続きは書かないと思う←ちゃんとした設定練ってない…
オリキャラが出ます。が、余り特徴は出していないのでどうぞお好きなようにご想像ください。
もしいい案が出たら、続けます←
「ごきげんよう。」
またお目にかかれたましたね、虎の少年。
少年は、今目の前にいる人物が誰なのか瞬時に思い出した。白虎を宿す少年でさえも慄く、薄ら笑いにも似た微笑みを讃えながら、街の明かりに照らされ、ヨコハマの夜の小径に浮かびあがるようにして立っていた。一見優しそうな微笑みの裏にどんな感情が潜んでいるのか、途端に少年は悪寒に襲われる。浮世離れした雰囲気を纏ったこの少女は、一体これまでどれほどの人間を魅入らせてきたのだろう。
「ここで会えるとは。まさに奇遇ですね。」
少女は何気取らぬ口調で話しかけてきた。
その闇をも吸い込むような瞳に、少年との逢瀬を心の底から喜んでいるかのような、熱のこもった愉悦の色が浮かぶ。まるで獲物を視界に収めた猛獣が、それが目の前で怯えるのを舌舐りしながら鋭い爪を露見させた手で捕らえようとしているかのような、捕食者の目を細めてくつくつと笑っている。少しづつも、じりじりと迫りくるその人物に、少年は固唾を飲んだ。その得体の知れぬ恐怖に押され、身を動かすこともままならない。これでは何の手立てもなくこの人物に捕われてしまう。鼓動が次第に早打つ。少年は息をすることさえ忘れていた。
「久々にこの国に立ち寄ったので、少し息抜きにこの横浜の夜景を見ていたら、まさかこんな珍しいものに出会えるなんて。遠出した甲斐がありましたよ。」
少女が一歩ずつ近づいてくる。歩くたびにかつんと鳴るヒールの音だけが夜の空に反響する。彼女の存在は非現実的だ。例え、この非合法組織や数々の凶悪犯罪者が跋扈する、この横浜だとしても。
少女が歩みを止めた。
少年は怯えながらもこれから起こることを予想する。表情がはっきりと見えるくらいの近距離に対し、少年は咄嗟に身構え予想される攻撃に対して警戒した。安易に気を使ってはならない相手だ。僅かにでも油断すれば、次の瞬間に自分の命がまだあるかもわからない。少年は覚悟した。
しかし、その予想はいとも容易く外れる。
「そんなに警戒しなくとも、私には貴方に危害を与えるつもりは一切ありません。
こんなに素敵な夜の静寂をわざわざ破るようなことは、私とて、したくはありませんからね。」
そう言う少女の目は、少年へと向けていた意識が逸れたのか、この小径から見える横浜の夜景を眺めていた。真意の分からない相手だが、ここはまず状況を見ようと思った少年は警戒を軽くする。湾の波の音だけが耳に入る、静寂のベールが二人の居る空間を包んだ。
少女がふと目を此方へと向ける。
その一瞬。
それを少年の眼は見逃さなかった。
少女が、
「な、なんなんだ…一体…お前は一体何なんだ!」
少女の得体の知れぬ不気味な雰囲気に耐えきれなくなった少年は、
一歩後ずさって対峙する。
何かがおかしい。それが何かは、少年にも分からなかった。朧気にも捉えたその表情は、果たしてどういった意味を持っていたのか。
だが、それでも目の前に立っているのは己の敵だと言うことだけは明確に覚えていた。
少年の怯えた様を見て、少女は分からないとでも言うようにその首を傾げた。
「何を言ってるんです?私は貴方に危害を加えないと言いました。ただそれだけの話ではありませんか。」
徐々に、少女の企みが解ってきた少年は、その言葉の裏に隠された本性を読み取った。余りにもその言葉は少女の醸し出す雰囲気に合っていなかったからか、それが本心ではなく、ただの建前でしかないのだということは少年にも理解出来た。そして、少女がこれから、このヨコハマで何を起こすかも、少年にはおおよそ予測できた。いずれにせよ、この者はヨコハマを混乱の渦に落とそうと、何かを起こそうをしているに違いない。
ならばその者を、ここで仕留めるのみ。
「お前の、本当の目的を言え。」
少年が覚悟を決め、拳を握りしめながら、
険しい声色で言った。
すると、何が可笑しかったのか少女は突然声を上げて笑い始めた。あまりの唐突さに少年は怖気付く。
少女の目線が、ヨコハマの夜景から少年へと移る。
その眼は、笑ってはいなかった。
「目的?目的ですか…。勿論この横浜を見に来ただけですよ。…それとも、貴方がたは何かお気付きのようで?」
態とらしく言い放った言葉に少年は驚きの色を浮かべたが、すぐに顔色を変え、今度は目の前の人物へ鋭い目を向けた。
「矢っ張り、お前は何か企んでるのか?
何をしに横浜へ来た!言え!」
少女はその虚ろな眼を少年へと向ける。
そこには何の感情も、何の色も、映ってはいなかった。
「何か、ですか…この国の方々には大分お世話に授かりましたから、それに報いたいと思っているというだけです。」
その目を細めて、少女は応えた。感情のこもらないそれは、まるで、硝子をそのまま嵌め込んだかのような無機質さを感じさせる。
「違うッ、お前はこの街を地獄に変えるつもりだ…」
顔を俯いて拳を握りしめ、唸るような声で少女の応えに反駁した少年は、淡い光に包まれながら虎の尾を現し、両手を虎の鉤爪に変化させた。少年を包み込む光は次第に明るさを増して膨張していき、眩い輝きを放ちながらその姿を現した。
静寂を取り戻した夜の帷に、少女は精神を集中させる。
目の前に現れたその人物に、はっと目を見開いた。
(これが…「月下獸」…)
月灯りに照らされ、白く気高き獣の姿を象る少年の姿が夜闇に浮かび上がる。
海風に揺られ、白髪が空に舞う。神聖な獣をその身に宿す少年は、この世のものでありながらも、俗世とはかけ離れた存在だということを知らせているようで。
その姿は、まさに神の使いである神獣そのものであった。
少女はそのおそろしく美しい白虎を見、息を飲んだ。
真逆、こんなにもうつくしきものが、この世に存在していたとは。
虎の銀色の毛並みが潮風にたなびく姿に、神々しさを一層深く感じさせられた。
意を決した少年の眼に、少女の姿が映る。
何としてでも、この街を、横浜の皆を守らなくてはならない。
虎が、白銀の月に吠えた。
少年の、雄叫びにも似た声が、闇夜に木霊する。
少年は眼を凝らし、少女の姿を目に捉えた。
「…ふっ…ふふふ」
少女は、笑っていた。
笑って、笑って、
その口を歪ませて、少年を嘲笑った。
少女には、何もかもが可笑しくて堪らなかった。
少年の正義感も、その人ならざる姿も、
少年の虎の目に臆病な人間の心が映し出されているのが、自身にははっきりと見えているのも
今は異能で虎の姿を借りてはいるが、所詮はただの人間なのだ。
「ふふっ。貴方って本当に飽きさせませんね。 」
少女が笑うのを止めた。が、相変わらずその薄ら笑いを貼り付けたままだ。
「いいでしょう。私の本当の目的は、貴方の言うとおりです。ですが、それは同時に間違いでもあるのです。」
「どういうことだ…!」
「それはですね、
私は貴方達を地獄へ送る悪魔ではない。
私は__貴方達を
死への恐怖、
生への絶望、
全ての苦しみや悲しみ、
この世界の不条理から救い上げる、
いわば、あなた達を救う救世主なのですよ。」
「巫山戯るな!!!」
少年は一歩歩みを進め、怒りに任せてその言葉を投げやった。
「お前達はその勝手な理論で一体どれだけの人間を殺してきた!どれほどの人間を不幸にしてきた!お前達のせいで地獄を味わった人間が大勢いるというのに、それをお前は救いだというのか!!」
そう言って啖呵をきった少年は、憤然として少女を見据える。
少年はその全てを否定した。少年にとって、それは単なる人殺しの、自身の罪を正当化する唯の言い訳に過ぎなかった。
少女がそれに応えるように、重い声色で言い放つ。
「ええ。そのとおりです。
全ての罪は、全ての命の救済によって贖われる。
現に今だって、貴方達は生を喰らい、生を受け継いでこの地に立っているのですから。
そうすることで、貴方達は今も人並みの幸せを享受しているのですよ。」
人を殺すのに理由などいらない。人を殺せば、かえって人間全体のためになるのだから、
私は人を救うために、殺人も厭わない。
それは少年には到底理解し得ない、突飛な理論だった。
少年は生きることの本質を知っていた。同時に、死が人にとって何を意味するのかも。
「お前がこの横浜に手を出す前に、探偵社は必ずお前を倒す!この横浜を、お前のような人でなしに、地獄へ変えられてしまう前に!」
少女は相も変わらずその表面に貼り付けたような笑みを見せている。
腹の底が見えぬ、不気味なやつだと、少年は改めてそう感じた。
「おやおや、本当に、泣ける話ですね。この地を仲間と共に守り通そうとするなんて。 随分といいお仲間をお持ちのようで。
しかし、その絆は、貴方をこの地へ縛り付ける枷となっているのです。」
「何…!」
「もっと広い視野を持ってください。」
少女は溜息をつき、そして語り始めた。
「貴方の生は特別です。
その生にあふれた異能を利用しようと、 今まで幾人もの人間が貴方を狙っていたかはもうご存知の通りでしょう。
人を繋ぎ止めるために必要不可欠なのは、 貴方とそのお仲間さん達との間にあるような人と人との絆ですよ。それが貴方を人でもなけれ
ば、獣でもない、可笑しな状態にさせている。
貴方はきっと、知らないのでしょう。
幼い頃から孤児院で人に疎まれ、人に蔑まれ、獣とも人とも言い難いその醜い身体を引きずりながら、寂しく孤独な人生を歩んできたのですから。人というのはですね、とても意地汚く、目に見えない愛というものに縋り、その生を己の為に欲すのではなく、他人や、この世界そのものへと捧げることを美徳だと考える、そんな生き物なのです。
他の動物とは違うと言いつつ、最もこの世で生へ執着し、己を唯一の存在だと信じてやまない、実に憎たらしく尚且つこの世で一番生に疎い存在なのですよ。
貴方には判るでしょうか。私の言いたいことが。」
「 お前は何を言ってるんだ…」
「その様子を見ると、今までこういったことを考えたことは一切ないようですね。」
少女は酷く落胆した。
その獣は気高くも、所詮は人の手に落ちた「畜生」でしかない。
_よくもまあ、こんなに飼い慣らされてしまっているとは。他人を疑うことを知らないどころか、
人を信頼し、自己犠牲に駆られるというのですか。
___愚かだ。実に愚かだ。この者は正に獣並の生への執着はあれども、その美しき獣は、決してあの者達に易々と見せて良いものではない。
彼を、「あるべき姿」に導びかねば。
少女が柔らかな、それでいて悲しげな面持ちで問いかける。
「知っていますか?
この世の仕組みを。
"貴方の本当の姿"を。」
不意に、声が聞こえた気がした。
" おいで おいで "
「ッ…!」
少年が咄嗟に耳を塞ぐ。それに耳を傾けてはいけないと本能的に判断したのだろう。
少年は何故だかそれを知ってみたいという気持ちになっていた。何かが可笑しいというのに、
_身体が、言うことを聞いてくれない。
_声が、出せない。
_手が、動かない。
____心が、少女の話に、惹きつけられて。
___少女はそっと、その呪いにも等しい言葉を口にした。
「私が、
この憎悪と絶望に満ちた不完全な世界から、
___貴方を救ってみせましょう。」
その悪魔とも天使ともつかない言葉は、
まるで少年を祝福するかのように
静寂のベールに包まれた夜の横浜に響き渡り、
闇に溶けて、消えた。
ここまで書いて力尽きました。情けないとか言わないでくださいまだ初心者なんですから…((
本当は他のサイトにあげる予定でしたが、余りにも字数が多すぎてオーバーしてしまいまして…
ハーメルン凄い…15万字も挙げられるんですね。重たくなりそう。←
作者は日本語が不得意な為、文法上おかしいところが出るかも知れませんが、どうか一声ご指摘して頂けると嬉しいです。飛び跳ねて喜びます。←
雰囲気を味わう程度のものでしたが…次はもっとちゃんとしたのを書きたいです。
もしここまで読んでいただけたなら本当に感謝申し上げます。こんな駄作でも見てくださる方がいるなんて…神ですか。神ですね。
さて、そろそろ文字数がですね…
続きを書くかどうかはまた後ほど決めようと思います。まだ細かい設定を練っていないので…
どうにかして捻り出そうと思います。((
最後に、ここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
ではこれにて。