森の賢王はその巨体を沈め、ドンッ!と大地を揺らすような勢いで地面を蹴り上げた。巨体な塊となってチェーロに襲いかかるが、チェーロはヒラリと横に飛んで体当たりを回避する。
森の賢王はチェーロに追撃を加える為に鋭い爪の生えた前足を振りかぶり叩きつける。それに対してチェーロはバックステップをして華麗に避けて見せた。
「見事でござるよ!しかし避けてばかりでは某には勝てないでござる!」
「・・・・(ん〜今まで見た中では一番強いんだけど、反撃したら死んじゃうよね。かといって攻撃を受けても防御の反動で危ないだろうし。いっそ投げ技なら大丈夫かな?)」
チェーロはできれば生け捕りにしたいという考えからレベル差に悩んでいた。とりあえず投げてみようとジッと森の賢王の目を見ながらジリジリと間合いを詰めていく。ふと背後にてユラユラと揺れていた尻尾がギュン!と伸びて目の前に迫ってきた。そしてチェーロの身体を貫通して真っ直ぐに伸びていった。
「やったでござるか?」
「「チェーロ!!」」
その光景を見ていたアルシェとレイナは悲鳴を上げるが
「なんと!?」
「油断大敵。」
森の賢王が貫いたのはチェーロが高速で動いたことでできた残像であり、森の賢王が気付いた時にはチェーロが懐に潜り込んで背負い投げをされている最中であった。
轟音と共に砂埃が舞い上がりチェーロと森の賢王の姿を隠す。アルシェとレイナは息を呑んで砂埃が晴れるのを待つ。
「勝負あり・・・だよね?」
「参ったでござるよ。降参でござる。」
「じゃあ約束通りだよね?」
「姫の仲間になるでござる。」
「いや、姫ではないよ。」
砂埃が晴れるとお腹を丸出しにした森の賢王の上にチェーロが座り、片手で首に手をかけている状態だった。さすがの森の賢王も負けを認めて仲間になることを承諾した。
「はい。仲間に紹介するから立って。」
「かたじけないでござる。しかし姫は強いでござるな!」
「ん〜〜まあいいや。アルシェ!レイナさん!お待たせ。」
「バカ!!」
「アルシェ痛い!!」
「チェーロさん はぁ 勝てたから良かったですが・・・それにしてもこの魔獣が森の賢王ですか。」
「レイナお姉ちゃんさっきよびすてにしてた。」
「またもとにもどってるね。・・・さわってもいい?」
「某にでござるか?いいでござるよ。」
「「おっきいー。かたーい。」」
森の賢王を連れてチェーロが馬車に戻ってくるとアルシェが馬車から飛び出してきてチェーロに抱き着く。そのまま脇腹をつねりはじめた。レイナは安堵の溜め息を吐きながら馬車からクーデリカ、ウレイリカを降ろしてあげる。馬車から降りた二人は森の賢王を見て目を輝かせながら触ってもいいか確認し、恐る恐る身体に触っていた。
「姫!!某に名前をつけてほしいでござるよ!」
「名前ね。(ナッツって付けるのは嫌だし、こういうの苦手なんだよな。・・・苦手といえば、モモンガさんはもっと苦手だったな。モモンガさんなら、ござ丸・こざ吉・ハム・ハムハム・ハムスケ・・・)ならハムスケは?」
「ハムスケでござるか?いい名前でござる!!これからよろしくでござるよ。」
「ハムスケ・・・」
「まぁなんとも言えない名前ですわね。」
「ハムちゃんよろしく!」
「ハムちゃんせなかにのせてほしい!」
森の賢王はハムスケと命名されて、チェーロとクーデリカ、ウレイリカを背中に乗せて街道を進み始めた。
「ハムスケ、この近くに村か町はある?」
「村ならこの先にあったでござるよ。」
「ならそこで一泊できないか確認してみよう。」
「賛成。このままだと野宿になる。」
「フフフ すでに二人は眠いみたいですよ。」
チェーロに抱えられた二人はハムスケの歩く振動にあわせて頭をコックリコックリとさせており、レイナはそれを笑顔で見ていた。アルシェはフライを唱えてチェーロの元まで飛び、二人を受け取ると馬車の中に寝かせて地図を確認する。
ハムスケの案内で馬車は村へと到着した。
ハムスケの名前に悩み遅くなりました。
悩みましたがやっぱりハムスケはハムスケだろうと思いそのままにしました。