「うぼぉあー」
「はぅうあー」
「いなばうあー」
「はぁ……終わりかぁ……終わりかぁ……え、終わりなの?」
「終わりだよ」
「マジかよ。終わりかよ。なんで世界樹、枯れてしまうん?」
「やめろよ。あのレトロアニメ映画、自分の過去とタブってトラウマなんだよ。パロった台詞言わないでくれ」
「しかし、終わりですかぁ」
「世界滅亡一日前~……はぁ。ふぅ。へぇあ。明後日から、何して生きようかなぁ……ってか、明日で終わりなんだよなぁ……糞。クソ。クソッタレ。
もう今日は、冒険も対人も、しなくていいかなぁ……」
「もう駄目だぁ……お終いだぁ……」
「ゲーマー人生、十二年。儚いものよのぉ……」
「……ひゃぁ!! もう我慢出来ねぇ!!
どうせ明日で最後だ、この場にいる奴ら全員ワールドアイテムと超位魔法の絶殺コンボで皆殺しにしてやるZE☆!!!
―――三重円環、回転開始。灰燼炎剣、リットゥ解放」
「あいつを止めろぉおお!! 絶望の余り発狂してるぞぉおおお!!!」
「はぁーはっはっはっはっははは!! 俺も我慢出来ねぇぜ!!! 我らが帝国ギルド、グレート・オールド・アウター・インペリアルが誇る旗艦グリ・グオリグよ、皇帝砲発射準備開始。
見給え、諸君――――――あぁ、人がまるでゴミのようだ……」
「うぁああああ!! うちらの馬鹿ギルド長が大佐ごっこしたいが余り、ギルド拠点の浮遊要塞を召喚しやがった!!!
クソ! しかもフレンド解除して、俺らまで殺せるようフレンドリィファイアを解放してやがる! なら遠慮はいらねぇ、やろうぶっ殺してやる!!」
―――皆、声が死んでいた。一部を除いて。
ゲームのキャラクターなので顔は全員が無表情であるが、誰もが脱力した虚無の表情を浮かべているような錯覚を覚えてしまう。
「―――で、モモンガさん。明日、どうします?」
「ギルドにいますよ、ヒャッハーダークさん……―――――あぁ、でも、とても怖いな。何人、来てくれるんだろうか……?」
「三人来れば御の字って考えて、期待しないで待ってた方が良いですよ。ネトゲってそう言うものって言うのが世間一般ですし。社会不適合者にならないと、私達みたいな廃人にはなれないですし。
あ………でも、モモンガさん。この間、出世したって言ってましたね。モモンガさんも、私達コスプレ同好会と一緒にするのは可哀想ですねぇ……ああでも、厨二も出来ない社会とか、生きてても詰まらないかなぁ」
「上司が過労死しましてねぇ……その上も、自殺しましてねぇ。俺は一体、どんな過労自殺するのかなぁ……気が付いたら、係長に昇進したと思ったら、課長代理になっちゃいましたよ。
でかい商談、何故か勢い成功させてしまった所為で、会社全体からプレッシャーがヤバいし、ゲームする時間を無駄に減らされましたし。あぁ、課金量を増やせたのは良かったですけど、その課金も明日の一日しか価値がないんだもんなぁ……はぁぁあああ―――明日が、最後の一日ですか」
救い難い廃人衆―――レトロキャラコスプレ同好会は二十一名全員揃い、更に他の廃人連中も大勢集まり、モモンガもその中に混ざって溜め息を吐き大会に参加してしまっていた。
「うーん……リアル絶望のオーラが出てますよ?」
「あぁ、そりゃ出ますよ。絶望とか、漏れちゃいますよ」
「私もダタ漏れですかねぇ。ははは。あ、そう言えばですが、オーラ系は魔力消費もなくて便利ですよね?」
「まぁ、便利ではありますけど、使い所がそんなにないんじゃないですかね?」
「いやぁ使い所はありますよ。初心者狩りをするのに良く使ってましたし。オーラ戦術で一番面白かったのはあれですかね、異形種狩りが流行った時、人間種専用の低レベの街の入り口でオーラ全開で居座ってやった事でしたかね」
「うわぁ…‥いや、うわぁ……相変わらず最低ですね」
「最低で在る事は、強い事とイコールなんですよ」
内心、モモンガはヒャッハーダークの外法戦法に引いていた。
「それでまぁ上位異形種限定、簡単楽々低レベ人間種虐殺戦法って感じの題名で、掲示板で広めた事もありましたね。そう考えれば、ゲーム初期で起きた同時多発人間種街オーラ虐殺テロ事件の始まりは、完全無欠に私の所為でしたね」
「あれ、ヒャッハーダークさんが始めた人間種狩りだったんですね?」
「うーん。私は異形種も普通にPKしてたから、別に人間種とか拘りはないんですけどね」
最後の二日間も、後数時間もすれば最後の一日になる。冒険も対人もする気になれず、ヒャッハーダークとモモンガは無駄話を重ね続けていた。
そんな二人の背後に一人のプレイヤーが通る。もう一体キャラがいるが、あれは恐らく連れのNPCだろう。そして、その背後の人物―――オーバーロードの異形種プレイヤーは、珍しい物を見たと驚きながらも、二人に声を掛けた。
「あ! ヒャッハーダークさん、久しぶり。そちらのオーバーロードさんは始めましてですよね……ん? あれ、もしかして厨骨キングで有名なモモンガさん?」
「んー……誰ですか? 私と同じオーバーロードみたいですけど?」
明日の事を考えると意気消沈し、考え続けて魂が萎え尽きそうなモモンガが無気力な返事を返した。
「ああ、スルシャーナって言います。で、私の後ろにいるこちらの傭兵NPCが、コギル・デンスタンさんに頼んで造って貰ったヤマノオキナです」
「――――――」
じっと三人を見るヤマノオキナ。髑髏の仮面を被る全身甲冑の剣士であり、無駄に圧力が大きい威容なキャラクターだった。
「「なんか、強そう……」」
ヒャッハーダークは自分の髑髏鎧と似たNPCを見て、この髑髏仮面全身甲冑もデザイン良いなと思った。モモンガも髑髏鎧は良いと自分のスカルフェイスを撫でながら考えた。
「しかし、ヤマノオキナか……山の翁? 元ネタは暗殺教団の頭目か」
「違うよ、ヒャッハーダーク。より正確に言うと、それを元ネタにしたレトロキャラがヤマノオキナですよ」
「へぇ…‥で、それはそれとして、スルシャーナ。今日はどうしたんですか?」
「私も暇なんですよね。明日はギルドの集まりで最後を過ごす予定ですので、今日はログインしてる知り合いに御別れを言い回ってる雰囲気です。
なのでついでに、時間になると拠点でずっと設定通りに素振りモーションで鍛錬雰囲気を出してるオキナを、こうして今は外に出して歩いてるんですよ。後は久しぶりにオキナを使ってボス敵も殺してみたりと、明日消えちゃう傑作NPCでゲームを遊んでる感じでね」
「確かに。うんうん。拠点NPCじゃなくて、折角の傭兵NPCなんですし、最後まで使って上げるのが一番ですよね」
うんうん、とモモンガはスルシャーナの意見に同感した。
「では、私はこれにて。二人とも、これから良い最後を」
「はい。ありがとうございます。貴方も良い最後の日を」
「こちらこそ。良い最後を」
三人同時に微笑みマークを出し、優しい声を出してスルシャーナはヤマノオキナを連れて歩き去って行った。そして、ヒャッハーダークとモモンガは二人揃って溜め息を吐く。最後、溜め息を連続で吐く。
……そんな中、綺麗な音色が周りに響き渡り始めた。
余りにも悲しい音色で、ゲームのBGMだと分かっているのに思わず涙腺が緩みそうになる音程。モモンガは緩やかな曲を聞き酔い、また静かに溜め息を吐き出し始めた。
「―――……あぁ、
いやぁ、良い音です。森でノーデス連続PK記録中、アチャコさんの弦弓で頸を吹っ飛ばされたのを思い出してしまいました。
はは。なんちゃってスケルトン・デュラハンにされましたよ。まぁ、その後は殺したり殺されたりして、何だかんだでフレンドになりましたけど」
「そんな事があったんですか」
「ええ。アチャコさんの檻型コンボ狙撃、魔法使いを簡単に封殺するんで印象に残るんですよね。魔法使いである時点で、彼女と遠距離戦をするのは馬鹿らしいのに、接近したところで別にそのまま強いです。一発でも掠れば魔法職は詠唱キャンセルですし、そのままノックバック状態から連続無限コンボでヒットされますし。
いやぁ……そうですね。何と言えば良いのでしょうか。あれですね、リアル処刑BGMって雰囲気でしょうか?」
「彼女、悪い女ですから。モモンガさんでも手を焼くでしょうね。アチャコの戦法は性質が悪いですし……いや、まぁ、私達同好会の奴らは全員性質悪いですけど。
特に彼女は吟遊詩人の弦弓アーチャーですから。音矢を射る度に
「それは仕方がないですよ。個人で完結してるソロPKなんですから、一人でカンストパーティを皆殺しにする為の決定打は必須ですもの」
「―――――お! モモンガさんに、これはこれはヒャッハーダークさん! いやいや、お久しぶりですね」
最後まで無駄話をしようと思い、歩きながら会話を続けていたモモンガとヒャッハーダークであったが、そこにとある異形種プレイヤーが声を掛けた。
「おひさーです。ウッシーさん」
「あー……ウッシー・ブルカウさんじゃないですか。随分とまぁ、久しぶりです。冒涜者の隠しクエスト以来ですかね?」
長身のモモンガが見上げる程の巨躯。しかし、その牛頭人はとても人懐っこい声を出し、骸骨男に頭を下げた。
「モモンガさんとはそうですね。いやー、あの時は本当にありがとうございましたよ。モモンガさんとヒャッハーダークさんに私のクエストを手伝って頂いたおかげで、牛頭人の新型最上位種族クラスになれましたからね。
……全く、過疎化が進行した当時は思いもしませんでした。
まさか私が愛用するこの牛さん種族が、失楽園でアップデートされるなんて。あれをクリアしないままゲームが終わっていたなんて考えると、こんな気分で最後を迎えられずに未練タラタラでした。ハハハハ!」
言葉通り、ウッシーは牛頭人だったプレイヤー。しかし、アップデート・深淵の王国によって追加されたボス、タウロスデーモンによって新種のミノタウロスタイプが登場した。とは言え、そのままプレイヤーに種族が適応されるかは話は別。それが失楽園のダウンロードにより、深淵の王国と血の獣界がアップデートされ、ミノタウロスの最上位種族クラスが解禁された過去があった。
新たなる迷宮ダンジョン攻略を、ヒャッハーダークとモモンガが手伝った訳である。
本来ならばヒャッハーダークはフィールドで無差別PKする予定であったが、ギルドが過疎化してから久方ぶりにゲーム攻略にヤル気を出したモモンガが単独攻略を進めている時に偶然出会い、PK活動を止め、ダンジョンで困っていたウッシーを助ける事になった。
「じゃ、私はこれにて! しかし、無敵最強の不死身マイボディも明日で最後か、ハハハハハ!!」
笑いながら、ウッシー・ブルカウは二人の前から通り過ぎて行った。
「おやぁまぁ、お二人さん。今日は何時にも増して無気力ですなぁ。でも、見た目髑髏鎧と骸骨人間ですから、それはそれで相応しいRPなのかもしれませんねぇ」
しかし直ぐ様、そんな二人の背後より声を掛けたのは女性キャラだった。
「あぁ、イチコさんか。ふむ。流石の貴女でも、今日はかなり雰囲気に酔っていますね?」
「いやね、ヒャッハーさん。ゲームはゲーム、現実じゃないなんて割り切れる程、ドライな女じゃありませんよ。貴方と同じ課金廃人のゲーマーであるのやから、それはもうメンヘラ地雷みたいに自分のキャラに執着しているんですから」
簡素な旅和服に、両目を包帯でグルリと巻く和風美人型キャラクター。手に持つ武器は仕込み刀の杖一本のシンプルさ。名前は狂宙イチコ。見た目は完全に時代劇に出て来そうな人間種だが、
よって本来の姿は、禍々しい義眼を両目に嵌めこんだ卵顔の埴輪である。とは言え、個人的に一番気に入っている姿が今のコスプレ姿であり、何時も通り包帯を巻いてワールドアイテムを隠している訳であった。
「最近のイチコさんは、その姿以外にはなりませんね?」
レベル5のドッペルゲンガーなので、イチコは本来の埴輪姿以外に五つの姿になれる。しかし、義眼のワールドアイテムがしっかりアバターに反映しているのは、自分が外見を弄ったドッペルゲンガーと和風美人の2キャラのみ。
「そーやねー……まぁ、本当はドッペルゲンガーなのですが、個人的にはこの姿が一番のプレイスタイルだから。それにドッペルゲンガーとこの姿以外ですと、アイテムの魔眼も一緒に外見が変わって、両目の見た目も普通のものに変わってしまうもの。
……義眼の能力を使うのに見た目は関係ないんやけど、やっぱRP勢としてワールドアイテムは格好良く飾りたいもの。こう勿体ぶって包帯を外し、ワールドアイテムが出て来るのってロマン全開で楽しいんや」
「良く言いますね。他にも見た目が良いキャラクターになりたいからと、ドッペルゲンガーの種族クラスを遊びで5レベルも消費しておきながら。
素直に、沢山コスプレしたいからって白状した方が可愛いですよ?」
「斬りますよ、ヒャッハーダーク。それとですね、5レベドッペルゲンガーの能力を使えばクラスだけの模倣も出来ますので、色々と便利な部分も多いのですよ。事実上クラスレベルは劣化するとは言え、基礎職業なら物真似簡単ですし、外見だけなら全ての種族クラスに変身可能なんやで。
後はPKしたい相手がパーティの時は、こっそり一人殺して、その相手に化けて近づいてパーティを皆殺しにしたりと、色々と御遊び要素もあるんですから」
嘗てナザリックに侵攻された際、メンバーを一番多く殺したのがイチコである。その事実に対し、モモンガは嫌な感情を抱いておらず、むしろ同じPKとして高いプレイヤースキルが羨ましいと思った程。そしてイチコが言った通り、その時も乱戦に紛れてナザリックのメンバーにひっそり変身し、一時的に透明化した仕込み刀の杖による不意打ち抜刀で首を撥ねまくった弩外道だった。
「うーん。流石、エフェクトキラーのイチコさん。性格は悪くないのに考え方が邪悪ですねぇ……」
モモンガは、放った魔法全てを対魔法カウンタースキルで斬撃防御された悪夢を思い出した。結局、魔法職なのに接近戦で高速魔法戦闘をする他なく、接近魔法も交えた泥沼の殺し合いになるしかなかった。
「モモンガさんもヒャッハーダークに影響されて、そうやってウチを悪く言うようなりましたね」
「いやぁ、はははは」
「ま、良いんやけどね……」
独特なイチコの口調。敬語で基本は話してはいるものの、関西系の方言が偶に混ざっていた。そう言うRPとは関係ない個性的な部分が、地味にモモンガは魅力的に感じていた。
「……で、ヒャッハー。先程までCCOさんとゲノムンムーさん、それとセイキマツさんとササキングと話してたんですけど」
「はい」
「聞いた話、最初の荒唐無稽な目的だったヤツ。やっと全員が達成出来ましたよ」
「おぉ! 素晴しいですね。これで、
「……む。出来ればその目的、私にも教えて欲しいのですが?」
感慨深く頷くヒャッハーダークと狂宙イチコを疑問に思い、モモンガは思った事をそのまま言葉にしてしまった。
「ああ。モモンガさんはもうとっくに達成してる事ですし、どうでも良いことなんですけど。私達二十一名全員が、何時かワールドアイテムを一個づつ持てるようにしようと計画していたんですよ。
それが漸く、明日サービス終了と言う段階になって達成出来まして。ワールドアイテムを譲ってもらったり、人が消えた過疎ギルドから奪い取ったり……まぁ、色々として。今までワールドアイテム持ちじゃなかった会員が、やっと手に入って同好会結成時の最終目的が遂に終わってしまったって事です」
「ははぁ、成る程。今の末期でしたら、ワールド級も手に入り易いかもしれませんが。しかし、全盛期以前からそんな事を考えて個人活動をしていたとは、相変わらず頭が可笑しいですね。あ、これ、同じ廃人としての褒め言葉ですから」
「勿論、頭が可笑しくならないとここまでゲーム一つを愉しめませんし」
「……―――そうですか。いや、そうですね」
そして、モモンガは時間を確認する。ついに夜中の24時を過ぎ去り、今この瞬間、ユグドラシルが最後の一日を迎えた事を確認した。
「はぁ……最終日か」
「あぁ、ついにこの日が来てしまいましたか」
「そうやねぇ……」
深く溜め息を吐くモモンガの言葉に、ヒャッハーダークとイチコも溜め息を吐いて頷いた。そして、モモンガは今日お別れの挨拶を済ませた知人の顔を思い出し、この溜め息を吐き大会に集まったプレイヤーを思い返していた。レキコ同好会の上位ソロPK十人衆以外とも、モモンガは何だかんだでイベントを経てフレンド登録をする程度には仲良くなった。
ダークフレイムマスターな厨二病髑髏鎧のヒャッハーダーク。
頭が狂ってるレベルで対人特化啓蒙狩人なムーン・プレゼンス。
PKの騙し合い合戦最強な仮面巨人ヌードル。
斬り合いがしたいだけの擬似二重人格な狂宙イチコ。
世界中のゴブリンを愛でたくてよく暴走する変態魔王のハーロイスメイ。
敵対ギルドに潜入して爆弾設置のテロ行為をしたくて堪らないエキタイオロチ。
ロボットと銃火器で誰も彼も蜂の巣にしたいだけだったトフェッサンmkX。
明らかに古典漫画の狂戦士を意識しているゲハルノート。
外道PKを自称しておきながら姫プレイヤーも楽しむメリー・トラフィックライト。
言葉巧みにギルドとギルドを潰し合いをさせるのが大好きなエルトダウン・シャーナ。
辻斬りの剣術狂いササキング・コッジー。
人を纏めて焼いて斬り殺す事を一番の娯楽にしているオルタナティブJD。
暗黒厨の魔女っ子戦士な
誰もが一目で犯人と分かる真っ黒姿のハンニンシルエット。
仲良くなれば直ぐにNPCを作ってくれるチョロマッドなコギル・デンスタン。
楽しそうに歌と演奏をしながら周囲を皆殺しにする
リアル武芸家で人を突き殺すのが一番好きな人狼槍使いのエンペラコイル。
問答無用な射殺キルが大好きな銃使い
弱肉強食系ギルド潰し人斬り男子であるCCO間古徒。
敵も味方も勢いのまま轢殺する傍迷惑なスケルトンバイク乗りのセイキマツ・ライダー。
人を蜘蛛の糸で作った罠に嵌めるのが三度の飯より好きなゲノムンムー。
……さて、と心の中で後悔と未練を区切り取る。今日を以って、この二十一人と別れを告げる。
過疎化してから深く関わる様になり、仲良くなったレトロキャラコスプレ同好会の感謝をし、別れの意義を完結させた。この人達と出会えて良かったと思えるよう感情を整理し、明日会えるかもしれない自分以外四十名のアインズ・ウール・ゴウンの仲間たちを一人一人心の中で確認した。
「では、ヒャッハーダークさんに狂宙イチコさん。お二人とも、お元気で。さようなら」
「ええ。では、今までありがとうございました。モモンガさん」
「うん。貴方との冒険は楽しかったですえ、モモンガさん」
「…………ッ――――――――」
そのフレンドからの言葉を聞き、まだ会話をしていたい誘惑を感じながらも、彼は魔法を使って自分の拠点に転移する。結局のところ、自分と同じ廃人プレイヤーはこの二十一名と、この溜め息を吐き大会に集まったどうしようもない馬鹿で阿呆なゲーマー廃人共だけなのかもしれない。しかし、やはり仲間と思えるのは、あのギルドで時間が過ぎるのを楽しんだ皆なのだと思い、自分がそう思い込んでしまっている本当の“廃人”なのだと自覚してしまい、最後に微笑みマークを表示しながら静かに消えた。
―――それが、ヒャッハーダークと狂宙イチコが見たユグドラシル最後のモモンガだった。
とのことで、原作開始前日の話でした。
設定改変としましては、とある法国に600年間休まず一日一万回感謝と祈りのアズライールを行う