大空と死の支配者   作:ばすけばすけ

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アニメでアルシェちゃん初登場!!

でも想像よりも可愛くなかった感じが。

原作開始前何でクーデリカ達はアニメよりも幼いですよ。


白百合

エンリの冒険者登録を済ませると早々に次の街へと移動するために食料などの買い出しを始めるチェーロ達。

行く先々で冒険者からゲスな視線を向けられることもあったが、その都度ハムスケに威嚇をさせて追い払っていた。よほどハムスケが怖いのか遠巻きから眺めているだけで声をかけて来ないのが、どちらにとって良いことであったのかはいうまでもない。

 

「チェーロ、食料はこれくらいあれば足りると思う。この街に用がないならはやく移動をした方がいいかも。」

 

「そうですわね。ここは帝国との国境近くで戦に巻き込まれる可能性も捨てきれませんから。」

 

「なら三日後の朝一にでも出発しよう。次の街に行く前にエンリに武器の使い方も教えたいし。エンリ達もそれでいいね?」

 

「はい!大丈夫です。でもこんなにアイテムをもらってもよかったのですか?武器をもらっても使えるかどうかわからないですし・・・。」

 

「アイテムは気にしないで。武器の使い方は俺やレイナと訓練をしながら練習すればいいよ。」

 

それから二日間、エンリはチェーロからもらった鞭の練習をゴブリン、オークを相手にしていた。一日目は一対一で当てる訓練をし危ない場面がいくつかあったがアルシェによる強化魔法と防具に助けられた。二日目は複数体相手に当てる訓練をした。チェーロとレイナの指導の元、間合いの測り方や足捌きなど、戦闘の基礎を叩き込まれて二日目の午後にはなんとか鞭を扱えるようにはなっていた。

 

そして二日目の夜に事件は起きた。街にスケリトル・ドラゴン二体と未知のアンデットの騎士が襲ってきて、墓地の懲戒任務に当たっていたミスリル級冒険者チーム クラルグラ が対処にあたるが壊滅したという連絡が組合に届けられた。プルトン・アインザックは組合に残っていた冒険者達に指示を出し、衛兵と協力して街の防衛任務に当たらせ宿屋にいる冒険者達にも伝える様にと受付嬢達を走らせた。

 

同じ頃、チェーロ達も街が慌ただしくなったことから異変を察知し、装備を整えていた。

 

「クーデリカ、ウレイリカ、ネムはここで待ってて。ハムスケ、三人の護衛をお願い。」

 

「「わかった。ネムと三人でするポーズをかんがえて待ってる。」」

 

「私もやらなきゃダメなの?」

 

「ほかとはちがうこせいをみせるべき。」

 

「いましかない私たちだけのぶきをつかいこなすの。」

 

「ネム。ちゃんとハムスケさんの言うことを聞いて待っててね。」

 

「二人もいい子にして待ってて。直ぐに帰ってくる。」

 

「エンリさんも気を抜かないでくださいね。チェーロさん、敵の状況によりますが私がエンリさんのフォローに入る形でよろしいでしょうか?」

 

「ん~どんなモンスターが来たかも数もわからないから様子見かな。後は他の冒険者や衛兵もいるだろうから、その人達といてもいいだろうし。」

 

チェーロ、アルシェ、レイナ、エンリは駆け足で門に向かう。その最中でも門からは魔法の音や金属がぶつかり合う音などが聞こえてきていた。

 

門に到着すると複数のゾンビが門を壊そうと押しかけており傷ついた人々が回復魔法をかけられたりとそこら中に横たわっていた。門の外にはゾンビとその奥にスケリトル・ドラゴン二体とアンデットの騎士がこちらの様子を窺うように佇んでいた。怪我がない冒険者や衛兵も戦意を喪失してしまっているのか武器から手を離しており、呆然と門をみていたり膝から崩れ落ちている姿があった。

 

「アルシェとレイナはスケリトル・ドラゴンをお願い。俺はあのデス・ナイトの相手をするよ。エンリは周りのゾンビをお願いしていいかな。何体かスクワイア・ゾンビが混じっているだろうから気を付けて。まずは門の前のゾンビを薙ぎ払う!!」

 

「「了解!」」

 

「チェーロさん。門の前のゾンビは私にやらせてください。」

 

エンリが腰から鞭を外して構えると、タイミングを見計らったかのように門が突破されてゾンビが雪崩れ込んでくる。近くにいた衛兵が襲われようとしていたが、ヒュンッと音が鳴った後に周囲にいたゾンビの頭が吹っ飛んでいた。遅れて到着した冒険者達が見た光景は鞭を振るうたびに何十体ものゾンビが吹き飛んでいく姿だった。

 

エンリが持っている鞭は持ち手は一つだが、途中から四つに枝分かれしており、その一つ一つに魔法の付属効果が施されていた。また命中補正機能もあり鞭の射程距離内で方向があっていればレベル差がない相手ならば必中の効果を持っていた。

鞭を振るうと、一つからは炎が周囲に展開され、また違う場所では電撃が迸り、風の刃が襲い、氷の礫が飛出し、攻撃があたったゾンビの周りにいるゾンビも倒していく。

 

「エンリ ここは任せたよ。門から先へは行かせないで。」

 

「はい!!」

 

「アルシェさん。すぐに援護に行きますわね。」

 

「ム 必要ない。スケリトル・ドラゴンぐらいすぐに倒す。レイナの方こそ一人だと不安なら援護してあげるけど。」

 

「ふふふ 私にも援護は必要ないですわ。重爆と言われていた攻撃力の前には無意味だと証明してあげましょう。能力向上、流水加速。」

 

エンリが切り開いた道を三人が走り抜ける。その行動をみたスケリトル・ドラゴンは翼を広げて突進してきて、デス・ナイトも雄たけびをあげた。

 

レイナは槍を前に出してそのまま全速力で駆け出して一体のスケリトル・ドラゴンに突き刺さるとそのまま後方へと推し進めた。アルシェはフライを唱えて残った一体に向けて気を引くためにライトニングを放った。

 

「やっぱり効かないか。ならチェーロから手取り足取り愛情たっぷりに教わった必殺の一撃で仕留める。まずは足を止める!」

 

アルシェはスケリトル・ドラゴンの爪の攻撃をフライを使用して右に左に避けたり、杖で防御をしたりとマジック・キャスターにしては異様な身体能力の高さを披露していた。

 

「クリスタルランス、サモン・エンジェル・3rd 天使達よ、そのモンスターの動きを止めて!!」

 

アルシェが飛び立とうとしたスケリトル・ドラゴンに水晶の攻撃を放ち気をそらして、その間にアークエンジェル・フレイムを数体召喚して動きの邪魔をさせる。

 

「これで終わり、マキシマイズマジック チェイン・ドラゴン・ライトニング !!」

 

スケリトル・ドラゴンがアルシェから意識を離してアークエンジェル・フレイムに攻撃を加えると、パンッと手を叩いて第7位階の魔法を発動した。

すると龍のごとき白い雷撃がスケリトル・ドラゴンをのみ込むと重なり合っていた骨が一瞬でバラバラになり周辺にいたゾンビ達にも雷撃が襲いかかっていった。

それを見たアルシェは手を上にあげてこう叫ぶ

 

「完 全 勝 利 !!」

 

 

一方、レイナはスケリトル・ドラゴンに休みなく槍での連続攻撃を続けており、一回一回の攻撃で身体を構築している骨が大量に吹き飛んでいた。

 

「つまらないですわ。やっぱりハムスケさんとの模擬戦をしすぎたのかしら。」

 

レイナはこの二日間、エンリに指導している時以外はハムスケと訓練をしており、何度も顔を地面につけるような敗北も味わってきた。その度にチェーロに慰めてもらおうと抱き着いたり色々としてはいたが・・・。本人は自覚していないがハムスケとの訓練によりレベルも上がり装備に見合った動きもできるようになっていたのだ。

 

 

遅れて到着したアインザックとラケシルは事態の確認をしようと、呆然としていた冒険者に声をかけて状況を確認していた。四人の冒険者が飛び出して戦っていると聞いた二人は戦況を確認する為に外壁に上った。他の冒険者や衛兵もその後に続いていた。

 

 

「あのお嬢さんは先日、冒険者に登録したばかりだぞ!!」

 

外壁に上ると鞭を振ってゾンビ数対に立ち向かっているエンリを見つけて叫ぶ、助けに行こうとするがエンリが放っている鞭のスピードと立ち回りをみて練度の高さに唾を飲み込んだ。

 

エンリは最後の一体を仕留めると周囲を確認し門の正面に立ちふさがるように地面に一度鞭を一閃した。それはまるでここから先には通さないというように地面にラインが刻まれていた。

 

 

また、二人が激しい音がした方に顔を向けるとスケリトル・ドラゴンと対峙しているマジックキャスターと槍で攻撃している戦士の攻防が目に入る。

 

「第三位階!!それになんだあの白い雷撃は!!第五位階の龍雷に似ているが・・・なんと!スケリトル・ドラゴンを魔法で倒したのか!!!すごいぞアインザック!」

 

「こっちもすごいぞラケシル!!なんだあの目に見えない連続攻撃は!いま何回攻撃したんだ!」

 

スケリトル・ドラゴンと戦っていた二人に興奮していた二人だが、その中間地点で対峙している二つの陰に気が付くと表情を一遍させる。

 

「あれが報告にあった未知のアンデットか。クラルグラのメンバーをスクワイア・ゾンビにしたらしい。」

 

「なんて禍々しいオーラなんだ。ここにいるだけなのに恐怖で押しつぶされそうだ。あの二人とあそこで対峙しているのはこの間帝国から来た冒険者だよな。助けに行きたいが足が竦んで動かん。」

 

「ハハハ 俺もだラケシル。お互いに年は取りたくないものだな。ここは彼女達にかけるしかない。」

 

 

 

デス・ナイトと対峙しているチェーロは一人で考えを巡らしていた。

 

(三人共無事に倒せたようだね。でも・・・このデス・ナイトは自然発生したものではなくて誰かが召喚したものかな。魅了の効果が効いていないね。でも誰がなんの目的のために召喚したのか・・・監視されているものとみて奥の手は出さない方がいいかな。)

 

一つの結論に至るとアイテムボックスからナイフを二本を取り出して構えだす。元々拳で戦ってきたことから剣よりもナイフの方が間合いを取りやすいと言うこともあり武器を持つときはナイフを多用していた。

 

チェーロは地面を蹴ると瞬時にデス・ナイトの懐に入り込み右のナイフで顔面を一閃する。切られたデス・ナイトは一瞬たじろぐが、そのまま腕を振り上げて大剣をチェーロ目掛けて振り下ろした。振り下ろされてくる大剣をガントレッドで弾くと、その反動でデス・ナイトは後方にバランスを崩した。それを好機とみたチェーロはナイフ二本を胸に刺し付属されている電撃魔法を発動させる。電撃魔法が直撃すると黒く霧のようなものがデス・ナイトの身体から漏れ出す。

すると後方から歓声が鳴り響いた。チェーロとデス・ナイトとの戦いを観戦していた者たちが悪夢が去ったと喜んでいるようだった。

 

次の瞬間、歓声が悲鳴へと変わった。黒い霧がデス・ナイトの身体に戻り立ち上がってきたのである。冒険者達からは「もうお終いだ。」「あれは不死なのか。」「はやく住人に逃げるように指示を。」などの声が囁かれ始めていた。

 

チェーロは立ち上がったデス・ナイトに向かって走り出し、持っていたナイフの一本を顔面に向けて足蹴りする。デス・ナイトは持っていた盾でそれを防いだ。視界を塞ぐことに成功したチェーロはそのまま後方に回り込み首に残りのナイフを差し込み電撃魔法を打ち込む。すると今度こそ黒い霧が身体から出てきたデス・ナイトは砂になって消滅した。

 

外野からの歓声はなく、全員が驚愕に満ちた表情をしていた。見ていた外野からするとチェーロの姿が一瞬で消えて気が付いた時には後方で首にナイフを差し込んで雷撃魔法を打ち込んでいる姿だった。あまりの速さに視認することができなかったのである。

 

 

戦い終わって一息ついていたチェーロの元にアルシェ、レイナ、エンリが駆けつけて、その勢いのまま抱き着いてきた。アルシェが右側から抱き着き、エンリが左側から、チェーロよりも身長が高いレイナは後ろから抱え込むようにしていた。

 

その光景をみた人々はこの四人を【白百合】として呼び始め、その呼び名を気に入ったチェーロ以外から賛成の声が上がりチーム名として登録されることになる。

 

翌日、宿屋に組合からの使者がやってきて、冒険者組合に顔を出してほしいと言う通達があった。


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