(な、なんだ…!?)
ステイルが目の前の存在が、『ただ其処にいる』だけで、戦慄する。
かつて幾つモノ魔術結社を潰し、
(この化け物は…!まさか…存在自体が違うというのか!)
「お前もグリードか!?」
「あら、あなたがオーズね。初めまして」
(ええい!
「何しに来たメズール」
(くそっ…!こいつが『深海の女王・メズール』か!)
かつて、一国を滅ぼすほどの大洪水を起こし、『愛』を喰らい尽くした魔女!
「わかってるでしょう?今から行く場所に来て欲しくないのよ」
「なるほど、お前のヤミーか。それは是非行かないとな」
「どけ!ガキ!」
アンクを押しのけ、ステイルはルーンのカードを広げる。
(本来なら彼女を護る為に準備していたものだが…)
そんな事を言っている場合ではないと判断したステイルは
「『
炎の巨人を生み出した。
「なっ!」
流石に突然の攻撃と『初めて見る』事になる『魔女殺しの王』に驚く当麻。
炎の巨人は暴虐にメズールに向かうが、
「やぁね…」
パチィンッ!
次の瞬間、巨大な水柱が『魔女殺しの王』を包み込んだ。
「なっ!?」
「うふふ…えいっ」
水柱の一部が水圧銃のような勢いでステイルを襲う。
「グァッ!」
そのままステイルは吹き飛ばされる。
「残念だけど坊や…『火』は『水』には勝てないの。『火』は焼き尽くす事しかできないけど、『水』は鈍器にも刃にもなるし、それ以前に火を消す。それに熱烈なアタックは『ガメル』くらい熱いの貰わないとねぇ…あの子ったら凄いのよ」
軽く惚気るメズール。
「アンク!メダル!」
「くそっ…!」
当麻はアンクからメダルを受け取り、セットし、オースキャナーを通し、
「変身!」
《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》《TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!》
オーズに変身する。
「オーズ…久しぶりね。遊んであげるわ」
「いくぜ!はぁぁぁぁっ!」
トラ・クローを伸ばし、オーズはメズールと相対する。
オーズはトラ・クローで切り裂…
バシャッ!
「なっ!」
「うふふふ…」
突如、宙に水の塊が現れ、トラ・クローを止める。
「くそっ!とりゃぁ!」
バシャッ!
同じように水の塊がトラ・クローを防ぐ。
「マジかよ…!?」
「まだまだね。ハッ!」
バシュッ!
「ガァァッ!」
メズールの右手から放たれた強水圧の一撃はオーズに強力なダメージを与える。
「くそっ!メズールの奴…!?かなりメダルが揃っているな!」
「ふふっ…」
怪しく光るメズールの体の『8枚』のメダル。
「アンク、見なさい」
メズールの手に『電撃』が迸る。
「何っ!」
「えい!」
バシュッ!
「ギャァァァァァッ!」
水に濡れたオーズの身体に電流が走る!
「ぐ、ぁ、あ…」
「当麻!くそ…メズールまさかお前も!?」
「そう…『体』を手に入れたわ。いいわね、この時代…いえ、『
「くっ…」
「さてと…私のコアメダルと、そのウヴァとカザリのメダルを渡しなさい。そして、」
メズールは一息吐いて、
「アンク…戻ってこない?」
「なに?」
メズールはアンクに優しい声で、
「800年前もそうだったけど、あなたって本当に自分勝手ね。でも、だからといって同じグリードなのよ。私達は復活できたけどあなたはそんな姿。それに…『ギル』と『ガラ』はメダルもなかった」
「…馬鹿かお前は?世界を飲み込む時、取り分が減るのは我慢ならん」
「その時はその時…今はお互い協力しましょうよ」
「…ふん、お前の『欲望』は相変わらずだな!」
アンクが自分のルーン・カードを広げる。鴻上コーポレーションに数枚のセルメダルと引き換えに作らせた、特殊硬質カード製のモノだ。
「世界を構築する大元素の一つ、暴虐なる欲望の炎よ。全ての存在を焼き尽す光にして、正邪全てを飲み込む強欲の光なり」
ルーン・カードが宙を踊る。
「まさか…『魔術』!?」
「それは果てなき欲望を与えると同時に、神をも喰らい尽す力なり。その名は炎、その役は領地。顕現せよ、欲望を喰らいて力と為せ…」
チャリィィィィィンッ!
「『
パキィィィィンッ!
投げたセルメダルをアンクが殴り、砕けた瞬間に大地に炎が広がる。
「きゃぁっ!」
大地を支配する炎はメズールの体を飲み込んだ。
「はっ!新しい力を手にれたのは俺もだ!お前たちだけじゃない!当麻!役たたず!逃げるぞ」
アンクは二人を見るが…
「まて、アンク…体が痺れて…」
「ぐう…」
動けないオーズとステイル。しかも…
「…やってくれるわね」
パシャンッ!
炎の大地が水で消化される。
「そんな弱い炎でなんとかできると思ってるの?貴方本当に弱ってるのね」
「ちぃっ!やっぱり効果は薄いか!」
予想してた事とはいえ、歯を軋ませるアンク。
「まったく…全てを焼き尽くす炎を操ったアンタも見る影がないわね。仲間に迎えようと思ったけど…その前にオシオキ、んん!」
突如メズールが止まる。
「もう、こんな時に邪魔しないでよ。あなたの『お願い』はわかってるから…」
独り言を喋りながら狼狽える。
「もう、わかったわ!この強情っぱり…なに!?こんな時に服の事までいうわけ!いいじゃない!セクシーでしょ!女はね、見られて美しくなるの!うるさいわね!ガメルは子供なの!…だれがショタコンよ!まったく、どこで覚えてくるのそんな言葉!」
「な、なんだ?」
メズールは一人喋った後、溜息を吐いて…
「と、いうわけで私行くわ。アンク、『三沢塾』に行っちゃダメよ。それじゃ」
と水流を身体に纏って、あっさりと引き返した。
アンクはその一連の行動から…
「なるほど。あいつまだ、『身体の願い』を叶えてないのか」
(だが、何故あいつが叶える必要がある?俺と同じ一定のセルメダル供給か?それとも…)
「あ、アンク。助かったのか?」
「このガキ…人の魔術を勝手に改造するな…」
「ああ、いいトコなしだなお前ら。しかし…」
(『ギル』と『ガラ』が復活していない?コアメダルを破壊できるのは、存在するとしたらコイツの『右手』ぐらいだ…いったい、どこへ?)
「…で、戻ってきたわけ?」
「そうなのよ。まったく…『一方通行』って奴みつけようにも、『研究所』から『No.10000』が消えたとかで、あっちこっち情報がややこしくなってるし。早く『実験場』見つけないと…」
「毎回毎回邪魔されたら迷惑だからな」
オープンカフェでコーヒーを飲みながら話す、愛琴・虎豹・統真。
「まあ、ちょっと郷馬と一緒に探してくるわ」
「いってらっしゃい」
「それにしても…」
愛琴は虎豹と統真を見て、
「アナタ達最近仲いいわね。どうしたの?」
「別に…」
「なんでもない」
「そう?」
疑問に思いながらも愛琴は自分の分の代金を置いてその場を後にした。
しばらくして、
「あ、いたいた!お~い虎ちゃんに統真兄!」
冬馬と虎豹の共通の友人が来た。
「よお、拳骨女」
「あれ?初春ちゃんと今日来るっていってた子は?」
「初春と白井さんは『風紀委員』の緊急会議があるとかで…なんでも最近出現する謎の怪物の対策なんだって」
『…へー』
ふたりは誤魔化すようにコーヒーを口に含んだ。