第二章・第1話/鴻上会長の華麗なる日々 Act.1
ここは鴻上ファウンデーション会長室。
「会長。お客様が参りました」
鴻上ファウンデーション・会長秘書『里中エリカ』はケーキの完璧なラッピングを満足そうに笑う雇い主、『
「そうか…準備はできているね」
「はい」
そういって鴻上は着けていたエプロンを外し、里中はケーキの箱を持ち、会長室を出た。
(いったい…こんな所に連れてきて、どういうつもりだ?ここはどこだ?)
どうして自分がこんな所に連れてこられたのか理解できなかった。
木山春生…数時間前に学園都市を騒がした『
『LEVEL5・超電磁砲』に破れ(実際は『とある欲望の封印生物』も動いていた)、『
その際、かなりの悶着があったのだが、学園統括理事からの許可と圧倒的な武力抑止による交渉があった。
(いったい何が…)
「大変待たせてしまったね!女性に失礼な事をした!」
「!?」
突然部屋の中に入ってきた壮年の男性を見て驚いた。
「鴻上…光世…?」
「そう!始めまして木山春生君!まずは君と私との出会いに…」
パァァァァンッ!
楽しそうに鴻上は持っていたクラッカーを盛大に鳴らし、
「人と人の出会いとは何かが誕生する前触れでもある。私と君との出会い、何が起こるのかワクワクしないかい?」
「………」
鴻上は春生の向かいの席に座る。
春生は考える。目の前にいる世界経済を牛耳る男はいったい自分に何の用があるのだ?
「私に…何の用だ?」
「ふむ…そうだね。料理を食べながら話そう」
鴻上の言葉と同時に、扉が開き、料理が運ばれてくる。
2人は完璧なテーブルマナーで食事を始めた。
「実は君に来てもらったのは他でもない。ヘッドハンティングだよ」
「ヘッドハンティング?私を?犯罪者だぞ」
「安心したまえ。すでに学園理事会には話をつけ、保釈金も払っている」
「…なぜ私を?『
「それもある…が、君の欲望が素晴らしい!…からだ」
「欲望?」
「そう!君の事は失礼ながら少し調べさせてもらった。自分の『生徒』を救う為に学園都市を巻き込むその行動力!何より!君の『生徒』を救いたいという欲望!それはとても素晴らしい!」
「…しかし、失敗した」
春生はうなだれて答える。しかし…
「しかし、君はまだまだ諦めない。そうだろう?」
その言葉を聞いた時、春生は鴻上を見る。春生の目は『答え』を言っていた。
「そこでだ!…見たまえ!」
突如、設置されていたディスプレイに映像が映る。
「!?」
そこに映っていたのは春生の『生徒』達だった。
「我が社が引き取らせてもらった。現在十分な施設で療養しているよ」
「どういうことだ?」
「なぁに、前金だよ。君が我が社に入社してくれた場合…ドクタァァァァ!真木!」
鴻上の言葉と共に不気味な男が現れた。
黒ずくめの服を着用し、生気の少ない能面の如き無表情な風貌…赤子を模した無気味な人形を左腕に乗せている。
「真木…清人…」
春生はこの男を知っていた。
あまりに天才的な頭脳を持ち、その頭脳は世界の宝といわれていたが、ある日突然失踪した科学者。
(鴻上ファウンデーションにいたのか)
「我が社の財力と彼の頭脳をふんだんに使い、君の『生徒』達を目覚めさせる事を約束しよう」
「!?」
「もちろん、その後のアフターケアもバッチリだ。ちゃんとした学校に通い、健康的な生活を約束しよう。学園都市の施設の悪さは酷いからね」
「じょ、条件は…なんだ…」
「条件?君のその『欲望』から生み出される研究を我が社の為に役立ててほしい」
春生はしばらく沈黙したが…
「よろしくお願いします。会長」
断る理由がまったくなかった。たぶん、『世界を滅ぼす為の装置を作るから協力しろ』と言われても断らなかっただろう。
自分の…一番の『
「里中君」
「はい」
里中はテーブルの中心にラッピングされたケーキの箱を置く。
鴻上は箱を開く。
中から出てきたのは…バースデーケーキだった。
「君と私との契約。そして新しい君に…Happy Birthday!」