ナザリックまで戻ったモモンガは守護者達を集めて名をアインズ・ウール・ゴウンと改名したことを告げる。
そしてナーベラル・ガンマとルプスレギナ・ベータを連れてラ・ランテルにて冒険者登録、ユリ・アルファにはカルネ村との協力関係と帝国兵から生み出したデス・ナイトの管理、アウラにはトブの大森林の調査と意思の通じるモンスターには従属が死を選ばせることを命じた。
モモンガはモモン、ナーベラルはナーベ、ルプスレギナはルプーと名乗りラ・ランテルの冒険者組合を目指していた。
「ア・・・モモン様。あれが冒険者組合の建物になります。私が先頭にたちウジ虫共を根絶やししてきます。」
「様をつけるな。それから、敬語も止めろ。」
「そうっすよナーちゃん。モモンさんと呼ばないとダメっす。さん はい!」
「モモンさ-------ん。」
「ナハハハ! さとんの間が空きすぎっすよ。ナーちゃん面白すぎっす。」
モモンはナーベとルプーの会話を聞きながらナーベラルには時間が必要かと頭を抱えそうになるがとりあえずは様子を見ることにした。
受付で欠伸をかみ殺しながら事務仕事をしていた受付嬢に、冒険者への登録をしたいと告げると小部屋へと案内され講習が行われた。そして彼女の口からあふれ出る説明の濁流。違約金の発生する流れ、冒険者とは切っても切れない関係にあるモンスターの難度という概念、身分証明となるプレートのランクに対する説明が行われた。
「それでは、こちらが登録したての冒険者に与えられるカッパーのプレートになります。」
登録が終わった三人は宿屋へと向かい個室を取り部屋へと向かおうとするが、それを邪魔するかのようにスッと足が突き出された。
(成る程ね。)
モモンは新人に対する洗礼かなにかだろうと考えてその足を・・・・・男ごと吹き飛ばした。男は壁に穴をあけて外まで吹き飛ばされていた。
「「は・・・・・?」」
「大方、新人への洗礼と実力の見極めといったところだろうが、こんなことをしなくても相手の力量くらいは測れるように鍛えておくことだ。行くぞ。ナーベ、ルプー。」
放心している仲間であろう二人に忠告をすると二人を引き連れて部屋へと入って行った。
その夜、エ・ランテル西部地区共同墓地。そこに配備されている衛兵たちは目の前の出来事が信じられなかった。まるで悪夢だ。
「なんなんだ、この数・・・」
「百とか二百とかじゃ済まないぞ・・・。万は・・・いるのか・・・それにスケルトン・ドラゴンにあの時のアンデットの騎士までいやがる。」
地面どころかはるか後方までを埋め尽くすアンデッドの群れ。それが異臭を漂わせながら、門目掛けて雲霞のごとく押し寄せてくる。その中には以前にもいたスケルトン・ドラゴンとデス・ナイトの姿も確認することができた。
衛兵たちは急いで関係各所への伝達に周り、話をきいた冒険者組合長のプルトン・アインザックと魔術師組合長のテオ・ラケシルは急いで組合員を宿屋へと走らせて冒険者たちを共同墓地に向かわせた。
騒ぎを聞きつけたガゼフ・ストロノーフ率いる兵士達も基地へと向かい、門を破壊しようとしているゾンビやスケルトンに攻撃を加え始める。
「戦士長!このままでは門は破られます!」
「戦士長殿!!」
「おぉ アインザック殿。丁度いい所に、冒険者の何人かを住人の避難誘導に回してはもらえないだろうか。この数のアンデットだ。このままではこの門は決壊する。」
「すでにカッパーの冒険者に命じて住人を広場に集めております。アンデットがここにのみ集中しているのかはわかりませんので斥候部隊を編成して逃げる方向を見極めております。」
「さすがだな。」
アインザックは白百合が旅立った後に同様のモンスターが現れた場合の対処を考えており、街を捨ててでも住人を一人でも多く逃がすための案を街の有力者達との協議をして進めていた。その行動の速さにガゼフ達は驚いていたが
「うわぁあああああ!」
絶叫する衛兵たちの方を見ると背後には四メートルを越えるアンデッドが迫っていた。ガゼフが駆け出そうとした時、驚くべき光景が目の前に広がった。漆黒の戦士が突如として現れて槍を投げる姿勢で剣を構えたのだ。次の瞬間、戦士は剣を信じられない速度をもって投擲する。そして、たった一撃で倒してしまった。
「門を開けろ。」
「ば、馬鹿を言うな!向こうにはアンデッドの大群がいるんだぞ!」
「それが?この私、モモンに何か関係があるのかね?」
圧倒的な自信に溢れた漆黒の戦士の姿に、衛兵たちは誰もが威圧され口ごもった。
「まぁ、門を開けたくないと言うならそれでもいい。勝手に行かせてもらおう。」
戦士は飛ぶように門を飛び越えるとそれに続いて美女二人は文字通りに飛びながら門を飛び越えていった。
「アインザック殿、あの御人は?いや、今はいい。我らも続くぞ!この機を逃すな。」
門の前のアンデットの数が減っているのを確認したガゼフは自身の部隊を率いて門から飛び出していく。
「俺達も続くぞ!囲まれないように最低でも5人チームとなって行動しろ!接近戦に自信のないやつは塔の上から援護を頼む!」
アインザック達冒険者もその後に続いた。
モモンはアンデッドの大群を蹴散らしながらデス・ナイトの方へと進んでいく。ナーベにはスケルトン・ドラゴンの対処を命じており、ルプーには最低でも戦士長と組合長の二人は死なないように注意をしながらゾンビとスケルトンの相手を命じていた。
モモンが周りのアンデットを蹴散らすと新たに2体のデス・ナイトがゾンビを引き連れて登場した。つまり3体のデス・ナイトと対峙することになる。
また、ガゼフの方にも1体のデス・ナイトが現れていた。
「くっ!」
ガゼフは自らの装備が万全の状態であればと焦っていた。なんとか拮抗を保てているものの、いまの装備では強固な盾を切り崩すための威力が出せずにいた。
閃光が煌き、別の閃光が弾く。両者の剣に宿った魔力がぶつかり、かすかな放電を放つ。甲高い金属音が途切れることなく続いた。この拮抗は2体目のデス・ナイトが現れてガゼフに襲い掛かったことで破られるかと思われたが、デス・ナイトに横から天使がタックルを食らわせて体制を崩し、その一瞬のスキをついて後方からの剣を防ぎ距離をとることに成功した。
「なにをしているか!ガゼフ・ストロノーフ!!」
「お前たちのその姿は!法国の!?なぜ法国の者が私を助ける?」
「なぜ?なぜだと貴様!これだから王国の奴らは腐っているのだ!我ら法国は人類の守り手である!王国やら法国やらと理由をつけてこの光景から目を背けることなどありえん!お前たち、天使を召喚の後、後方へ回れ!神が王国に降臨し我らをこの地へと導きになられた!我らが日々研鑽してきたのはこの為にあったのだ!誰一人死ぬことは許さん!これを乗り越えた先に神が待っているぞ!」
ガゼフの窮地を救ったのはニグン・グリッド・ルーインが率いる陽光聖典の部隊であり、ガゼフは信じられないというような表情を浮かべていたが、ニグンからの言葉を聞き獰猛な笑みを浮かべるとニグンの隣に立ち剣を構えなおした。
「俺はお前たちのことを誤解していたようだ。」
「ふん 貴様と仲良くするつもりはない。」
「盛り上がってるっすね~~。《ヒール/大治癒》。戦士長には死なれたら困るんすよ。」
「これは・・・助かった。」
「貴様は・・・昼間にあの戦士と一緒にいた神官だな。まさか第6位階魔法の使い手とは。」
「戦士じゃなくてモモンさんすよ。モモンさん。覚えていてほしいっす。」
「あのモンスターを3体同時に相手にしているから只者ではないとは思うが。いまは目の前に集中だな。」
突如として現れた神官がガゼフに回復魔法を唱え、遠くで戦っている戦士を宣伝するかのように言いその場から離れていった。
長いので区切ります。