PK廃人共の異世界   作:サイトー

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 闇霊ならホストの顔面にアレをスパーキング!





十八・不死はクソで在らねばならない

 トモダチ・ユージンフレンドは冒険者でもある。普段は商人として活動している身分であるが、竜王国のギルドに加入している者と言う設定であった。と言うよりも、商人を主な職にしている便利な何でも屋であり、竜王国辺境の街「ウルメイダシティ」の経営者でもある不審者であった。

 よって世間的に彼は、冒険者でもある変人奇人である。

 冒険者以外にも古い時代の遺跡を発掘する墓荒らしでもあり、レアアイテムコレクターでもあり、知名度はないが人間種の裏社会において知られる男で、中でも法国の神官からは神人の疑いを掛けられている怪人でもあった。

 

「こーほー」

 

 そんな怪人の隣に、黒い仮面兜で黒装束な怪人が一人。

 

「ほぅ、良い感じだ。ユグドラシルの成り切り暗黒卿セット」

 

「こーほー……いや、別にオレは構わないのだが。この格好、世界観が少しあれだと思う。ユグドラシルじゃないVRMMOでやった方が雰囲気が出るぞーほー……こーほー。しかし、うーん懐かしいーほー。宇宙を舞台にしたFPSで、これのコスプレしていたな。

 ―――アイアム、ユアファーザー、コーホー。

 やはりこの一言がないと、我らレトロコスプレキャラ同好会とは言えないな。あ、しかここの左腕装備、この世界産の特殊アイテムだろうーほー?」

 

「ああ。念動力が使える竜王を参考にしたらしい。暗黒卿コスプレグッズに丁度良く、ついつい作らせてしまったぜ」

 

 左手袋を見ながら暗黒卿っぽいことを試してみるCCOは、道端の小石をサイコキネシスで少しだけ動かした。

 

「おお、素晴しい。オレ、これ欲しいな。こーほー」

 

「欲しいならやるが?」

 

「ははこーほー。冗談で言った訳ではないが、流石に受け取れない。ただの廃人としての収集癖だが、貰うならそれ相応の対価をお前に渡さないとこーほー、気が済まない」

 

「成る程」

 

「とは言え、こーほー。この仮面かなり精巧に作られ過ぎている」

 

 呼吸音が煩わしいが、それがこの仮面の能力。この異世界では意味はないが、水中でも、火中でも、真空でも、あらゆる場所で息が出来るそこそこのレア度があるアイテムだった。

 

「それが良いのさ。と言う訳でCCO、今からお前の名前はベイ・ダーキョウな」

 

「うはぁ、パチモンじゃねぇかよ……って、こーほー。お前のその格好は何なんだよ、こーほーヒャッハー」

 

「愚か者め。俺は……いや、今の僕はヒャッハーダークではないよ。ただのトモダチ、トモダチ・ユージンフレンドさ。

 分かったかな、ベイ・ダーキョウ?」

 

「……ま、それで良いけどよ。そっちもパチモンだな、こーほー」

 

 そんなヤバい雰囲気の二人は周りの視線を一切気にせず、ただの冒険者として王都を襲撃した悪魔―――ヤルダバオト討伐作戦と、炎の壁で覆われた占領区域奪還作戦に参加すべく集会場へ赴いて行った。

 ……そして、漆黒のモモンに扮するモモンガは見てしまった。

 両手を背後に組みながら悠々と歩くトモダチと、何かこーほーと唸りながら歩く変なお面の黒装束。絶対に何か世界観が違うと内心で思いながらもモモンは、アンデット特性に感謝しながら近づいて来た二人を視界に入れた。

 

「やぁ、モモン君。こんばんは」

 

「ぁ、あ、ああ、こんばんは。久方ぶりだな、トモダチ」

 

「うん。久しぶり。それで疑問に思ってるだろうから紹介するけど、これ、僕のともだち。名前はベイ。ベイ・ダーキョウと言うんだ。気が向いたら宜しくしてあげてね」

 

「こーほー……アイアム、ユアフレンド」

 

「――――――……」

 

「ああ。すまないね、モモン君。どうも生命維持装置の仮面が邪魔で言葉が聞こえ難いんだ。宜しく、と言ってるんだと思うよ」

 

「こーほー」

 

「うん。もういいや。こっちこそ宜しく、ダーキョウさん」

 

 モモンは全てを諦めた。そもそもスーツを着た人差し指目玉覆面と、何か見覚えが微かにある黒装束の怪人を相手に、まともなコミュニケーションを取れる程、モモンは人生をまだ悟り切っていなかった。と言うかぶっちゃけ、トモダチはプレイヤーの子孫か何かだと今まで思っていたが、本当はプレイヤー本人じゃないかと思い始めていた。

 

「こーほー……ベイで構わん」

 

「あ、はい」

 

「じゃあモモン君、今は忙しそうだからそう言うことで。僕達も陰ながら協力するよ。それとヤル、ヤル……ヤルオバンドだっけ?」

 

「ヤルオバンドじゃなくて、ヤルダバオトな」

 

 むしろ、逆にそんなバンドグループを見てみたくなってしまったモモンは、取り敢えず訂正する。一応家族に等しい愛情を注ぐ配下の偽名なので、間違えられるとイラっとしてしまった。

 

「あ、それ。そんな感じのヤツだったね、モモン君。まぁ、そいつも大量虐殺犯みたいだし、君ならサクリと殺せる筈さ。

 なぁ、ベイ。君も悪魔を殺すのは久方ぶりで、とても愉しみでしょ。その為に雇った僕の傭兵君なんだしさ」

 

「肯定する。そして、私も殺意を以って悪魔狩りに協力しよう、こーほー」

 

「じゃ、そう言うことで。また生きて会おう、モモン君」

 

「こーほー……こーほー……アイアム、ユアコーホー……」

 

「…………ああ。戦いが終わったら、また会おう」

 

 この戦いが一気に不安になってしまったモモンだが、もはや戻ることは出来やしない。恐らくはデミウルゴスがナザリック戦力強化の為に行っている作戦であり、これの成功は自分達ナザリックの生存率を伸ばす事になる筈。モモンでもなく、アインズでもなく、鈴木悟でもなく、彼は廃人モモンガとしてあらゆる状況に対応する為に全身全霊で気合いを入れ直した。

 その気迫は凄まじく、この場に集まった全ての冒険者を威圧し、それ以上に戦意を鼓舞した。正に英雄であり、これこそ戦士であると言う姿。モモンは人間社会を守護する冒険者として、完全無欠の在り方を無意識に示していた。

 

 

◆◆◆

 

 

 ―――ヴォン、とベイ・ダーキョウはレーザーサーベルを振った。

 正確に言えば火刃を生成するマジックサーベルと呼ばれるアイテムであり、魔法属性と火属性の複合攻撃武器なのだが、遠目から見ればこの異世界には死ぬほど似合わないSFセイバーだった。

 

「こーほー……いやはや、似ているのは生身が全身火傷の男ってだけなのだがな」

 

 とは言え、CCOも元々はコスプレ廃人。変装セットさえ揃ってしまえば、キャラに成り切るのは別に悪い気分ではない。ベイ・ダーキョウ(CCO)は造作もなく雑魚悪魔を熱断し、肉体の破片を念力で操り、それを他の悪魔に音速以上の速さで衝突させる。それだけでなく、悪魔自体も念力で捕まえ、そのまま斬り殺し、串刺し、思う儘に殺し歩いた。

 無論、その傍にはトモダチもいた。二人は魔法による監視網を察知しつつも、攻性防壁などの自動迎撃を解除するも、その索敵からのみ逃れるよう専用アイテムを使った。攻撃をすれば居場所や能力が露見するのは当然であり、正体不明は理解出来ず、目視出来ず、把握出来ないからこそ恐怖となる。

 

「ふむ。このルートは冒険者や兵士が殆んどいない。直進出来るな」

 

「なんだ、トモダチ。こーほー、なにか会うと不都合なヤツでも、こーほーいるのか?」

 

「会っても構わないのだが、状況が状況だ。この地域の人助けに参加させられると、ナザリックイベントに間に合わない可能性がある」

 

「ああ。確か、原始結晶を埋め込まれた吸血鬼と、王の指輪と浮遊幻影剣の遣い手だったか」

 

「知っているのか、ベイ・ダーキョウ!」

 

「おまえらの噂話程度だよ。トモダチはどの程度知っている?」

 

「知ってるも何も数十年前、ロンドール不死公国で手に入れた原始結晶をあの吸血鬼に埋め込んだ犯人は俺だしな。結晶渓谷による白死山脈の創造に利用し、プレイヤーのギルド拠点全て地形変化させて遊んだのが原因だよ。

 それに浮遊剣遣いの厨二病患者に指輪と幻影剣を売ったのは、トモダチに変装してた俺でもある。あの冒険者は将来有望過ぎてな、面白半分で厨二病が加速するオサレウェポンを渡したんだよ。あそこまで将来有望な厨二病は、厨二病が厨二病にならない異世界だと珍しいし、面白い現地民に労力を裂くのは良い暇潰しになる。言ってしまえば、王都での知り合いだ」

 

「となれば、こーほートモダチとして面識があるのは厨二患者だけか?」

 

「ああ、そうだな」

 

 カンスト特有の世界が歪む気配もあり、二人は楽しそうに炎の街を歩き進む。

 

「……あぁ、あれは吸血鬼と狩人か」

 

「こーほー……ふむ。狩人って言うと、ムーンの所のカンスト勢。で、吸血鬼の方はナザリックか?」

 

「だろうな。まぁ見応えはあるが、まだまだ発展途上と言った雰囲気だな。後十年は殺し合い続けて強くなって貰わないと、戦い甲斐はない」

 

「こーほー、そうかぁ?」

 

「雑魚相手にイキってもしょうもないしな。やっぱり自分を殺してくれる相手に感謝しながらじゃないと、殺し合っても幸福にはなれないさ」

 

「そうか。オレは正直、こーほー雑魚相手に無双するの好きだけど。

 相手が何であれこーほー、暴力は良い。所詮この世は、異世界だろうと弱肉こー強食ほー。弱い奴は喰い殺され、強い奴が喰い殺す。生きるか死ぬか、それだけが世界に飽いたこーほーになる。

 あぁ、やはり厨二病台詞を素で言える程、このこーほーイベントは面白いぞ。向こう側の世界だと普通に頭が可哀想なだけだものよ、こーほー」

 

「やっぱあれだな、その仮面――こーほーこーほーうるさいな」

 

「てめぇが渡したんだろうが!? ……こーほー」

 

 念力で悪魔の喉元を捩り潰し、マジックサーベルで両断する。ベイ・ダーキョウに扮するCCOはとても楽し気に雑魚敵を殺戮し、トモダチは悠々と徒手で隣に並んで歩いていた。

 

「……ああ、あれだな」

 

「こーほー」

 

 路地裏を進んだ二人が行き着いたのは、見事にフィナーレを飾る茶番劇の最中な広場だった。仮面を被るスーツ姿の悪魔一匹に、同じ仮面を被るメイドと言う余り関わり合いになりたくない色モノ集団。それに相対しているのは、同じく仮面を被る赤い衣の少女と冒険者姿の美女。

 そして、全身黒甲冑の冒険者―――モモン。

 どうやら良い場面に間に合った様で、二人はとても楽しそうに、しかし気配は漏らさずにゆっくりと近づいて行った。

 

「うーん……あ、もうあの悪魔帰ろうとしてる。許さんよ。折角の御暇な王都でイベント、もっと盛り上げて俺達プレイヤーを―――モモンガさんを、ゲームを楽しませて上げないと」

 

「こーほー……そうだな。しかし、横合から殴り掛るのには良いタイミングこーほーだ」

 

 そうしてアイテム諸々に加えて、霧の指輪で姿を消しながら一気に戦域に忍び入った。ゆったりと話を聞く為にまだ、まだ、まだ殺さないとうずうずしながらスーツの悪魔が語る話に耳を傾けた。雰囲気からとても楽しそうに、悠々と長話をしている悪魔とそのお付きのメイドを視界に入れながら、この異世界でしか愉しめない演劇(茶番劇)を見守っていた。

 

「―――トモダチ、準備はオーケー(こーほー)か?」

 

「こーほー……じゃなくて、オーケーだよ。さぁ、派手に投げるぜ!」

 

 こーほー唸る暗黒卿っぽいフレンドのベイ・ダーキョウ(CCO)トモダチ・ユージンフレンド(ヒャッハーダーク)は小声で爆笑し、手に不死人コスプレプレイヤー必需品のアイテムを握り締めた。いや、強く握り締めると形が崩れるので添える様にし、穢いアイテムなので素手ではなく装備したダークハンドで持ち、ゆっくりと悪魔に標準を定めた。ベイの方は悪魔とメイドらの背後に回り込み、トモダチからの合図を待つだけ。

 これは、ダークレイスをコスプレする者にとってレジェンドだ。

 ヒャッハーダークはこのアイテムを愛し、煽りにも攻略にも対人にも愛用している。それ程までにコスプレするダークレイスにとって大事な消費投擲アイテムだった。装備品のダークハンド越しにアイテムが保有するその禍々しいオーラが彼に伝わり、この異世界ではどんな相手にも絶大な効果を発揮する最強の得物だった。何よりヒャッハーダークは特に自分よりも頭脳が高そうな相手にはまずこのアイテムを使い、命中させることで冷静さを奪い、憤怒する姿を楽しむ生粋のド外道ダークレイスであった。

 

「―――助けに来たよ、モモン君!」

 

「え―――?」

 

 思わず上げたモモンの独り言。そして、トモダチは突如としてモモンガ(モモン)の背後から現れ、その手に持つアイテムを悪魔の顔面目掛けて投擲した。無論のこと悪魔もそれに対応して回避行動を取るも、隠れているベイ・ダーキョウが投擲アイテムを念力で軌道調整し、更に念力で悪魔の動きも妨害していた。

 回避不能―――避けられない。

 ならばと悪魔ヤルダバオト――デミウルゴスは防御態勢を取る。

 直撃すればダメージが入るかもしれないと判断し、無効化アイテムで攻撃を防げるかもしれないが、相手のレベルを測定もせずに無効化アイテムを過信するのは馬鹿がすること。彼は咄嗟に両腕で顔面に迫るアイテムから身を護り、その直撃を許してしまった。

 ……しかし、投擲された物は固形物ではなかった。

 衝突と同時に形を崩して爆散し、ドロリとした液状のモノがヤルダバオトの全身に付着した。してしまったのだ。頭からその穢れたアイテムを被り、彼は自分の身に起きたことをこの瞬間―――理解したくもなかった。

 猛毒効果投擲消費アイテム―――糞団子である。

 王都を震撼させた悪魔の顔面に、ダークレイス達が愛する悪名高き糞団子がスパーキングした。





















 侵入した世界の主に糞団子一つ投げない不死なんて、ダークレイスの風上にも置けない生易しい奴だと思いましたので投げて貰いました。クソ、糞団子を投げる何て本物の糞野郎だぜ。主人公はダークレイスですので、薪の王とか、灰の者とか、そんなまともなダクソ主人公チックなロールプレイは一切考えず、取り敢えず如何に丁寧に命を殺して煽るかに専心します。ついでにブラボキャラなムーンも、狩人ではなく月の魔物ロールプレイをしていた狩人キャラなので、狩りは好きですが、人間でメンシスするのが好きな邪悪です。
 後、ダクソクロスなのに雑魚キャラがちゃんと雑魚してる訳がありません。何でも無いポッと出の雑魚が普通に主人公をあっさり殺す外道難易度異世界になってます。レベルカンスト折れ直奴隷兵とかもいます。同好会の二十一名の異世界人諸々に鬼畜外道な難易度に魔改造しました。なので無双ゲーとは違って一人一人ちゃんと丁寧に殺さないと足元をすくわれ、異世界が殺意の塊となって主人公を丁寧に殺します。マルドロみたいに突然現れた敵が何の躊躇いも無く糞団子を投げて煽り、雑魚敵なのに糞強い難易度になってますので、モモンガさんにはカンスト周回難易度を楽しんで貰いたいです。
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