「とうま…おそいな…」
インデックスは寝床で苦しみながら少年の名前を呼ぶ。当麻が出かけてすぐ、体の具合が悪くなった。
いや、以前からその兆候はあったのだが、当麻に心配されないように黙っていた。
「とうま、だいじょうぶかな…アンク、アイス食べちゃってごめん…」
インデックスは自分の事を顧みず当麻の心配とアンクへの心のない謝罪をする。
「へへっ、でも…」
インデックスは苦しい事を気にせずに笑いながら
「起きたら、ひとりじゃないんだ」
当たり前の幸せを感じている彼女に、欲望の闇が覆いかぶさっていく…
「変身!」
《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》《TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!》
当麻は声をかけられた瞬間、変身し、臨戦態勢をとる。
「…すでに臨戦態勢のようですね」
刀を持った女はオーズを見て、殺気を強くする。
「ああ、いくら俺であの赤毛男と戦えばわかる。あんたらは生身じゃどうあがいても俺は勝てないってことがな」
「あなたは…本当に何者ですか」
「さっきあんたもいっただろ。上条当麻だ」
「…『欲望王(オーズ)』…あなたが『魔王』だということはわかっています」
女は淡々と続ける。
「ずっと人間の中に住み着いていたのですか?」
「…?」
女の言葉にオーズは首をかしげる。
「眷属である『グリード』を連れていないということは、人間如き自分ひとりだけで充分と判断というわけですね」
「あん?」
アンクは女の言葉に反応する。
(俺達がオーズの『眷属』だと?この女何を言っている?)
「まあ、こちらとしては僥倖です。あなた一人なら倒せるかもしれません。最初から全力で行かしてもらいます」
「こっちもだ…」
チャリン…
当麻はメダジャリバーに一枚メダルを入れて…
「悪いがあんたは結構やばそうなんでな…」
(Single Scanning Charge!)
「まずはそのやばそうなもん全部斬らせてもらう…ぜ!」
ザシュッ!
メダジャリバーから放たれた一刃の斬光は、辺りに存在した『刀』を切り裂いた。
「!?」
「アンク…お前の能力スゲェな。こんな細いモンでもはっきり見えた」
「当たり前だ。誰のコアだと思っている」
現在オーズの頭部である『タカ・ヘッド』。そのもっとも注目すべき能力を持つ『タカ・アイ』。
最大8キロメートル先の人間を識別できることから、最小識別距離0.02mmのモノを区別する事ができる。もちろん、暗闇でのそれは可能だ。
「変身してすぐに気付いた。辺り中にワイヤーを張り巡らせていた。漫画とかでよくあるよな。多分繋がっている、その刀で操作して攻撃するんだろ」
「くっ…」
自分の攻撃手段である『七閃』を簡単に見破られて女は動揺するが、
「まだ終わりではありません」
女は刀を構える。
「切り札は…これからです」
「やっぱりな…」
オーズはメダルを今度は3枚入れる。
「俺もだ。さっきは1枚、今度は3枚だ…どうなると思う?」
「………」
女は刀を強く握り、オーズもいつでも振り切る態勢でいる。
暫く拮抗状態が続き、沈黙が支配する。
アンクはそれを退屈そうに見ていたが、
「…何でだよ?」
最初に沈黙を破ったのはオーズ…当麻だった。
「なんであのステイルって奴やアンタは、寄ってたかってあんな女の子を空腹で倒れるまで追い回してるんだよ。そんな事、許されるはずないって、それぐらいもう分かっちまってんだろ?」
魔王からとても常識的で、優しさを含んだ言葉に女は少し心を乱す。
「知ってんのかよ。アイツ、テメェらのせいで一年位前から記憶がなくなっちまってんだぞ?一体全体、どこまで追い詰めりゃそこまでひどくなっちまうんだよ」
女は答えない。
「何でだよ」
当麻は、懇願するように言う。
「俺はさ、この『オーズの力』がなきゃ、テメェの命張って、死に物狂いで戦ってても、たった一人の女の子も守れねーような弱っちい奴だよ。もしこの力がなけりゃテメェらに連れ去られるのを指をくわえて地面に這いつくばって見ていることしかできねーだろうよ」
その声は今にも泣き出しそうだった。
「だけど、アンタは違うんだろ?」
本当に泣き出しそうな声で『魔王』は問う。
「そんな力があれば誰でも守れるのに、何だって誰だって救えるのに…何だって、そんなことしかできねぇんだよ」
(このバカは…敵を説得するつもりか?どこまでアマちゃんだ。とっとと斬れば楽だろうが)
アンクは女を見る。
(随分と動揺しているな…?妙だ)
「…私、だって…私だって、好きでこんな事をしている訳ではありません」
女は…魔王を睨んでいるが、まるで懺悔するように。
「けど、こうしないと彼女は生きていけないんですよ…死んで、しまうんですよ」
打ち明けた。
「私所属するの組織の名前は、あのこと同じ、イギリス清教の教会にある…
「なっ…!?」
「………」
「彼女は私の同僚にして…大切な親友、なんですよ」
その言葉を聞いた時、当麻は動揺するだけだったが、アンクは少し笑った。
「完全記憶能力、という言葉に聞き覚えはありますか?」
「ああ、一〇万三〇〇〇冊の正体、だろ」
オーズはアンクの説明を思い出す。
「…全部、頭の中に入ってんだってな。言われたって信じらんねーよ、一度見た物を残さずに覚える能力なんて。だって、馬鹿だろアイツ。とてもじゃねーけど、そんな天才には見えねぇよ」
「…あなた達には、彼女がどんな風に見えますか?」
「ただの、女の子だ」
「クソガキだ。ただし、随分と狡っからいようだがな」
「ただの女の子が、一年間も私たちの追撃から逃げ続けることができると思えますか?」
「………」
「ステイルの『炎』に、私の『七閃』と『唯閃』…魔法名を名乗る魔術師を相手に、あなたのように魔王の力を持つことなく、私のように魔術にすがることなく、ただ自分の手と足だけで逃げることが」
「そ、そういえば」
「だからいったろう。あのガキは随分と狡っからい」
「アレは紛れもなく天才です」
女は言い切る。
「扱い方を間違えれば天災となりうるレベルの。
「…それでも」
オーズは声は震えている。
「…アイツは、人間だよ。道具なんかじゃねぇ、そんな呼び名が…許されるはずねぇだろ…ッ!」
「そうですね…その一方で、現在の彼女の
「…?」
「彼女の脳の八五%以上は、
(あん?)
アンクはふと、首をかしげた。
「…だから、何だよ。アンタ達は何やってんだよ?
「…彼女はウソをついてはいませんよ…何も、覚えていないんですよ。私達が同じ
「けど、待てよ。待ってくれ。なんかおかしいだろ、インデックスには完全記憶能力があるんだろ?だったら何で忘れてんだ、そもそもなんでアイツは記憶を失っちまってんだ?」
「失ったのではありません。正確には、私たちが消しました」
それを聞いてオーズは激昂する。
「…どうして?…どうして!アンタはインデックスの仲間だったんだろ!それはインデックスからの一方通行じゃねぇ、アンタンの顔見てりゃ分かるよ!アンタにしたってインデックスは大切な仲間なんだろ!だったらどうして!?」
「…そうしなければ、ならなかったんです」
「何で!?」
「そうしなければ、インデックスが死んしまうからですよ」
その時、アンクは
「言ったでしょう、彼女の脳の八五%は一〇万三〇〇〇冊の記憶のために使われている、と。ただでさ、彼女は常人の十五%しか脳を使えません。並の人間と同じように『記憶』していけば、すぐに脳がパンクしてしまうんですよ」
「そ、んな…」
否定。論理より、理屈より、上条はまず始めに『否定』を決定してから思考をめぐらせた。
「だって、だって、おかしい。お前、だって、残る十五%でも、俺たちと同じだって……」
「はい。ですが、彼女には私たちとは違うものがあります。完全記憶能力です」
女の声から少しずつ感情が消えていく。
「そもそも、完全記憶能力とは何ですか?」
「…一度見たモノを、絶対に忘れない、能力。だろ?」
「では、『忘れる』という行動は、そんなに悪いことですか?」
「………」
「人間の脳の
ところが、と神裂は言葉を続けた。
「彼女にはそれができない」
「………」
「街路地の葉っぱの数から、ラッシュアワーで溢れる一人ひとりの顔、空から降ってきる雨粒の一滴一滴まで……『忘れる』ことのできない彼女の頭は、そんなどうでもいいごみ記憶であっという間に埋め尽くされてしまう…元々、残る十五%しか脳を使えない彼女にとって、それは致命的なんです。自分で『忘れる』ことのできない彼女が生きていくには、誰かの力を借りて『忘れる』以外に道はないんです」
オーズは黙っていた…気になっている事がどうしてもあったが、黙っていた。
「…いつまで、だ?アイツの脳がパンクするまで、あとどれくらい保つんだ?」
「記憶の消去はきっかり一年周期に行います……あと数時間が限界です」
女が絶望の言葉を言う。
「早すぎても遅すぎても話になりません。ちょうどその時でなければ記憶を消すことはできないんです…あの子の方も、予兆となる、強烈な頭痛が現れてなければよいのですが」
「私たちに彼女を傷つける意思はありません。むしろ、私たちでなければ彼女を救うことはできない。だから…」
女が刀を構える。覚悟を決めた表情で
「魔王オーズ…あなたから彼女を取り返します」
「…何だよ。そりゃ」
オーズからも怒りの覇気が爆発する。
「何だよそりゃ、ふざけんな!アイツが覚えてるとか覚えてないかなんて関係あるか!いいか、分かってねぇようなら一つだけ教えてやる!」
オーズもメダジャリバーを構える。
「俺はインデックスを助けるって決めてんだよ!アイツの味方であり続けるって決めたんだ!テメェらお得意の聖書に書かれてなくたって…いや、あいつを助ける為なら!俺は『魔王』でいい!」
「………」
「なんか変だと思ったぜ、単にアイツが『忘れてる』だけなら、全部説明して誤解を解きゃ言いだけの話だろ?何で誤解のままにしてんだよ、何で敵として追い回してんだよ!テメェら、なに勝手に見限ってんだよ!アイツの気持ちをなんだと…」
「…うっせんだよ!人間でもない魔王が!!」
女が吠えた!
「知ったような口を聞くな最低最悪の魔王如きが!私たちが今までどんな気持ちであの子の記憶を奪っていいたと思っているんですか!?分かるんですか、あなたなんかに…魔王に一体何が!ステイルが一体どんな気持ちで!一体どれほど苦しんで!どれほどの決意の下に敵を名乗っているのか!大切な仲間のために泥を被り続けるステイルの気持ちが、魔王なんかに分かるんですか!!私達だって頑張ったよ、頑張ったんですよ!春を過ごし夏をすごし秋をすごし冬をすごし!思い出を作って忘れないようにたった一つの約束をして日記や
その瞬間、女が鞘から刀を抜い…
バシュッ!
空間に断裂が走り、空間が蠢く。
人間の常識…いや、全ての『世界』の常識を超えたタカ・ヘッドの超感覚で感じ取っていたオーズは彼女よりも速くメダジャリバーを振り切っていた。
メダジャリバーが創り出した断裂した空間は凄まじい衝撃を与え、女を吹き飛ばす。
「しまった!」
オーズは女に駆け寄っていく。
超感覚で感じてしまった、『絶対に刀を抜かしてはならない』という答え。そのためにメダジャリバーを振り切ってしまった。
オーズが駆け寄っていくが、それよりも早く彼女は立ち上がった。
「…それでも、ダメだったんですよ。日記を見ても、アルバムの写真を眺めても…あの子はね、ゴメンなさいって言うんですよ。それでも、一から思い出を作り直しても、何度繰り返しても、家族も、親友も、恋人も、全て…ゼロに還る」
せっかく立ち上がったのに膝を突く。
どうやら先ほどのメダジャリバーの衝撃は彼女にそれなりのダメージを与えたようだ。
「私達は…もう耐えれ…「ふざけんな…」」
オーズは彼女を睨みつける。
「んなモンはテメェらの勝手な理屈だろうが。インデックスのことなんざ一瞬も考えてねぇ!笑わせんじゃねぇ、テメェの臆病のツケをインデックスに押しつけんじゃねぇぞ!!テメェらがもう少し強ければ…テメェらがウソを突き通せるほどの
オーズは彼女に近づき、襟首を掴み、自分の顔面まで持ってくる。
「お前は『人間』だろ!何こんな『魔王』に教えられてんだよ!その力はこんな『
オーズの言葉は
「『
彼女を貫いた。
「なんでだよ…」
オーズは彼女を放した。
「なんで…」
「茶番劇はすんだか?」
後ろから嗤いながら傍観していたアンクが
「なら帰るぞ。こいつを相手してもなんにもならんからな」
アンクは『面白いモノを見る眼』で女を見て、
「ま、待てよアンク」
当麻はあわてる。
「こいつらの話し聞いてただろ」
「それで?」
「こいつらの智恵とお前の力でインデックスをなんとか…」
「ああ、バカかお前」
アンクは嗤いながら、
「あのクソガキは死ぬわけねぇんだよ。バカ共が」
アンクは2人にそういった。
「死なない…?インデックスが助かる方法があるのか!?」
当麻はオーズの変身を解いて、アンクに詰め寄る。
「もしかしてセルメダルが大量に必要なのか!?じゃあ、俺が鴻上会長に頭を下げて…」
「バカ。助けるのはお前だ」
アンクは当麻を指さす。
「お、おれ?」
「あの小娘には何か『魔術措置』がされてるだろうからな。それをお前の『右手』で破壊すれば終わりだ」
当麻と女は言った事がわからないという顔をする。
「あ、アンク。何言ってんだよ。インデックスは完全記憶能力の障害で…」
「だからあの赤毛を含めたお前ら全員バカだっていってるんだよ。そんなんで人間が死ぬか」
その言葉に一番驚いていた女は眼を見開いていた。
「どういうことだ…?」
そしてアンクの背後から…
「す、ステイル…あなたどうして」
「『神裂』…こいつは何か知っているみたいだ」
「なんだ、俺にお株を奪われた身の程知らずも来たのか」
「どういうことだと言っているクソガキ」
アンクは
当麻は知っている。
前に見たのはアンクの『体』を手に入れた時だ。
こんな笑い方をしている時のアンクは…人間を見下して面白がっている時だ。
「お前ら猿でもわかる『脳医学』のレクチャーしてやろう。当麻、たぶんお前はあの子供教師の補習を受けるな」
アンクは
「完全記憶能力…確かにそれを持つ奴は、どんなゴミ記憶でも一つ残らず覚えて、忘れることはない…が、それで脳がパンクすることはありえないんだよ。そいつらは100年分の記憶を墓まで持ってくだけだ。人間の脳の
神裂と呼ばれた女を皮肉のように、
「意外と大きくてな、140年分の記憶が可能だ」
「で、でも、もし、莫大な量のものを記憶してたら?たとえば、図書館の本を全部記憶しとくとか」
「人間の脳は意外と…良く出来ている。そもそも人間の記憶は一つじゃあない。大きく分けて…言葉や知識を司る『意味記憶』、運動の慣れ等を司る『手続記憶』、そして、お前らが御大層に大事にしていやがる思い出を司る『エピソード記憶』ってな具合にな」
「えっと…アンク。どういう意味だ…?」
アンクは頭を手で押さえて振り、
「まだわからんか。お前本当にこの『
「…まってくれ!」
ステイルがアンクに叫ぶ。かろうじて…絶望に追い詰められながら振り絞った声だった。神裂の方はすでに絶望の表情から動かなくなっている。
「そ、それじゃあ…いや…嘘をつくな!?そんな…!」
「どれだけ図書館の本を覚えて『意味記憶』を増やしたところで!思い出を司る『エピソード記憶』が圧迫される事は!脳医学上『絶対』にありえない!」
アンクは嘲笑いながら、ステイルと神裂を指し!
「お前らがさっきからいっている大事な大事な小娘の『大事な思い出』を…お前達は無意味に捨てただけ!」
その言葉は…
「小娘から
二人にとっては死刑宣告よりも、絶望的なものだった。
ステイルも絶望で膝を付く。
インデックスの為を想い、彼女の為に記憶を奪い、彼女の為に敵になったのに…それらは彼女から全てを奪っていただけだった。
「気づかないものだな。1年の内に15%の脳の容量を使う?それじゃあ6〜7年で死ぬなぁ?それじゃあ、完全記憶能力のない普通の天才でもすぐ死ぬ!ははっ、無知は罪とはよく言ったもんだ」
アンクは二人を追い詰めるように嘲笑いながら楽しむ。
人間の欲望で人間が苦しむ…セルメダルを生み出さないが、とても心地よい事に笑っている。
「でも、なんでなんだ?こいつらのとこの教会はなんで…?」
当麻はなぜインデックスから記憶を奪うシステムを取り付けたのか理解できなかった。
「1年…調度都合が悪くなる時期だな」
「どういう意味だよ」
「あの小娘に大切な人間って奴ができて、味方が…仲間ができるかもしれないな?で、そいつの為に魔術書の知識を使うかもしれない?」
「…なるほどな。1年でチャラにすれば…インデックスには『大切な人間』ができない」
当麻は拳を握り締める。
「くそっ!くそ、くそっ!」
「どうだ?当麻。人間って奴は勝手だな。ちょうどいい。お前は俺達の仲間だと思われるみたいだし、これを気に本当になったらどうだ?」
アンクは笑いながら
「『魔王』って奴にな」
「…おい、赤毛。インデックスの限界っていつだ」
「なに…」
「いつだ!」
当麻の鬼気迫る声にステイルは我に返る。
「今夜だが…まだ数時間、余裕はある」
「いくぞ。俺の右手ならそれを壊せる。お前らも来い」
その言葉にステイルと神裂は当麻を見た。
「早く俺のアパー、ト、に…」
どしゃっ…
突然当麻が倒れる。
「え、あれ、な、んで…」
「短期間での変身のしすぎだ。まだ慣れてもいないのにな」
アンクは当麻を見下ろしながら説明する。
「これじゃあ、あの小娘はあきらめるしかないか。この二人に任して記憶を消すか。なぁに、お前ならまた好かれるさ」
「それは…」
当麻が体を無理やり起こし、
「駄目だ」
「何故だ?たった1年の記憶だぞ」
「そう…たった、1年…でも、それをあいつは何回消された?もう、あいつを悲しませない…」
「まったく、他人の欲望の尻拭いとは、馬鹿かお前?」
「アンク…俺は馬鹿だよ。でも、馬鹿でもわかる。『欲望』は必要だ…だから!あいつを助けたいと思う俺の『欲望』だからな!」
当麻はアンクを睨み、
「だから…俺はあいつの所に行く。手伝えアンク」
「まったく、この馬鹿は。死ななきゃ直らんか」
アンクは近くにあったライドベンダーに近づき、セルメダルを入れる。
「乗れ。運転してやる。
「お前…運転できんの?」
そう言って、二人は当麻のアパートに向かった。
残された二人は…
「僕達は…何をやっていたんだろうな」
ステイルは絶望に塗れた声を吐く。
神裂は立ち上がる。
「いきますよ、ステイル」
「え?」
「インデックスを助けに行きます。魔王に見せてやりましょう。私達の想いを」
「…そうだな」
「インデックス!」
当麻は自分のアパートの扉を開く。
「インデックス!」
すると、ベットの上に苦しみながら息を吐くインデックスがいた。
「そんな…こんなに苦しんでるなんて…」
「今朝からなんかアイスの食うのが減っていたがな」
インデックスに近づく二人。
「どこなんだその魔術措置ってのは!?」
「たぶん、頭部のどこかだろう…しかし、お前結構ポンポン頭撫でて…なるほどな」
アンクはいきなり、インデックスの口を乱暴に開く、
「はへっ」
さすがの辛いインデックスも息を吐く。
「口の中だ。喉辺りは頭蓋骨が少ないから脳に近い!右手突っ込め!」
「わ、わかった」
当麻はゆっくりと右手の指を口の中に入れた。
そして…『それ』に触れた!
バギン!!
「がっ!」
「当麻!」
当麻の右手が後ろに跳ね返された。当麻の腕から血がにじみ出ていた。
そして、
「くっ!この魔力!この体じゃまずい!」
アンクはインデックスから離れる。
先ほどまでぐったりと倒れていたインデックスの両目が開かれていた。
しかし、その眼は赤く染まっている。
眼球の色ではなく、眼球の中に浮かぶ、血のような赤い魔方陣の輝きだった。
「まずいな…防衛措置もしていたか」
ドン!
「ぐえっ!」
「ぐあっ!」
何かが爆発し、その衝撃波で二人は吹っ飛ばされる。
「くそ…インデックス…は…」
みるとインデックスがまるでゼリーのようにぐにゃりと曲がりながら起き上がるのが見えた。
「…警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum…
その声は、あの無邪気なインデックスの声ではなかった。