バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

9 / 76
試召戦争なんて物騒なのは1話で終わらせましょうね〜(アホ)


Determination

約束の日がやってきた。珍しく早起きした僕はララを起こして学校へ向かう。

 

「明久、本当にやるの?」

「勿論だよ。これくらいしか、僕にはできないから」

「…そうだ、男の子に戻れる奴!私昨日徹夜で作ったんだ」

 

そう言って銃を取り出すララ。これで戻れるらしい。

 

「…わかった、じゃ、頑張らないと」

 

それを受け取って、学校へ向かう。まだ教師達も立っていない。教室に向かうが、そこには誰も居なかった。何時もの騒がしい教室は少し殺風景に感じる。

 

「ん、吉井」

 

ふと声が掛かる。この野太い声は…

 

「あ、鉄人。おはようございます」

「西村先生と呼べ。…そうだ、学園長が探していたぞ」

「へ?なんで?」

「試召戦争の事でな。…お前は特別過ぎる故な」

「…まぁ、そんなとこですか…あの人が呼び出すとしたらそういう事しか思い浮かばない…ララ、少し待っててくれるかな」

「うん、行ってらっしゃい」

 

1人で学園長室へ。彼処は僕らの教室の真反対の方向にあるため行くのも帰るのもダルいから行きたくない。

 

やっとの事で着いた学園長室。

 

「…吉井です」

『入りな』

「失礼します」

 

中に入ると、何回か見た荘厳な雰囲気の部屋が待っていた。中には学園長のババア長こと藤堂カヲル学園長が。

 

「…お前さんを呼び出したのは他でもない」

「…召喚獣ですね」

「…お前さんの召喚獣は特別過ぎる。未だアタシ達にも解明が出来てないさね。…幾らお前さんにほんの少しのフィードバックしか与えなくても全てお前さんに帰るのは100%。それに、お前さんの得る圧倒的情報量…あの動き…どう考えても…」

「…御託はいいです。要は僕に出るなと?」

「ま、そう言う事になるね」

 

溜息を吐いている。吐きたいのはこっちだって。

 

「幾ら学園長でもそれは出来ません。僕には僕を信じてくれる人達が居るんです。…それに、僕は召喚獣があるから僕がいるんです」

「…お前さんの身が危ないさね」

「そんなの、僕が上手く出来なかった僕の不手際だ。…今度は上手く、もっと上手に扱ってみせる」

「…力に固執すると、いつか自分の身を滅ぼすさね」

 

確かにそうだ。学園長は正しい。…でも。それでも。

 

「…もう選んだ道なんです。なら行くしかないじゃないですか。どんな茨な道も。どんな修羅な道も。僕は最後までやり通します。…それが僕という人間のポリシーなんでね」

「…お前さんは自分が倒れた時、誰か周りの人が悲しんだりする事を分かっていないさね」

「分かってどうなるんですか?…僕は…友達との約束を果たせないまま終わるのが一番嫌だ。…皆が頑張ってるのに…それなのに僕は指を加えて見ていろと?…そんなの、僕にはできない!そんなの…!友達じゃない!」

「…お前さん…」

「…話は終わりです。…僕は自分の信じた道を進みます。…もう決めたんです。…全部自分で決めたことをするって」

 

そう言って踵を返すと、さらに声が掛かる。

 

「…お前さんには妹もいるだろう?心配かけるんじゃないかい?」

 

一瞬躊躇った。…美柑。そりゃ美柑だって大切だ。…だから。

 

「だから上手くやるって言ってるでしょ。…僕はもう、誰かの悲しむ顔を見たくないんだ。…だから僕は進みます。…お願いです。…僕の邪魔を、しないでください」

 

そう言って学園長室を出る。そして教室へ向かうが、もう既に誰も居なかった。

 

「ま、まさか!」

 

Aクラスに向かって走る。そこではもう既に試召戦争が始まっていた。

 

「…こうしちゃいられない…!」

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

「…さて、試召戦争を始めます。1回戦の相手は?」

 

試召戦争が始まったAクラス内の空気は最高潮に達していた。皆が皆、どちらが勝つのか。そして自分のクラスを熱心に応援したりと忙しかった。この試召戦争という名の5対5の決闘の審判役はAクラス主任の高橋洋子女史。

 

「ララ、頼む」

「はいはーい」

「じゃあ、春菜」

「え?私?」

「…お願い」

「わかった」

 

2人は真っ直ぐとフィールドの中へ入っていく。

 

「えぇ、Aクラスは西連寺春菜。Fクラスはララ・サタリン・デビルークで間違いないでしょうか?」

「…問題ありません」

「同じく」

「科目選択を」

「ララ、使っても構わないぞ」

「そう?じゃあ総合!」

 

その選択にクラス内は騒然となる。それも無理はない。相手はAクラス。全ての科目で戦おうなど普通は思わないからだ。

 

「科目を総合に設定。では両者。召喚獣を」

「「サモン!」」

 

総合

 

Aクラス 西連寺春菜=4289点

 

Fクラス ララ・サタリン・デビルーク=4350点

 

「う、嘘!?」

「ごめんね、春菜…この勝負、負けられないって聞いたから私も本気で勉強したんだ!」

「では両者。バトル開始!」

「行くよ!」

「負けないっ!」

 

2人の召喚獣の武器がぶつかり火花を散らす。春菜の武器はダガーが2本。ララの武器は双刀だ。

 

「そこだー!」

「つ、強い!?」

 

西連寺春菜=2854点

 

ララ・サタリン・デビルーク=3590点

 

「ごめんね?春菜はお友達だけど…それでも勝たなきゃいけないって言われたから。…だから…私は勝つよ!」

 

ララの双刀が春菜の召喚獣を貫く。それにより点数は0点になった。

 

「し、勝者…Fクラス」

『ララ様スゲェー!』

『これは勝てるんじゃ!?』

「坂本、勝ったよ」

「すまんな。…明久の野郎は?」

「んん?学園長室へ向かったっきり帰ってこないね」

「クソ、仕方ねぇ…次はムッツリーニだ!」

「…御意」

 

いきなり現れたムッツリーニこと康太に驚きながらも雄二は明久がここに来ない事を祈った。

 

「…愛子」

「ほいほーい、お久だね、ムッツリーニ君?」

「な、何故…!?工藤愛子…!お前がここに…っ!?」

「なんだ?知り合いか?」

「…中学の時、色仕掛けで殺されそうになった」

「な、なんだと!?」

 

不味い。雄二の中でその一言が走る。だがもう既に時は遅かった。

 

「ムッツリーニ君、降伏してくれないかな…?」

 

スカートを徐々に捲る工藤を見て、ムッツリーニは鼻血を大量に吹き出して倒れてしまう。

 

「雄、二……すま、な、い……!」

「ムッツリーニーッ!!」

 

ムッツリーニは背中を見せずに仰向けに倒れる。その姿にFクラスのメンツは涙を流していた。

 

『ムッツリーニ…あんたぁ男だよ!』

『あぁ、背中は見せないスタイル…あれは真の男にしか出来ねぇ…!』

「この悪魔!外道!こんな純情エロ野郎になんて事を!」

「いやごめんね?まさかムッツリーニ君こうも成長してないとは思わなかったんだ〜」

 

にししと笑う工藤。これによりAクラスの不戦勝。そして次の対戦組み合わせは…

 

「秀吉!」

「任された」

「…優子」

「はいはい…まぁ、そうなるわよね。流れで見てアンタが相手なんて」

「うっ…でも勝負は勝負!真剣に…」

「あら?お姉ちゃん秘密バラしちゃおうかな〜?」

「」

 

突如秀吉が生まれたての子羊並みに震え出す。それを見た雄二は流石に驚いた。秀吉があんな風になったことが無かったからだ。

 

「ど、どうしたんだ秀吉!?」

「ねぇ秀吉?どうすればいいか分かってるよね…?お姉ちゃんのお願い…聞いてくれないかな…?」

「…雄二、すまぬ…不甲斐ないワシを許して欲しい…ッ!!」

「…なんで泣きながら震えてる…まぁいい。うちの負けだ」

 

雄二の告げた言葉により、2対1とモニターに記されてしまう。

 

「…これで後がない…か」

「…雄二、諦めて。…もう勝てない」

「…確かにな…そうだな、諦めるか」

 

そう告げた瞬間。教室の扉が開かれた。

 

「…それだけは、絶対に許さない」

 

その声を聞いた雄二は思わず振り返る。そこには吉井明久が立っていたのだ。如月明奈ではない、苦しそうに胸を掴む吉井明久が。その光景に皆が皆、驚きを隠せない。

 

『おい!あれ吉井だよな!?』

『観察処分者の!?』

『でも確か病気って…!』

 

明久が雄二の近くまで歩く。雄二は

 

「…なんでだよ」

「…黙って見てろ…僕の相手は誰だ」

「…久保」

「…君が相手とはね。正直物足りなく思うよ」

「…油断しない方がいい」

 

明久は静かにフィールドの方へ歩く。彼の額には汗が。そして苦しそうな顔をしている。雄二は明久の前に立つ。

 

「おい!やめろって言っただろ!」

「…五月蝿い」

「なんだと…!」

「…僕は…君達に沢山の物を貰った…立ち上がる勇気を貰った…だから僕は君達に返したいんだ。…その邪魔をするな…」

「…そんなもん求めてねぇよ!第一そんな苦しそうに…!」

「…外は、いい天気だ」

「はぁ!?」

「…だからゆっくりしな。…すぐ終わるよ」

 

そう言ってフィールドの中へ入って行く。明久はモニターを見るなり、ふっと笑う。

 

「?何か?」

「いいや、僕が重要になってるなって思って。さぁ始めよう。一方的な虐殺を…科目は日本史だ」

「そ、それでは4回戦…Aクラス久保利光、Fクラス吉井明久の試合を執り行います。両者召喚獣を」

「サモン!」

「…サモン」

 

Aクラス 久保利光=376点

 

Fクラス 吉井明久=498点

 

「…なっ!?」

『う、嘘!?』

『Fクラスであれ!?』

 

明久の点数に皆が皆驚きを隠せない。それもそのはず。ずっと成績は底辺の底辺。そんな人が急にAクラスの次席の点数をあっさり超えるのだ。驚かない方がおかしい。

 

「ねぇ、外はいい天気だよね」

「えっ…?」

「花は歌い、小鳥は囀り…だからこそ、僕らの邪魔をする君には…」

 

俯いていた明久は久保の方を向いて言い放つ。

 

「…この場から退場してもらおうかな」

「…っ!?」

 

久保が瞬きした瞬間、明久の召喚獣は既に背後に迫っていた。目から赤い帯のような光を放ちながら。そして武器であるデスサイズを蹴り飛ばされ、手から離されていた。

 

「えっ、えっ…!?」

「分からない?…簡単に言えばそうだな…君が勝つ確率は0…そういう事さ」

 

もう既に滅多切りにされている久保はなんとか距離を離そうとするが、明久はそれを許さない。

 

「逃げようとしてるの?…馬鹿だなぁ、そんなの…許すわけないだろ?」

 

サマーソルトで召喚獣を蹴り上げた後、刀を投げつけ、ジャンプして敵を踏みつける。その後刀を手に取り、連続で殴打させる。

 

「ちょっとじっとしててよね…動くと当たらないだろ?」

「こ、こんなの…試合でもなんでもないじゃないか…!」

「は?…ほんと考えが甘いね。…じゃあ武器を持った人に『これは決闘だから正々堂々戦いましょう』なんて言うの?…甘えるなよ、そんなのは許されるわけない」

 

見るも無惨に点数が削れていく久保の召喚獣。それと比例して、明久は苦しみ出す。

 

「…まだ、まだだ…あと少し…もってくれ…っ!」

「…な、なんだいその…顔…!?」

 

そう、明久の頭はあまりの情報量に耐えきれなくなっていた。白目の部分は充血して真っ赤になり、滴る鼻血が口元を紅く彩り、血の気の失せた顔は白い。前起きた時と同じ状況にある。

 

「…自分の心配しなよ。…この状況で…よくもまぁ舐められたものだよね、僕も」

 

そしてそのまま刀を一本捨て、もう一本の刀を両手で持ち、そのまま天に掲げる。刃は久保の召喚獣に向けられたままだ。

 

「む、無茶苦茶だ…ッ!」

「その無茶苦茶にやられたんだよ。…まぁ、運がなかったと諦めるんだね…ゴホッゴホッ」

 

明久は咳き込みながらも召喚獣に刃を突き立てる。それにより勝ちが確定した。

 

「…これで勝負はまだわからない。…雄二、頑張ってね」

「ふざけんなよ…ふざけんなっ!なんでお前…!こんなになるまで…ッ!」

 

明久は前回よりは酷くはないが、今回も酷いことには変わりはない。

 

「…さっきはごめんね、雄二」

「な、なんでお前が謝るんだよ…」

「…友達なのに…親友なのにあんな事を」

「…もういい、早く休め」

「…じゃ、先帰るね…雄二、僕の望みも…君に託すよ」

 

そう言って1人出ていった。

 

「…ララ、お前は行かなくていいのか?」

「明久の分も見ておきたいなって。…明久に連絡事項とか言い伝えなきゃいけないし」

「良い奴だな、お前は」

「えへへー、そうでしょー?」

「ま、俺も行くか」

 

雄二が学ランを脱いで召喚フィールドへと歩いてゆく────

 

 

――――――

 

 

「はぁ、はぁ…少し、無理したかな……」

 

教室で壁にもたれかかる。なんとか鼻血は止まったが、頭が地面に打ち付けられるような感覚と、気持ちの悪さは拭えない。僕を心配する必要なんかないのに。皆して僕の事を心配する。なんでだろう。

 

「ゴホッ…帰って休むか」

 

美柑宛にスマホでメールを送り、そのまま壁伝いに歩いていく。もうまともに歩くことすらままならない。目の前は揺らいで、下手したら事故に遭う可能性もある。

 

「…バカみたい、ほんっと」

 

下駄箱まできた時、不意に声がかかった。その声を明久が認識するのに時間は要らなかった。

 

「…僕にはこれくらいの事しか出来ないからね…なんか用かな、里紗?」

「…はぁ、人が心配してきてやったというのにその態度はないんじゃない?」

「なんで僕なんかの心配をするのさ…したってなんの得にもならないし、めんどくさいだけだよ?」

「本当に鈍いねあんた…はぁ、いいから肩貸してあげる。ほら、捕まりなさい」

 

無理矢理掴まされ、一緒に歩く。自分が情けなかった。女の子に助けてもらわないと何も出来ない自分が。

 

「…あんた、結局戦ったんだね」

「前よりは上手くやれた筈だ…てかもう下ろして、行かなきゃいけないところがある」

「いいよ、付いてく」

「…妙に今日は優しいね」

「今のあんた放ったらかしにしたら死んじゃうかもしれないでしょ?」

「…死にはしないさ、問題ない」

「あんたはそれでいいのかもしれない。…だけど、皆心配するんだよ。…そういう人達のことも考えてよ」

 

…なんか涙混じりに言ってる気がする。…それを確認する術が僕にはない。今日の里紗はなんかおかしい。いつもなら顔を見て笑顔で話すのに、今は直視どころかチラ見すら出来ない。だが口調や声音からして、いつもの無邪気な感じはない。

 

「…そんな奴居るのか疑わしいけどね」

「…坂本や美柑ちゃんだってララちぃだってそうだよ…私だってその1人」

「…本当にどうしたのさ。今日はいつもと違うよ?」

「…当ててみてよ。今、私がどんな気持ちか」

「えっ?…わからないよ、僕はそんなに万能じゃない」

「…じゃあ教えてあげる。あんたが無茶してないか…倒れてないかずっと不安だったの」

「…」

「…それに、ずっと戦って欲しくなかった。…明久が苦しむのを見たくないから。明久が無茶をする奴だとは分かってた。…でも自分の命も見境無くなるのはやめて欲しいの。…あんた、死ぬかもしれなかったんだよ?」

「…うん」

 

…死ぬ訳では無いけど、里紗が僕にそんな事を思っていたのは予想外だった。それに、図星の所もある為言い返せない。

 

「里紗は疲れないんだね、こんな奴と絡んでて」

「…別に?」

「…そう。でも何れは、助けてもらうことにもやめ時ってものを学ばなければならない時が来るんだ…だから僕はなんとか頑張るよ」

 

そう言って僕は里紗の補助を抜け出し歩き出す。

 

「…ここまでありがとう、あとは1人で行けるよ」

「あっ…」

 

彼女の声も聞かずに僕は歩き出した。目的地は…

 

「…いるのかな」

 

インターホンを鳴らす。すると中からは全裸に白衣というあまりにも際ど過ぎる衣装で登場した御門先生。

 

「…ん、吉井君?」

「すみません、また診て貰えませんか」

「…君じゃなかったら門前払いしてたところよ?」

「ありがとうございます」

 

家の中に入り、身体の様子を確認してもらう。

 

「前回よりは酷くはないけど…まだやっぱり症状がね…出血も少なくないからかなり際どい。…一刻も早く休ませなきゃいけないわね」

「…そうですか」

「学園には私から報告しておくわ。前回の薬はもう切れてるの?」

「はい。すぐ無くなって…」

「しょうがないわね…前と同じ薬出しておくわ。…お茶飲んでく?」

「あ、頂きます」

 

お茶を淹れて貰った。紅茶の良い香りがする。

 

「そう言えば、金色の闇はどう?」

「え?ヤミですか?」

「そう呼んでるのね」

「まぁ、依然として命は狙われてますけど…それでもあの子は優しいから留まってくれてます」

「…あの子は殺し屋よ?どうして逃げないの?」

 

どうして?…そう聞かれるとは思ってなかったな。

 

「…ヤミを見てると、昔の自分を思い出しちゃって…独りでいる事の怖さとか悲しさとか…僕は知ってるから」

「…君はどうして女の子に好かれるのか分かる気がするわ」

「え?」

「…こっちの話よ。…でも、彼女は君を殺そうとしたのよ?」

 

…それがなんだって言うんだ?

 

「…彼女の目を見てこんな事はやめろって言ったら、踏み止まってくれました。…だから彼女だって本当はあんな事望んでない。…だったら僕は止めます。…例えそれで命を落とそうとも、ヤミが皆と同じように笑っていられるなら…」

「…そう…誰よりも心を痛めた故の優しさ…それを持ち続けてるなら、君はきっと報われるわ」

「…そう信じて今は進むしかないです。…これまでだって自分の道は自分で決めてきたので」

「でも女の子を泣かすのはどうかと思うわよ?」

「へ?」

「…ふふ、その様子だと君は何人もの女の子に好意を寄せられていると理解してないわね」

「はぁ?僕はそんなにモテませんよ…おっと、そろそろ帰ります。ご馳走様でした」

「じゃ次の検診と言うか…次明後日来てもらえるかしら?明後日の様子を見てから学校に行けるか見るからね」

「ラジャーです」

 

こうして御門先生の家を出ていった後、僕はそのまま真っ直ぐ帰宅する事にしたのだった。

 

 

 

――――――

 

「…ふふ、あなたの事、理解してくれる人がいたわよ?」

「…」

 

御門がそう言うと、奥の部屋からヤミが顔を赤くしたまま動かない。明久の思いを聞いた彼女は自分でもわからない感情に駆られていた。

 

「…わかり、ません…どうして…」

「吉井君がそれだけの器の持ち主だって事よ。…大体貴方が熱を出してここに来た時のコート、吉井君から貰ったって言った時嬉しそうだったじゃない」

「…有り得ませんっ」

 

ヤミは下の階へと向かっていった。トランス能力の使い過ぎで身体能力が低下している。そう判断された故、安静にしろと診断されていた為、地下で安静にしていた所、明久が来たのでその様子を伺っていたというわけだ。

 

「…どうしてあの人は…私は貴方を殺そうとしているのに…」

 

胸が痛む。何故痛むのか彼女にもよくわからない。

 

「…どうして…」

 

ただ小さく呟く彼女の声に誰も応えることはなかった。




ヤミちゃん落ちるの早めにしてます。

あとコメント欄で『男にはいつ戻るのか』との問いに対して『試召戦争の後』と答えましたがこのように致しましたことをお詫び申し上げます。

次回は緑髪の子とか色々出したいですね〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。