とある欲望の幻想破壊《イマジンブレイカー》   作:歌音

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第二章・第4話/学園都市の仮面ライダー ~ゼロからの逆襲~

「なんでせうか、この部屋は…?」

 

退院して、自身の新居に到着した上条当麻は呆然と声をだした。

 

大理石の玄関、自分の常識にないリビングの広さ、また、セレブお宅訪問に出てくるような部屋の豪華さにあんぐりとする。

 

「どうした?バカがバカ面で何突っ立ってる」

 

アンクは1番豪華な椅子に赤い布を敷いて、アイスを寝そべりながら食べている。

 

「とうまー、今日のごはんなにー?なにつくるのー?」

 

インデックスもアンクの真似なのか、己の陣地を示しているのか、椅子に白い布を敷いて座っていた。

 

「『上条当麻』ってなにもんだったんだ?」

 

 

 

 

「じゃあ、そのセルメダルを集めてる人が、あの部屋をくれたのか?」

 

「そうだ。しかし、あの狸爺い…人間の分際でメダルを集めて、何をする気だ?」

 

当麻は思い出そうとしてみる。しかし、何も思い出せなかった。

 

オーズに自分が変身していることは思い出せる。

 

(くそっ!俺変身した時にアンク以外の誰かと喋ってるのに、『そいつ』が思い出せない!?)

 

当麻は改めて自分の記憶が消失している現実を思い知らせる。

 

(ヤミー…グリード…何で俺は…戦ってんだよ?)

 

オーズに変身して、闘う自分を思い出し当麻は恐怖を感じる。

 

(何で戦ってたんだよ…『上条当麻』!?)

 

「どうしたの、当麻?」

 

深刻な顔をしていた当麻にインデックスは心配する。

 

「あ、あぁ。悪ぃ。何食いたい?」

 

当麻は無理矢理笑ってインデックスに尋ねる。

 

その言葉にインデックスは笑顔になり、

 

「たくさん!」

 

「そりゃ量だろ」

 

それを見ていたアンクも深刻な顔をしている。

 

「思ったよりまず…が!?」

 

アンクは突然の後ろからの衝撃に驚く。

 

「な、なんだ!?」

 

アンクが後ろを見ると、

 

「お、お前らは!?」

 

衝撃の原因は…

 

「『神様』に、」

 

「『鷹夜』!やっと会えた!」

 

2人の少年と少女だった。

 

「ん?アンク、友達か?」

 

「こら~、走っちゃダメ~」

 

と、後ろからまた一人、少女が走ってくる。

 

「あっ、ママ」

 

「走っちゃダメでしょ」

 

少女は、2人を叱り付ける。

 

「…あれ、上条ちゃんじゃないですか?」

 

(ん…『上条当麻』の知り合いだったのか?)

 

「ん…あ、あぁ。相変わらずしっかりしてんな」

 

「も~、大人を子供扱いするんじゃありません!先生に対する態度がなってないですよ、上条ちゃん」

 

「はっ?」

 

「当麻!」

 

アンクは子供に抱きつかれながら当麻を引っ張る。

 

(このちっこい女はお前の担任教師だ。こう見えていい歳だぞ)

 

(マジか!?いや、お前記憶がないからってからかってんだろ?)

 

(信じがたいかも知れんが本当だ。確か、小萌とかいう名前だ)

 

「どうしたんですか、上条ちゃん」

 

「あ、ああ。すみません、小萌先生」

 

とりあえず当麻は頭を下げる。

 

「よろしい、ところで龍馬ちゃんに紫苑ちゃん?この子と知り合いなんですか?」

 

「うん、『鷹夜』と『神様』」

 

「まあ、あなたが鷹夜ちゃん!?無事でよかったです!この子達本当に心配してたんですよ」

 

「ちょ、こら!話せ不老生物!」

 

アンクはしばらく小萌先生に質問攻めにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガンッ!

 

裏路地で一人の男がゴミ箱を蹴っ飛ばす。

 

「くそ…つまんねぇ…」

 

ドガァァァァンッ!

 

次は能力を使い、壁を壊す。

 

「もっとだ…もっと派手に壊してぇ…」

 

男は『超能力』に溺れていた。

 

この普通の人間の常識を遥かに超える力に酔い、『何かを派手に壊したい』と思っていた。

 

「もっとだ…もっ…」

 

「丁度いい欲望だな」

 

「あん?ヒッ…!?」

 

突然の声に男は振り向くと同時に悲鳴を上げる。

 

そこには蟲の化け物がいた。

 

「こいつでいいか?」

 

(うん。オーズの目をそらすくらいならコイツで十分)

 

「しかしなぁ…」

 

(『巣』が見つからないようにするためだよ。目先のことより先のことを考えれば…)

 

「…わかった。俺が『最強』になるためだな」

 

蟲の化物は一枚の銀のメダルを取り出し、

 

「その欲望…解放しろ」

 

 

 

 

 

 

「神様、鷹夜は元気?」

 

「ちゃんとご飯食べてる?」

 

「…ちゃんと俺が食わしてやってるから安心しろ。それからお前らに会ったおかげで、頭の中で煩いんだ。黙ってろ」

 

それを聞いて、さらにうれしくなった二人はアンクに更に質問攻めをする。

 

「アンクって『たかや』って名前だったの?」

 

「この体はな」

 

「…まさか、その子の体を乗っ取ってるの!?やっぱり悪魔なんだよ!」

 

「ちゃんと事情があるんだよ!話してやるからその手に持った棒きれで造った十字架を捨てろ!?」

 

ギャイギャイ騒いでる中、当麻と小萌は…

 

「いいですね~、子供同士仲が良くて」

 

「…そうか?仲いいのか?」

 

当麻は龍馬と紫苑をみる。

 

「あの子達、アンクと同じ研究所にいたのか…」

 

アンクの事は辛うじて記憶は復活している。

 

アンクの体は人体実験という非人道的な扱いを受けていた『置き去り(チャイルドエラー)』だ。

 

人間の醜い欲望をぶつけられた子…

 

「先生の方は大丈夫なのか?その研究所のスポンサーとかからの…」

 

「大丈夫です。実はこの事にとても理解してくれる人が名乗り出てくれまして、あの子達の身の安全や生活費を補助してくれる事になったんです」

 

「そうなのか。世の中捨てたもんじゃないな」

 

 

 

 

 

 

 

「どうかね木山君!私のケーキの味は!?」

 

「…うまいです、会長」

 

 

 

 

 

 

 

インデックスとアンクが小規模なバトルをおっぱじめ、他の2人はどっちも応援する。

 

「子供は元気ですね~」

 

「…なあ、先生」

 

「ん?なんですか上条ちゃん」

 

当麻は子供達を見ながら、

 

「なんで危険に巻き込まれるかもしれないのに、あの子達を助けたんだ?」

 

「?どうしたんですか、上条ちゃん。この間とまったく同じ質問して」

 

「え、マジ…!?」

 

当麻はしまったと思ったが、

 

「まったく、先生を試してるんですか?上条ちゃんもいじわるちゃんですね」

 

どうやらいい方に勘違いしてくれたらしく、

 

「いいですか、上条ちゃん。答えはあの時と一緒です」

 

と小萌が出した『答え』に当麻は頭を打ち貫かれた感じがした。

 

「せ、先せ…」

 

「当麻!」

 

突如、アンクは声を荒げて当麻を呼ぶ。

 

「アンク?」

 

「ヤミーだ!近いぞ!」

 

ドガァァァンッ!

 

突如街から爆音が聞こえる。

 

「な、なんですか!?」

 

「くっ、マジかよ!」

 

当麻は立ち上がり、駈け出した。

 

「とうま!?」

 

「上条ちゃん!どこにいくんですか!?」

 

当麻は2人の言葉に振り向かず走って行った。

 

「とうま!」

 

「あっ!シスターちゃん!?」

 

インデックスも当麻を追いかけて行ってしまう。

 

「どうしましょう…この子達を置いていくわけには…」

 

「小萌先生じゃん!?こんな所でなにしてるじゃん!」

 

突如聞きなれた声が聞こえた。

 

「黄泉川先生!?」

 

警備員(アンチスキル)』の恰好をした黄泉川愛穂が走ってくる。

 

「小萌先生!今すぐここから避難するじゃん!」

 

「どうしたんですか!?」

 

「最近現れる『怪物』が暴れてるじゃん。今から私達も応援に行かなきゃならないじゃん」

 

最近現れる化け物の事は小萌も知っている。

 

もう何人もの『警備員(アンチスキル)』が犠牲になっているという話だ。

 

(まさか上条ちゃんは…!?)

 

「それってさっきの爆発の…!?」

 

「そうじゃん!さぁ、早く…」

 

小萌は意を決して、

 

「2人とも、このお姉さんについていって」

 

「うん、ママも気をつけて」

 

「怪我しちゃだめだよ」

 

「ちょ、小萌先…」

 

「黄泉川先生!この子達をお願いします!」

 

と小萌は走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『うがぁぁぁ…こわすぅぅぅぅ…』

 

学園都市の一角が無残に破壊されており、その中心に『それ』はいた。

 

ドガンッ!

 

ミイラ男のような化け物…白ヤミーは、その気だるそうな声とは裏腹に強烈な一撃で車を殴り飛ばした。

 

ガシャンッ!

 

車は宙を舞って激突する。

 

『こわすぅ…』

 

「ひっ!」

 

少年は声にならない悲鳴を上げる。

 

『学園都市』の見学ツアーに参加していた少年だった。

 

憧れのテレビのヒーローみたいな力が手に入る事に目を輝かせてやってきたのだ。

 

それがこの事件に巻き込まれてしまった。

 

混乱する中、少年は逃げ遅れ、化け物の恐怖で震えていた。

 

『うがぁぁぁ…あああああああああっ!』

 

突如化け物の体が裂け、とてつもなく大きな蟲が現れる。

 

「あ、ああ、ああ…」

 

『シャァァァァァァァァァァァッ!』

 

巨大な蟲…『イナゴヤミー』は、咆哮を上げる。

 

少年は生きた心地がしなかった。

 

そして…最悪な事にイナゴヤミーと目が合ってしまった。

 

イナゴヤミーは巨大な肢を上げる。

 

「た、たす…た…けて…」

 

少年の声は誰にも届かない。

 

『死』を感じさせる、足が止まる。

 

「たすけて…パパ…ママ…」

 

少年の体に寒気が襲う。そう、自分の『死』が確定した事が本能で理解したのだ。

 

「たすけてよ…『仮面ライダー』!」

 

憧れのテレビヒーローの名前を叫んだと同時に、イナゴヤミーの肢が落下した!

 

《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》

 

「あれ…」

 

肢が振ってこない…そして、少年の心から恐怖が消える。

 

少年がおそるおそる目をあけると、そこには…

 

《TA・TO・BA!》

 

黒い体…

 

《TATOBA!》

 

赤い仮面に緑の瞳の…

 

《TA・TO・BA!》

 

「仮面…ライダー…」

 

『HERO』が腕で受け止めていた!

 

「おりゃっ!」

 

『仮面ライダー』はイナゴヤミーの肢を払いのけると、『虎』のような爪を伸ばして

 

「くらぇぇぇぇっ!」

 

イナゴヤミーの肢を斬り落とした。

 

『ギャァァァァァァァァァッ!』

 

イナゴヤミーはバランスを崩して倒れる。

 

『仮面ライダー』は少年を抱えると、脚を光らせる。

 

「てりゃっ!」

 

一気に飛び上がった。

 

「うわぁっ!」

 

少年は驚く。

 

こんなに高く飛び跳ねる経験は他にない。

 

200m近く飛んだ場所で『仮面ライダー』は着地する。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

「向こうに大人がいる。早く逃げろよ」

 

『仮面ライダー』は上空で確認した方向を指さす。『仮面ライダー』はそのまま、化け物の方へ向かって走る。

 

少年はその背中を見る。そしてその背中に

 

「…がんばって!仮面ライダー!」

 

その言葉に答えたのか、『仮面ライダー』は走りながら手を振ってくれた。

 

「僕も頑張っていつかなるんだ…」

 

この時少年は、

 

「『仮面ライダー』に!」

 

『学園都市』の学校に入学する事を固く決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうまが…かわった…」

 

「なんだ来たのか」

 

ヤミーと変身した当麻を見て、驚愕しているインデックスにアンクは声をかける。

 

「アンク…あれが…『グリード』なの?」

 

恐怖に震える声でインデックスは尋ねる。

 

「ふん。あんなちっぽけな奴がグリードなものか。あれは『ヤミー』、ただのメダル集めの下僕だ」

 

「そんな…!?」

 

インデックスは驚愕する。

 

神代の怪物のような想像を絶する強大な魔力を感じさせる存在をただの下僕といった。

 

「とうまは…あんなのと…もっと凄いのと戦ってるって言うの!?」

 

「ああ、グリードは、あんなザコじゃないがな」

 

笑いながら放つアンクの言葉にインデックスは絶望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、上条ちゃんが…仮面ライダー…!?」

 

小萌は目を見開いて目の前で戦う『仮面ライダー』を茫然と見る。

 

最近化け物騒ぎと同時に一つの話題があった。

 

最新装備の『警備員(アンチスキル)』でも敵わない化け物と倒す『仮面ライダー』の噂…

 

「上条ちゃん…」

 

あの優しい少年は、その優しさから戦うのだろう。本当に優しい子だから…

 

 

 

 

 

 

 

「うわっと!せりゃぁ!」

 

オーズに変身した当麻は言葉とは裏腹な軽快なステップで攻撃をかわし、距離を取る。

 

「まったく、ほんと不幸だ!」

 

「どうした?案外吹っ切れてるじゃないか」

 

腕を切り離したアンクがやってくる(その向こうでインデックスがうろたえながら鷹夜を引きずっている)。

 

「記憶を失って混乱してるかと思ったんだがな」

 

「はは、解かった…いや、『思い出した』んだよ」

 

「なに?」

 

(そんな訳がない…)

 

イナゴヤミーの攻撃を2人は飛び上がり、かわす。

 

「そう…!」

 

着地し、メダジャリバーを構えるオーズ。

 

上条当麻(おれ)が戦う理由をな!」

 

 

 

『私のこのちっちゃな手でも、伸ばして、掴んであげて、握ってあげれば、助けられる人がいる…なら頑張るしかないじゃないですか』

 

『…がんばって!仮面ライダー!』

 

 

 

「ウジウジ悩んでた自分がバカらしいぜ!」

 

メダジャリバーにセルメダルを3枚入れる。

 

「人を助けるのに!」

 

《Triple Scanning Charge!》

 

オースキャナーをメダジャリバーに走らせる。

 

「理由なんか!」

 

襲いかかるイナゴヤミーに!

 

「いらねぇんだよ!」

 

シュバンッ!

 

オーズの一撃はイナゴヤミーを『世界』ごと叩き斬る!

 

『ギャァァァァァァァッ!』

 

『世界』の法則が働き、『世界』は元に戻ると同時に

 

ドガァァァァァァンッ!

 

イナゴヤミーは爆散した。

 

「そうだよな!上条当麻!」

 

メダルの雨の中、当麻はメダジャリバーを天に掲げた。

 

「バカやってないでとっとと拾えバカ!」

 

「おお、悪い悪い」

 

 

 

 

 

「とうま!」

 

「ん?インデックス!ついて来ちまったのか」

 

「とうま!あれなんなの!?なんで姿が変わったの」

 

当麻に詰め寄るインデックス。

 

「ん?言ってなかったか?俺が『オーズ』に変身して戦うってこと?」

 

「と、当麻がホントに『魔王(オーズ)』なんだ…」

 

「安心しろよ」

 

ポンポン…

 

手袋をした右手でインデックスの頭をなでる。

 

「俺は大丈夫だから…これからもお前を護るよ」

 

「とうま…」

 

変わらない優しい当麻にインデックスは悲しくなる。

 

(とうま…自分を、大切にしてよ…)

 

「まったく、このバカは…」

 

「上条ちゃ~ん」

 

「へっ?小萌先生?」

 

「どういうことなんですか!?なんで『仮面ライダー』に変身して戦ってるんですか~!?」

 

(み、見られた!?)

 

「逃げるぞ!」

 

「行くぞインデックス!」

 

「わわっ!」

 

インデックスを引っ張って、当麻とアンクは一目散に逃げ出した。

 

「こら~!」

 

響く声、

 

「補習があるんですからねぇ~!逃げられないんですよ~!?」

 

「マジか!不幸だぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐだ…」

 

学園都市のビルの一室…一人の男が呟く。

 

「もうすぐ、彼女を助けられる」

 

「それがあなたの望み?」

 

「!?」

 

突如聞こえてきた、声に男が振りかえる。

 

「何も…」

 

「そのとても、優しい欲望…解放しなさい」

 

チャリィィィィン…

 

一枚のメダルの音だけが響いた。




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