「ちくしょう…また勝てなかった。あのシャチ頭のお姉、猫野郎より強いんじゃないのか?」
「おそらくメダルが7~8枚は揃ってるんだろう。メダルが揃ってる分だけ力が変わる」
変身を解いた当麻は電撃による体の痺れをとる為に手を握り開き、足を動かす。
「なんなんだアレは!?あんなのが後1体いるのか!」
ステイルが体の痛みを抑えながら、2人に問いかける。
「イギリス清教の文献によれば後1体、『深緑の軍王・ウヴァ』がいる!そいつも復活しているのか!?」
「随分と懐かしい呼び方だな。だが、それじゃあ足りないな」
「グリードは2体…カザリって奴と、俺も見た事ない奴。ガメルだっけ?」
「ああ、お前達風にいうなら、『
「なっ…!?」
(なんて事だ!?世界が簡単に危なくなってるじゃないか!)
すぐに最大主教に連絡をする事を決意するステイル。
(もっとも…後二人。『
アンクも頭を巡らせる。
「おい、そんなことよりどうするんだよ?あのお姉の話だとあそこにヤミーがいるんだろ」
「ああ、おそらくその錬金術師が『親』だろうな。メズールのヤミー…もしその錬金術師の欲望がデカイならチャンスだ」
「どうして?」
「メズールのヤミーは一匹じゃない。『親』の近くに『巣』を造り、そこから大量に生まれるタイプのヤミーだ。力はやや弱いが、大量にセルメダルを稼げる」
「…なら決定だ」
当麻は立ち上がる。
「おい、乗り込むのはいつだ?」
「何?」
当麻はステイルを真剣な目で見つめる。
「ヤミーを倒さなきゃどれだけ被害になるかわからない上、放っておいたら、グリード達が更に強くなる。それに…捕まっている女の子」
メズールとの戦いで飛び散った資料の中にあった写真を当麻は拾う。
その写真には、
「助け出して聞かなきゃな…俺を憎む理由…」
少し前にファーストフード店で出会った巫女少女が映っていた。
(…魔王、か)
「とうま、どうかした?」
「俺…やっぱり魔王じゃないのか?」
インデックスを見て当麻はそう呟いた。
こんなに『小さな女の子』と豪華な部屋で『同棲』している時点で、ニュースやネットで『ロリ魔王』と名付けられそうな自分に頭を抱える。
「とうま?とうまってば」
「あ、ああ。インデックス、俺これから鴻上会長に頼まれてちょっとセルメダルの実験をしに行くんだタカやバッタやタコの他にウナギとか作るらしくてなあ、お前来るなよこの間はタコ・カン使ってマーキング食らってただろ今度はビリビリマイナスイオンビーム」
「ギャニャー!」
「じゃ、アンクと行ってくる。晩ご飯は冷蔵庫に入っているからチンして食べること。決して…決して、三日前みたいに鴻上さんとこ電話して料理持ってきてもらうなよ」
「え~」
「え~じゃあません。いざって時に困ったらどうする」
当麻はそんなインデックスを見ながら大丈夫そうに思ったとき、
ピンポーン!
「ん、こんな時間に誰だ」
「と、とうま!わたしがでるよ!」
『お腹を抱えて』走っていくインデックスを見ながら当麻は
ガチャ
玄関のモニターが映る。
「後藤さん?」
モニターに映ったのは先日鴻上会長に紹介されたライドベンダーズのリーダーの人だった。
『上条か?』
「どうしたんすか今日は?」
『会長に言われて届けに来た。今日インデックスが『専用直通電話』でネコの餌と飼育セットを…(ガチャ)』
扉が開く。
『ありがとなんだよシンタロー。これでスフィンクスは餓えないんだよ。さあ魔王・とうまに見つからないうちに…』
「そうかそうか、魔王に見つかるとどうなるんだ?」
『そりゃあ、あの血も涙もない非情で残忍で冷血でサディスティックな魔王にばれた…ギャニャー!こんなところからとうまの声がー!』
「で、その腹の中に隠してるのか?」
『な、何も隠してないよ?天にまします我らの父に誓って、シスターさんがウソをつくはずがないんだから』
『みー』
集音性能抜群。
「ぐるぁ!」
「ぎゃっ!」
当麻が玄関にダッシュ。
「テメェの信仰心はその程度か思いっきり誓い破ってんじゃねぇか!なんでも良いからさっさと服ん中に隠した野良猫出しやがれ!」
「と、とうま!この服は『歩く協会』って言うんだよ?」
「だから?」
「教会は迷える子羊に無償で救いの手を差し伸べるのです。よって路頭に迷ったスフィンクスは教会の手で保護しました。アーメン」
「…で、お前その中で野良猫飼ってくんだな。よし分かった。で、猫用のトイレの砂はやっぱり襟元からザザーっと流し込みゃ良いわけか?」
「…い、いいもん!スフィンクスは協会が匿うって決めたんだもん!」
「うわぁ計画性ねぇなテメェ!いいから…」
「まて、上条」
「…後藤さん?」
後藤はインデックスの目線まで体をかがめ、
「いいか、生き物を飼うっていうのは命を扱う責務を負うと言うことだ。わかるな」
「…うん」
「ならば今から俺が猫を飼うのに必要な知識を教えてやる。俺がわざわざ来たのはそのためだ。俺も昔猫を買っていたからな」
「ホント!?」
「ああ、毎日サボらないこと。約束するな」
「うん!」
後藤は上条を見て、
「この部屋で猫を飼うことを会長も構わないと言っている。情操教育にいいんじゃないのか?」
「ん…まあ、そうだな」
「とうま…」
「…わかった、仕方ない。ちゃんと後藤さんに教えてもらうんだぞ」
涙を浮かべそうな程喜んでいるインデックスを見て、まあ良いかと思うけど。
「ああ、天にまします我らの父よ。ここに一人の聖者がいます。聖者はその心で非常で残忍で冷血で
…思うけど何故か釈然としなかった。
「で、なんでお前達喧嘩してるんだ?」
「なぁに、この色ガキをからかっただけだ」
「キサマァ…いつか滅する」
見ると、あちこちにトレーディングカードみたいなものが貼られている。
「何したんだ?」
「こいつ今から敵陣に乗り込むくせに自分の切り札を置いていくんだとよ。まったく、大変だな」
「うるさい!他の魔術師からあの子を守るためだ!」
(ああ、それをアンクにからかわれたのか)
そう思いながら、
「まあ、大丈夫だろ。鴻上会長がセキュリティー上げてくれてるみたいだし」
「鴻上光生か…」
「ん?知ってるのか」
「当たり前だ。鴻上ファウンデーション会長・鴻上光生。経済力で科学側と魔術側に立ち向かえる男だ。あの男がその気ならイギリスに大恐慌を起して、ウチの屋台骨を壊すことくらいわけない」
「そ、そんなに凄かったのか」
「正直、今回の錬金術師より鴻上の方が恐ろしいよ」
ステイルはこの間の『会見』を思い出す。
(あの時、魔術を発動させようとしても、発動できなかった。魔術の無効化どころか『聖人の力』を弱体化させるシステム…一体どうやって作ったんだ)
「おい、いくぞ。さっきから良い『音』が聞こえる。セルメダルの音だ」
アンクは耳を清ます。場所さえ分かってしまえば、メダルの溜まり具合はわかる。
「どうやらタンマリたまっていっている」
「そりゃあマズイな。いこうぜ」
「ああ、わかった。ヤミーってのがどれだけのモノなのかはわからないが、グリードがあれだからな」
ステイルも事の重大さがかなり増した事に少し緊張していた。
「それじゃ、『三沢塾』へ向かいながら『敵』について触れておこうか」
ステイルはタバコの煙を吐き出し、
「敵の名前はね、アルレオルス=イザードという」