チェーロは家が無事な間に(多少、壁と床に焦げ目がついて、一階は2DKになっていたが、全ての部屋の見通しがよくなるという事態にはなったが)双子忍者を石に変え、青の薔薇に事情を説明し明日の昼間には石化を解除する約束をして、アルシェは妹達とレイナはツアレ、エンリはネムと同じ部屋で就寝した。チェーロのみ一階でハムスケと一緒(ハムスケは自身がいても狭くない状況に喜んでいた)の部屋(空間)である。
翌日の朝、チェーロが目を覚ますと右側にはネムを抱いたエンリ、左側にはレイナとツアレ、上には妹二人を抱いたアルシェが眠っていた。
「・・・これは・・・・祭りか・・・?」
遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》を操作していたモモンガは何かを見つけたのか、手元の動きが止まる。
「いえ、これは違います。」
そばに仕えていたセバスが軽く険しい顔をして否定する。そこにはなんの力も持たなそうな村人が剣を持った騎士達に殺され、蹂躙されている。まさに『虐殺』という言葉がお似合いの景色が映っていた。モモンガはそれに気づき不快感のこもった舌打ちをし、そしてまたもセバスが口を開く。アルベドはニコニコとそのモモンガを見つめていた。
「如何なさいますか?」
「見捨てる。利益がないからな。」
そう発言したモモンガの目の前ではいま森から帰ってきたばかりの夫婦が騎士に剣を突き立てられている光景であった。
時は少し遡り
「ふぅ 今日と明日の分はこれくらで構わないな。今日は森が騒がしい・・はやく村に戻るとしよう。」
「そうね。なんか胸騒ぎがするわ。エンリやネムになにもないといいんだけど・・・。」
エンリの両親は森で薬草を採取していたが、嫌な感じがして急いで村へと戻る。村へと戻ると
「嫌だ~~~~~~!」
「ぎゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「皆殺しだぜ~~!」
「ヒャッハー!」
騎士の格好をした男達に村人が殺されている光景が目に入ってきた。
「逃げるぞ!!」
「あぐっ」
夫は妻の手を取り急いで来た道を戻るように森の中に駆け込もうとするが、騎士の動きの方が速く剣を背中に振り下ろしていた。背中を斬られた夫は妻だけでも逃がそうと騎士にタックルするが、その行動を嘲笑うかのように騎士は避けて妻の背中も切り裂いた。
「あなた!きゃあっ」
「クッ!」
「お~お 仲の良いこって それなら二人まとめて逝かせてやるよ!」
倒れた二人だが、お互いに手を伸ばし掌を握りこむ。その姿を見た騎士は仲間を呼んでタイミングを合わせて背中に剣を突き立てた。
「っああ゛?」
「なんだこりゃあ?おい!手の空いている奴らを集めろ!!」
「・・・・どう・なっているんだ。」
「これは・・・あの冒険者に・もらった・・」
剣が二人に到達する前に橙の炎が二人を守るかのように包み込んで剣を弾き返していた。
「あれは!!」
ガチャン!!
モモンガとセバス、アルベドが音のした方を向くと、控えていた一般メイドのシクスス、フォアイル、リュミエールが涙を流して持っていたお盆を落としていた。
「貴方達!モモンガ様の御前ですよ。お盆を片付けてこの部屋から出ていきなさい!」
「いや アルベド待てシクススだったな。あの者たちが身に着けているお守りに心当たりがあるのだろう?」
「は・・・い。あ・・・れは、私・・・たちメイドの・・創造主で・・・ある・・・チェーロ様・・・がお造りになり・・・私達に・・・与えて・・・くださったお守りと同じものです。」
「・・・ぁぁ・・チェーロ様が・・この世界に・・・。」
「グス」
「やはりか。(あの炎は見たことがある。確かにチェーロさんが造るアイテムにはあの炎が宿ることが多い。)アルベド!セバス!あの二人はチェーロさんのことを知っている可能性がある。保護をしにいくぞ!アルベドは完全武装でついて来い。ただし、ギンヌンガガプの所持は認めない。セバスはそのまま一緒について来い。一目で人とわかるものが一緒にいた方がいいだろう。」
「「承知いたしました。」」
一般メイドの話をきいたモモンガは仲間の手がかりを得るために村へと向かうことを決めて、交渉がしやすいようにセバスを一緒に連れていくことにした。