とある欲望の幻想破壊《イマジンブレイカー》   作:歌音

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久しぶりの更新。


第1章・第3話/欲望のメダル

 

「それにしても…『学園都市』にあんのかな、イギリス清教の教会なんて」

 

ステイルとの戦いから2日後。当麻はアンクと共に、インデックスを保護してくれる教会を探していた。

 

「おいおい、考えろ当麻。何もあんな人間に害悪なモノを人間に返す事はない。俺達で保護してやろう」

 

「…お前、セリフが火炎魔術師と一緒だぞ」

 

「ふん!こうなりゃアイスの分、あいつの10万3000冊を読み漁らなければ割に合わん」

 

空っぽになったアイスの容器を思い出しながら、アンクは歯軋りと右腕を強力に握る。

 

「…なんでお前はそんなに読みたがるんだ?」

 

「ふん…確かに、本の内容にも興味があるが…あの小娘を置いておけば、魔道書に釣られて欲望まみれの人間が来る。『あいつら』もそんな奴らをほっとかないだろうしな。後はセルメダルを稼ぐチャンスだ」

 

「だろうと思ったよ。やっぱりお前は神様の敵なんだな~」

 

「それはお前もだろう」

 

「え?」

 

突然のアンクの言葉に当麻は…

 

「お前の右手は『異能』を全て破壊する。それが例え『悪魔(おれ)』達が『神』に変わってもだ。つまり…正しく『ニンゲン(スベテノテキ)』ってことだ」

 

頭をハンマーで殴られたような衝撃が襲った。

 

「そ、そんな大げさな」

 

「これは予想なんだが…お前の運の悪さは、その『右手』で『神の祝福』を消しているからだと俺は予測している」

 

「いっ!」

 

「それと同時に『悪魔の誘い』も打ち消しているから、純粋に運が悪いなお前」

 

そのまま頭を抱えて絶望する当麻を見ながら、アンクは真剣に当麻の『右手』について考える。

 

(もっとも…それだけじゃないような気がするがな)

 

心の底からアンクは考える。

 

(俺はが引いたのは『大外れ』か『大当たり』か?たく、厄介なヤツだ…ん?)

 

「…当麻。5秒以内にグローブを外して右手を後ろに突き出せ」

 

当麻はそれを聞くと、すぐさまグローブを外して右手を後ろに突き出…

 

バリバリバリバリッ!

 

「うぉぉぉぉ!殆ど反射的に行動してみたら何事ですか!?」

 

「ちっ!マドハンドがいること忘れてたわ」

 

突如襲った電撃の犯人は、美琴だった。

 

「お前なんでこんな事できんの!?当ったら上条さん完全に感電死ですよ!」

 

「うるさいわね。当ってないじゃない」

 

「そういう問題じゃねぇ!」

 

「で、どうなの?メダル見つかった?」

 

当麻を無視して、美琴はアンクに問う。

 

「…見つかっていない。お陰でイライラ続きだ」

 

「で?いったい何枚あるの?あんたのコアメダルって?」

 

「グリード1人に付き、『9枚』…3種類が3枚のコアメダルが存在する。完全復活するためには9枚全てを揃えなければならない」

 

「なんだ?お前のメダル結構なくなってるんだな。お前確か『タカ』が2枚だろ?」

 

「つまり他の2種類と後一枚『タカ』が必要なのね」

 

「そう!くくくっ…全て揃えば『世界』を飲み込んで好き勝手にしてやる」

 

邪悪な笑みを浮かべるアンク。

 

「…おい、アンク」

 

「あん?」

 

「その時はわかってるんだろうな」

 

「ふん…」

 

美琴は昨日の事を思い出す。

 

『俺はこれからも人を助ける為に戦う!例えそれで…お前を倒すことになってもな!』

 

『ふん、バカが…やってみろ。できたら褒めてやる』

 

いつかこの2人…

 

(真正面から戦うことになるんじゃないだろうか?)

 

「まあ、いい。それよりも今は…」

 

「俺のコアメダルを返してもらおうか」

 

『!?』

 

突然聞こえてきた声に、3人は振り向く。

 

振り向いた先には蟲が擬人化したような化物がいて、恐ろしい程の殺気を放出してた。

 

「ウヴァ…!?」

 

「アンク…随分と変わったじゃないか」

 

溢れ出る殺気は、当麻と美琴を怯ませる。

 

(この感じ…!昨日の魔術師とやっぱり比べ物にならねぇ!)

 

当麻は身構える。

 

「アンク!こいつもグリードか!?」

 

「ああ、こいつは『ウヴァ』!ある意味、厄介なヤツだ…当麻すぐに変身しろ!」

 

「わかってる!」

 

当麻はすぐにベルトを装着し、メダルを入れる。

 

「御坂!下がってろ」

 

「で、でも…」

 

「安心しろ…」

 

当麻は美琴に笑って、

 

「大丈夫だ!」

 

その笑顔は美琴の心を一瞬支配した。

 

「変身!」

 

当麻はオースキャナーをベルトに滑らせる。

 

《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》《TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!》

 

当麻はオーズに変身する。

 

「俺の…」

 

ウヴァはオーズの使う『バッタ・コアメダル』を見て、

 

「俺のコアメダルをカエセェェェェェ!」

 

獰猛な殺気を迸らせ、体中から雷を迸らせる。

 

「うわっと!」

 

電撃は地面を抉り、オーズはそれを何とか回避するが、

 

「返せっ!」

 

ガキンッ!

 

「がっ!」

 

ウヴァの強烈な攻撃に体が止まる。

 

「返せ!」

 

ガキンッ!

 

「ぐぁっ!」

 

「俺の…コアメダルを返せェェェェ!」

 

オーズは一方的にやられていく。アンクはその状況を冷静に見ていた。

 

「ウヴァの奴キレてやがる。しかし、あいつ…」

 

「ちょっと!あいつを助けないと不味いわよ!?」

 

「もしかして知らないのか?」

 

「へ?」

 

何かに気づいたアンクはセルメダルを一枚取り出し、

 

「おい、電気女。合図をしたら撃て」

 

ちゃりん

 

「おっと」

 

美琴に一枚セルメダルを渡すと、アンクは今にもオーズにトドメを刺そうとしているウヴァに向かって、

 

「ウヴァ!お前のメダルならカザリが持っていったぞ!」

 

「なっ…!?」

 

突然のアンクの言葉にウヴァの手が止まる。その表情は信じられない言葉を聞いた表情だった。

 

「何を言っている!?貴様のデタラメに…」

 

()られたんだよ、俺達は!」

 

アンクはしてやったりといった顔をして、

 

「カザリがお前のコアメダルを一枚持っていった!」

 

「そ、そんな…!?」

 

信じていた仲間に裏切られたウヴァは明らかに動揺する。

 

「カザリが…そんな…」

 

「今だ、撃て!」

 

アンクは美琴に言うが、

 

「くっ…あんまり気持ちのいいやり方じゃないけど…」

 

美琴はセルメダルを構え、超電磁砲を発射した。

 

ドキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

 

「へっ!?」

 

普段自分が放つ最大出力を遥かに超えた超電磁砲が放たれた。

 

「なっ!?がぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ウヴァは、セルメダルを撒き散らしながら転がる。

 

「当麻!」

 

アンクは素早くオーズに『チーター・コアメダル』を投げ渡す。

 

「…本当にな。あんまりいい方法じゃない…」

 

しかし、受け取った『チーター・コアメダル』をセットして、オースキャナーで読み込む。

 

《TAKA!》《TORA!》《CHEETAH!》

 

タトバ・コンボからタカトラーターにチェンジし、

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

《チーター》のダッシュで勢いをつけ、オーズは立ち上がった瞬間のウヴァに強力な蹴りをぶち込んだ。

 

「ガァァァァァァァァァッ!」

 

ウヴァはそのまま吹っ飛ぶ。

 

チャリィィィィィィィィィンッ!

 

ウヴァの体からセルメダルと同時に輝くメダル…『コアメダル』が飛び出した。

 

アンクは手を体から離し、セルメダルに目もくれず、コアメダルを奪って、再び体に戻った。

 

2枚のメダルは…

 

「ふっ…」

 

邪悪な笑みを浮かべて、

 

「3枚…揃ったな」

 

クワガタ・カマキリ・バッタ…昆虫の王のメダルが3枚揃った。

 

ボォンッ!

 

「ぐぁっ!」

 

鈍い叫びとともにウヴァの体が黒く弾ける。

 

ウヴァの上半身から力がなくなった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

ウヴァは苦しみ、息を整えられない。

 

「アンク…!貴様まさか…!?」

 

ウヴァはアンクを睨みつける。

 

「自分以外のコアメダルも全て手に入れようと…!?」

 

『え!?』

 

その言葉にはオーズである当麻も美琴も驚いた。

 

「ふっ…」

 

アンクは奪ったメダルを眺めながら、

 

「俺達の名は『GREEED』…『欲望』だ!欲しがらなくてどうする!」

 

オーズと美琴はアンクとウヴァを見るが、

 

「くくっ…くははは…」

 

ウヴァは不気味に笑い、

 

「そうだな…俺もせいぜい欲しがるとするか…」

 

オーズとアンクを睨みつけ!

 

「コアメダル…!必ず取り返す!」

 

と、そのまま逃げて行った。

 

 

 

 

 

 

「くっくっく…笑いがとまらんな…」

 

「おい、アンク。全てのコアメダルを集めるってどういうことなんだ?」

 

当麻がアンクに問い詰める。

 

「お前…いったい何をしようとしてるんだ?」

 

「別に」

 

アンクは当麻と美琴を見て、

 

「欲望に理由なんかあるか?欲しいから集める。お前のお人よしと一緒だ」

 

「俺が聞いてんのはそんなことじゃない」

 

「そうよ…ただでさえ、とんでもないあんた達に、いったい何が起こるのよ?

 

アンクは二人に3枚のコアメダルを見せる。

 

『クワガタ』『カマキリ』『バッタ』…3枚のメダルは同種のメダルに反応し、怪しく輝いている。

 

「ウヴァのメダルが3種類…3枚だ」

 

「『カマキリ』と『バッタ』に…『クワガタ』か?それがどうしたんだ?」

 

「さっきも言ったように、グリードのメダルはそれぞれ3種類。そして…オーズが変身に使うのも3種類」

 

「なるほど!?」

 

美琴がひらめく。

 

「今までバラバラだったのが、同じ種類で変身できるってことね」

 

「メダルのコンボ…その意味。メダルの本当の力が…」

 

アンクは怪しく笑って…

 

「見れるかもな」

 

ゴクンッ…

 

当麻は息をのむ。

 

「まっ、まだ早い。お前は変身してまだ数日だ。もうちょっとなれたら使わせてやる」

 

当麻は恐怖が襲う。

 

確かに『タトバコンボ』とは少し力の流れが弱いとはいえ、『カマキリ』と『バッタ』を使った時、ある種の『強力な蠢き』がある。

 

それがとても当麻は動きやすいと感じていたが、同時に恐怖を感じていた。

 

(3枚使ったら…どうなっちまうんだ)

 

できれば使いたくないと、当麻は心の中で思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく…すっかり夜だな」

 

「あのビリビリ…なんでそんなに興味があるんだ」

 

無理やり変身させようとする美琴を撒いた二人は帰路に就いていた。

 

「しっかし、これからどうするかな」

 

「決まっているだろう。帰ったらあの小娘を縛り上げて『魔道書』を読む。そして俺の欲望を満足させる」

 

「だからそれは駄目だって」

 

「ふん…しかし、どうもあの小娘。おかしいな」

 

「何がだ?」

 

「『記憶』がないってことだ」

 

 

 

 

それは今日の昼間の会話。

 

「私、気づいたら日本(こっち)にいたからね。向こうのほうはちょっと分からないんだよ」

 

「……ふぅん。何だ、どうりで日本語ぺらぺらなはずだぜ。ガキの頃からこっちにいたんじゃ、お前ほとんど日本人じゃねぇか」

 

「あ、ううん。そういう意味じゃないんだよ」

 

と、インデックスは首を横に振って否定した。

 

「私、生まれはロンドンで(セント)ジョージ大聖堂の中で育ってきたらしいんだよ。どうも、こっちに来たのは一年位前から、らしいんだね」

 

「らしい?」

 

「…どういうことだ小娘?」

 

その言葉に当麻だけではなく、アンクも怪訝な顔をする。

 

「うん。一年前ぐらい前…こっちにきたときから、記憶がなくなっちゃってるからね」

 

「記憶が…ない?」

 

「うん…最初に路地裏で目を覚ましたときは、自分のことも分からなかった。だけど、とにかく逃げなきゃって思った。昨日の晩のご飯も思い出せないのに、魔術師とか禁書目録(インデックス)とか必要悪の教会(ネセサリウス)とか、そんな知識ばっかりぐるぐる回ってて、本当に怖かった」

 

インデックスの言葉にさらにアンクは怪訝な顔をする。

 

「…じゃあ。どうして記憶をなくしちまったかもわかんねーって訳か」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

「インデックス…つらかったんだろうな」

 

「それはどうでもいい。ただな妙だと思わんか?普通の記憶が消えているのに、10万3000冊を一冊も忘れてないってのは妙だ」

 

アンクの言葉にハッと当麻も気づく。

 

「そういえばそうだ」

 

「第一…記憶を閉じ込めるなら、いくら『保存する所は別』でも何かでロックがかかる。どうも小娘の記憶喪失は妙…!?」

 

アンクの表情が突如険しくなる。

 

「…気づいたか当麻」

 

「ああっ」

 

当麻はベルトを腰に付け、メダルを入れる。

 

アンクと相談した結果、妙な気配を感じたら、ベルトを装着し、臨戦態勢で迎える事にしていた。

 

「人…どころか、車も通ってないな」

 

「あの赤髪の小僧の仕業だな。手の込んだ事だ。いったい何万枚のルーンを張っていることやら…」

 

アンクはあきれたように息を吐く。

 

「まあ、あそこにいる奴に聞けばわかるか」

 

アンクの言葉に当麻はアンクと同じ方向をみる。そこには白いシャツと破れたジーンズというラフな姿の髪の長い女性がいた。

 

「神浄の討魔…いい名前です。しかし…」

 

ひとつ異様とすれば…彼女は長い『刀』を携えていた。

 

「『魔王』である事が残念です」

 

 

 

 

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