「退院おめでと。もう大丈夫?」
「無事に退院できてよかったです」
「ありがと、初春、虎豹君」
佐天の退院した日、いつも一緒にアイスやクレープを食べる公園で三人は集まっていた。
「虎豹君。初春を守ってくれて本当にありがとう」
「いや、なんてことなかったよ」
「ホント凄かったんですよ、虎豹さん。御坂さんに負けないくらいでした」
そう、ある事件に佐天が倒れ、その事件に虎豹は拘った。
虎豹としても、あの事件はかなり興味深いものだったので、ついでみたいなものだった。
(人間の欲望…『
『ウヴァ』の『ヤミー』はそういうことには向いている。
「それで、虎豹君。これ」
佐天は、母親から貰った『お守り』の中身を取り出す。
それは佐天のひいおじいちゃんが海外で手に入れた『魔除けのメダル』だった。
「虎豹君、これを集めてるみたいだったし、あげる」
「ええ!?いいの!?」
「うん、私にはお母さんが編んでくれたお守りだけで十分だから…初春を支えてくれたせめてもの御礼」
「佐天ちゃん…」
虎豹は感動した表情をしているが、内心はほくそ笑んでいた。
(まさかこんなに簡単に手に入るなんて!事をあら立てないように友達のふりしていたかいがあった)
そう、佐天と初春と仲良くしていたのは、現代の情報収集と、佐天が偶然持っていた『トラ・コアメダル』だ。
「ありがとう」
虎豹は佐天の手にあるコアメダルに手を伸ばす。
(これで、僕のコアメダルは『4枚』。オーズに取られた『4枚』と何処かにある『1枚』で僕は完全復活だ!)
そして受けとろうとした瞬間、
『!?』
誰かの手がコアメダルを奪い取った。
「だ、だれ!?」
「う、ウ…統真!?」
「ようやく見つけたぞ!」
統真と呼ばれた男は虎豹の胸倉を掴み、持ち上げる。
「と、統真!どうしたの!?」
「とぼけるな!『アンク』から聞いたぞ!貴様が俺の『コアメダル』をオーズから奪ったとな!」
『ちょっと、ウヴァ!?感情的になりすぎだって!』
(あ、アンクの奴!くそ!しばらくこっちにかかりきりだったから油断した!)
「虎豹さん!?」
「ちょっと、あんたなんなのよ!?」
「お、落ち着いて二人とも!こ、こいつは統真。僕の『お兄さん』なんだ」
「ふぇ、虎豹君の…?」
「ちょ、ちょっと待ってよ統真!アンクの言葉に騙されているだけだって!昔っからあいつ口が…」
「お前と同じでうまかったよな。だからあいつが持っていると言ったら…」
そのまま、統真は虎豹を持ち上げ、
「確実にお前は持ってるんだよ!」
虎豹を投げつけた。
「!?虎豹君!」
公園のオブジェにぶつかり、オブジェが崩れる。
「…『カザリ』!?俺のコアメダルを返せ」
手に雷球を迸らせ、そのまま虎豹のいる場所に投げる。
雷撃の嵐が吹きすさぶ。
「と、虎豹さん!」
初春が心配すると、
ヒュバッ!
一刃の風が冬馬の頬を切り裂いた。
「お前…!?」
「けほっ…やってくれるじゃん、『ウヴァ』」
虎豹は立ち上がり、冬馬に近づいてくる。
二人から凄まじい殺気が飛ぶ。
「俺のコアメダルを返せ」
「僕怒ったよ」
怒り狂った二人が人間態から『本性』を表そうとしたその時、
バシャッ!
「うおっ!」
「冷たっ!」
「あんたら…いい加減にしなさい!」
「さ、佐天さん!」
自販機で買った水のペットボトルを放り投げ(初春が拾う)、
「ちょっと、お兄さん!いくら弟に大切なもの盗られたからって、盗んで仕返しなんて大人気ないよ!それにまだそれは『私』の!」
「な、小娘…」
「小娘言うな!駄々っ子!」
ゴンッ!
「ぐぁ!」
佐天の鉄拳骨をくらって、統真は頭を抑える。
「虎豹君!」
「は、はい!」
佐天のあまりの気迫に虎豹にたじろぐ。
「お兄さんの宝物、返しなさい!」
「佐天さん、僕は…」
ごちんっ!
「うわっ!」
佐天の鉄拳骨が今度は虎豹に襲う。
「返しなさい!」
「うぅ…」
虎豹は手を開く。そこには『カマキリ・コア』があった。
「あら、私のコインの色違い?」
「貴様!やはり…」
「落ち着け兄ちゃん!」
ごちんっ!
「がっ!」
「お兄さんも!虎豹君も!一緒にメダル渡す!兄弟で喧嘩しない!」
「………」
「………」
睨み合う虎豹と冬馬。
ごごちんっ!
『ぎゃっ!』
「わ・た・す!」
ふたりはしぶしぶ、
チャリーン…
互いのメダルを弾いて渡した。
それを見て佐天は満足そうに頷き。
「よし!それじゃあ、仲直りにあそこの喫茶店でお話をしましょう。今日のパフェは私が奢ったげるから!いいわね!」
『………』
そんな態度の2人に佐天は再び手を上げ、
「わ、わかった!」
「ぱ、パフェ、た、楽しみだな」
「よろしい!これにて一件落着!二人とも!もう兄弟喧嘩はだめだよ!」
二人の手を取り、無理やり握手させた。
「す、すごいです。佐天さん」
そんな佐天をキラキラした目でみる初春。
(お、おいカザリ!この小娘は何者だ!?)
(…面白い娘…)
ここに、仮面ライダーすら相手にならなかった神代の怪物に拳骨を喰らわしたLEVEL0(女の子)が誕生した。
「くしゅん」
「愛琴?どうした?」
「ううん、なんか今出番とられた気が…」