とある欲望の幻想破壊《イマジンブレイカー》   作:歌音

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別サイトに載せていた『とある欲望の封印生物』の再編集・改訂したものです。

よろしくお願いします。


序章/『幻想を破壊する右手』と『欲望を求める右手』
序章・第1話/運命の襲来


チャリン…チャリィィィィンッ…

 

金属の塊が落ちる音が聞こえる。その音は硬貨が地面に落ちる時の音に似ていた…

 

「な、なんだこれは!」

 

自分と『ビリビリ』を襲ってきた『化け物』の体から『硬貨のようなモノ』が溢れ出し、苦しんでいる。

 

その光景を、向こうで『ビリビリ』も驚きながら見ている。

 

まぁ、無理もないか。

 

自分では歯が立たなかった化け物に…

 

「どうだ…『人間』をなめんなよ…」

 

俺は絶対の勝利を確信した。

 

なぜなら…

 

俺は今、化物(おまえ)をこの『右手』で触れている。『幻想を破壊する右手』で…

 

「バカな…こ、の俺が…こんなァァァァァァァッ!」

 

そう叫び苦しみながら、化物の体は崩れていく。

 

「きさ、ま…は、いった、い…」

 

チャリン…チャリンチャリンチャリン…

 

足元にコインが落ちて砕ける。

 

「へっ…お前の幻想…破壊してやったぜ」

 

俺は勝利の言葉を化物に叩き付けた。

 

 

 

今思えば…俺は自分の『不幸体質』を舐めていた…舐めていたわけじゃ無いけど、舐めきっていた。

 

化物に襲われる『ぐらい』の不幸で終わるわけ無い事を…ちゃんと認識しておけばよかった。

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

次の日の朝…

 

寮の自室で『上条当麻』は眼を覚ます。

 

まず最初に自分の部屋を確認した。

 

そして…部屋に存在した、『確認したくないモノ』を確認すると、当麻は立ち上がり、カーテンを開ける。

 

晴天の空は当麻の部屋に眩しい光を注いだ。

 

「う〜んいい朝だ、と上条さんは平凡な朝を迎えましたよ」

 

「何現実逃避してるんだ」

 

聞きたくない声が聞こえてきた。

 

「まったく…バカな人間だと思ってたが、やっぱりバカだったか」

 

『それ』は近づいてきて、

 

「まっ、これからよろしくな、バカ」

 

当麻は『それ』…昨日自分が殺した『喋る化物の右手』を見て、

 

「不幸だぁぁぁ〜!」

 

朝一番の叫びを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「で、お前は何なんだよ!?昨日いきなり襲い掛かってきやがって!」

 

「それはこっちのセリフだ!ちょうど手頃な『欲望』を持った人間の小娘に『セルメダル』を入れようとしたら邪魔しやがって!何なんだ、お前の右手は!?」

 

1人と1腕は暫く言い合いしたが…

 

「や、やめるぞ。不毛だ」

 

「そ、そだな。腕の癖に良い事言うな」

 

とりあえず当麻は座り、腕も地面に降りる。

 

「俺の名前は『上条当麻』…っで、お前の名前は?腕でも名前くらいあるだろ?」

 

「…『アンク』だ」

 

互いに名前だけの自己紹介をする。

 

「で、お前は何者なんだ?」

 

「俺『達』は『Greeed』。今から800年位前に『コアメダル』を核に造られた」

 

「ぐりーど?こあめだる?」

 

そこからアンクは詳しく話し始めた。

 

自分達は800年前に造られた『王』だと、

 

「ふ〜ん、怪物の王様って訳だ」

 

「そうだ。で、俺達はこの世の『万物の王』となり、世界の全てをのみ込む事が目的だ」

 

「ほうほう。壮大ですな。聞いた上条さんはビックリですよ」

 

「ところがだ、その為には『セルメダル』と…『コアメダル』が足りない」

 

『グリード』は『コアメダル』を核として、『セルメダル』を細胞としている。

 

『セルメダル』を集めて『完全体』になる事が目的だったらしい。

 

「しかし目覚めたら『コアメダル』が足りないどころか、腕しか構築できない上に、無理矢理体裁を整えた体はお前が昨日腕以外全部消しやがった!『コアメダル』が無事だったから良かったものを貴様何者だ!只の人間じゃないな!?」

 

「そうそう、上条さんの事ですね。いいですよ話しましょう。俺の右手は『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と申しましてね」

 

当麻はアンクを左手で掴み、

 

「この右手は『神秘』ならば、例え超能力だろうと神様の造ったものだろうが…『異能』ならばどんな存在(モノ)でも破壊できるのですよ」

 

「なっ!?」

 

それを聞いてアンクは即座にその力の恐ろしさの一端を予測し、驚愕する。

 

「なんだその反則級の能力は!?貴様本当に人間か!?」

 

「人間ですよ。で、善良な人間としてはここで悪の怪人を始末しておいた方がいいという判断なんですよ。俺も不幸だけど、俺に近づいたお前も俺並みに不幸だよな」

 

「ま、待て!ちょっと待て!?」

 

ジワジワ近づいてくる『右手』にアンクはもがきながら叫ぶ。

 

「なんで俺がこんな事をベラベラお前に喋っていると思う!?聞いておいた方がいいぞ!」

 

それを聞いて当麻は気になり、動きを止める。

 

アンクの言うとおり何故自分に己の事をここまで喋るのだろう。

 

昨日、破壊(ころ)されかけたというのに…

 

「…言ってみろ」

 

「いいか?俺のさっきの自分の事を説明する時なんていったか覚えているか?」

 

「ん?えっと…お前『達』はグリー…ど?」

 

(ふ、複数形…)

 

と当麻は絶句する。

 

「そう、『グリード』は俺以外にも『6人』いる」

 

「なっ!?」

 

「でだ、ここで取引だ」

 

アンクは当麻の左手から逃れると、どこからか『石版』を出した。

 

「そいつは、『オーズドライバー』といってな…『OOO』に変身する事ができる」

 

「『オーズ』?」

 

「実はな…」

 

自分が不完全な形態で復活している事を自覚していたアンクは他のグリードから『コアメダル』をガメていた。

 

そして自分達の忌々しい存在であるこの『石版』も。

 

「なんてぇか…セコイなお前」

 

「うるさい!ハンデだハンデ!先に好き勝手させてたまるか!?」

 

それでこの『石版』を使って、自分にメダル集めをしろという話だ。

 

その代わり、他のグリードの事を教えると言う事だ。

 

「なんで俺がそんな事しなくちゃならねぇんだよ!?ふざけるな!」

 

「い〜や、お前はやるね。お前…」

 

アンクは確信を持って

 

「人間を見捨てる事ができないだろ?」

 

「ぐっ!」

 

核心を突いた。

 

「不完全とはいえ、俺の力を昨日見たろ?『強さへの欲望を持つ小娘』が撃ったヤツ…ふん、雷を使って鉱物を超速で飛ばすなんて人間にしては凄いじゃないか?俺はそれを喰らってもまったく動じなかった。あとあんなのが何人いる?」

 

「………」

 

正直、自分に突っかかってくる『ビリビリ』はこの『学園都市』の第3位。

 

その攻撃をこいつはビクともしなかった。

 

自分の『幻想殺し』じゃないと、歯が立たなかっただろう。

 

「で、どうする。俺の知識とこの石版がなきゃ、グリードは倒せない。正直、俺はお前以外のヤツにこの『石版』を使わせる気はない。殺されてもな」

 

「脅迫か?」

 

「お互い様だろう?秘密裏に事を進めたいんだ。みたかんじ…人間は随分知恵をつけたようだが…この辺りの人間は『禍使い』が多すぎる」

 

「禍使い?」

 

「昨日の小娘みたいなヤツだ」

 

「ああ、超能力の事か?」

 

「超能力?おい、今の人間にはそんなモノが備わってんのか?」

 

「ああ、それはここが『学園都市』だからさ」

 

「『学園都市』?」

 

当麻はざっくりと『学園都市』を説明した。

 

「ナルホド…だから『禍使い』が多いのか。まったく人間も少しは知恵を付けたじゃないか」

 

「そりゃ800年もたてばな。『科学』なんてここ100年だしな」

 

「ふん…で、昨日の小娘が『LEVEL5』か。今の所『脅威』じゃないな」

 

(もっとも…)

 

アンクは当麻を見て、

 

(俺達の脅威はこのガキだ)

 

アンクからしてみれば『幻想殺し』なんてのはふざけていると思えない。

 

つまり上条当麻は…

 

(『神』を殺せる人間か…ん?)

 

チャ…リン…チャリン…

 

「くくっ…」

 

アンクは嗤う。

 

「喜べ、人間…いや当麻」

 

「な、なんだよ。あ、アンク」

 

コレが最初に互いが名前を呼んだ時だった。

 

「セルメダルの音だ。いくぞ」

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

ここは学園都市の一角にあるブランド店。

 

今店内は大騒ぎになっていた。

 

「………」

 

騒ぎの原因となっている化け物は静かにたずんでいる。

 

(こんなものが『欲望』とは…人間も変わったな)

 

化け物…『Greeed』の『ウヴァ』は店内を見渡す。人間達は怯えている。

 

化け物だからというだけでなく、高価な商品を扱っているため、高額で雇っていた『LEVEL4』の用心棒が一瞬でヤラれたからだ。

 

「ん?」

 

ウヴァはある女子高生を見つける。

 

さっきウヴァが簡単に返り討ちにした、用心棒の彼女で今日彼に最高級のブランドバッグを買ってもらう予定だった。

 

化粧が濃く、身体中にブランド物のアクセサリーを付けている。

 

「丁度いい…」

 

ウヴァは一枚のメダル…『セルメダル』を1枚取り出す。

 

(『セルメダル』も今じゃ貴重なんだが…早く『アンク』の奴を見つけだして、『コアメダル』を取り返さなければ!)

 

『コアメダル』を持っていかれたウヴァの心情は内心穏やかではなかった。

 

「おい…」

 

「ひいっ!?」

 

ウヴァは女子高生を無理矢理立たせ、

 

「その『欲望』、使わせてもらう」

 

「え…?」

 

突然、女子高生の後頭部に『投入口』が現れる。

 

ウヴァはその『投入口』に取り出した『セルメダル』を入れる。

 

すると…

 

「あ、あぁ、あぁぁぁ…!?」

 

ズル、ズ、ズルルル…

 

女子高生の腹部から、『ミイラ』のような化け物が出てきた。

 

「ひいぃぃぃぃっ!?」

 

「騒ぐな!」

 

「ひっ!」

 

ウヴァの声に女子高生は黙る。

 

「こいつは『ヤミー』。お前の『欲望』から生まれた」

 

「わ、ワタシの…?」

 

『ミイラ』…『ヤミー』は女子高生の手を取り、

 

「がぶっ」

 

「ひぁぁっ!」

 

突然、手を口に入れられた!

 

不思議と痛みはない。

 

「もぐ、ごくっ」

 

何かを飲みこむと、女子高生の手は解放されたが、手を見た瞬間、顔が蒼白となる。

 

「わ、ワタシのティアールの指輪が…!?」

 

『ヤミー』は女子高生にどんどんかぶりつく。

 

「や、やめて?!ブリガリのネックレスが!やめ!このピアスもティアール!きゃ?!ジャネルのバッグだけはやめて?!」

 

女子高生が解放された時には、

 

「ううっ、ワタシのバッグ…」

 

心から落ち込む女子高生。しかし、『ヤミー』は喰いたりなかったのか、店内のブランド品を喰っていき、

 

「うぐ、あぁぁ!」

 

突然喰うのを止めると、カマキリを擬人化したような化け物…『カマキリヤミー』になった。

 

「俺の『コアメダル』を探してこい」

 

「…御意」

 

そういって、カマキリヤミーはブランド品店を飛び出した。

 

ウヴァは店を見回してあざ笑う。

 

「…800年たって、人間の欲望は更にでかくなったな」

 

ウヴァもその場から消え去った。

 

 

 

 

 

学園都市で一番高い階層を誇るビル。

 

このビルは学園都市最大の出資と寄付をし、世界経済にバカみたいな影響力を持っている巨大財団『鴻上ファウンデーション』のビルである。

 

「Happy Birthday to You」

 

その会長室で1人のコワモテの壮年男性が部屋に設置されている最新型キッチンの上で生クリームを使い、ケーキを作っている。

 

このプロ顔負けの技術でケーキを作っている壮年の男こそ、

 

「Happy Birthday Dear Greeed」

 

『鴻上ファウンデーション』の財団会長、『鴻上光生』である。

 

「Happy Birthday to You」

 

出来たケーキは一級品だった。

 

「会長」

 

美人秘書『里中エリカ』は鴻上の机(キッチン)の前に立ち、

 

「『グリード・ウヴァ』とその『ヤミー』が先程確認されました」

 

鴻上はそれを聞き、ニッコリ笑って、

 

「どうかね?」

 

「いただきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく…あいつ何者なのよ」

 

学園都市が誇る『LEVEL5』である『超電磁砲(レールガン)』こと『御坂美琴』は悪態を吐きながら、

 

「ちぇりお!」

 

ガン!

 

自動販売機を見事な飛び廻し蹴りを喰らわせるが、

 

「ありゃ?」

 

目当てのものが出てこなかった。自販機をよく見て、美琴は気づく。

 

「あ、鴻上ファウンデーションのヤツだ。まったくなんでこの会社の自販機は馬鹿みたいに頑丈なのよ」

 

「お前みたいなヤツがいるからだろ」

 

「にゃ!?」

 

突然の声に、美琴は驚き飛び跳ねる。

 

「あ、あんた…!?」

 

「まったく…自販機の前で何やるかと思えば…最近の中学生の犯罪意識の薄さに上条さんは世を憂いますよ」

 

後ろから声をかけたのは、自分のイライラの原因『上条当麻』だった。

 

「あ、あんた!?なんの用よ!まさか昨日の事…あの化け物を自分が倒せたからって勝ち誇りにきたっての!」

 

「いや、連れが『ジュース飲んでみたい』って言うからな。本当は別の自販機で買おうと思ったんだが、あまりの事にツッコミをいれてしまった」

 

当麻は自販機に120円をいれて、

 

「何飲みたいんだ?」

 

「え?」

 

「何飲みたい?」

 

「…コーラ」

 

「はいよ」

 

当麻はコーラのボタンを押して、出てきたコーラを取りだした。

 

「昨日はケガしなかったか?」

 

「う、うん」

 

コーラを『黒い手袋を嵌めた』右手で渡した。

 

(あっ…こいつ、なんで『手袋』してるんだろ…怪我でもしたの…?)

 

「よかったよかった。安心した」

 

当麻はにっこり笑って、

 

「お前みたいな奴でも、女の子が怪我したら大変だからな」

 

キュンッ…

 

「あ、あんた…」

 

美琴のハートがキュンッとなる。

 

「そ、その、あの、」

 

「おい!俺にもそれよこせ!」

 

「少し待てって…『がこん』ほらよ」

 

「ふん。こう開けるのか…よし、開いた」

 

「こ、こんな事で私が靡…って、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

美琴は後ずさりして、ひっくり返る。

 

そりゃそうだ。当麻の横には、『化物の腕』みたいなのが宙に浮いて、コーラの蓋を開けていれば当然の反応だ。

 

「そういえばお前どうやって飲むんだ?」

 

まるで気にする風でもなく当麻が腕に問いかける。

 

「ふっ、こうだ」

 

なんと『腕』は缶の上部を腕に『入れて』、

 

「ゴキュゴキュ…」

 

「うわっ…」

 

『腕』がコーラを呑む。

 

「何だコレは。糖分と炭酸か?」

 

「800年前はそんなのなかったろうからな」

 

「ふん…『美味いんだろうな』?」

 

「へっ?お前飲んでる…」

 

「ちょっとマテェェェ!あんたなんでそんなに落ち着いてんのよ!マドハンドみたいなヤツが宙に浮いてコーラ飲んでんのよ!?」

 

もう美琴はコインを出して臨戦態勢だ。

 

「落ち着けって。こいつは昨日の化けモンの残骸だ。名前はアンク」

 

「よろしくな『禍使い』の小娘」

 

「落ち着けるかぁぁぁぁっ!昨日の化物!?あんた殺されかけたのになんで仲良くなってんのよ!?」

 

「いや、実は事情が…」

 

 

 

「見つけた。『コアメダル』…」

 

 

 

『!?』

 

突如聞こえた声に2人と1腕は振り向く。

 

そこには蟷螂を擬人化させたような怪人…カマキリヤミーがいた。

 

「あれは…!?」

 

「あれが『ヤミー』だ。ウヴァのヤツだな」

 

「見つけたぞアンク。さぁ、『コアメダル』を渡せ」

 

物凄い殺気が3人を威圧する。

 

「…おい、アンクさん。あの蟷螂さん、あなたを狙ってますよ」

 

「…ウヴァからは2枚もコアメダル横取りしたからな」

 

「お前のせいか!?やっぱりお前疫病神の類だな!俺をさらに不幸にする気だな!?」

 

「何を言うか!?貴様こそ俺を腕だけにしやがって!お前こそ疫病神だろう!?」

 

「ちょっとあんたら喧嘩してる場合!」

 

美琴はカマキリヤミーを睨みつけ、

 

「こういう時は…先手必勝よ!」

 

美琴は殆ど何も考えず、コインを構え、

 

バチッ!バシュッ!バンッ!

 

超電磁砲(レールガン)を発射!

 

「ぐおぉっ!」

 

「よっし当たった」

 

レールガンは見事カマキリヤミーに命中した。

 

それを見ていた当麻とアンクは

 

「おい、当麻…恐ろしい事に、殆ど何も確認せず撃ちやがったぞ、あの小娘。いつもあんな感じか?」

 

「…ああっ、そうだ。俺の時もそうだった」

 

カマキリヤミーは落下し、

 

チャリンチャリン…

 

地面に落ちた。

 

「くっ、禍使いか…」

 

「おおおっ!あれが『セルメダル』だ!当麻!早くあのメダル集めろ!」

 

「無茶言うな!」

 

「なに?あの化け物撃てばコインくれるの?」

 

美琴はそれを見て、

 

「じゃあ、ハイスコア狙いますか!?」

 

「お、おい!ちょっとま…」

 

バチッ!バシュッ!

 

美琴はさらにレールガンを撃つが…

 

「ふんっ…」

 

カマキリヤミーはそれをあっさり躱した。

 

「へっ…」

 

美琴が反応する前に、カマキリヤミーは美琴との間合いを一瞬で詰め、

 

「邪魔だ禍使い…」

 

と手の鎌を振り下ろす。

 

ザシュッ…

 

「あ…」

 

美琴の目の前に赤い水が飛ぶ。

 

カマキリヤミーの鎌で背中を切られた当麻の血を…

 

「はぁ…はぁ…アブネェ…」

 

当麻は息を切らせていた。

 

(昆虫を人間サイズにしたら、人間は絶対に敵わないって聞いた事はあったけど…ありゃ反則だろうが!?レールガンを回避(かわす)ってありか!?)

 

すんでの所で体ごと掴んで庇った美琴を見て、

 

「怪我ないか?」

 

「ちょ、あんた!?背中から血が…うひゃぁ!?」

 

「おわぁぁっ!?」

 

突如2人の体が宙に舞った。

 

「そうだ!お前に死なれると俺も困るんだぞ!?」

 

アンクが当麻ごと美琴を持ち上げたのだ。

 

「…あれがヤミーか…想像の斜め上いってやがる」

 

「ふん、人間が貧弱なだけだ。で?どうする?」

 

アンクは当麻に問いかける。

 

「このままそこの小娘とお前は死ぬか?俺は逃げるがな。お前も逃げるか?その小娘、いつもお前に喧嘩を吹っかける邪魔な奴なんだろ?邪魔な奴を他人の手で始末できるチャンスだぜ」

 

その言葉を聞いて当麻はアンクと美琴を見る。

 

アンクはほくそ笑み、美琴は強がっているが、眼には恐怖の色が少し見える。

 

化物の出現、自分の超電磁砲が交わされた事、斬り殺されかけた事で揺らいでいるんだろう。

 

そしてアンクとは違いあのヤミーと全力で戦えば勝てるかもしれないが…

 

「ほら、ボヤボヤしてると新手が来るかも知れんぞ。なんせ俺はあいつらのコアメダルを横取りしてるんだからな」

 

これは半分以上アンクのハッタリだった。

 

今ではセルメダルすら貴重な時に、新手を出すとは思えない。

 

が、アンクは当麻に布石として『セルメダルが足りないからヤミーを作らないといけない』と伝えている。

 

当麻の心が静かに決まった。

 

「……………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜…………不幸だ……………」

 

当麻は立ち上がり、美琴の頭に手を置き、

 

「安心しろ。『LEVEL0』で頼りないかもしれないが…」

 

当麻は少し笑って、

 

「俺がなんとかする。だから今は頼っとけ」

 

「…!?」

 

その笑みが美琴にはどこか頼もしく思えた。

 

「アンク…あいつを倒す方法を教えろ」

 

それを聞いたアンクは、心で『邪悪な笑み』を浮かべた。

 

アンクは手を光らせると、さっき当麻に見せた『石版』を取り出し、当麻の前腰につける。

 

するとベルトは光り、メカニカルな姿になる。

 

「そ、それは封印のっ!?」

 

近づいてきたカマキリヤミーはそれを見て、驚愕する。

 

「これが『コアメダル』だ。いいか!触る時は、手袋嵌めとけよ!コアメダルは最上の存在だから、そうすれば何とか壊れないからな!」

 

そういって赤・黄・緑の3枚の渡す。

 

「わかってるって。で?このメダルをどうするんだ」

 

「…『オーズドライバー』…ベルトに嵌めればいい。とりあえず、右から赤・黄・緑の順だ」

 

「やめろ人間!」

 

カマキリヤミーは当麻に向かって叫ぶ。

 

「アンクの口車に乗るな!取り返しのつかない事になるぞ!」

 

「へっ?」

 

それを聞いて当麻はきょとんとするが、

 

ガシッ!

 

「へぶっ!?」

 

アンクが当麻の顔を掴む。

 

「おい、今はそんな場合じゃないだろ?小娘と一緒に死ぬか?」

 

それを聞いて当麻はダラダラ汗をかく。

 

(な、なんか不味いフラグがたちそうな雰囲気が…)

 

しかし、後ろの美琴を見て、

 

(くそ…いつもビリビリビリビリ人を襲いに来るくせに!そんな顔すんなよ!一回ビビったぐらいで)

 

「あ〜クソ。不幸だ…でもな、誰かを助けられない不幸よりはマシだ!」

 

当麻はオーカテドラルの右側に赤のコアメダルを、左側に緑のコアメダルを入れる。

 

そして、最後に黄のメダルを中心に入れた。

 

すると、ベルトが少し斜めに傾けられた。

 

「それで、どうすんだ?」

 

「こいつを使え」

 

腰についていたオースキャナーを渡される。

 

当麻はオースキャナーを持ち、

 

「いくぜ…お前の幻想…破壊してやる!」

 

キィンッ!

 

オーカテドラルの上に

 

キィンッ!

 

オースキャナーで

 

キィィィィィンッ!

 

力をスキャンする。

 

当麻の体に力が漲ってくる。

 

(おいおい…こりゃまさか…)

 

「変、身!?」

 

《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》

 

円形の赤・黄・緑の力の光が当麻の周りを踊る。

 

《TA・TO・BA!》

 

奇妙な歌が流れ、

 

《TATOBA!》

 

光が収まった時、

 

《TA・TO・BA!》

 

そこにいたの当麻の姿は変っていた。

 

黒のボディ、胸部の中心にあるサークルに刻まれた『鷹』『虎』『飛蝗』、顔も赤い『鷹』が装飾されている黒い顔…

 

「た、鷹と虎と飛蝗って…!?今の歌なんだ!?」

 

「歌なんかどうでもいい!今のお前は、『OOO(オーズ)』だ」

 

「オーズ…?」

 

「力の使い方は…戦えばわかる。いけ!」

 

「くそぉぉぉぉっ!少年の夢である『変身』をしたのに!こうなりゃヤケだ!」

 

とオーズとなった上条はカマキリヤミーに向かっていった。

 

その後姿を見て、美琴は、

 

「仮面…ライダー…」

 

自分も大好きだった子供の絶対的なヒーローの名を呟いた。

 

 

 

 

 

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