遊戯王ZEXAL 風の戦士たち   作:ナタタク

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侑斗
No.00ガスタの魔剣士ユウ
CNo.00ガスタの魔剣士ユウ・暴風
WNo.00ガスタの魔剣士ユウ・清風
No.49秘鳥フォーチュンチュン
No.50ブラック・コーン号
No.64古狸三太夫
No.74マジカル・クラウン―ミッシング・ソード
No.69 紋章神コート・オブ・アームズ
CNo.69紋章死神カオス・オブ・アームズ

蓮
No.7ラッキー・ストライプ
No.17リバイス・ドラゴン
No.32海咬龍シャーク・ドレイク
No.55竜騎兵グレン
CNo.55灼熱竜騎兵グレン
CNo.55竜闘士グレン
No.57奮迅竜トレスラグーン
No.82ハートランドラコ
No.85クレイジー・ボックス
No.90ヒート・ガストラフェテス
No.91サンダー・スパーク・ドラゴン

竜司
No.10白騎士イルミネーター
No.11ビッグ・アイ
No.18ジェムナイト・アゲート
No.52ダイヤモンド・クラブ・キング

瑠那
No.16色の支配者ショック・ルーラー
No.20蟻岩土ブリリアント
No.23セイクリッド・ルナマリア
CNo.23セイクリッド・アーク
No.30破滅のアシッド・ゴーレム
No.87雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ


第93話 呪われし武将

璃緒とドルベがデュエルをしているころ、侑斗達にも緊急事態が発生していた。

実体化した《No.106巨岩掌ジャイアント・ハンド》が飛行船を捕縛し、機能を停止させている。

そして、その上にはギラグが仁王立ちをしている。

「喜楽の殿様…」

「てめえら!!裏切り者のアリトと手と手を取ってお出ましか…。ドン・サウザンドにたてつく愚か者どもめ!!」

「ギラグ!!」

「ギラグ!あなたは騙されているんだ!!」

「そうよ!ドン・サウザンドに記憶を書き換えられ、利用されているんだわ!!」

「この俺が利用され、だまされているだと!?ふざけやがって!!その腐った魂、俺がすべて食ってやる!!」

先程のアリト並みに呪いが強化されているためか、彼の人格は遺跡で出会った時よりも大きく変化していた。

「無駄だ!!あいつの呪いを解くには俺の時と同じように…」

「ドン・サウザンドが創造したオーバーハンドレッドナンバーズを遺跡のナンバーズで打ち破るしかない…」

「じゃあ…あいつとデュエルするしか!!」

遊馬がデュエルの準備を整えようとすると、侑斗が手で彼を制止する。

「侑斗…??」

「ここは僕がやる」

「何を言ってんだお前!?お前のD・パッドは壊れてるんだぞ!!」

「そうだ!!ここは俺にやらせ…」

「アリト君、今の君に彼と戦わせるわけにはいかない。今の君の力はギラグに及ばないんじゃないかな?」

侑斗の言葉に、アリトは目をそらす。

彼の言うとおりなのだ。

ドン・サウザンドの呪いから解放され、真実の記憶を取り戻したのと引き換えに、彼はオーバーハンドレッドナンバーズを使用できなくなってしまった。

通常のナンバーズでなら戦えるかもしれないが、これでは大きなハンデだ。

「それに、ポン太君と約束したんだ。ギラグを元のやさしい殿様に戻してあげるって」

「侑斗…」

「ユウ…ならこれを使って!」

ウィンダからD・パッドを渡される。

「ウィンダ…」

「絶対に負けないでね、ユウ!!」

「頼むぜ、侑斗…。ギラグを…俺のダチを!!」

「うん…。ギラグ、僕が相手だ!!」

「おもしれえ…お前には両腕の恨みがあるからよお…このデュエルでまずお前の魂をくらってやるよ!!」

ギラグが人間からバリアンの姿に変化する。

そして、両者はデュエルの準備を整える。

「「デュエル!!」」

 

侑斗

手札5

ライフ4000

 

ギラグ

手札5

ライフ4000

 

「僕の先攻、ドロー!!」

 

侑斗

手札5→6

 

「僕は《ガスタ・ラビット》を守備表示で召喚!!」

 

ガスタ・ラビット レベル2 守備1200

 

「そして、カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

侑斗

手札6→3

ライフ4000

場 ガスタ・ラビット レベル2 守備1200

  伏せカード2

 

ギラグ

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「こんな雑魚モンスターを召喚するだけでターンエンドだと…?てめえ、ふざけてんのかぁ!!?」

ギラグの怒号に、場にいるラビットが震え始める。

「ふざけてないよ、これはあなたを正気に戻すための一手なんだ!!」

「どんな手だろうと関係ねえ!!俺にはこのカードがあるんだからよお、俺のターン、ドロー!!」

 

ギラグ

手札5→6

 

「俺は手札から《RUM-七皇の剣》発動!!その効果で俺はエクストラデッキに存在する《No.106巨岩掌ジャイアント・ハンド》でオーバーレイネットワークを再構築!カオスエクシーズチェンジ!!現れよ、CNo.106! 混沌なる世界を掴む力よ、その拳は大地を砕き、その指先は天空を貫く。《溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》!」

 

CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド ランク5 攻撃2600

 

「いきなり《ジャイアント・ハンド・レッド》を…」

「そして、俺は手札に存在する《ネクロ・ハンド》の効果を発動!!こいつは俺の場にエクシーズモンスターが存在するとき、手札から墓地へ送ることで、このターンの間相手の墓地に存在するカードの効果を発動できなくするぜ!!」

ボロボロの包帯で包まれた死体の肉でできている右腕が侑斗の場に現れ、墓地を封鎖する。

 

ネクロ・ハンド

レベル4 攻撃1200 守備2000 効果 闇属性 アンデッド族

メインフェイス1時に、このカードを手札から墓地へ送ることで発動する。

このターン、相手は墓地に存在する魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない。

 

「く…!!」

「《ガスタ・ラビット》は相手の攻撃で破壊されて墓地へ送られたときに効果を発動するカードだポン!これじゃあ効果を発動できないポン!!」

「バトルだあ!!《ジャイアント・ハンド・レッド》で《ガスタ・ラビット》を攻撃だ!!万死紅掌!!」

《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》が灼熱を纏い、ラビットに襲い掛かる。

あまりの恐怖で、ラビットは涙目となって侑斗を見つめる。

「罠発動!《くず鉄のかかし》!!相手モンスター1体の攻撃を無効にする!!」

「無駄だぜ!《ジャイアント・ハンド・レッド》の効果発動!!1ターンに1度、場でカード効果が発動した時、カオスオーバーレイユニットを1つ取り除くことで、ターン終了時までこのカード以外の場に存在するカードの効果を無効にする!!!紅漠無惚!!」

カオスオーバーレイユニットを握りつぶすと、カオスの力がギラグの場を包み込む。

そして、それは更に侑斗の場に浸食しようとしていた。

「速攻魔法《非常食》を発動!」

「何!?《非常食》だと!?」

「このカードは僕の場に存在するこのカード以外の魔法・罠カードを墓地へ送ることで、1枚につき1000ポイントライフを回復する!」

カオスに浸食される直前に、《くず鉄のかかし》が乾パンと化す。

乾パンの半分は侑斗のライフとなり、残り半分はラビットがおいしそうに食べた。

 

侑斗

ライフ4000→5000

 

「だが、これで《ガスタ・ラビット》が破壊でき…!?」

《くず鉄のかかし》が失われたにもかかわらず、《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》は攻撃を中断してしまった。

「どういうことだ!?なぜ攻撃しねえんだ!?」

「確かに、《ジャイアント・ハンド・レッド》は場のカードの効果をエンドフェイズまで封じてしまう恐ろしいカード。だけど、場以外で発動したカード効果は封じることはできない!!」

「え…?でも《くず鉄のかかし》は発動した時、場にあったから、《ジャイアント・ハンド・レッド》の効果で無効になるんじゃ…」

小鳥とウィンダ、そしてポン太はこのことに関してはチンプンカンプンだ。

「考えたな、侑斗」

「ああ。チェーン3で発動した《非常食》によって《くず鉄のかかし》が墓地へ送られ、チェーン2の《ジャイアント・ハンド・レッド》によって場のカード効果が封じられる。だが、それで無効にすべき《くず鉄のかかし》が墓地にある以上、カード効果を阻止できねえ。これで問題なくチェーン1の《くず鉄のかかし》を発動できる!!」

「さすがだぜ、侑斗!!」

《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》の効果をかわし、さらにライフまで回復させ、攻撃を防ぐ。

そのカードに絶対的な自信を持っていたギラグにとって、それはあまりにも屈辱的なことだった。

「てめえ…よくも俺をコケにしてくれたなぁぁぁ!!!俺は手札から《マグネット・ハンド》を召喚!!」

さまざまな形の磁石で構成された巨大な右腕が姿を現す。

 

マグネット・ハンド レベル4 攻撃1200

 

「こいつを攻撃表示で召喚に成功した時、墓地からハンドと名のつくモンスター1体を特殊召喚できる。俺は墓地から《ジャイアント・ハンド》を特殊召喚する!!」

《マグネット・ハンド》の強力で複雑な磁場にひきつけられるかのように、墓地から《No.106巨岩掌ジャイアント・ハンド》が姿を現す。

 

No.106巨岩掌ジャイアント・ハンド ランク4 攻撃2000

 

マグネット・ハンド

レベル4 攻撃1200 守備1000 効果 地属性 機械族

このカードを表側攻撃表示で召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「ハンド」と名のつくモンスター1体を特殊召喚することができる。

この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。

 

「そして俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!!」

 

侑斗

手札3

ライフ5000

場 ガスタ・ラビット レベル2 守備1200

 

ギラグ

手札6→2

ライフ4000

場 No.106巨岩掌ジャイアント・ハンド ランク4 攻撃2000

  マグネット・ハンド レベル4 攻撃1200

  CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド ランク5 攻撃2600

  伏せカード1

 

《RUM-七皇の剣》の効果で特殊召喚されたカオスオーバーハンドレッドナンバーズにはオーバーレイユニットが1つしかない。

故に、オーバーレイユニットを補充するカードがない限り、1度しかオーバーレイユニットを消費して発動する効果を使うことができない。

今回の場合は不発に終わったために、それは大きな損害だ。

(《ジャイアント・ハンド・レッド》の効果はかわした。あとは、そのモンスターをあのカードで…)

ウィンダの腕の中で観戦しているポン太をちらっとみる。

「(使わせてもらうよ。ポン太君!)僕のターン、ドロー!!」

 

侑斗

手札3→4

 

「僕は《ガスタ・キャット》を召喚!」

召喚された瞬間、かわいらしく顔を洗っているのを見て小鳥がうっとりしている。

今は生死を賭けたデュエルであるにもかかわらず…。

 

ガスタ・キャット レベル2 攻撃0

 

「これでレベル2の獣族モンスターが2体。あいつを出すのか?」

「僕はレベル2の《ラビット》と《キャット》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

「よーし!!力を貸すポン!侑斗!!」

「来い、No.64!混沌と混迷の世を斬り裂く知恵者よ。世界を化かせ、《古狸三太夫》!」

ポン太が侑斗の場に移動した瞬間、自らの姿を《No.64古狸三太夫》に変化させた。

 

No.64古狸三太夫 ランク2 攻撃1000

 

「何!?こいつは俺の遺跡の…」

「行け、侑斗!!そいつでギラグを!!」

「うん!!僕は手札から魔法カード《エクシーズ・トレジャー》を発動!場に存在するエクシーズモンスターの数だけ僕はカードをドローする!!」

 

侑斗

手札4→3→5

 

「更に、僕は手札から装備魔法《エクシーズ・ユニット》を《古狸三太夫》に装備!そして、このカードはオーバーレイユニットの代わりにすることができる!僕は《エクシーズ・ユニット》を墓地へ送ることで、《古狸三太夫》の効果を発動!!場に存在する最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力を得た《影武者狸トークン》を特殊召喚する!」

ポン太は印を切ると、場に《影武者狸トークン》が現れる。

そして、そのトークンが頭に葉を乗せるとその姿を《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》に変化させた。

 

影武者狸トークン レベル1 攻撃2600

 

「あれ?《古狸三太夫》にはオーバーレイユニットがあるのに、どうしてわざわざ《エクシーズ・ユニット》を使ったの?」

「おそらく、あのカードが《エクシーズ・トレジャー》の効果で手札に加わったからだろう…」

アストラルが言っているカードはオーバーレイユニットを2つ以上もつモンスターがいなければ真価を発揮できないカードだ。

ほとんどのエクシーズモンスターの素材となるモンスターが2体であるため、扱うのは難しいが、効果を持たない、もしくはオーバーレイユニットを使う効果を持たないエクシーズモンスターにとっては神の恵みともいえるカードだ。

「更に僕は手札から速攻魔法《トラップ・ブースター》を発動!手札を1枚墓地へ送り、手札から永続罠《エクシーズ・トライバル》を発動!!オーバーレイユニットを2つ以上持つエクシーズモンスターはカード効果では破壊されない!」

「だが、《古狸三太夫》はそもそも《影武者狸トークン》が存在している間、破壊されねえ!無駄なカードだな!!」

「それはどうかな?」

「何…!?」

あえてここで勝利フラグの言葉を使う。

それは、このターンで勝利できると確信したからだ。

「僕は《トラップ・ブースター》の効果で墓地へ送られた《ガスタ・グリフ》の効果発動!このカードが手札から墓地へ送られた時、デッキからガスタと名のつくモンスター1体を特殊召喚できる。僕は墓地から《ガスタの巫女ウィンダ》を特殊召喚!」

「やったー!!私の出番だね」

嬉しそうにウィンダが侑斗の場に移動する。

もし、前のターンにギラグが《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》の効果を発動しなければこのような状況にはならなかったはずだ。

もっとも、その効果は強制的に発動する効果であるため、発動せざるを得ないカードだが。

「更に、手札から魔法カード《ウィンダの導き》を発動!相手の場に存在する魔法・罠カード1枚を破壊し、手札からレベル3以下のチューナー1体を特殊召喚する!!」

「よーし!!行くよーー!!」

ウィンダの杖から風の球体が発射され、ギラグの伏せカードが吹き飛ばされていく。

そしてウィンダの背後から吹く風に乗って《ジャンク・シンクロン》が姿を現した。

 

ウィンダの導き

通常魔法カード

自分フィールド上に「ガスタの巫女ウィンダ」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。

相手フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。

そして、手札からレベル3以下のチューナーモンスター1体を特殊召喚する。

「ウィンダの導き」は1ターンに1度しか発動できない。

 

ジャンク・シンクロン レベル3 攻撃1300

 

「わあ!久しぶりだね、《ジャンク・シンクロン》!!」

「侑斗の場にはレベル2の《ウィンダ》がいる。あいつを出すのか?」

「僕はレベル2の《ウィンダ》にレベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング!!」

「行くよ、《ジャンク・シンクロン》!!」

ウィンダの声にこたえた《ジャンク・シンクロン》が3つの光の輪となり、彼女はそれをくぐる。

「シンクロ召喚!来い、《ジャンク・ウォリアー》!!」

「じゃあ、頑張ってね!《ジャンク・ウォリアー》!!」

現れた《ジャンク・ウォリアー》に笑顔を送り、ウィンダは遊馬達の元へ戻って行った。

 

ジャンク・ウォリアー レベル5 攻撃2300

 

「ここで《ジャンク・ウォリアー》だと!!?」

ギラグに焦りの表情が現れる。

「このカードのシンクロ召喚に成功した時、僕の場に存在するレベル2以下のモンスターの攻撃力をこのカードに加える!僕の場には《影武者狸トークン》がいる!!」

 

ジャンク・ウォリアー レベル5 攻撃2300→4900

 

「攻撃力4900だと!?」

レベル1の強力なトークンを呼び出すことができる《No.64古狸三太夫》とは抜群の相性を持っている。

「まさか…この俺が…!?」

「バトル!!《影武者狸トークン》で《マグネット・ハンド》を攻撃!!」

《影武者狸トークン》の手から炎ではなく、鋭利な葉が放たれ、《マグネット・ハンド》がバラバラになった。

「うわああああ!!」

 

ギラグ

ライフ4000→2600

 

「そして、《古狸三太夫》で《ジャイアント・ハンド・レッド》を攻撃!!」

「何!?攻撃力の劣る《古狸三太夫》で攻撃だと!?」

「その瞬間、《エクシーズ・トライバル》の効果発動!オーバーレイユニットを2つ以上持つエクシーズモンスターと戦闘を行ったモンスターをダメージ計算終了時に破壊する!!」

「な…何!!?」

「それじゃ、行くポン!殿様ーー!!」

《エクシーズ・トライバル》の力を得たポン太の薙刀が赤く発光する。

《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》が反撃のためにはなった溶岩をかわし、その薙刀でその巨大な腕を真っ二つに切り裂いた。

切り裂かれた瞬間、《CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド》が大爆発を起こし、侑斗とギラグが吹き飛ばされる。

「「うわあああああ!!」」

 

侑斗

ライフ4000→2400

 

「こ…これは…!?」

ギラグと侑斗の眼にあるビジョンが映し出される。

 

ポン太を解雇した日、ギラグの家臣たちが反乱を起こした。

味方はおらず、すぐに居城に火の手が上がった。

家臣を切り殺すことは本意ではないギラグは覚悟を決め、自室で切腹しようとした。

すると、部屋に突然家臣たちが黒いローブの男を先頭にして押し入ってくる。

彼らの眼はなぜか赤く光っていた。

黒いローブの男は目の前でドン・サウザンドに姿を変え、ギラグにオーバーハンドレッドナンバーズを取り込ませた。

あの反乱の原因はギラグへの不満ではなく、ドン・サウザンドに家臣たちが操られたことにあったのだ。

 

「い…今のが俺の…??」

ビジョンを見終わったギラグの姿が人間に戻る。

「痛たた…ポン太君。これでいい?」

「ポン!!侑斗、ありがとうだポン!!」

狸の姿になって、侑斗に礼を言うポン太を見て、ギラグはようやく事態を把握した。

「侑斗…お前が俺の記憶を…?」

「ギラグ!!良かったぜ!!」

嬉しそうな表情でアリトがギラグに駆け寄る。

そのあとを追いかける形で、遊馬と小鳥も駆け寄った。

「ア…アリト…悪い、俺はお前のことを…」

「気にすんなってギラグ!それよりも…」

「ああ、そうだったな」

ギラグはそっとデッキトップに手を置き、デュエルを終わらせた。

「喜楽の殿様ー!」

ポン太がギラグに抱きつく。

「ポン太…」

「殿様、もう離れないポン!ずっとそばにいるポン!!」

「良かったね…狸さん」

ギラグとポン太の姿を見て、ウィンダは嬉しそうな表情を浮かべる。

「ギラグ、分かってるな?俺たちに呪いをかけ、操った奴は…」

「ああ、ドン・サウザンドとベクターだな。あいつら…絶対に許さねえ!!」

「ええ?だれが許せないってえ…?」

急にどこからかベクターの声が聞こえる。

「その声は…ベクター!?」

「一体どこに!?」

「ここだよー!!」

急に船首に時空の渦があらわれ、そこから無数の赤い光の糸が侑斗達を襲おうとしていた。

「何!?」

「く…!!」

「ユウーーーー!!」

このままでは避けられない。

ギラグとアリトは互いに眼で合図を送ると、侑斗達を突き飛ばした。

「ギラグ!?」

「アリトーーー!!」

突き飛ばされた侑斗達が見たものは赤い糸に体を貫かれたアリトとギラグの姿だった。

「おっと惜しい!!下らねえ感情でお前らに隙ができたところで、もう少しで邪魔な奴らを一網打尽にできたのになあ…。裏切り者どもしか駄目だったかあ」

時空の渦からベクターと実体化した《CNo.43魂魄傀儡鬼神カオス・マリオネッター》が出てくる。

「遊馬…最後まで協力できなくて…悪いな…」

「ギラグ…どうして僕を…?」

「お前は…ポン太を守ってくれただけでなく、俺の記憶を取り戻してくれた…。それへの礼だ…」

「喜楽の殿様…」

「侑斗!ポン太を頼んだぜ…俺のたった1人の家族を」

「さあ…さっさと来いや!!」

ギラグは右手のひらを紫色に光らせた状態でギラグ達にかざす。

ギラグが緑、アリトが赤い光の球体となってベクターに吸収されてしまった。

「そ…そんな…絶対に許さねえ、ベクター!!!」

「あっけない…なんてあっけないんだ…」

「力がみなぎるぜえ…なんせドルベの魂とメラグの力もいただいたからなあ…」

追い打ちをかけるように、侑斗達に衝撃の真実が叩きつけられる。

「そんな…そんなの嘘だ!!」

「ひどい…」

「ベクター!!」

普段温厚な侑斗は激昂し、臨戦態勢に入る。

「ははは…七皇の力を頂き、ヌメロン・コードを手に入れることで、俺は全知全能の神に…うん?」

ベクターの中に不思議な感覚が伝わる。

 

「ベクター…うおおおおおお!!!!!」

囚われの身であった凌牙の体がバリアンの姿に変化し、怒りと共に力が増幅していく。

仲間を失い、妹である璃緒を傷つけた彼への憎しみは相当なもので、搾取されたカオスの力がよみがえっていく。

凌牙はその力で自らを拘束していた触手を粉砕した。

 

「ち…てめえらと遊ぶのはナッシュを始末してからだ!!」

凌牙の動きをその感覚から知ったベクターは時空の渦の中へ入り、消えて行った。

「ベクター!!うおおおおおお!!!!」

遊馬は膝を地に着け、涙を流しながら叫ぶ。

ベクターとドン・サウザンドの非道に、そして己の無力さに、守ることのできなかった仲間たちへの罪悪感で…。

「殿様…」

「狸さん…」

泣いているポン太をウィンダは抱きしめ、頭をやさしくなでた。

そうしていると、前方から水色の光がやってくる。

「あれは…?」

その光は遊馬たちの前でその正体を見せる。

「璃緒ちゃん…」

「イモシャーク!?無事だったんだな!?」

「…」

璃緒は何も言わずに侑斗に目を向ける。

「無事でよかった…璃緒ちゃん。…蓮はみなかったの?」

「侑斗さん…ごめん…なさい…」

「え…?」

こらえきれず、再び涙を流しながら璃緒はベクターとのデュエルで起こったことを説明した。

「そっか…。…蓮らしいな…」

「そんな…蓮君が…」

「彼は最期に…これをあなたに渡してほしいって…」

ポケットの中から、預かった物を侑斗に差し出す。

「…受け取れない」

「どうして!?これをあなたに渡すことが蓮の最期の…」

「それは君が持っておくべきなんだ」

「そんな資格は私にはない。私のせいで蓮は…」

自分が侑斗達を裏切ったせいで、蓮は命を落としてしまった。

その罪悪感のせいか、そこには強気な璃緒の姿がなかった。

「償いたいのなら…最後まで見届けてほしい」

「見届ける…?」

「うん、見届けるんだ。これから起こるすべてを…。そうしたら、きっと…」

最期まで言い切ることなく、侑斗はこれから進む先に目を向ける。

(蓮…ごめん。僕にはやるべきことがある。それをしたら、きっと僕は…)




今回はかなり短くなってしまって申し訳ないです。
次回はいよいよあのデュエルが…。
ワールドチャンピオンシップかタッグフォースの新作出ないかなあ。
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