遊戯王ZEXAL 風の戦士たち   作:ナタタク

102 / 112
侑斗
No.00ガスタの魔剣士ユウ
CNo.00ガスタの魔剣士ユウ・暴風
WNo.00ガスタの魔剣士ユウ・清風
No.49秘鳥フォーチュンチュン
No.50ブラック・コーン号
No.64古狸三太夫
No.74マジカル・クラウン―ミッシング・ソード
No.69 紋章神コート・オブ・アームズ
CNo.69紋章死神カオス・オブ・アームズ


No.7ラッキー・ストライプ
No.17リバイス・ドラゴン
No.32海咬龍シャーク・ドレイク
No.55竜騎兵グレン
CNo.55灼熱竜騎兵グレン
CNo.55竜闘士グレン
No.57奮迅竜トレスラグーン
No.82ハートランドラコ
No.85クレイジー・ボックス
No.90ヒート・ガストラフェテス
No.91サンダー・スパーク・ドラゴン

竜司
No.10白騎士イルミネーター
No.11ビッグ・アイ
No.18ジェムナイト・アゲート
No.52ダイヤモンド・クラブ・キング

瑠那
No.16色の支配者ショック・ルーラー
No.20蟻岩土ブリリアント
No.23セイクリッド・ルナマリア
CNo.23セイクリッド・アーク
No.30破滅のアシッド・ゴーレム
No.87雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ


第91話 獅子の拳 真実の過去

「…」

遊馬は黙ったままじっと飛行船が進む先を見ている。

託されたカードをデッキに組み込んでからずっとその調子だ。

小鳥が声をかけても、一向に言葉が返ることも、視線が彼女に向けられることもない。

「遊馬…」

「今はそっとしとこうよ、小鳥ちゃん…」

「ウィンダ…でも…」

「大丈夫だよ、遊馬君なら…」

「…ちっ、またはずれだぜ。…??」

コイントスで運試しをしていた蓮が何かを感じている。

まがまがしい闘志、いやこれはさっきととらえてもいいのかもしれない。

「侑斗!!遊馬!!気をつけろ!!さっそく追手だぜ!!」

「何!?」

「どこどこ??どこから!?」

「後ろからだポン!!」

「げっ!?ぬいぐるみがしゃべった!!?」

突然、リュックサックから飛び出したポン太が背後から迫ってくる赤い光を指さす。

赤い光が飛行船の前に到達すると、《No.105BK彗星のカエストス》が現れる。

「まさか…アリト!?」

「ちっくしょお!!よりによってこいつかよ!?」

《No.105BK彗星のカエストス》は飛行船に拳を叩き込んだ。

飛行船は大きく揺れ、船体が60度以上傾く。

「うわあああ!!」

侑斗達は飛行船から落下していく。

「侑斗!!遊馬!!!」

自らの力で、なんとか浮遊に成功した蓮とアストラル。

そして、アストラルは遊馬達を追いかけはじめる。

「蓮!君は先に行くんだ!!」

「はあ!?何言ってんだよアストラル!!お前らを置いて…」

「私たちも必ず追いつく。君なら、ここからでもバリアン世界へ行けるはずだ!!!」

アストラルの姿が遠くなっていき、ついに見えなくなった。

「ちっ…。こういう時はこのまま一緒に落ちりゃあ良かったか?」

頭をかきながら、蓮の目線がバリアン世界の方向に向けられる。

「アリトの姿も見えねえし…。侑斗、遊馬。早く追いつけよ…」

無事を祈りながら、蓮は光となってバリアン世界へ向かった。

(たしか、《ライオンハート》は遊馬が持っていたな。そいつならアリトの…)

あの時、蓮は《No.90ヒート・ガストラフェテス》のおかげで呪いから解放された。

なら、アリトも遺跡のナンバーズの力を借りれば呪いから解放されるかもしれない。

そのことを伝えられなかったことを悔やむも、今はそうする時間すら与えられない。

 

「ううん…?」

「気が付いたか、侑斗」

「ユウ!!やっと起きたね…」

「ポン!!」

「アストラル…ウィンダ…ポン太君…?」

侑斗の目に映るのは3人の顔と、夕焼けの空だ。

起き上がって、周囲を見渡す。

ボロボロになっているハイウェイだけが残る砂漠がどこまでも広がっている。

「アストラル…ここは?」

「おそらく…異世界に狭間…」

「侑斗!!」

「侑斗さん!!」

遊馬と小鳥が駆け寄ってくる。

「こんな空間があったなんて…」

「なあ、アストラル。早くここを脱出して飛行船に…!!」

急に侑斗達の目の前に赤い光と共にアリトが現れる。

そのアリトの表情は前に見たさわやかなものではなく、憎悪一色だった。

「アリト君…」

風の目が侑斗に伝えている。

何か邪悪な力がアリトの精神を汚染している。

真っ黒でくさいヘドロのようなものが今のアリトを形成している。

「アリト!!」

「俺を放っておいて、どこへ行く気だ?遊馬…。俺との決着はまだついてねえぞ!!」

「お前とは闘いたくねえ!!」

「いつからお前は仲間の仇も打てねえ腑抜けになった?あのデカブツもあれじゃあうかばれないぜ、遊馬」

明らかにバカにした表情と言動。

彼の言うデカブツとは、おそらくゴーシュのことだろう。

「なかなか熱い奴だったが、今の俺の敵じゃねえ」

「よくもゴーシュを…あいつは子供たちの希望だったんだぞ!!」

「希望?簡単につぶれちまったぜ。俺の《カエストス》がよお!!」

「アリト!!お前、一体どうしちまったんだよ!?」

「遊馬君。邪悪な何かがアリト君の人格を変化させてる…」

「何!?」

「ち…!!見せんなよ…そんな気持ち悪い眼を俺に見せるなーーー!!」

再び《No.105BK彗星のカエストス》が実体化し、侑斗を攻撃しようとする。

「させないポン!!」

すると、ポン太がぬいぐるみから飛び出し、風の目の力を受け取って《No.64古狸三太夫》に変身した。

そして、ナギナタで攻撃を受け止める。

「え…え…!?一体どうなってるの!?」

ポン太について知らない小鳥にはちんぷんかんぷんな出来事だ。

「アリト君…。いや、彼の中にいる存在。アリト君を元の人格に戻せ!!」

「何寝ぼけたこと言ってんだよ?俺は俺だ!!」

「いいや、君もかつて、ゴーシュと同じだった。多くの子供たちに希望を与えた存在だったはずだ」

「あの遺跡のことを言っているのか…?」

ローマで子供たちに夢を与え続けた薄幸の拳闘士。

アリトとうり二つの容姿で、同じ名前の男。

「そうだ…君が人間として生きていた本当の記憶」

なぜか、アリトの耳に子供たちが彼を応援する声が聞こえる。

その1つ1つの声がなぜか懐かしく感じられる。

「…」

「そうだ、君が与えていた希望はゴーシュと同じだったはず」

「俺が…希望を…」

やはり、自分はもともと人間だったのか?

ではなぜ自分は今バリアンなのか?

疑問が次々と浮かび上がるアリトの脳裏に重く、まがまがしい声が響く。

(だませれるな…お前にあるのは呪いの過去だ!!思い出せ!!殺された憎しみを!!)

その声が斬首されたときに痛みと死ぬ寸前に抱いた憎悪を思い出させる。

「そうだ!!あの忌まわしい記憶があったから、俺はバリアンとして生まれ変わった!!これが俺の本当の姿だ!!」

アリトの姿がバリアンの物に変化する。

「さあ…デュエルだ、遊馬」

「やめろアリト!!俺はお前とデュエルをするつもりはない!!」

「まだそんなこと言ってやがるのか!?なら、これならどうだ!!」

「きゃーーーー!!」

アリトの力がイバラを生み出し、小鳥を拘束する。

「小鳥!!」

「小鳥ちゃん!!今助けるよ!」

「オイラもだポン!!」

実体化させた魔剣とポン太の薙刀がイバラを切ろうとしたが、傷一つ与えることができず、逆に2人の刃が折れてしまう。

「無駄だぜ!こいつはデュエルが終わるまでなくならねえ!!これで少しはやる気になったかい?」

「アリト…」

「遊馬、デュエルだ!」

「遊馬君…。多分、今のアリト君には何も伝わらないよ。ユウが言ったとおり、アリト君を変えてしまった何かを取り払わない限り…」

「ウィンダ…」

アリトが変わってしまった原因。

今の状況では、デュエルをしながらそれを見つけるしかない。

「なら、僕も…!」

「邪魔だ!!俺は遊馬をぶったおしてえだけだ!!おとなしく見てやがれ!!」

装着した侑斗のD・パッドが突然砕け散る。

「く…!!」

「そんな、ユウのD・パッドが…」

「アリト…行くぜ!!!」

遊馬とアリトのデュエルの準備が整う。

「「デュエル!!」」

 

遊馬

手札5

ライフ4000

 

アリト

手札5

ライフ4000

 

「アリト…先攻はもらう!ドロー!!」

 

遊馬

手札5→6

 

「俺は《ガガガマジシャン》を召喚!!」

 

ガガガマジシャン レベル4 攻撃1500

 

「《ガガガマジシャン》の効果発動!このカードのレベルはエンドフェイズまで1から8のいずれかに変更できる!俺は《ガガガマジシャン》のレベルを5に変更!そして、このカードは俺の場にこれ以外のガガガと名のつくモンスターがいる時、手札から特殊召喚できる!《ガガガキッド》を特殊召喚!」

現れた瞬間、《ガガガキッド》はアイスキャンディーをまるかじりし、頭痛で自分のレベルを変更する。

「この方法で特殊召喚に成功した時、《ガガガキッド》のレベルは俺の場のガガガと名のつくモンスター1体を同じにすることができる!!」

 

ガガガキッド レベル2→5 攻撃800

ガガガマジシャン レベル4→5 攻撃1500

 

「行くぜアリト!!俺はレベル5の《ガガガマジシャン》と《ガガガキッド》でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!現れろ、《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》!!」

左胸に自身の番号が刻まれている、オレンジの長髪で赤い装甲の忍者が現れる。

 

No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー ランク5 攻撃2400

 

「あれ?いつもなら《希望皇ホープ》を召喚するのに、なんでわざわざ《クリムゾン・シャドー》を出したの?」

「《クリムゾン・シャドー》は1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、忍者と名のつくモンスターすべてに破壊耐性をつけることができるんだ」

「あーーー!!そっか!《カエストス》対策のために《クリムゾン・シャドー》を出したんだ!」

「それに、遊馬君の狙いはほかにもある…」

「そして俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!!」

 

遊馬

手札6→2

ライフ4000

場 No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー(オーバーレイユニット2) ランク5 攻撃2400

  伏せカード2

 

アリト

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「さっそくナンバーズの登場か。だが、今日の俺は一味違うぜ!!」

アリトから邪悪な波動がはなたれ、アストラルがそれを感じる。

それを感じたのは彼だけではなかった。

「なんだ…?この感じは…?」

「遊馬。君も感じるのか?」

「ああ。何か、魔物でもとりついているような…」

「魔物…」

アストラルにはその波動の感触に覚えがあったものの、確証がないためここで話すのをやめた。

「行くぜ!!呪われし過去が俺の拳を漆黒に染める!!俺の拳が切り開くのは悲しみの無間地獄!!俺のターン!!」

アリトが漆黒のオーラに包まれ、デッキトップにカードが創造される。

「バリアンズ・カオス・ドロー!!!」

 

アリト

手札5→6

 

「俺は通常ドローしたこのカードを公開する!!」

アリトが公開するカードはやはり、《RUM-七皇の剣》だ。

「こいつがお前らをぶっ潰すカードだ!!」

「なんだ…!?このカードは??」

「こいつはエクストラデッキ・墓地のオーバーハンドレッドナンバーズ1体をカオス化する!!」

「何!?」

「まさか、このカードのせいでトーマスさん達が…」

侑斗と遊馬にとって、トーマス達はたとえナンバーズを使ったとしても手加減して勝てる相手ではない。

そんな彼らはオーバーハンドレッドナンバーズ相手なら善戦できるはずだ。

おそらく、奇襲性のあるこのカードが原因で多くが敗れ去ったのだろう。

「俺はエクストラデッキに存在する《No.105BK流星のセスタス》でオーバーレイネットワークを再構築!カオスエクシーズチェンジ!!現れろ、《CNo.105BK彗星のカエストス》!」

 

CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800

 

「バカな…!?一気にカオス化だと!?」

《CNo.105BK彗星のカエストス》が現れたのと同時にアリトのオーラがさらに強まっていく。

「この感覚は…まちがいない…」

「おい、どうしたんだよアストラル?」

「今までは感じられなかったが、バリアン世界との融合が始まったことで、今ならはっきりと感じられる。あれは…ドン・サウザンドの力によって生み出されたカードだ!!」

「ドン・サウザンドが??」

「そこにいるのか?出てこい!!ドン・サウザンド!!」

オーラが巨大化し、巨人のような形に変化する。

(ふふふ…やっと気づいたか。久しぶりだなアストラル。そして貴様が九十九遊馬、そして剣崎侑斗か!?)

「あれがドン・サウザンド!?そうか…お前がアリトを操って!!」

「ユウ…怖い!!」

ドン・ザウザンドを直視できなくなったウィンダは顔を侑斗の胸に沈める。

「ドン・サウザンド…」

8彼こそ、我が力を取り戻すために蘇らせた魂の1つ)

「なんだと!?」

(九十九遊馬。恨むならアストラルを恨め。この争いの原因はカオスを排除したアストラル世界の愚かな決定にあるのだからな!!)

「純粋なランクアップ…」

侑斗は飛行船の中で遊馬から聞いた話を思い出す。

アストラル世界はより高次な生命体にランクアップするため、住人達はこの世界の神を創造した。

その紙の名前はエリファスで、彼の力によりアストラル世界からカオスが排除され、純粋なランクアップが可能になると思われた。

しかし、そのカオスには誰かを守りたい、生きていきたいという願いや、生きる力そのものである原始的な欲求も含まれていたためにアストラル世界が弱体化してしまった。

住民たちにエリファスを止める術は無く、ただ滅びを待つことしかできなくなった。

そして、カオスはバリアン世界となり、ドン・サウザンドとなった。

(純粋なランクアップ…高次な生命体への進化。そのような下らん願いがこの争いを引き起こしたのだ!理想と現実、コスモとカオスは表裏一体!!)

「だが、アストラル世界はカオスを乗り越える道を選んだ!!」

(まあ良い。お前たちには感謝している。我のカオスの力は閉じられた世界であるアストラル世界には窮屈であった。その我を自由な世界へ解き放ってくれたのだからなあ!!)

「何!?」

(遺跡のナンバーズが強力な力を持つのは、我の力がそれに宿っていたからだ)

「ポ…ポン!?じゃあ、オイラの体にもドン・ザウザンドの…ポ…ポンー…」

力を使い果たしたのか、ポン太はぬいぐるみの中に戻り、眠ってしまう。

「ポン太君!!」

(ナンバーズが手に入らずとも、お前たちがそのナンバーズと戦ったことで、我の力が復活し始めたのだ!!)

「嘘だろ…?じゃあ、俺たちはわざわざお前の封印を解いちまったのかよ!?」

(そう。お前たちは自らパンドラの箱を開けたのだ。やがて、すべての世界はカオスに飲み込まれる。アストラル!!九十九遊馬!剣崎侑斗!!止められるものなら我を止めてみるがいい…)

ドン・ザウザンドが姿を消していく。

「くそ!!こんなに早くドン・ザウザンドと戦うことになるなんて…」

「いいや、今のドン・ザウザンドはただの分身。本体のエネルギーはこの程度のものではない。それより遊馬!早くそのカードを発動させろ!」

「おっと…そうだったぜ!永続罠発動!《機甲忍法ラスト・ミスト》!!」

「あれは…闇川さんのカード!!」

吹雪がアリトの場を包み込み、《CNo.105BK彗星のカエストス》の一部が氷結する。

「何!?」

「《機甲忍法ラスト・ミスト》は我々の場に忍者と名のつくモンスターが存在し、相手がモンスターを特殊召喚した時、そのモンスターの攻撃力を半分にする」

 

CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800→1400

 

「何!?だが、《カエストス》の効果がある!!《カエストス》は1ターンに1度、カオスオーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手モンスター1体を選択し、破壊する!!」

《CNo.105BK彗星のカエストス》がカオスオーバーレイユニットを身に宿すと、翼飾りからバリアンの粒子が放出し、大出力ビームとなって《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》に襲い掛かる。

 

鳥の書かれたオーバーレイユニット

・No.105BK流星のセスタス

 

「俺は《クリムゾン・シャドー》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、このターン、俺の場に忍者と名のつくモンスターは破壊されない!!」

小刀にオーバーレイユニットを宿した《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》はビームを完全に受け止めた。

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・ガガガマジシャン

 

「くっそお…遊馬ぁ!!俺は手札から速攻魔法《サイクロン・ナックル》を発動!俺の手札・場からBKと名のつくモンスター1体を墓地へ送ることで、相手の場のカード1枚を破壊する!俺は《カエストス》を墓地へ送り、《ラスト・ミスト》を破壊する!!」

《CNo.105BK彗星のカエストス》が自らの体を回転させ、巨大な竜巻を引き起こした。

竜巻は遊馬の《機甲忍法ラスト・ミスト》を吹き飛ばし、破壊する。

「く…《ラスト・ミスト》が!!」

「更に、俺は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!その効果で、俺は《カエストス》を復活させる!!」

 

CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800

 

「そんな…せっかく闇川さんのカードで攻撃力を下げたのに!!」

「《死者蘇生》を早いうちに使わせただけでも良しとするしかないね…」

《死者蘇生》は敵味方関係なく墓地のモンスターを1体だけ復活させることができるカード。

そのカードが後半まで温存される恐ろしさを侑斗はよくわかっていた。

「バトルだ!!《彗星のカエストス》で《クリムゾン・シャドー》を攻撃!!コメット・エクスプロージョン!!」

《CNo.105BK彗星のカエストス》の拳と《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》の小刀がぶつかり合う。

その戦闘で《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》が破壊されることはないものの、戦闘ダメージは別だ。

「うわあああ!!」

 

遊馬

ライフ4000→3600

 

たった400のダメージであるにもかかわらず、遊馬とアストラルが大きく吹き飛ばされる。

「遊馬!!アストラル!!」

「遊馬君!!」

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!!」

 

遊馬

手札2

ライフ3600

場 No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー(オーバーレイユニット1) ランク5 攻撃2400

  伏せカード1

 

アリト

手札6→2

ライフ4000

場 CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800

  伏せカード1

 

 

サイクロン・ナックル

速攻魔法カード

自分の手札・フィールド上に表側表示で存在する「BK」と名のつくモンスター1体をリリースすることで発動できる。

相手フィールド上のカードを1枚選択して破壊する。

また、このカードを発動した次の自分のターンのスタンバイフェイズ時、自分フィールド上に「BK」と名のつくモンスターのみが表側表示で存在するとき、このカードを除外することでデッキからカードを1枚ドローできる。

「サイクロン・ナックル」のこの効果は1ターンに1度しか発動できない。

 

「へへ…」

「遊馬、なぜ笑っている…?」

「だってよ、今のアリトは本当のアリトじゃねえ。ドン・サウザンドに操られているだけなんだ。だから…俺がアリトを正気に戻してやる!!」

あの時、1対1で正面から真剣勝負を仕掛けたときのアリトこそが本当の彼だという確信が遊馬に戦う意思を与える。

ドン・サウザンドの呪縛を解き、アリトを取り戻すために今は勝つしかない。

ゴーシュの仇はドン・サウザンドからとればいい。

「だが、ドン・サウザンドの呪縛を解くのは容易ではないぞ?」

「そんなことは分かってる!けど、何とかする!!」

アリトのため、自分を守るために散ったトーマス達のため、自分自身のため、絶対に何とかする。

手段がわからない以上はとにかくカードをぶつけ合うしかないという現状だが、アストラルにはなぜか安心感がある。

長きにわたる共闘が生んだ信頼関係が、不可能を可能にし続けた遊馬のかっとビングが困難を打ち破る。

「いくぜ!!俺のターン、ドロー!!」

 

遊馬

手札2→3

 

(これは…!!)

ドローしたカードを確認し、遊馬は大きく目を開く。

「遊馬、どうした?」

「アストラル…俺を信じてくれ」

「遊馬…?」

「俺は手札から魔法カード《エクシーズ・ダウンライジング》を発動!俺の場のエクシーズモンスター1体を選択し、そのモンスターよりもランクが1つ低い同じ種族のエクシーズモンスターを上に重ねてエクシーズ召喚する!俺は《クリムゾン・シャドー》を選択する!」

「何!?まだオーバーレイユニットが残っている《クリムゾン・シャドー》を…」

《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》がオーバーレイネットワークに取り込まれていく。

「ランクダウンエクシーズチェンジ!!光纏いて現れろ!闇を切り裂くまばゆき王者!《H-Cエクスカリバー》!!!」

オーバーレイネットワークの中から真紅の鎧と大剣を装備した重装な騎士が現れる。

これはかつて、WDCでゴーシュから遊馬に譲渡されたカードだ。

 

H-Cエクスカリバー ランク4 攻撃2000

 

エクシーズ・ダウンライジング

通常魔法カード

自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体を選択して発動する。

自分のエクストラデッキからそのモンスターよりもランクが1つ低い同じ種族のエクシーズモンスター1体を選択したモンスターの上に重ね、エクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する。

このカードを発動したターン、自分は通常召喚を行えない。

 

「そんな…なんで《エクスカリバー》を!?」

《No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー》の効果を使えば、まだ《CNo.105BK彗星のカエストス》からの攻撃をしのぐことは可能だ。

しかし、《H-Cエクスカリバー》の元々の攻撃力はそのモンスターに及ばず、更にナンバーズですらない。

「遊馬…なぜ…?」

「思い出せアリト!!俺とお前はデュエルを愛し合う仲間だった!!」

「俺が仲間だと…?」

「《エクスカリバー》は1ターンに1度、オーバーレイユニットを2つ取り除くことで、次の相手のエンドフェイズまでその攻撃力を元々の攻撃力の倍にした数値にすることができる!!」

《H-Cエクスカリバー》の大剣に2つのオーバーレイユニットが宿る。

すると、真紅の鎧が紅蓮に包まれていく。

 

H-Cエクスカリバー ランク4 攻撃2000→4000

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー

・ガガガキッド

 

「遊馬…君はアリトの熱い魂を蘇らせるために…」

「いっけーーー!!《エクスカリバー》!!《カエストス》を攻撃しろ!一刀両断!必殺真剣!!!」

《H-Cエクスカリバー》の大剣が《CNo.105BK彗星のカエストス》を切り裂き、大爆発を引き起こす。

「どうだアリト!!熱い魂を思い出せ!!」

「へへへ…。残念だったな遊馬。俺は《BKベイル》の効果を発動した。こいつは俺が戦闘ダメージを受けたとき、手札から特殊召喚することでその数値分ライフを回復できる」

両手に盾をもった赤いボクサーがアリトを守るように姿を現していた。

《H-Cエクスカリバー》ではまだアリトを呪縛から解放することができない。

 

アリト

ライフ4000→2800→4000

 

BKベイル レベル4 守備1800

 

「そして、ナンバーズはナンバーズでなきゃ破壊できねえ!お前の今の攻撃は無駄だったって言うわけだ!!」

「く…!!俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

遊馬

手札3→1

ライフ3600

場 H-Cエクスカリバー ランク4 攻撃4000

  伏せカード2

 

アリト

手札2→1

ライフ4000

場 CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800

  BKベイル レベル4 守備1800

  伏せカード1

 

(だが、《エクスカリバー》の攻撃力はアリトのターンが終わるまで4000のままだ。だが、もし《カエストス》の攻撃力が上回ると…)

「へっ!このターンでけりをつけてやる!俺のターン、ドロー!!」

 

アリト

手札1→2

 

「俺は手札から魔法カード《エクシーズ・トレジャー》を発動!その効果で、俺は場に存在するエクシーズモンスターの数だけデッキからカードをドローする!」

 

アリト

手札2→3

 

「そして、手札から《BKヘッドギア》を召喚!」

 

BKヘッドギア レベル4 攻撃1000

 

「これでレベル4のモンスターが2体。まさか…!!」

「俺はレベル4の《ヘッドギア》と《ベイル》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、《No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》!!」

漆黒のアーマーと紫色のマントを装備した太目の体の格闘家が現れろ。

首の右側にはそのモンスターの番号が刻まれている。

 

No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク ランク4 攻撃0

 

「攻撃力0のナンバーズ??」

「なんだろう…さっきのアリト君ほどじゃないけど、少しだけドン・ザウザンドの力を感じる」

「更に、俺は手札から《RUM-バリアンズ・フォース》を発動!その効果で俺は《ラプソディ・イン・バーサーク》でオーバーレイネットワークを再構築!!」

「すぐにカオス化だと!?」

《No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》がオーバーレイネットワークに取り込まれるのと同時に、アリトを包むオーラが更に濃くなっていく。

「カオスエクシーズチェンジ!現れろ!CNo.80!魂を鎮める旋律が、十全たる神の世界を修復する!我にすがれ、《葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》!」

先程の《No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》とは大きく異なり、白と緑を基調とした細い体の格闘家が現れる。

襟部分の右側にそのモンスターの番号が刻まれている。

 

CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク ランク5 攻撃0

 

「《レクイエム・イン・バーサーク》の効果発動!このカードのカオスオーバーレイユニットを1つ取り除くことで、場のカード1枚を除外する!俺はカオスオーバーレイユニットを3つ取り除くことで、その効果を3回使う!!」

「何!?」

「遊馬君の場には伏せカード2枚と《エクスカリバー》1体!全部除外されたら、場ががら空きになっちゃう!!」

カオスオーバーレイユニットをすべて宿した《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》は拳を地面にたたきつける。

すると、遊馬の場に巨大な地割れが現れ、場のカードを飲み込んでしまった。

 

除外された伏せカード

・体力増強薬―ディメンションα

・エクシーズ・リボーン

 

「更に、《レクイエム・イン・バーサーク》は1ターンに1度、俺の場のエクシーズモンスター1体に装備することができる!!」

「装備カードになるエクシーズモンスター!!?」

侑斗は即座に《アームズ・エイド》のことを頭に浮かべる。

そのモンスターはシンクロモンスターでありながら、装備カードとなる不動遊星愛用のカードだ。

《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》はその特徴を残した鎧となり、《CNo.105BK彗星のカエストス》に装備された。

「そして、《レクイエム・イン・バーサーク》を装備した《カエストス》の攻撃力は2000ポイントアップする!!」

 

CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800→4800

 

「感じる…。あのナンバーズからドン・サウザンドの力を感じる」

「なんだって!?じゃあ、ドン・サウザンドの力が《カエストス》をパワーアップしちまったのかよ!?」

「いけ!《カエストス》!!遊馬をぶちのめせーーー!!」

《CNo.105BK彗星のカエストス》の拳が遊馬に襲い掛かる。

「遊馬!!」

「まずい!!このまま攻撃を受けたら、遊馬君の負けだ!!」

「消えろーーーー!!」

「まだだーーーーー!!俺は手札の《虹クリボー》の効果を発動!!」

「クリクリー!」

《虹クリボー》が遊馬の盾となって攻撃を受け止めると、更に光の縄となって《CNo.105BK彗星のカエストス》を拘束した。

「このカードは相手の攻撃宣言時、このカードを攻撃モンスターに装備することができる!」

「更に、このカードを装備したモンスターは攻撃できない!」

「ち…しぶとい野郎だ!俺はこれでターンエンドだ!」

 

遊馬

手札1→0

ライフ3600

場 虹クリボー(装備カード)

 

アリト

手札3→1

ライフ4000

場 CNo.105BK彗星のカエストス(《虹クリボー》《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》装備) ランク5 攻撃4800

  伏せカード1

 

「ナンバーズによって、彼の呪縛が強まったように見える…」

「それでも俺たちは自分の信じた道を行くしかねえ!ドン・サウザンドの呪縛が強いか、俺たちの友情の方が強いか…!!」

(遺跡のナンバーズはアリトの記憶、そしてオーバーハンドレッドナンバーズはドン・サウザンドの呪い…)

このデュエルの中でアストラルは今までの遺跡を巡る旅、そしてオーバーハンドレッドナンバーズについて考えていた。

そして、ある仮説を生み出す。

「(ということは…!!)遊馬、分かったぞ!アリトの呪いを解く方法が!!」

「何!?」

「ドン・サウザンドの言うとおり、遺跡のナンバーズが解放されると同時に奴の封印された力が解放されていく…。我々がやっていたことはドン・サウザンドの復活に力を貸していたのと同じ」

「そ…そうだよな、父ちゃん…とんだ間抜けだぜ!!」

「だが、私はそうだとは思わない。彼はこれから我々に起こることをすべて予測してきた。そんな彼が我々が不利になる状況を作ることは考えにくい。もしかしたら、君の父親は我々がバリアン七皇を呪縛から解き放とうとすることを予測していたのではないか?」

「…!そうか!!そういうことか!!」

「ユ…ユウどうしたの?何かわかったの?」

急に大声を出した侑斗にウィンダがびっくりする。

「あるんだよ!遺跡のナンバーズにはドン・サウザンドの呪縛を解く力が!」

「ってことは…オイラにもその力があるってことポン??」

いつの間に目を覚ましていたポン太がぬいぐるみに入ったまま鞄から出てくる。

「うん。遺跡のナンバーズは七皇の記憶。そしてオーバーハンドレッドナンバーズはドン・サウザンドの呪い。なら、今アリト君の場にいる《彗星のカエストス》を遊馬君が持っている《ライオンハート》で攻撃すれば…」

「でも、遊馬君の場にはモンスターがいないし、手札もないよ」

「だとしたら、次の遊馬君のドローが運命を分けるね…」

遊馬が《No.54反骨の闘士ライオンハート》の素材となるレベル1モンスター3体をそろえるのが早いか、アリトが《虹クリボー》を除去するカードを手にするのが早いか、西部劇で登場するガンマンの決闘のような状況となる。

「待ってろ小鳥!今助けてやるからな!!」

「遊馬…そうよ、早く助けなさい!こんな呪縛から、私とアリトを!!」

彼女の表情から不安が消え、ただ安心感のようなもので満たされていく。

「行くぜ、俺のターン、ドロー!!」

 

遊馬

手札0→1

 

「俺は手札から魔法カード《逆境の宝札》を発動!俺の場にモンスターが存在せず、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

遊馬

手札1→2

 

逆境の宝札(アニメオリカ・調整)

通常魔法カード

相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

「逆境の宝札」は1ターンに1度しか発動できない。

 

ドローしたカードを見て、遊馬の表情が明るくなる。

「俺の思いは届いたぜ、アリト!!」

「何!?」

「俺は《忍忍者》を召喚!!」

一寸法師と同じような大きさをした黒装束の忍者が現れる。

 

忍忍者 レベル1 攻撃0

 

「このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、俺の場にほかのモンスターが存在しない場合、手札・デッキ・墓地から《忍忍者》を特殊召喚できる!」

《忍忍者》が煙玉を投げ、その中から口笛を吹き始める。

煙が晴れると、新たに2体の《忍忍者》の姿がある。

ただ、煙玉の中になぜか胡椒が入っていたためか、3人ともくしゃみをしている。

 

忍忍者×3 レベル1 攻撃0

 

忍忍者(にんにんじゃ)

レベル1 攻撃0 守備0 効果 闇属性 戦士族

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

自分は手札・デッキ・墓地から同名モンスターを特殊召喚する。

この効果は自分のフィールドに他のモンスターが無い場合に発動と処理ができる。

 

「俺はレベル1の《忍忍者》3体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!現れろ、No.54!熱き闘志の雄叫びが眠れる魂すらも震わせる!《反骨の闘士ライオンハート》!」

ライオンを模した髪型と鎧の巨大な拳闘士が雄たけびを上げながら遊馬の場に現れる。

左胸にはそのモンスターの番号が刻まれている。

 

No.54反骨の闘士ライオンハート ランク1 攻撃100

 

現れたのと同時に《No.54反骨の闘士ライオンハート》と《CNo.105BK彗星のカエストス》が共鳴し、凄まじい衝撃波が発生した。

「う…!!」

「このナンバーズ…!!」

衝撃波の中で、アリトと遊馬の瞳にビジョンが映し出される

コロッセオでの試合を終え、意気揚々と帰宅していたアリト。

路地裏に差し掛かると、そんな彼に黒いローブをまとった赤い眼の男が現れる。

彼は皇帝がアリトの人気をねたみ、命を狙っているを伝えると、姿をくらました。

皇帝はアリトと拳をぶつけ合い、身分の垣根を越えて分かりあった親友、アリトはそれを到底信じるはずがなかった。

その日の夜、ナンバーズを手にした状態で空を眺めていると、突然憲兵がアリトを拘束する。

罪状は殺人、拘束後は何の抗議もできないまま死罪を申し付けられた。

処刑場所はコロッセオ。

手錠をつけられたアリトを待ち受けていたのは子供たちからの非難と斧を手にした処刑人だった。

絶望する彼の耳に赤い眼の男の声が響く。

美しくもあるが、あまりにも恐ろしく、悪意に満ちた甘い言葉だ。

(あなたは親友に裏切られた無念の戦士。憎悪と妄執にとらわれながら死んでいく)

その言葉の一言一句がアリトの精神を汚染し、怨念の戦士へと変えていく。

アリトは皇帝を、世界を恨みながら、首をはねられた。

 

「い…今のは…うう…!!」

ビジョンを見たアリトが苦しみ始める。

「これが…アリトが人間だったころの記憶?」

「《ライオンハート》と《カエストス》が共鳴した…。やはり、この2体が戦う時、何かが起きる!」

「アリト…今呪いを解いてやるぜ!《ライオンハート》で《カエストス》を攻撃!!」

《No.54反骨の闘士ライオンハート》の拳が《CNo.105BK彗星のカエストス》に襲い掛かる。

「このカードとの戦闘で俺が戦闘ダメージを受けたとき、お前にもそれと同じ数値分のダメージを与える!!」

「ま…待って!!そんなことをしたら、遊馬君のライフが…!!」

そう、このまま攻撃をすれば遊馬に4700のダメージが発生する。

ルール上、遊馬とアリトがその戦闘で同時にダメージを受けることはなく、この場合は遊馬から先にダメージを受けることになる。

それでは、遊馬が自滅してしまう。

「《ライオンハート》の効果発動!このカードが相手モンスターと戦闘を行う時、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、我々に発生する戦闘ダメージは相手が受ける!!レスキュー・ショック!!」

オーバーレイユニットを宿した《No.54反骨の闘士ライオンハート》の胸から電撃が遊馬に向けて放たれる。

電撃を受けた遊馬の痛覚が一時的に遮断された。

《CNo.105BK彗星のカエストス》も拘束される中、必死に拳を作った。

2体のナンバーズの拳がぶつかり合い、遊馬とアリトが攻撃の余波で大きく吹き飛ばされる。

「これで、4700のダメージで遊馬君の勝ちだ!!」

「く…!!俺は罠カード《ハーフ・アンブレイク》を発動!これで《カエストス》はこのターン戦闘では破壊されず、その戦闘で発生する俺へのダメージは半分になる!!うわあああ!!!」

 

アリト

ライフ4000→1650

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・忍忍者

 

「う…うう…すげえ衝撃だぜ…」

電気ショックのパワーは受けるはずだった戦闘ダメージの量だけ増大する。

4000ポイント以上になると、運が悪いと即死するほどになる。

「ユウ見て!!アリト君を包んでたオーラが!!」

アリトを包んでいたオーラが暴走し、それからドン・サウザンドの苦しげな声が聞こえる。

(うわああああ!!バカなあああ!!我の呪いをーーーー!!!)

断末魔の声と共に、オーラが消滅する。

「やったのか!?」

「お…俺は…一体…?そうだ、あの時ベクターとドン・サウザンドに…」

「アリト!!お前はドン・サウザンドに操られていたんだ!!」

「遊馬?そうか…お前たちが俺を…奴の呪いから…」

アリトは小鳥を包んでいたイバラを消滅させる。

そして、小鳥はゆっくりとハイウェイに降りていく。

この行為こそが、アリトが元に戻った何よりの証左だ。

「アリト!!呪いが解けたんだな!!」

うれしくなった遊馬はアリトに駆け寄ろうとする。

だが、アリトの戦う理由がこれで失われたわけではない。

「よるな!遊馬!!まだ俺たちの戦いは終わっちゃいねえ!!俺はバリアン七皇のアリトだ!」

「でも、お前は呪いを…!!」

「確かに俺はドン・サウザンドに操られていた。だが見たはずだ!俺の過去を…。あの憎しみを糧に、俺はバリアンに生まれ変わった!俺の居場所はバリアン世界にしかねえ!!それをなくそうとするお前たちとは決着をつけなきゃならない!!」

「アリト…」

「遊馬、アストラル、そして侑斗!!お前たちとのデュエルは激しく、熱く、最高だった!!だが、そんなデュエル、もうできそうにねえ!!」

アリトの瞳が赤く光り、赤いオーラが彼を包み込む。

確かに呪いは解けたが、それでもアリトの過去が払拭されたわけではない。

呪われた過去こそが、呪いの元凶だ。

「アリト…。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

遊馬

手札2→0

ライフ3600

場 No.54反骨の闘士ライオンハート(オーバーレイユニット2) ランク1 攻撃100

  虹クリボー(装備カード)

  伏せカード1

 

アリト

手札1

ライフ1650

場 CNo.105BK彗星のカエストス(《虹クリボー》《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》装備) ランク5 攻撃4800

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

アリト

手札1→2

 

「俺は装備カードである《虹クリボー》を墓地へ送り、魔法カード《カオス・ストーム》を発動!」

光の縄が消滅し、《CNo.105BK彗星のカエストス》の動きが自由になる。

「このカードは俺の場にカオスエクシーズモンスターが存在するとき、場に存在する装備カード1枚を墓地へ送ることで相手モンスターの効果を無効にし、攻撃力を0にする!ただし、この効果を受けたモンスターは戦闘では破壊されない!!」

漆黒の風が《No.54反骨の闘士ライオンハート》を包み込み、そのモンスターの精神に干渉する。

戦いの空しさ、傷つくことの恐ろしさ…。

それらが拳闘士の力を奪い去って行った。

 

No.54反骨の闘士ライオンハート ランク1 攻撃100→0

 

カオス・ストーム

通常魔法カード

自分フィールド上に「C」と名のつくエクシーズモンスターが表側表示で存在するとき、フィールド上に存在する装備カード1枚を墓地へ送ることで発動できる。

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力が0となり、効果が無効化される。

また、この効果を受けたモンスターは戦闘では破壊されない。

「カオス・ストーム」は1ターンに1度しか発動できない。

 

「そんな!!《ライオンハート》の効果が無効になっちゃった!!」

「このままだと《カエストス》の攻撃で遊馬君が負けてしまう!!」

「《カエストス》!!《ライオンハート》を攻撃!!」

《CNo.105BK彗星のカエストス》の拳が《No.54反骨の闘士ライオンハート》の右の頬にめり込み、遊馬の場に大爆発が起こった。

「遊馬君ーーーー!!!」

「遊馬ーーーー!!」

「どうだ遊馬!!俺の勝ちだ!」

爆発によって発生した煙が晴れる。

「な…何!?」

煙が晴れると、そこには立ったままの遊馬と消滅していないアストラルの姿があった。

「バカな!?今の攻撃でお前のライフは0に…」

「俺はゲームから除外されていた罠カード《体力増強薬―ディメンションα》の効果を発動した!」

そのカードは《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》の効果で除外されてしまったカードだ。

「ゲームから除外されているこのカードを墓地へ戻すことで、我々は1500ポイントライフを回復する」

 

遊馬

ライフ3600→5100→300

 

体力増強薬―ディメンションα

通常罠カード

自分のライフを800ポイント回復させる。

また、ゲームから除外されているこのカードを墓地へ戻すことで発動できる。

自分のライフを1500ポイント回復させる。

 

「更に俺は罠カード《ショック・ドロー》を発動!このターン、俺が受けたダメージ1000ポイントごとに1枚デッキからカードをドローする!」

先程、遊馬が受けたダメージは4800。

よって、遊馬は4枚のカードをドローできる。

 

遊馬

手札0→4

 

「く…遊馬!俺はカードを1枚伏せてターンエンド!!」

 

 

遊馬

手札4

ライフ300

場 No.54反骨の闘士ライオンハート(《カオス・ストーム》の影響下 オーバーレイユニット2) ランク1 攻撃0

 

アリト

手札2→0

ライフ1650

場 CNo.105BK彗星のカエストス(《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》装備) ランク5 攻撃4800

  伏せカード1

 

「ふう…。何とかこのターンはしのげたけど、どうすんだよアストラル?呪いを解いても、アリトは過去の憎しみの取り込まれちまってる…。まるで、新しい呪いにかかっちまったみたいだ」

「新しい呪い…?」

遊馬の言葉にアストラルはピンとくる。

人間だったころのバリアン七皇はベクターを除くとその魂は純粋で崇高な物。

死んだとしても、アストラル世界へ転生するはずだ。

憎悪と怨念も、死ぬ直前に得たものに過ぎない。

そしてもし、ドン・サウザンドに彼らの過去に干渉する力があったとしたら…。

「遊馬。《ライオンハート》で《カエストス》を破壊するんだ」

「何言ってんだよ!?《ライオンハート》でどうやって??」

今の《No.54反骨の闘士ライオンハート》の攻撃力は0で、効果も無効になっている。

この状態で《CNo.105BK彗星のカエストス》を倒すのは至難の業だ。

「それでもやるんだ!!そうすれば、何かつかめるかもしれない!!」

初めて、声を荒らげて頑固に主張する。

「ウィンダ…。アストラル、遊馬君に似てきたね」

「うん。きっと、ずっと一緒にいたからかな?」

「さあ…次のターンが勝負だ」

「おう!!俺のターン、ドロー!!」

 

遊馬

手札4→5

 

「よし…!!俺は手札から《RUM-ヌメロン・フォース》を発動!その効果で、俺は《ライオンハート》を…」

「させるか!カウンター罠《ミッジング・ランクアップ》を発動!相手のRUMの発動を無効にし、破壊する!!」

《ミッシング・ランクアップ》から放たれた透明の光線が《RUM-ヌメロン・フォース》と《No.54反骨の闘士ライオンハート》を貫き、破壊した。

「何!?《ライオンハート》まで…」

「こいつはRUMの発動を無効にするだけではなく、お前の場のエクシーズモンスター1体を墓地へ送る!!」

 

ミッシング・ランクアップ

カウンター罠カード

相手が「RUM」と名のつく魔法カードを発動した時にのみ発動できる。

そのカードの発動を無効にし、破壊する。

そして相手フィールド上のエクシーズモンスター1体を墓地へ送る。

 

《ミッシング・ランクアップ》で万策尽きたかと思われた。

だが、《ショック・ドロー》でドローしたカードたちが遊馬に新たな策を与える。

「まだだ!!俺は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!その効果で、俺は《ライオンハート》を復活させる!!」

 

No.54反骨の闘士ライオンハート ランク1 攻撃100

 

「更に俺は手札から魔法カード《魔法石の採掘》を発動!手札を2枚捨て、墓地から魔法カード1枚を手札に加える!」

《ゴゴゴゴーレム》と《ズババナイト》が墓地から《RUM-ヌメロン・フォース》を回収し、遊馬に託す。

「くそ!《ショック・ドロー》の効果ですでに《魔法石の採掘》を…!!」

「いっけーーー!!遊馬ーー!アストラルーー!!」

「いくぜアリト!俺は手札から《RUM-ヌメロン・フォース》を再び発動!!」

「そうだ!ドン・サウザンドは遺跡のナンバーズからオーバーハンドレッドナンバーズを守ろうとした!自ら呪いをかけたナンバーズを使ってまで…。だとすれば必ず!!」

《No.54反骨の闘士ライオンハート》がオーバーレイネットワークに取り込まれていく。

「カオスエクシーズチェンジ!現れろ、CNo.54!勇敢なる魂よ!純粋なる反骨の拳よ!今こそアリトを憎しみから解き放て!!《反骨の王者ドレッドノート》!!」

真紅のマントと黄金のナックルガードを追加装備し、胸には複数の勲章がつけられた《No.54反骨の闘士ライオンハート》が姿を現す。

髪型はアリトそっくりな形に変化していて、鎧は歴戦によるものか複数の傷を負っている。

 

CNo.54反骨の王者ドレッドノート ランク2 攻撃500

 

「《ヌメロン・フォース》の効果発動!このカードの効果で特殊召喚されたモンスター以外の場に存在するすべてのカードの効果を無効にする!!」

《RUM-ヌメロン・フォース》から放たれる波動が《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》の力を奪い取っていく。

すると、《CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》にひびが入り、鎧として機能しなくなっていく。

 

CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃4800→2800

 

「遊馬…お前ーーー!!」

「バトルだ!《ドレッドノート》!!《カエストス》をぶっとばせえ!!」

「そんな!《ドレッドノート》の攻撃力は500!これだと返り討ちにあっちゃうよ!!」

ウィンダの言うとおり、《CNo.54反骨の王者ドレッドノート》は一見すると攻撃力が500しかないただのモンスターだ。

だが、遺跡のナンバーズが素材となったカオスナンバーズである《CNo.54反骨の王者ドレッドノート》はその程度のモンスターであるはずがない。

「《ドレッドノート》の効果発動!このカードと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力は0となる!」

「何!?」

《CNo.54反骨の王者ドレッドノート》のすさまじいプレッシャーに、《CNo.105BK彗星のカエストス》が大きく仰け反ってしまう。

 

CNo.105BK彗星のカエストス ランク5 攻撃2800→0

 

「ブレイビング・ナックル!!!」

黄金の拳が《CNo.105BK彗星のカエストス》の腹部を貫くと、そのモンスターは大爆発を起こし、消滅した。

「更に《ドレッドノート》のもう1つの効果発動!このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、カオスオーバーレイユニットを1つ取り除くことで、破壊したモンスターを除外し、更に除外したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!!」

自由になっている左拳でカオスオーバーレイユニットを砕くと、カオスの力がそれに集中する。

そして、その拳がアリトを殴り飛ばした。

「うわああああ!!!」

 

アリト

ライフ1650→1150→0

 

CNo.54反骨の王者ドレッドノート

ランク2 攻撃500 守備500 エクシーズ 地属性 戦士族

このカードは「RUM」の効果でのみエクストラデッキから特殊召喚することができる。

このカードが相手モンスターと戦闘を行う時、そのモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで0となる。

また、このカードが「No.54反骨の闘士ライオンハート」をエクシーズ素材としている時、以下の効果を得る。

●このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除くことでそのモンスターを墓地から除外する。

そして、除外したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

吹き飛ばされ倒れたアリト、そして遊馬瞳にビジョンが映し出される。

あの時、憲兵に連行され、投獄された翌日、アリトは皇帝によって裁判されることとなった。

皇帝はその時、アリトの罪状は事実無根と判断し、彼を釈放するよう憲兵に命じた。

しかし、背後に現れた黒いローブの男に洗脳され、更にアリトはその男からオーバーハンドレッドナンバーズを与えられ、記憶を改ざんされてしまった。

そして、その男の正体こそがドン・サウザンドだ。

更にいうと、アリトを連行した憲兵たちもドン・サウザンドに洗脳されていたのだ。

 

「これが俺の…本当の記憶…!?」

敗北と同時に、アリトの姿は人間に戻った。

「アリト!!大丈夫か!?」

遊馬達は倒れているアリトの元に駆け寄る。

「遊馬…アストラル…侑斗…俺の記憶は…」

「今見たのは君の本当の記憶だ。だが、その記憶は書き換えられ、憎しみを植え付けられていた。君の魂がバリアン世界へ向かうように…」

「俺はずっと…嘘で操られて…俺はお前たちの仲間に取り返しのつかねえことをしてしまった…」

ゴーシュをスパルタスシティで洗脳して、遊馬とドロワを傷つけ、挙句の果てにハートランドシティでゴーシュを消滅させてしまった。

操られたとはいえ、凄まじい罪悪感がアリトを埋め尽くす。

「いや、君はドン・サウザンドに利用されただけだ。奴は倒され、七つの遺跡に封印された時、すでに最後の力を野に放っていた。奴は恐るべき用意周到さで自らを復活させる計画を練っていたのだ」

ドン・サウザンドが傲慢な神であるだけでなく、凄まじいほどの用意周到さを持つ。

遊馬達はこのデュエルで彼の強大さを改めて思い知った。

「俺はまんまとその罠に…」

「アリト、力を貸してくれ!ドン・サウザンドをぶっ倒すために!!」

「遊馬。ドン・サウザンドの罠にはまったとはいえ、俺はバリアン七皇の戦士だ」

「七皇と俺たちは分かりあえる!」

「俺はお前たちと決着をつけなきゃならない!」

このままではいつまでも平行線だ。

だが、アリトは分かっていた。

呪いが解けた以上、ドン・サウザンドを倒さない限り、自分の居場所はないことを。

「だが、お前たちの前にぶっ倒さなきゃならない相手ができた。協力するぜ、ドン・サウザンドをぶっ飛ばそう!!」

「アリト!!」

「やった!!やったねユウ!!」

遊馬達が喜ぶ中、侑斗とウィンダはハイタッチをする。

「これは大きな一歩だ。他の七皇も記憶を改ざんされているならば、彼らも解放できる」

「奴はベクターの中にいる」

「何!?」

「やはりベクターか…」

「ベクターは今どこに!?」

「たしか…奴は俺を洗脳した後バリアン世界へ…」

「行こう、バリアン世界へ!!」

「なら、早く飛行船へ行こうか!」

侑斗とウィンダの力で、フォーチュンとガルドが巨大化、そして実体化を果たす。

「「ピーーーー!!」」

「俺が飛行船までの道を作るぜ!!」

アリトは残留しているバリアンの力を利用して、次元の裂け目を作る。

裂け目からは飛行船の姿が確認できる。

「はあ…はあ…」

「大丈夫か?アリト」

「ああ…。力の大半を失った見てえだ。どれだけ遊馬たちの助けになれるかどうか…」

「そうなことどうだっていいぜ!早く行こうぜ、アリト!」

「おう!!」

 

「アリトが寝返った…?」

バリアン世界の城の玉座に腰掛けるベクターはドン・サウザンドからアリトのことを伝えられる。

(ことを急ぐのだ。すぐに残った七皇の力を奪い取れ!!)

「ああ…。もちろんそのつもりだぜ」

ベクターの前には老若男女問わず、数千のバリアン世界の住民が立っている。

「さてっと…お前たちには地上世界に残っているナンバーズを全部回収してもらおうか!!」

ベクターの手から無数のオーバーハンドレッドナンバーズの贋物が生み出せれ、それらが人々に取り込まれていく。

取り込んでしまった人々は悲鳴を上げながらその姿を七皇そっくりな姿に変えていった。

こうして姿を変えられてしまった人々の自我は失われ、今ではベクターとドン・サウザンドの人形でしかない。

「さあ…行け!!」

七皇のコピー達はベクターの力で人間世界へ瞬間移動する。

「これで、あの2人のナンバーズも…」

(ベクター、そろそろ来るぞ)

「ああ…。あいつらには盛大なもてなしをしないとな…」

ベクターはにやっと笑いながら待ち続ける。

自らのえさ、自らが神となるための材木を。

決着の時は近い。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。