってきたみたいだ。リビングの戸が開かれ、美柑の顔を見ると、とても嬉しそうだった。

 

「アキ!テストで全部満点だよ!」

「おぉ、おめでとう。良かったね、頑張ったのが報われたんだ」

「あ、そうだ。今度またお友達呼んでいい?」

「良いよ、それならお菓子とか色々買わないと…」

「じゃあ私はミカンのお友達と遊ぶために何か開発しないと〜」

「やめなさい…あ、風呂沸かして」

「わかった〜」

 

前より空気が明るくなったこの家。居心地が良くなった事でこれから起こりうる辛い事も考えなくて済む。

 

「よし、後はご飯炊ければ終わりだな」

 

するとインターホンが鳴り響く。

 

「こんな時間に誰だろう?見てくるからララ、お皿とか用意してて」

「はーい」

 

外に出ると、そこに居たのは…

 

「あはは、また来ちゃった」

 

里紗だった。…ここ最近毎日来てませんかね?

 

「…自分でご飯作りなさい」

「えぇ〜面倒臭いし〜私じゃ不味いから…」

「今度教えてあげるから…今日はもう来ちゃったからしょうがないし上がりなよ」

「えへ、じゃあ遠慮なく〜」

 

リビングに戻るとだらしなくソファーに寝転がる里紗やララが。

 

「あ、里紗さんいらっしゃい」

「ごめんねぇ美柑ちゃん。1人じゃ寂しいしご飯作るのめんどくさいからねぇ」

「ご飯炊けた?」

「うん!炊けたよ!」

「よし、じゃ食べようか」

 

配膳もあっという間に終わった。複数いれば楽になる。量も明日食べる用とたくさん作っておいてよかった。

 

「「「「いただきます」」」」

「あぁ、やっぱ明久の料理が一番だわ〜…お嫁に来てくれないかな〜」

「明久は渡さないよ!」

「ふぅん?ララちぃ結構大胆じゃん?」

「リサだって!」

「ご飯の時くらい騒がないの」

「本当にお母さんみたいだねアキ」

「言ってることママそっくりだよ!」

 

…そりゃ主夫だから?いや、今は女の子だから違うか…

 

「そりゃ容姿と性格を除いて家に置いておきたいランキング上位だよ?」

「えぇ〜?容姿は悪くないよ?性格はあれだけど」

「待て、一言余計だ」

「いや、ララちぃの言う通りだよ。明久って根暗だし?」

「悲しいけどアキって社交的ってわけでもなさそうだし」

「…君達ほんと人の心抉るの好きだよね」

「いやいや?そんな明久も私は良いと思ってるし」

「何?僕に気があるの?」

 

少しだけおちょくってやる。これで顔真っ赤に…

 

「あるって言ったらどうする?私が明久の事を好きって言ったら一生そばに居てくれる?」

 

真っ赤にされた。ダメだ!勝てない!

 

「…さぁね」

「まぁ、明久ってバカだけど人の気持ちは人一倍わかる奴だから私は悪くないと思うなぁ」

「だよね!リサわかってる!」

「でしょ?」

「「いぇーい!」」

「うぅ…」

 

こんな事だったら女の子と話しまくって巧みな話術を身につけておくべきだった。

 

「さて、お粗末様。例の如く食器は流しに置いといてね」

「どこ行くの?」

「コンビニ。美柑も頑張ったしアイスでもみんなで食べようと思ってね」

「私期間限定のやつね」

「は?金払って?」

「分かってるって。はい」

 

里紗から金を渡されて、財布に入れる。

 

「美柑はいつものでいいよね。ララは?」

「私バニラ!」

「はいよ」

 

まだ寒いのでコートを羽織って外へ行く。商店街までやってきた。…すると、そこに意外な人物が。

 

「金色の、闇…」

「…?誰ですか」

「…君がこの前殺そうとした人だけど」

「…吉井明久ですか、何故女に?」

「ララに変えられてね。…君は?」

「…図書館帰りです」

 

その視線の先は、たい焼き屋に向いていた。それほど食べたいのだろう。

 

「…食べたいの?」

「…いえ、別に」

「強がらなくていいよ。待っててね」

 

そう言ってたい焼きを2つ買って、1つヤミに手渡す。

 

「はい。この前は冷めたのでごめんね。…これなら温かいよ」

「…どうも」

「そう言えば、ここの生活は慣れた?」

「…はい」

「良かった。…寒くないの?」

「問題ありません」

 

…少し震えている。…そんな格好で…大変だろうに。…この広い街で、たった一人。…そう思うと、どうしても放っておけない。コートを脱いで、ヤミにかける。

 

「…えっ」

「冷えるから着なよ。女の子が夜にそんな格好で歩き回るもんじゃないよ」

「…あ、いや…」

「じゃ、僕は行くから。返さなくていいよ!それ小さいと思ってたんだ!」

 

正直使い道に困っていた。新しい少し大きめのコートを母さんが買って送ってくれるそうなので好都合だ。

 

それからは各自希望のアイスを買って家へ戻る。

 

「お帰り、遅かったね」

「少し野暮用でさ。…ほら、買ってきたよ」

「ないすぅ〜」

「じゃ僕部屋にいるから何かあれば呼んでね」

 

部屋に戻ってベッドに寝転がる。明日は休みだ。故にゆっくりと明後日の闘いの準備ができる。

 

その時、里紗が風呂が空いたことを知らせに来てくれた。

 

『明久、美柑ちゃんが風呂上がったよ』

「うん、すぐ行く」

『…ねぇ、本当に明後日戦う気?』

 

…またその話か。

 

「…皆して心配性だな…たかがゲームだろう?心配しなくても…」

『それでアンタは死にかけてるじゃん』

「…僕がヘマこいたからね。だから次は上手くやるさ。何も問題ない」

『アンタ、あの時周りの人間が皆心配したの知らないでしょ』

「…何さ、だから戦うなって?…申し訳ないけど、それはできない。皆が僕に、立ち上がる勇気をくれた。…だから今度は皆の為に、この身が灰になろうとも戦うって決めたんだ。…別に、命なんて安いもんだろう」

『…あっそ、勝手にすれば』

 

数秒後、玄関の扉が開くのが分かった。なんで怒ってるのか僕にはさっぱりだ。

 

「さて、風呂入るか」

 

読んでいた参考書をベッドの上に置いて服を脱いで湯船に浸かる。まだ僕の身体が信じられない。見る度に掴んだり揉んだりしてしまう。

 

「…やっぱ凄いなぁ…って、何考えてんだ僕は…」

 

湯船に頭を浸けて考える事を辞める。考えても仕方の無いことだ。

 

「…とにかく僕は決めたんだ。…皆の為に、戦いたいって…」

 

里紗が何を言いたかったのか、今の僕にはまだ分からなかった────

 

 

 

 

――――――

 

 

「…馬鹿みたい、なんで私があんなに言わなきゃいけないわけ」

 

里紗が帰って来て、1人部屋で壁にもたれかかっていた。写真たての中にある写真を見た。修学旅行での1枚。みんなが楽しそうにしてる中、1人だけつまらなさそうに別の所を見ている写真。その後ろに、その後に撮った里紗と明久が笑っている写真が。

 

「…何カッコつけてんだって話でしょ…別に、そんなんじゃなくても…」

 

昔の事を思い出した里紗。その顔はぐしゃぐしゃだった。

 

「…苦しいよ…助けてよ…」

 

その声に反応する者は居なかった────




これは里紗がメインヒロインですね…

ヤミちゃんはダークネスに入る前に色々と済ませてしまいます(入学など)

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