とある欲望の幻想破壊《イマジンブレイカー》   作:歌音

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第二章・第2話/『蟲』と『猫』と『女の子』

「退院おめでと。もう大丈夫?」

 

「無事に退院できてよかったです」

 

「ありがと、初春、虎豹君」

 

佐天の退院した日、いつも一緒にアイスやクレープを食べる公園で三人は集まっていた。

 

「虎豹君。初春を守ってくれて本当にありがとう」

 

「いや、なんてことなかったよ」

 

「ホント凄かったんですよ、虎豹さん。御坂さんに負けないくらいでした」

 

そう、ある事件に佐天が倒れ、その事件に虎豹は拘った。

 

虎豹としても、あの事件はかなり興味深いものだったので、ついでみたいなものだった。

 

(人間の欲望…『(まがつ)』…いや『超能力』か。あんな弱い力でも人間にとっては魅力的だってことがわかったし…でも、ウヴァを騙せば上手くセルメダルを集める事ができるな…)

 

『ウヴァ』の『ヤミー』はそういうことには向いている。

 

「それで、虎豹君。これ」

 

佐天は、母親から貰った『お守り』の中身を取り出す。

 

それは佐天のひいおじいちゃんが海外で手に入れた『魔除けのメダル』だった。

 

「虎豹君、これを集めてるみたいだったし、あげる」

 

「ええ!?いいの!?」

 

「うん、私にはお母さんが編んでくれたお守りだけで十分だから…初春を支えてくれたせめてもの御礼」

 

「佐天ちゃん…」

 

虎豹は感動した表情をしているが、内心はほくそ笑んでいた。

 

(まさかこんなに簡単に手に入るなんて!事をあら立てないように友達のふりしていたかいがあった)

 

そう、佐天と初春と仲良くしていたのは、現代の情報収集と、佐天が偶然持っていた『トラ・コアメダル』だ。

 

「ありがとう」

 

虎豹は佐天の手にあるコアメダルに手を伸ばす。

 

(これで、僕のコアメダルは『4枚』。オーズに取られた『4枚』と何処かにある『1枚』で僕は完全復活だ!)

 

そして受けとろうとした瞬間、

 

『!?』

 

誰かの手がコアメダルを奪い取った。

 

「だ、だれ!?」

 

「う、ウ…統真!?」

 

「ようやく見つけたぞ!」

 

統真と呼ばれた男は虎豹の胸倉を掴み、持ち上げる。

 

「と、統真!どうしたの!?」

 

「とぼけるな!『アンク』から聞いたぞ!貴様が俺の『コアメダル』をオーズから奪ったとな!」

 

『ちょっと、ウヴァ!?感情的になりすぎだって!』

 

(あ、アンクの奴!くそ!しばらくこっちにかかりきりだったから油断した!)

 

「虎豹さん!?」

 

「ちょっと、あんたなんなのよ!?」

 

「お、落ち着いて二人とも!こ、こいつは統真。僕の『お兄さん』なんだ」

 

「ふぇ、虎豹君の…?」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ統真!アンクの言葉に騙されているだけだって!昔っからあいつ口が…」

 

「お前と同じでうまかったよな。だからあいつが持っていると言ったら…」

 

そのまま、統真は虎豹を持ち上げ、

 

「確実にお前は持ってるんだよ!」

 

虎豹を投げつけた。

 

「!?虎豹君!」

 

公園のオブジェにぶつかり、オブジェが崩れる。

 

「…『カザリ』!?俺のコアメダルを返せ」

 

手に雷球を迸らせ、そのまま虎豹のいる場所に投げる。

 

雷撃の嵐が吹きすさぶ。

 

「と、虎豹さん!」

 

初春が心配すると、

 

ヒュバッ!

 

一刃の風が冬馬の頬を切り裂いた。

 

「お前…!?」

 

「けほっ…やってくれるじゃん、『ウヴァ』」

 

虎豹は立ち上がり、冬馬に近づいてくる。

 

二人から凄まじい殺気が飛ぶ。

 

「俺のコアメダルを返せ」

 

「僕怒ったよ」

 

怒り狂った二人が人間態から『本性』を表そうとしたその時、

 

バシャッ!

 

「うおっ!」

 

「冷たっ!」

 

「あんたら…いい加減にしなさい!」

 

「さ、佐天さん!」

 

自販機で買った水のペットボトルを放り投げ(初春が拾う)、

 

「ちょっと、お兄さん!いくら弟に大切なもの盗られたからって、盗んで仕返しなんて大人気ないよ!それにまだそれは『私』の!」

 

「な、小娘…」

 

「小娘言うな!駄々っ子!」

 

ゴンッ!

 

「ぐぁ!」

 

佐天の鉄拳骨をくらって、統真は頭を抑える。

 

「虎豹君!」

 

「は、はい!」

 

佐天のあまりの気迫に虎豹にたじろぐ。

 

「お兄さんの宝物、返しなさい!」

 

「佐天さん、僕は…」

 

ごちんっ!

 

「うわっ!」

 

佐天の鉄拳骨が今度は虎豹に襲う。

 

「返しなさい!」

 

「うぅ…」

 

虎豹は手を開く。そこには『カマキリ・コア』があった。

 

「あら、私のコインの色違い?」

 

「貴様!やはり…」

 

「落ち着け兄ちゃん!」

 

ごちんっ!

 

「がっ!」

 

「お兄さんも!虎豹君も!一緒にメダル渡す!兄弟で喧嘩しない!」

 

「………」

 

「………」

 

睨み合う虎豹と冬馬。

 

ごごちんっ!

 

『ぎゃっ!』

 

「わ・た・す!」

 

ふたりはしぶしぶ、

 

チャリーン…

 

互いのメダルを弾いて渡した。

 

それを見て佐天は満足そうに頷き。

 

「よし!それじゃあ、仲直りにあそこの喫茶店でお話をしましょう。今日のパフェは私が奢ったげるから!いいわね!」

 

『………』

 

そんな態度の2人に佐天は再び手を上げ、

 

「わ、わかった!」

 

「ぱ、パフェ、た、楽しみだな」

 

「よろしい!これにて一件落着!二人とも!もう兄弟喧嘩はだめだよ!」

 

二人の手を取り、無理やり握手させた。

 

「す、すごいです。佐天さん」

 

そんな佐天をキラキラした目でみる初春。

 

(お、おいカザリ!この小娘は何者だ!?)

 

(…面白い娘…)

 

ここに、仮面ライダーすら相手にならなかった神代の怪物に拳骨を喰らわしたLEVEL0(女の子)が誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

「くしゅん」

 

「愛琴?どうした?」

 

「ううん、なんか今出番とられた気が…」

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