遊戯王ZEXAL 風の戦士たち   作:ナタタク

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侑斗
No.00ガスタの魔剣士ユウ
CNo.00ガスタの魔剣士ユウ・暴風
No.17リバイス・ドラゴン
No.37魔装天使テンペリアス
No.49秘鳥フォーチュンチュン
No.50ブラック・コーン号
No.74マジカル・クラウン―ミッシング・ソード
No.77堕天使長ヴァリアブル・エンジェル
No.69 紋章神コート・オブ・アームズ

蓮
No.7ラッキー・ストライプ
No.55竜騎兵グレン
CNo.55灼熱竜騎兵グレン
No.57奮迅竜トレスラグーン
No.91サンダー・スパーク・ドラゴン

竜司
No.11ビッグ・アイ
No.18ジェムナイト・アゲート
No.24ビッグバンドラグーン

瑠那
No.16色の支配者ショック・ルーラー
No.23セイクリッド・ルナマリア
No.48シャドー・リッチ


第48話 動き出すDr.フェイカー スフィア・フィールド砲出現

「負けちまったぜ・・・・」

全力を出し尽くした遊馬はフィールドの壁にもたれかかった。

「おかしい・・・・なぜ私は遊馬が敗北したにもかかわらず、消滅していない…? うん…?」

アストラルはウィンダに抱かれている侑斗を見ると、彼のD・パッドにある《CNo.00ガスタの魔剣士ユウ・暴風》のカードが光っていて、まもなく消滅した。

それと同時に、侑斗の姿も元に戻った。

(まさか…そのカードが私の消滅を防いでいたとでもいうのか…?)

それはあくまで彼の憶測にすぎなかった。

しかし、他に推測できるものが思いつかなかったため、そうとしか考えることができなかった。

「アストラル…やっぱり、侑斗は強いぜ。でも今度は…!!?」

急に《スフィア・フィールド》に異変が起こった。

それが遊馬と侑斗のナンバーズを吸収していく。

「一体…どうなってるんだ!!? ああ…」

《スフィア・フィールド》内にブラックホールのようなものが出現し、ナンバーズもろとも遊馬たちを吸収し始めた。

「ユウ…!!」

「ピーーーー!」

「クリクリー!」

侑斗の精霊たちが意識を失っている侑斗を抑える。

遊馬も《ZW-雷神猛虎剣》を壁に突き刺して吸収されるのを阻止しようとした。

しかし、この《スフィア・フィールド》から脱出する手立てがない以上、それは悪あがきにすぎなかった。

 

《スフィア・フィールド》の力の余波がハートの塔、そして観客席にも襲い掛かる。

「これは…一体!!?」

ハートの塔のハルトの部屋にも大きな揺れが発生し、天井にひびが入る。

「行かなきゃ…」

「ハ…ハルト…!?」

「行かなきゃ…父さんのところへ…。」

急に目を覚ましたハルトはゆっくりと起き上がり、歩き始めた。

「ハルト!!目を覚ませ!」

「行かなきゃ…行かなきゃ…」

今のハルトにはカイトの声は届かず、スピードが速くなっていく。

「ハルト!!何!?」

部屋を出て、エレベーターの中にハルトが入る。

すると、入口は落下した瓦礫にふさがれた。

「く…オービタル!!ハルトが何階に降りるかを調べろ!!」

「カ・・・カシコマリ!!カイト様!ハルト様が降りるのは地下3階でございます!!」

「スフィア・フィールド砲があるな…。まさか!!!行くぞ!オービタル!!」

「カシコマリ!!」

カイトとオービタル7はがれきを避けながら、階段を使ってハルトを追った。

 

観客席は大混乱となり、人々は我先にと出口へ急いだ。

「これは…サプライズにしては物騒すぎるね」

「急いで侑斗と遊馬を助けねえと!!」

蓮達は観客席に残った。

凌牙は小鳥たちを避難させていた。

「ええ…ええ…。無事にナンバーズクラブのみんなは脱出できたのね。嘘…。」

「どうしたの?」

「まずいわね…。小鳥ちゃんだけまだ避難していないって凌牙が…。」

「お・・・おい!!あの女の子ってまさか・・・・!!」

蓮が指出す方向には、ハートの塔へ向かって走る小鳥の姿があった。

「急いで小鳥ちゃんを追おう。取り返しがつかなくなる前に…」

蓮達は大急ぎで小鳥を追いかけた。

 

「くっそーーーー!!」

「せめて…せめてユウだけでも…!!」

「遊馬!!侑斗!!」

「何!?」

《スフィア・フィールド》にバイロンが突っ込んできた。

バイロンの紋章の力により《スフィア・フィールド》の壁の一部が砕け、出口ができた。

「遊馬。おそらく、あの《スフィア・フィールド》はすべてのナンバーズを回収するためのフィールド…。決勝戦にはすべてのナンバーズが集まる絶好の機会…。それをDr.フェイカーが見逃すはずがないだろう?」

《スフィア・フィールド》は徐々に再生され、出口がふさがれようとしている。

「くそ…遊馬!早く侑斗とともに脱出しろ!このままでは脱出できなくなる」

バイロンは残った紋章の力で再生を阻止し始めた。

紋章の力の源である《No.69紋章神コート・オブ・アームズ》が無く、残留している力を《スフィア・フィールド》を突き破るためにかなり消耗したバイロンに、遊馬たちに与えることができる時間はあまりにも短い。

「ああ…だけどよお…」

「ユウ!!ユウ、目を覚まして!」

今、バイロンが作った脱出ルートに近いのは遊馬とアストラル。

それに対して侑斗達は彼らより遠く、更に侑斗は気を失っている。

このままでは遊馬たちは助かっても、侑斗たちは吸収されてしまう。

「…。アストラル…俺…」

「分かっている。遊馬、君の思うようにすればいい」

「アストラル…。かっとビングだ!!俺!!」

遊馬は剣を手放し、侑斗の元へ跳躍する。

「ゆ…遊馬君!オバケさん!?」

「ウィンダ!侑斗に捕まってろ!!」

「う・・・うん!フォーチュン、風クリボーも!!」

「ピッピー!」

「クリクリー!」

「うおおおおおおお!!!!」

遊馬は力を振り絞り、侑斗とウィンダ、フォーチュン、風クリボーをバイロンの元へ思いっきり投げた。

「遊馬!!?うわあ!!」

バイロンは投げつけられた侑斗達もろとも《スフィア・フィールド》の外へ出された。

「バイロン…侑斗達を頼んだぜ…」

「何を言ってるんだ!?君も…うう…」

バイロンは再び脱出ルートを作ろうとしたが、もうその力はなく、浮遊するだけで精いっぱいだった。

「侑斗達だけでも…助かってよかったぜ…うわあああああああ!!」

「遊馬ーーーーー!!!!!!!」

遊馬とアストラルは《スフィア・フィールド》に吸い込まれていった。

 

「何やってんだよ!!?侑斗と遊馬は俺たちに任せて、さっさと逃げろ!」

「いや!!いや!!私だって遊馬を…!!」

「早く凌牙の元へ戻りなさい。今のあなたでは…!?」

上空から侑斗を抱えたバイロンが降りてくる。

侑斗の手には《No.00ガスタの魔剣士ユウ》、《CNo.00ガスタの魔剣士ユウ・暴風》、そして《No.49秘鳥フォーチュンチュン》があった。

これらのカードはナンバーズが吸収される中、気を失っている侑斗が無意識のうちに掴んだカードだ。

「バイロン!?なんでここに?」

「決勝戦を見ていて、嫌な予感がしたからね…。すまない。侑斗達しか助けることができなかった。」

「うん…」

ゆっくり目を覚ました侑斗は周囲を見る。

「侑斗!!」

「ユウ!!!」

「ウィンダ…蓮…みんな…一体何が…?」

「僕から説明するよ。侑斗」

バイロンは侑斗が気絶している間に起こったことを説明した。

「そんな…遊馬君たちが!!?」

「ああ…あと、侑斗!デュエルの間に変身した見てえだが、あれは何なんだよ!?」

「後で説明するよ!それよりも…」

「そうね。遊馬君を…」

「バイロンさんは戻ってください。あとは僕たちが…」

「そうはいかない。僕も…」

「戻ってください!!」

侑斗には無意識のうちにわかっていた。

もう、バイロンには紋章の力は残っていないことを。

「…。分かった。済まない」

バイロンはハートの塔へ向かう侑斗達を見送った。

(頼む…侑斗達。遊馬を…僕の仲間を…)

 

「こんなに瓦礫があるなんて…」

「これじゃあ…進む道が限られるね」

ハートの塔に入った侑斗たちを無数の瓦礫が歓迎した。

揺れは収まったものの、瓦礫がエレベーターを、他の区間への通路を遮断していた。

「ピーー!ピーーー!」

周囲を調べていたフォーチュンが戻ってきた。

「ユウ!フォーチュンが上の階への道は見つからなかったけど、地下への道は見つけたって!」

「分かった、フォーチュン!案内して」

「ピッピー!」

「みんな、こっちだよ!」

侑斗は蓮たちを地下への階段に誘導する。

「遊馬…」

「すっごく大事なんだね。遊馬君のことが…」

実体化したウィンダが小鳥に声をかける。

「遊馬…かっとビングだって言って、いつも無茶して…それに…」

「大好きなんだね?遊馬君のことが…」

「え…!?ち…違うわ!!好きとか…そういうのじゃ…」

「だって、小鳥ちゃん…恋する女の子の目をしてたもん」

「…」

ウィンダの指摘を受けた小鳥は沈黙した。

「大丈夫だよ。ユウとここまでデュエルができた遊馬君だもん。絶対無事!それに、ユウが助けに行くんだし!」

「…ありがとう。ウィンダ。」

「あ…そーだ!後でデュエル飯の作り方、教えて!ユウに私のデュエル飯、食べてほしいんだ!」

「うん!帰ったら、一緒に作りましょう!」

ウィンダと小鳥が笑顔になる中、地下への階段に到着した。

「1階には誰もいなかった。上への階段がない以上、ここへ行くしかないね」

「たしか、ハートランドの地下はゴミ収集施設になっていたわね。」

「この中はDr.フェイカーの手中。慎重に進もう」

侑斗達は真っ暗な地下空間へ進んでいった。

 

「ここは…どこだ…!?」

目を覚ました遊馬は《スフィア・フィールド》に似た空間の中にいた。

そして、周囲にはナンバーズが展開していた。

「これは…ナンバーズ!?」

「ふふふふ…ようこそ、九十九遊馬。そして、ナンバーズのオリジナル。」

遊馬たちの目の前にDr.フェイカーのソリッドビジョンが現れた。

「お前は・・・!!」

「Dr.フェイカー・・・」

「さあ、最後の仕上げといこう。アストラル世界を滅ぼすという最後の仕上げをな…。ハッハッハッハッハ!!!!」

「最後の仕上げ!?アストラル世界を滅ぼすって、どういう意味だよ!?」

「簡単なことだ。君たちにはアストラル世界を滅ぼすための弾丸になってもらう。この、スフィア・フィールド砲のな」

「遊馬!下を見るんだ…」

「えっ!?」

アストラルの言うとおり、下を見た遊馬の目に飛び込んできたのは大量のごみが、そして真っ暗の空間だった。

「ハッハッハッハ!!これから君たちの行く先はスフィア・フィールド砲の発射口だ。そして、それはアストラル世界に向けられてある!」

「「何!?」」

「そして、この攻撃は今までとは違う。そう!このスフィア・フィールド砲はナンバーズの力を集めた弾丸!それを一気に撃ち放つことより、アストラル世界は…」

「くっ…!」

あまりにも恐ろしく、強大な大量殺戮兵器。

そして、そのナンバーズを集めたのは…。

「そんな・・・・そんなことのために、カイトにナンバーズを!!」

「ワールドデュエルカーニバルも、ナンバーズを世界中から集めるために開催したものだ。君とカイトが剣崎侑斗に敗れたのには驚いたが、それも想定の範囲内。要は決勝戦にすべてのナンバーズが集まれば、私の目的は完遂される!しかし、まだ回収しきれていないナンバーズもあるが、これだけの力があれば十分だ。」

「てっめえ…ふざけるんじゃねえ!!!」

怒りとともに遊馬の拳がDr.フェイカーのソリッドビジョンに突き刺さるが、それが消滅するだけで、当然のことながら、Dr.フェイカーに手傷を与えることはできない。

そして、遊馬の背後に再び彼のソリッドビジョンが作成される。

「ハッハッハッハ!!さあ、ハルトよ。最後の仕事だ」

「何!?」

《スフィア・フィールド》は最深部に到達すると、下に向けられた巨大な砲台の発射口にて停止する。

そして、遊馬の目の前にエレベーターに乗ったハルトが現れた。

「おいハルト!!ハルトォ!!!」

ハルトの目線は遊馬ではなく、スフィア・フィールド砲に向けられている。

今の彼には遊馬の、いや、誰の声も届かない。

Dr.フェイカーの声を除いては。

「ハッハッハッハ!!さあ、ハルトよ!お前自身が引き金となって、アストラル世界を滅ぼすのだ!!」

「ハルトを引き金…!?」

「そうか!!ナンバーズの力を集結させ、それを、ハルトの力を利用して発射しようというのか!!」

ハルトにはアストラル世界に物体を送り込む能力を持っていることをアストラルは思い出した。

スフィア・フィールド砲にある人型の穴。

ハルトはその穴にはまると、スフィア・フィールド砲の部品がハルトの肉体に浸食し、彼を取り込んでいった。

「もうすぐかなえられる…。アストラル世界を滅ぼし、バリアンの力を得て、この世を支配するという念願が!!!」

「うう…う…うわああああああ!!!」

「ハルトーーーーーーーー!!!!」

スフィア・フィールド砲の一部となったハルトは苦しみと共に力を解放する。

ハルトの叫びと共に弾丸に青い電撃が注ぎ込まれていった。

 

「ここもだいぶ崩れてるね…」

停電し、真っ暗な空間となった地下通路を侑斗たちは歩いていた。

「でもユウ。どこへ行けばいいのかな…?」

「カイト様!!カイト様!!」

「あなたは…オービタル!!?」

「ひ…ひえええ!!恐怖のスクラップ女、それに小僧その他大勢!!」

「…。スクラップにしようかしら?」

恐怖のスクラップ女に反応したか、小鳥はオービタル7の首を絞め始める。

「ひいいい!!冗談!!冗談であります!!」

(女なら…私もいるけど…)

「それよりオービタル。これは一体?」

「実はカイト様が瓦礫の下敷きに…」

気を失っているカイトに大きな瓦礫がのしかかっている。

「仕方ねえ…。全員で瓦礫を移動させるぞ!」

「了解!!」

全員で力を合わせて瓦礫を持ち上げようとした。

しかし、瓦礫は想像以上に重く、ピクリとも動かなかった。

「く…!!」

「どうしたらいいの!?ユウ!!」

「…。」

「…。ねえ、あれを見て。」

「え…!?」

瑠那が指差す方向に2つのライトの光が見え、それが近づいてくる。

光の主である赤いバイクが侑斗たちの前に止まる。

乗っていたのは凌牙だった。

「凌牙君!どうして…!?鉄男君達は?」

「あいつらは無事に避難した。それより…」

凌牙はカイトに目を向ける。

「オイラにはマジックハンドの機能もあるでありますが、この馬力では…」

「マジックハンド…バイク…これなら助けられるね」

竜司は服の中から工具を取り出した。

「竜司…わざわざこんなのを持ってきてたんだ…」

「え…?」

 

「な…なんでオイラがこんな形にーーーー!!?」

オービタル7は凌牙のバイクの座席に固定されていた。

そして、マジックハンドは瓦礫をしっかり握っていて、アクセルも完全に踏み込まれた状態で固定されている。

「よーし…レッツゴー!」

竜司は最大スピードでバイクを発進させる。

「の…のわああああああああ!!!」

猛スピードでバイクが発進する。

バイクは瓦礫をカイトの上から取り除いたが、バイクを止める人はおらず、壁に激突した。

「よーし!助かったよ。オービタル。」

「か…改造小僧…覚えておくであります…」

ダメージを受けたオービタル7は恨みを込めて竜司に目を向けた。

「カイトさん…カイトさん!!」

「う…」

「カイトさん!!一体何があったんですか!?」

「早くいかなければ…ハルトが…」

「カ…カイト様!!」

カイトはゆっくり立ち上がった。

「え…ハルト君が!?」

「ハルト君に何かあったの!?」

「それが…」

「オービタル!!」

「カ…カシコマリ!!それが…おそらくハルト様がスフィア・フィールド砲の一部になっている可能性が高いのであります…」

「スフィア・フィールド砲…まさか!!遊馬君とナンバーズは…」

最悪なシチュエーションが侑斗の脳裏をよぎる。

「アストラル世界を滅ぼすために作られた最終兵器…Dr.フェイカーはカイト様にナンバーズを集めさせ、エネルギーを…」

「それはどこにある!?スフィア・フィールド砲はどこから発射される!!?」

「時間がない…行くぞ。オービタル。」

「待て!!まだ話は終わってねえ!!」

凌牙は質問に答えずに進もうとするカイトを呼び止める。

「礼はいらないといっていなかったか?」

「そんなんじゃねえ!!」

「凌牙、熱くなりすぎ。あなたの悪い癖よ。」

「黙れ瑠那!!俺は礼の言葉も、あいつとデュエルをしたいわけでもねえ!!遊馬を助けたいだけだ!!」

「凌牙…。」

「あいつはスフィア・フィールド砲の中にいるかもしれねえ…。道を踏み外した俺を救ってくれたあいつを…見殺しにできねえ!!」

凌牙の言葉を表情一つ変えずにカイトは聞いた。

そして、凌牙はオービタル7に目を向ける。

「答えろクソロボット!!スフィア・フィールド砲はどこにある!!?」

「クソロボットとはなんだ!!?そんなことをいう奴に、教えてやらない!」

オービタル7は大人げなく(実際、作者はこう書いているが、オービタル7の精神年齢はどれくらいかは分からない)、首を横に向けて、拒絶した。

「お願いです、カイトさん…。僕も…みんなも、遊馬君とハルト君を助けたいんです。僕はハルト君に会ったことは無い。だけど、遊馬君にとって、ハルト君が大切な仲間なら…助けたいんです。」

「カイト…遊馬も、ハルト君のことをずっと心配していた。そのことは、あなただってわかっているでしょう?」

「…。行くぞ。オービタル。」

カイトは先に進もうとした。

「カシコマリ!!」

「カイト!!」

「助けたければついて来い。地下のごみ処理場に、遊馬もハルトもいる。」

「ゴミ処理場…?」

「あそこに…?」

 

「はあ…はあ…はあ…。体に…力が入らねえ…。体が…重くなっていく…」

青い電撃、そして《スフィア・フィールド》に力を奪われていく遊馬は衰弱していった。

「私のせいだ…。私の力が衰えてきている」

「アストラル…」

「遊馬。せめて、君だけでも助けたいな…」

「バカ言え…。お前を残していけるわけねえじゃねえか!!俺もお前も、そしてハルトも…みんな助かるんだ!!最後の最後まで…絶対あきらめねえ…。かっとビングだあ…あ…」

遊馬は力を入れようとするが、今の状態では焼け石に水だ。

 

「ようやく着いた…ごみ処理場に…」

侑斗達はゴミ処理場に到着した。

「フッフフフフフ…やはりたどり着いてしまったなあ。カイト」

浮遊装置に乗っているMr.ハートランドが降りてくる。

「弟の叫び声が、君の耳に聞こえたのかなあ?」

「貴様…ああ…!!」

カイトの視界に、スフィア・フィールド砲の一部にされ、苦しんでいるハルトの姿が飛び込んだ。

「ハルト!!」

「それに、遊馬君とアストラルが《スフィア・フィールド》の中に!!」

「Dr.フェイカーを邪魔するものは、誰であろうと容赦はしない。さあ、やってしまいなさい!侵入者を排除するのだ!」

「「「ゴミ…ゴミ…ゴミ…ゴミ…」」」

周囲の隠し扉から大量のオボットが現れた。

しかも、両腕に超振動剣が装備された人型形態をもつ戦闘用に改造されたタイプだ。

「迎え撃て!オービタル!」

「カシコマリ!!やってやるでありますーーー!!」

オービタル7は変形し、右腕に巨大なドリルが装備された大型戦闘形態となり、オボットを蹴散らした。

「くう…。《ガスタの魔剣術》!!」

「ええい!!巫女の風!」

侑斗は風の目を発動させ、《ガスタの魔剣術》で魔剣を実体化し、ウィンダも精霊の力で応戦する。

凌牙とカイト、蓮達も壊れたオボットの腕を使って戦うが、戦闘用に作られたオボットには足止め程度にしかならなかった。

侑斗達はオボット達を破壊するものの、一向に減る気配がなく、疲労が高まる。

「おいおい、当分オボットの顔を見たくなくなってきたぜ…」

「機械は人間と違って、疲れを知らないからね…」

「キリがねえ…」

「くそ…このままではハルトが!!」

「案ずることは無い。ハルトは十分役に立つ。父であるDr.フェイカーのためなのだから、彼もさぞ本望だろう」

「貴様…ふざけるな!!」

「ふざけてなどいない。私はうれしいのだよ。Dr.フェイカーの長年の夢が、間もなく達成されることを。それは私の夢にもつながる。私はDr.フェイカーのためにすべてをかけてきたのだ。だから、だれにも邪魔をさせられるわけにはいかない。君たちも、九十九遊馬と一緒に消えてもらう!!」

「ユウ…あの人から…恐ろしい悪意が感じるよ…」

「うん…なんで僕があの人のことが好きになれないのか、ようやく分かったよ…」

底なしの欲望と、果てしない悪意。

これこそ、Mr.ハートランドの本質だった。

「さあ…地獄の門よ、開け!!」

「ゆ…揺れる!!」

大きな振動と共に、床が開く。

開かれる床から逃げ遅れたオボット達は漆黒の空間の中に消えて行った。

「これは…!!」

「この地下空間はアストラル世界につながっている。お前たちとも永遠にお別れだ!」

残ったオボット達が侑斗たちを葬ろうと更に襲い掛かる。

「まずいよ…この穴に落ちたら、永遠におさらばだ…」

「なんとかしなくちゃ…」

侑斗達が疲弊する中、ハルトはスフィア・フィールド砲に同化しつつあった。

「まもなくハルトは、スフィア・フィールド砲の一部となる。それによって、この父の夢が…願いが…すべての望みが現実のものとなるのだ!!」

「さあ!奴らを叩き落とせ!!」

Mr.ハートランドの声と共に、更にオボットの増援が現れる。

「これだけたくさんのオボット…もしかしたら、コントロール装置が!!」

「コントロール装置だと…!?…しまった!!」

「きゃあああ!!」

疲労で座り込んだ小鳥をオボットが襲う。

「危ねえ!!!」

「キャア!!」

凌牙は小鳥を突き飛ばすと、オボットの超振動剣が彼の腹部の右側を切った。

「凌牙君!!」

「当たれーーー!!」

ウィンダは巫女の風で、凌牙を攻撃したオボットを破壊する。

「おいクソロボット!!早くコントロール装置を見つけろ!!」

凌牙は出血を右手で抑えながら、オービタル7に命令した。

「うるさい!このロン毛!言われなくとも!!」

オービタル7は周囲を調べると、小型の装置を発見した。

「あったであります!オボットを操作するメインコンピュータが!!」

「やれ!!オービタル!!」

「カシコマリ!!オービタルステップ!カシコマリングだ!!オイラーーーー!!」

オービタル7は通常形態に変化すると、軽快にオボット達の攻撃をかわし、メインコンピュータに到達した。

「そして、ずっとオイラのターン!!このコンピュータに容量を込める電圧をーーー!!」

オービタル7は膨大な電圧をメインコンピュータに叩き込んだ。

しかし、その反動がオービタル7に襲い掛かる。

「何!?」

「ぎょえーーーー!!!」

オービタル7が落下すると同時に、オボット達の動きが止まった。

「こいつらの動きが止まった!!」

「よっしゃあ!!」

オービタル7の行動は、意外な結果をもたらした。

「バ…バカな!!ハルトのエネルギー値が下がっている!?」

Dr.フェイカーのコンピュータ画面に表示されているエネルギー値が下がり、ハルトのスフィア・フィールド砲との同化が収まった。

「オービタル!!」

装甲の一部が焦げ、エネルギーを消耗したオービタル7に小鳥が駆け寄る。

「よくやった!!オービタル!!」

「カイト様から…お褒めのお言葉を…本望であります…」

オービタル7は全機能を停止してしまった。

「オービタル…ありがとう…」

小鳥は涙を流しながら、彼に感謝した。

 

「なんだ…?これは…」

徐々に力が戻ってくるのを感じる遊馬。

青い電撃が収まったことで、力の吸収が止まったのだ。

そして、遊馬の目に侑斗たちの姿が映った。

「あれは…小鳥、シャーク、カイト、侑斗、蓮達も…!!」

「《スフィア・フィールド》のエネルギーが弱まっている。今ならもしや…」

アストラルは遊馬と分離した。

「アストラル…?」

「遊馬。君は行け」

「え・・・?」

「今なら、君だけでも逃げることができる」

「何言ってんだ!?お前も一緒に逃げるんだ!!」

「それはできない…。私は、《スフィア・フィールド》の中でしか生きられなくなっている。なぜなら、私はナンバーズそのもの…」

「そ…そんな…」

遊馬の目の前に1枚のナンバーズが現れる。

《No.39希望皇ホープ》…。

遊馬とアストラルをつなぐカード。

「これは…」

「希望…そして未来」

「アストラル…お前!!」

「行け。行って、ハルトを救い、アストラル世界を守ってくれ」

アストラルは最期の力を振り絞り、遊馬を《スフィア・フィールド》から解放した。

「うわあああああ!!」

「遊馬…君に未来を託す…」

 

遊馬が侑斗たちの近くに落下した。

「「「遊馬(君)!!」」」

「ハハハハハハ!!余計なことをしてくれたな…だが、何をしようと無駄なこと。もうじき、お前たちはアストラル世界とともに吹き飛ぶ。あのスフィア・フィールド砲によってな!!」

近くの壁が開き、Dr.フェイカーが姿を現す。

「(そうか…そういうことか!!分かったぜ!アストラル!)シャーク!カイト!俺に力を貸してくれ!アストラルに託された…希望と未来を守るんだ!!」

「希望と未来…」

凌牙は《No.47ナイトメア・シャーク》を取り出す。

このカードをもらったことで、ここまで来ることができた。

そして、あの事件の真実にたどり着き、トーマスと和解することができた。

「フン…」

「凌牙…」

「瑠那。止めても無駄だ」

「分かってるわ。だからせめて…」

瑠那は服の一部を破り、包帯代わりの凌牙の腹部に巻いた。

「瑠那…。すまねえ。」

一方、カイトも《超銀河眼の光子龍》を取り出す。

(ハルト…お前も俺に託すんだな。希望と未来を…)

「俺たちの心は決まったぜ!俺たちとデュエルで勝負だ!Dr.フェイカー!」

「面白い。コンピュータの自動修復の暇つぶしにはちょうどいい。そのナンバーズも返してもらわねばならぬしな。良かろう。相手になってやる」

(遊馬…シャーク…カイト…あなた達こそ私たちの希望…守って!未来を!!)

竜司による修復を受けているオービタル7を支える小鳥は遊馬たちをじっと見た。

「なら…僕も!!」

「させん…Dr.フェイカーの邪魔はさせん!!」

急に停止したオボットが再起動し、侑斗たちを襲う。

「くそ!!また動きやがった!!」

「そんな!!」

「ハハハハハ!!こんなこともあろうかと、私のデュエルディスクに予備のコントロールシステムを組み込んでおいたのだ!」

「じゃあ、あなたをデュエルで倒さなければ、オボットは止まらないってことですか?」

「そういうことだ。だが、私に簡単に勝てると思わないでくれたまえ」

「ユウ!!小鳥ちゃんたちは私が守るから、ユウはMr.ハートランドを倒して!!」

「ウィンダ…」

「侑斗。あなたにも賭けるわ。私たちの希望と未来を」

「そういうこと。悔しいけど、今はオボット達で手一杯だし」

「竜司…瑠那…分かった。Mr.ハートランド!デュエルです!!」

侑斗はD・パッドとD・ゲイザーを装着すると同時に、蓮も準備を終えた。

「蓮…」

「これ以上、お前だけにいいかっこさせるかよ!俺も混ぜろ!!」

「いいだろう。ならばお前たち2人まとめて相手をしよう。だが、私のライフは8000で始めさせてもらう」

「勝手にしやがれ!行くぜ!侑斗!」

「うん!僕たちは…負けない!」

(神様…ユウと蓮君を守って…!)

「「「デュエル!!!」」」

 

侑斗

手札5

ライフ4000

 

蓮

手札5

ライフ(侑斗と共有)

 

Mr.ハートランド

手札5

ライフ8000




遊馬たちがDr.フェイカーとデュエルをしている間に侑斗達は再起動したオボットを止めるため、Mr.ハートランドとデュエル!!
双方のデュエルの行方は…?
ちなみに、戦闘用に改造されたオボットは強くなっている、Mr.ハートランドがまだ異世界に落ちていないなど、アニメと設定や展開が異なっています。
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