ゲンドウ、再び   作:被検体E-1n

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使徒、再来

 第三新東京市、中心街から少し離れた住宅地に朝日が差し込み始めた。周辺の家々からも少しずつ活動を始めた人々の生活音が聞こえはじめる。

 ゲンドウはその不愛想な見た目とネルフ司令官という立場に似合わぬ非常に一般的な一軒家を購入していた。それもこれも全てはシンジの為であるが、立場ゆえにその事を口に出すことは無く、また彼を知る人物からしてもあまり家庭の問題に首を突っ込むような野暮な人間はいない。しかしこの住宅街に住む人々の約半数はネルフの職員用の社宅(主に警備スタッフなど)であり、自身の身辺警護も兼ねているためと冬月などに語っているが、目的は見透かされており完全に職権乱用である。

 

「行ってきます!」

 

 年齢相応の少年らしい快活な声が玄関に響いた。

 

 そんな息子の何気ない所作が眩しかった。

 シンジが越してきてから一週間程が経過した。未だクラスメイト達とは距離を掴みあぐねているようだが、何とかこちらにも慣れてきているようだ。この子には普通の生活を送らせてやりたいと考えている身としては、エヴァなどには乗せないのが一番であろう。本来であれば人類の未来などと言うあまりにも重すぎる重責を、たった14歳の子供に背負わせるという状況が狂っているのだ。そしてそのための布石は既に用意してある。

 

「シンジ、今日は学校が終わり次第迎えを出す。少しネルフに寄ってくれ」

 

 突然父からの送迎予告に混乱した表情を見せるシンジは、なぜ親の職場に部外者である自分が呼ばれたのか疑問を抱いた。

「分かったけど、何かあるの?」

 当然の疑問ではあるが、これに対する回答も既に用意してある。

 

「あまり心配しなくていい…ただの健康診断だ」

 勿論嘘であるが、ここで健康診断と思い込ませておくことで後々の面倒を回避することが出来るはずである。

 

「そうなんだ、じゃあ学校で待ってればいいんだね。ってもう時間がまずいかも!行ってきまーす」

 そんな事とはつゆ知らず、元気に飛び出してゆく息子の背中を、ゲンドウは見送りつつ今後について思考を巡らせる。

 

「こんな形であれ…巻き込んでしまう俺を許してくれ」

シンジを危険(エヴァ)から遠ざけるためには、一度この危険に近づく必要がある。これから戦場になるこの地が、自身の目の届く範囲がこの世で最も安全な場所なのだと、そう自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

「…碇のやつめ、今日も重役出勤か」

 

「しばらくは甘めにみましょう副司令」

 

 報告書の提出に来たリツコが冬月をたしなめていた。

 

 

 

――

 

 

 

 時間は過ぎ、一日も後半に差し掛かる。第三新東京の街並みは昼時の姿を見せ、オフィス街などから午後の英気を養うための昼飯に向かう者ばかりだ。それは学校なども変わらず、シンジの過ごす第一中学校も昼食の時間が流れていた。

 

 シンジは未だになじみ切れないこのクラスの中で何とか友人を作りたいと考えていたが、これまでの自分を顧みたとき、今まで自分が周囲の人間に対して作っていた壁を取り払えずにいた。なまじ初日の紹介でクラスメイト達から謎の印象を持たれているせいか、互いに話しづらい雰囲気になっていた。よってシンジは未だに一人で弁当の中身をつついている。

 

「また一人か…」

 

 校内はこんなにも多くの生徒たちの喧騒に満ちているのに、孤独を感じる。自分が壁を作っているのは重々承知している。しかしどうすれば良いのか自分では分からなかった。いや、今まで分かろうとしていなかったのかもしれない。

 そう思考の海に落ちようとした時、けたたましいサイレンの音が鳴り響いた。騒然とする校内に、教師たちの声が飛び交う。

 

「訓練じゃない!各生徒は直ちにグラウンドに向かい点呼を行え!」

 

 途端に驚き色めき立つ生徒達。突然の非日常に興奮を隠せないようだ。驚き思考を止めてしまったシンジにも声が掛かる。

 

「おい転校生!なにぼさっとしとる、はよ行くで!」

 

 こんな事態は初めてだったが通常の避難とは違うようで多くの生徒たちが移動を始めている。遅れてはならないとシンジも後に続いたが、どこへ向かっているのかさっぱりだった。

 グラウンドで点呼を終えたクラスから校外に移動している様子は不思議だった。本当の避難だというのに生徒たちはどこか気が抜けており、真剣なのは教師たちだけだ。確かに地震や台風でもないのに(ナニ)から避難するのか自分でも不思議に思ってしまうほどだ。

 

「ねぇ、避難って一体どこに向かうの?」

 地震や台風などの災害や、校内に不審者が立ち入ったなどと言う状況でもないというのに避難を行うという状況がおかしくて、つい疑問をクラスメイトの一人に聞いてしまう。

 

「あぁ、碇は転校してきたばっかだから知らないのか、聞いて驚けよ!何とジオフロントだ!何の避難かはよく知らないが、こんな機会でもなけりゃ入れないんだから災害様様だよ」

 

「そうだぜ、こんな時でもなけりゃ見れない貴重な体験だしな」

 

「俺は小学生の時の社会科見学で少し見たけど凄かったぞ」

 

 能天気に答える彼に同調するように呑気な生徒たちが同意を示す。どうやら彼らにとってジオフロントに入ることは貴重な体験らしい。今日の夕方には表層とはいえネルフに向かうシンジとしてはどちらにしろ同じだと思うことだったが、あまり口にしない方がよいだろうと彼らの様子から悟った。あまりに熱が入った様子で眼鏡の彼なんて鼻息を強く吐き出しては災害に感謝するなどと言うわけのわからないことを口走り、移動の列を乱していた。また、周囲を見渡すと、自分たち生徒だけでなく働いているはずの大人たちも避難に向かっていることが見て取れた。

 

 

 

――

 

 

 

「15年振りだな」

 

「ああ…間違いない。使徒だ」

 

 地上と同じようにネルフ内にもいつになく騒々しい雰囲気が満ちている。そんな中、ゲンドウは表層には出さないように努めて冷静に焦っていた。

「目標を捕捉、主モニターに回します」

 

 使徒の襲来予定が想定(まえ)より早い。たったそれだけだが、それは大きく組織全体にのしかかる。今現在は国連軍が使徒に対して攻撃を行い時間を稼いでいるが、それもいつまで続くか分からない。何より今の状態では恐らく使徒に対しネルフも有効打を打てない。今まで打ってきた布石はたったそれだけのことで水泡に帰すのだ。

 丁度自分たちの一つ上の階に陣取る国連の司令部がネルフ(こちら)に作戦の全指揮権を譲渡してきた。

 出し渋っていたN2兵器(最終兵器)でさえ無効化されたのだから仕方のない事だろう。ふと復帰したモニターに目を向けた時、そこに映る使徒の顔の様な模様の機関が再生されている最中であった。

 何故かその使徒と目が会った気がしたが一瞬の後、閃光とともに再びモニターは砂嵐に占拠された。

 

「我々の所有兵器では、目標に対して有効な手段がないことは認めよう。だが、君なら勝てるのかね?」

 司令部の中でもトップに位置する男の声で再び意識を目の前に戻す。

 

「そのためのネルフです」

 ここで連中に隙を見せてはいけない。それ故に見栄を切った。しかし事態は一向に予定外の方向に向かうばかりだ。

 

「期待しているよ」

 国連軍幹部の言葉が肩に重くのしかかる。

 颯爽とその場を冬月とともに後にするが、内心は冷や汗が止まらなかった。

 

「予定していたより早い」

 

「ああ、レイの負傷はまだ完治していないぞ。碇、どうするつもりだ」

 

 歩きながらもこの後の対応について頭を抱える冬月に、ゲンドウは絞るような声で答える。

 

「ダミープラグを使う…それしかあるまい」

 

 

 

――

 

 

 

 赤木ナオコは頭を抱えていた。主に目の前のネルフ二大巨頭の無茶振りにである。

 

「ですから司令、ダミープラグ(あれ)はまだ未完成です。機動実験テストの段階にすら到達していないんですから実戦に耐えうるだけの保証が何処にもありません」

 

 研究者として不完全なものをお出しするわけにはいかないナオコは、何とかこの堅物に食い下がろうとするが、状況がそうもいかないことにも一応の理解は示していた。

 

「構わん。使徒が沈黙している今のうちに最低限の調整さえ済めばいい。最低限ATフィールドさえ展開出来れば現用兵器で対処可能だ」

 

「そうは言ってもですねぇ、そのATフィールドがどのように発生展開するかのメカニズムさえ十全に理解していない我々が、どう調整するかなんて…はぁ、せめて今日計測するはずだったシンジ君の脳波と思考パターングラフさえあれば…」

 

 最後の方は小声になり聞き取れなかったが、時間がないことは彼女も理解したらしく、しぶしぶといった形で持ち場に戻っていった。

 

「碇、あれで大丈夫なのか?」

 

 ナオコとの対話でダミープラグが何処までも未完成であることを感じ取った冬月はゲンドウに疑問をこぼす。

 

「使えるものは十全に使うしかないのだよ」

 

 そういう事ではないんだがなとつぶやく冬月の声さえ耳に入らないほどの思考速度で現状の対処を脳内シュミレートするゲンドウは、考え得る最悪の事態になりつつあることを想像し、ぶつぶつとなにかつぶやきながら開発室を出て行ってしまった。

 

 今回のダミープラグはナオコ博士が生きていることにより、マギがメインの中枢を担う全くの別物と言っていいものになっていた。よってレイを扱った非人道的な研究によるものでなく、完成された思考アルゴリズムによるプログラムに置き換わっているのだ。が、より人道性と効率を求めた(シンジに嫌われない)結果ではあるものの、結局はそれが足かせとなり研究は難航していたのだ。

 

 

 

――

 

 

 

 ところ変わって第一発令所は先程の騒々しさから落ち着きを取り戻していた。それも使徒が再生に時間を使っている間だけであろうが、与えられた時間に余裕が出来たことにスタッフは一旦落ち着きを見せていた。そんな中モニターに遠距離から映し出される巨大な生命体である使徒に並々ならぬ視線をぶつける者がいた。

 

「ミサト、そんな怖い顔してても使徒は消えないわよ」

 発令所の後方からその人物に声をかけたのは、水着に白衣という大胆な格好をした赤木リツコであった。

 

「あんたこそ持ち場を離れてもいいわけ?」

 軽口には軽口を返すのがこの二人の定例のやり取りであり、ミサトも少し落ち着きを取り戻したように見える。

 

「私はもう初号機の調整は済んだから、後は母さん待ちよ。ミサトこそどうなの?」

 

「こっちもエヴァが動かないことにはなーんにも、人類を救うって息巻いていてもこのままじゃらちが明かないのよねぇ」

 

 二人とも人類の危機だというのにどこか落ち着き払っていたのは、この状況に未だに真になじめていないからなのかもしれない。

 と、今後について作戦部としての見解をリツコと打ち合わせようとした時、内線でミサトに連絡が入った。

 

『あっ、ミサトちゃん?ナオコよ、技術部から極秘で(・・・)通達することがあるからこっちまで来てちょうだい』

 

 一方的に内容を通達されるとすぐまた切られたが、ナオコが急いでいることぐらいは通じた。突然の連絡と一瞬で終わったやり取りに、頭の上に疑問符を浮かべたリツコがミサトの顔を覗き込む。

 

「何だったの?」

 

「ナオコさんから、技術部からの通達があるから来てほしいんだってさ。忙しそうだったからあんたも手伝いに行ったら?」

 

 自分は行くがリツコはどうするのかと問いかけるミサトだが、リツコは乗り気ではなさそうだった。

 

「私は遠慮しておくわ、中途半端に首を突っ込んで本来の持ち場に呼び戻されたら母さんは後が怖いもの」

 

 どこか陰のある返答だったが内容に納得したミサトは一人、発令所を後にした。

 

 

 

――

 

 

 

 いつもと違う非日常感に浮足立つ生徒達、シンジも同じようにそわそわしてしまっていた。避難と言えどもこんなものか、と感じつつ周囲の人々から暇だの何だのと上がってくる愚痴に耳を傾けていると、唐突に意識の外部から声がかかった。

「碇、なんか先生が呼んでるぞ」

 

 不意にクラスメイトに話しかけられて緊張し、更にその内容に疑問を持つ。

 

「何かやらかしたのか?」

 そんなシンジを見かねたのか声をかけたクラスメイトが心配そうに顔をのぞき込む。しかし自分にもその理由は分からない

 

「ううん、分からない。でもありがとう、とにかく行ってくるよ」

 

 呼ばれる理由は分からないが何故か心がざわつく。勿論普段とは違う現状だからこそのものかもしれないが、なぜかこの時のシンジには予感めいたものがあった。

 先生の所まで辿り着くと他の生徒たちや地域の人たちがいる現在の大スペースから小ぶりな別室へと案内された。

 少し入り組んだ道の先の小部屋に一人で通される。廊下に立ってここまで案内してくれた先生は何か察したような表情をしているが、一体こんな事態に何なのだろうかと疑問は付きまとう。

 

「碇シンジ君でいいのよね?」

 

 部屋に一人通されたシンジは突然話しかけてきた女性に困惑した。

 

「はい、そうですけど…ネルフの方ですか?」

 返答に一瞬面食らったが人の良さそうな笑顔を見せた女性に悪い人ではなさそうだと感じたシンジだが、この女性の目的までは分からずにいた。

 

「よく分かったわね。そっ、私はネルフ本部の作戦部長をしてる葛城ミサトよ。ヨロシク」

 

「ジャケットのデザインで、たぶんそうかなと…よろしくお願いします」

 ミサトが着る特徴的な赤いジャケットを指さすシンジに納得いった顔を見せたミサトは、さっそくと言わんばかりに本題を切り出した。

 

「突然だけどシンジ君、お父さんの役に立ちたくない?」

 

 不思議と予感めいたものがあった。この部屋に通されたとき、いや、もっと前から。始めてネルフに入った時。あの父に追い出された女性の研究者の話を聞いた時。もしかするとそれより前から。

 自分はこのためにここに来たという予感がした。

 

 返事は初めから決まっている。

 

 

――

 

 

 「――プラグ排出。やはりこのまま動かすなんて不可能ですよ。理論上は可能でも、我々の計算入力速度ではエヴァ本体の処理速度に追いつくことが出来ません。主任も何とか言ってくださいよぉ」

 キーボードをたたきながら泣き言をいうスタッフはナオコからゲンドウに対する文句を伝えるが、その手の動きは一向に休まる様子がない。

 同じようにナオコもキーボードに何かしらの数式などを入力しているが、対照的にこちらの顔は涼しげである。

 

「安心しなさい、今強力な助っ人(・・・)を呼んだから…ウフフッ」

 

 どこか含みを持たせた言い方であったが、少なくともほんの少しは作業が楽になると思ったスタッフ一同、恐らくリツコか非番のオペレーターなどを呼びつけたのだろうと想像し、再び愚痴と入力作業に戻るのであった。そしてその想像は半分正解であり、半分は不正解であった。

 

 そんな作業風景をケージの上から見下ろすゲンドウは、残りの時間を用いて何が出来るのかと思考を巡らせていた。

 

「冬月に現場指示は任せればいい…要塞都市の稼働も順調…最悪の場合はレイを…ユイ、俺はどうすればいい」

 

 シンジを失わないために多くの物を犠牲にしようとしている。しかし、それで本当にあの子が救われるだろうか、かつての自分はここまで来ることに、人を、物を切り捨てる時にここまで躊躇しただろうか。確かに組織のトップとしてそれは正しい姿だ。大いなる目的のために小を切り捨てる。そうしなければならない時は必ず来る。しかし、今の自分には失うもの(シンジ)があまりにも大きすぎた。大きくなりすぎた。ともすれば自分の生きる意味その物になりかけていた。

 このままでは全てを失いかねない。そう気づきかけ、未だ負傷して治療中のレイが眠る医療室に連絡をしようと内線に手をかけた時であった。眼下のケージ出入り口から入ってきた存在に目を奪われた。

 

 思考は一瞬にして止まり、再び猛スピードで廻り出す。

 

 お前はここに来てはいけない。

 

 こうならないために全てを整えて来たというのに。

 

 「…何故お前がここにいる」

 

 思わぬ大きさで口からこぼれ出た声が指示を飛ばすためのマイクに拾われケージにも届いたようだ。

 

 

 

 「父さん…」

 

  

 

 「シンジ…お前はこの場に居てはならない!今すぐ帰れ!」

 

 一瞬で思考を元に戻し現状の把握に努めるゲンドウは焦りのあまり普段見られることのない感情に駆られた怒鳴り声をあげてしまう。初めてゲンドウの怒鳴り声を聞いたスタッフは驚きのあまり作業の手を止めてしまう。シンジも普段から寡黙な父の姿からは想像できないほどの大声にたじろぐが、すぐさまきりりとした目つきでゲンドウを見上げて見せた。

 

 「帰らない!話はミサトさんとナオコさんて人に聞いたよ。今僕の目の前にあるエヴァンゲリオン(これ)にはたった現在(いま)僕しか乗れないんでしょ。僕だって父さんのために何かしたいんだ!お願いだよ、父さん!」

 

 息子に余計な事を吹き込んだであろうミサトとナオコに怒りを覚えるが、この現状での最適解はこれ(・・)しかないということは頭の(どこか)で理解していた。しかしそれとこれとは話が別だ。今の自分は、あまりにも人の親になりすぎていた。取れぬ決断を迫られ喉からは声にならない声が絞り出される。

 

 「息子は立派に成長した。ユイ君にその報告をする(・・・・・・・・・・・)くらいの気持ちでいいんじゃないか?碇」

 

 いつの間にか後ろにいた冬月にかけられた言葉に、在りし日の妻を思い出す。考え方によってはエヴァの内部が最も安全な場所だ。あとは妻に任せればいい(・・・・・・・・)。かつてもここぞという時に息子を守ってきた初号機の姿を思い出す。

 一瞬、だが自分にとって今までの人生の中で最も永い刹那、答えは意図せず紡ぎ出された。

 

 「…葛城一尉、サードチルドレン(・・・・・・・・)に説明を行いたまえ、必要な場合はレベル3までの情報開示を許可する」

 

 「!…司令、よろしいのですか!」

 

 良いわけがない。しかし、もう後がないのだ。今回もまた初号機の暴走でどうにかなるなどと思い上がってはいない。寧ろ気分は地の底だ。しかし、親としてではなくネルフの司令として己を律する。

 

 「総員、第一種戦闘配置」

 

 先ほどから静まり返っていたケージ内に再び熱が走りはじめる。スタッフに連れられてゆく息子を後目に今後の動きを再び決めるゲンドウ。頬を両手で叩き自身に活を入れる。この地に戻ってきた時の覚悟を再び自身の内に想起させたのだ。その眼には先ほどまでの甘さは残っていない。

 

 再び、使徒との戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

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