刀使ト修羅   作:ひのきの棒

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ガチクズ主人公。GTAシリーズでお馴染み、やりたい放題システム搭載!


ほのぼの日常回!!





第167話

 

 『ふぁーあ、おはよう百鬼丸くん。どうだい久々の地上に出た感想は?』

 心臓の方から声がした。

 

 おれは、一生眠ってればいい野郎の問いかけに苛つきながら「お前が話しかけなければ最高だったけどな」不機嫌に返事をした。

 ――――コイツは数か月前に多くの人を殺したテロリスト。容赦する必要はない。

 

 ちなみに、コイツの名前はレイリー・ブラッド・ジョー。今はワケがあっておれの心臓に人格が宿っていて、会話が可能な状態になっている。 

 

『ひどいなぁ、百鬼丸くん』

 「うっせ、黙ってろ…………」

 左の義手で頭を掻こうとした時、違和感を怯えた。義手の動きが遅い。タイムラグが5秒近くもある。

 

 「なんじゃこりゃ、動きが悪くなってる。何でだ?」

 一度おれは義手を取り外し、もう一度装着して手を開閉する。

 「やっぱ動きが遅いな」

 『百鬼丸くん。いいことを教えてあげよう』

 「ヤ」

 『ヤ、じゃないぞ。全く。いいから人の話というモノを聞きなさい』

 「うっせぇ、お前なんか嫌いだからヤ」

 『……………なんでそんなに子供っぽい反応なんだい?』流石のジョーも呆れながら、『まあいい。じゃあコレは独り言だ。君の左腕は刀が無くなったからなんだよ』

「…………どういう事だよ?」

 

 おれはムカつきながらも、一応その理由とやらを聞いてみる。

『うーん、そのチンパンジー以下の脳みそでも解りやすく教えてあげるとすれば、君の左腕は《無銘刀》を介して微弱な電気信号を義手の人工筋肉に送っていたんだ』

「???? おいまて、あとチンパンジーってなんだ?」

『――――さて、話を続けようか』

 ん?コイツおれの質問を無視しやがったぞ。

「はぁ!? おい、待てだからチンパンジーって…………」

『とにかく、君は無銘刀を外したことで、神経の中枢から送られる微弱な電気信号を受けて人工筋肉を動かすことが難しくなっているんだ。だから、刀に代わる適当な金属か何かで代用するしかない。そういうワケだ』

 

「?????? 難しい。ジョー、てめぇワケわからん事いっておれを騙すつもりだな?」

『……君は本当に今までどうやって生きてきたんだ』

 『とにかく、適当な金属を腕の付け根に装着すればいい。簡単だろう』

 「そうか。ム、まあそうだな。わかった」

 しかし、そうは言っても簡単に金属なんて見つかる筈もない。ふと、腰に目線が向く。

 

 《無銘刀》のオリジナル。

 

 これはダメだ。正直に言えばコレを肉体に直接装着すればおれは正気を失う。この刀は既に魔剣の類になっている。数多の魑魅魍魎、悪鬼羅刹を切り伏せた事で、この刀自体が化け物となって、異形の血を求めている。

 

 そんなもん、おいそれと装着できるワケがない。

 

「しかし、どーすっかなぁ――――」

 おれは考えながら、周囲の気配を探った。

「やっぱ…………ダメだ。とにかく渋谷ってトコロまで行かねぇとダメだな」

『……あくまでコチラは寄生している立場だ。宿主の意見は最大限まで尊重させてもらうよ』

 

「バイクか。とりあえずムカつく野郎どもをブチのめして奪うのが一番いいかな」

『君は原始人以下の倫理観しかないようだね。まったく最高だ』

「うるせぇ、テロリストに説かれる倫理観なんざクソくらえだ」

 

 ああ、全くどこかに都合のいいバイクが「落ちて」ないかなぁ…………。

「あん? ――――へへ、」

 おれは思わずイイコトを思いついた。橋を走行するバイクを貰えばいいんだ。

 

 

 

 ◇

 

1:名無しの速報 Invalid Date ID:dsblk85hs

いま、ニュース速報で知ったんだが渋谷が凄いことになってるらしい…………

 

 

2:名無しの速報 Invalid Date ID:JPl+LCUa/

どーせ、誤報だろ。あの放送局とか喜々としてフェイクニュース流すからな

 

3:名無しの速報 Invalid Date ID:Uq+McCrky

うっそwwwwwだろwwwwww

 

いや、嘘だよな?渋谷で知り合いと待ち合わせだったんだが

 

4:名無しの速報 Invalid Date ID:X7FYZU9Sb

>>3知り合いとは連絡とれたん?

 

5:名無しの速報 Invalid Date ID:e1bz/rw3G

いや、既読がつかん

 

6:名無しの速報 Invalid Date ID:DTDf2RwX0

ニュース「渋谷のスクランブル交差点で正体不明の巨大生物ガー」

 

なんだこれ?頭おかしいんか?どーせ、荒魂みたいなやつだろ。

 

7:名無しの速報 Invalid Date ID:UI1rXcono

最近の刀剣類管理局といいマトモに仕事しないからなー

 

鎌倉でもお漏らしするくらいだからwwww

 

8:名無しの速報 Invalid Date ID:xVIdlAK//

やべぇじゃん。動画投稿のサイト巡りしてたら普通に人が喰われてるシーンとかあるし

 

普通に撮影されてるんだが……規制しないとダメだろ、これ。普通に気持ち悪ぃんだが

 

9:名無しの速報 Invalid Date ID:mMo1j3C0v

食殺シーンとかマジっぽい映像だな……しかもなんかスマホから緊急避難警報鳴ってるし

 

 

 

 ◇

 

  ――――日本の地層について考えたいと思う。

 

 この国の地層は欧州と比較しても脆弱である。その理由には、活火山とモザイク状に分布された地層があり、更にフォッサマグナを代表する断層が存在する事にある。

 

 

 関東地方の地層は特に富士山が活火山として噴火した頃に降らせた火山灰の影響もあり、地中を潜水するバラゴンにとって最良の地層と言えた。

 

 また、日本列島はいくつかの大陸プレートの上に不安定に存在している。有名なものとして、ユーラシアプレートと、太平洋プレートが存在する。その他にも北米プレートやフィリピン海プレートなどが重なり合い、この極東の弓なりの列島を形成している。

 

 つまり、欧州や大陸と異なり活発な活動を続ける地層であり、すなわち、バラゴンは好んで活動し易い極東の島国に棲みついたと考えれば良い。

 

 

 ――――そんな長い年月を睡眠に費やし、再び目覚めた時には地上で数万年ぶりの食事を堪能するのだ。飽くなき食欲に対し忠実な巨獣は、これまで地上を我が物顔で支配してきたホモサピエンスに対し、真の生物の頂点を行動によって示した。

 

 

 

 ◇

 

 渋谷。――――読んで字の如く、本来この地は「谷」であった。

 宇田川、目黒川、渋谷川、いもり川などが交差する水源の豊富な土地であったこの渋谷は、近代まで渋谷はのどかな村だった。

 また、1950年代ごろまでは豆腐屋が軒を連ねていた。豆腐という食べ物は水の豊富な土地で作られることが一般的で、事実、渋谷の地下道も壁から水が染み出すほどで、大雨の日は冠水する様相を呈したという。

 

 50年代以降、経済成長に合わせて首都圏では高層建築物が乱立した。当然、工業の発達により、水も必要となった。

 

 企業は豊富だった地下水を汲み上げることで、工業用の水を確保した。それは、後年にゆるやかな「地盤沈下」という現象をもたらした。

 

 国は地盤沈下という現象を重くみて、地下水を汲み上げることを禁止した。

 

 しかし、時代が変遷すると共に、今度は逆に地下水が豊富になりすぎ、地下水害を引き起こす事態となった。

 

 ◇

 

 バラゴンがまるで、無垢な子供のような瞳で瞬きをする。上瞼からアスファルト舗道の砕けた粉がパラパラと落ちた。内皮膜から巨大な眼球の水晶体が、コンクリートジャングルを映した。

 

 すり鉢状になった地形では、バラゴンの巨大な体躯は行動を制限し、未だ下半身が地下に埋まっている。

 

 ギャオオオオオオオオオン!!

 

 バラゴンの舌は新鮮な血液と肉片の鮮やかな紅色で濡れていた。蝙蝠が翼を広げたような形の耳が、周囲の騒然とした人々の「音」を感知する。

 

 〝彼〟にとって、人は食料でしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。

 

 

 灰色の空、霙交じりの雨が降り始めていた。

 

 巨大な頭を振り、バラゴンは太い前脚で地面を踏みしめる。全身で外界へと繰り出そうと一歩、一歩藻掻きながら地面から抜け出そうとしている。

 

 

 

 ◇

 『謎の荒魂出現』

 その一報を聞いた時、田村明はなぜか妙に落ち着いていた。理由は自分でもよく分からなかった。だが最近のキナくさい雰囲気に「何かが起こる」と予想していた。……そして、予想は最悪の現実として現れた。

 

 タオルで顔の汗を拭いながら、

「どうなってんだ」一言呟いた。

 

 明は訓練場から同僚たちと戻り、ロッカールームでSTTの出動用の装備と衣服に着替えていた。

 

 通常、荒魂の対応はSTTと刀使が行う。

 しかし正体不明とも言われるバケモノ対処に、STT(大人)はともかく、刀使(子供)まで出動命令を出す。明は、そんな形式的なお偉いさんのやり方に苛立ちが募った。

 

「――――。」

 

 

 

硬い表情でロッカーを殴った。

 

 他の同僚たちは、普段見せない明の粗暴な行動に驚きながら、皆理由が分からず、室内は微妙な空気が漂った。

 

 ハッ、と我に返った明が誤魔化すように笑った。

 

 「あはは、スマン。昨日は飲み屋の嬢と少し揉めてな。あはは」

 

 皆、明の弁明を受け入れるように微妙な笑みを浮かべながら「ああ、そうか。まあ、上手くやれよ」とか、「お前、いい加減夜遊びやめんか」などと口々に冗談っぽく言った。

 

 

 「そうだな」と、曖昧に笑いながら明は受け流した。

 

 

 (これは、荒魂なんかじゃない――――。これから何と戦わされるんだ?)

 

 明は周囲に目線をやると、皆、微かな緊張を抱えているような翳りある表情だった。

 (……当たり前だ、STTの現場の人間はバカじゃない)

 歯噛みしながら明は思う。

 皆も今回の化け物が荒魂である筈がない、と直感で分かっている。 

 

 (人は駒じゃねぇんだぞ!!)

 

 明はそう思いながら前腕レガーを装着した。

 

 




……全く関係ないけど、何故か創作物だと人殺しは読者的にはOKだけど、犬猫を殺したら読者から批判が殺到したとか。とある有名な作家が言ってたけど、普通の人間の倫理観も結構ヤバイのでは?
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