とある欲望の幻想破壊《イマジンブレイカー》   作:歌音

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序章・第5話/欲望の誘い

学園都市の食堂街で現在ちょっとしたイベントとして開催している。

 

イベント名は『フードファイト in 学園都市』。

 

別に大食い大会をしているわけではない。

 

何時もと同じ値段でボリュームを1.5倍にできたりとか、ちょっとした期間限定メニューができるくらいと…

 

イベント参加している全店に、『食べきったら無料(ただ)』の商品があるくらいだ。

 

「つ、ついに来たんだよ…」

 

少女は食堂街の路地裏にいる。

 

美少女といっても過言ではない顔立ちで、髪の色は銀髪。

 

そして、来ている服は白い修道服だった。

 

まるで何かから隠れるように、食堂街を見ていた。

 

「ここを暫く拠点にして毎日たくさん…はっ、駄目だよ。目立っちゃ駄目なんだよ」

 

少女は首を振る。

 

「い、一日一回にしなきゃ…でも、あぅぅ…か、神に仕える敬虔なシスターとして、節度と理性を…」

 

ポンポンッ…

 

「うぅ…お腹満たしたいよぅ」

 

ポンポンッ…

 

「なにっ!今、私は絶対なる神の理に…ふぇぇぇぇっ!」

 

とさっきから後ろで自分の頭をポンポン叩く奴に文句を言おうと後ろを向くと、そこには猫科を思わせる化け物がいた。

 

「面白い君のその『欲望』…解放しなよ」

 

ちゃりーん!

 

 

 

 

 

 

 

「ふんっ…中々だな」

 

有名子供ブランド店にでたアンクは満足そうに自分の着ている服を見た。

 

「こ、子供服ってこんなに高いもんだったか?全部で上条さんの一ヶ月の食費が…」

 

「そう、安いほうよ」

 

予備の服を眺めながら当麻は溜息を吐きたくなる。

 

「あとはそうだな」

 

アンクは当麻と美琴を見比べ、

 

「お前の方が審査が通りそうだ」

 

「へ?」

 

そのまま美琴は携帯ショップでツールフォンを契約する事になった。

 

「最新型ツールフォンねぇ…学園都市じゃなきゃ数ヶ月待ちがざらのものよ」

 

「そんなハイテクどうすんだよ古代生物」

 

「ふん、昨日何人かの人間の頭を覗いた時に基本的な使い方を知った。後は自分で使い慣れるだけだ」

 

アンクは美琴が携帯ショップで契約している街時間に入ったコンビニで買ったアイスを食べながら、ツールフォンを見ていく。

 

「おおっ」

 

「本当にアンタ古代生物?」

 

アンクはツールフォンを使う。

 

「ふ〜ん、これは便利と認めるぜ。なんせ空を飛ばなくていいんだからな」

 

とアンクの手がふと止まる。

 

(株式…ふ〜ん、『貨幣』ではなく『紙幣』が主体で流通しているだけでも驚いたのに、こういった事は発達しているな)

 

アンクはそのページを覗いていくと…

 

「当麻」

 

「ん?なんだよ」

 

アンクが『ちょいちょい』と手で呼ぶので当麻がしゃがむと、

 

ぽむ

 

アンクが右手を当麻の頭の上に乗せて、

 

「もういいぞ」

 

「な、なんだ気持ち悪いな」

 

アンクは手を離すとツールフォンを再び操作し、とある『数字番号』を入れる。

 

「ん?…んん…?って!おい!それこの上条さんのクレジット番号じゃねぇか!」

 

「ケチケチするな。どうせ作ったのはいいが怖くて使えないくせに俺が有効利用してやる」

 

ぎゃいぎゃい言っていると、

 

「ん?」

 

「なんだあれ?」

 

「ああ、あれって『フードファイト in 学園都市』のやってる食堂街じゃない?」

 

人だかりが出来ている所を見る。

 

「『フードファイト in 学園都市』?あのチラシのか」

 

「なんでも食堂街企画で結構好評らしいわよ」

 

「でも、あんなに人が集まるもんか?大食いチャンピオンでも来てんのか?ギャル●根とか」

 

「…間違いない」

 

アンクが笑いながら

 

「『セルメダル』の音だ」

 

『!?』

 

それを聞いた2人はアンクを抱えて、走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「むふ〜、幸せなんだよ」

 

『首に包帯のようなものを付けた』白い修道服の少女は『ギガンティックラーメン』のスープを飲み干し、幸せの言葉を出す。

 

『ギガンティックラーメン』。

 

学園都市一の人気ラーメン屋『鳳仙花』がこのイベントの為に用意したラーメン。

 

特製巨大どんぶりの中には麺7玉、その他の具材も4倍といったラーメンである。

 

そして、味も美味い。

 

店主が『喰えるモンなら喰って見やがれ』的な勢いで作りあげた自慢の一品である。

 

そのかわり、喰われたら結構な赤字。

 

「さぁ!おかわり持って来るんだよ!」

 

「か、勘弁してくだせぇ!?こ、これ以上は…」

 

屈強そうなゴツイ店主が頭を地面に擦り付ける勢いで土下座する。

 

そう、少女はこれですでに4杯目だった。

 

「何言ってるんだよ!」

 

少女は張っているチラシを叩く。

 

「この言葉は嘘だなんて言わせないよ!嘘はいけないんだよ!正直に生きなきゃ駄目なんだよ!」

 

そう、この『フードファイト in 学園都市』の売り文句…『おかわり?そんな勇者を待っていた!』で、つまり食べたら無料メニューは全部おかわり自由である。

 

店主もこの企画に参加する時、

 

「そんな猛者…上等じゃねぇか!いくらでもキヤガレ!」

 

と言っていたが、店主が土下座するのも理由がある。

 

少女はこのラーメン屋に来る前にカレー屋『カレクック』とどんぶり屋『味王』を『材料切れ(潰して)』いるのだ。

 

もちろんこの2店は物凄い赤字である。

 

「さぁ!早く持って来るんだよ!ハリーハリーハリー!」

 

「うぅ…わかりやした…」

 

「店長が泣いています」

 

店長は涙を流しながら、しかし、そのプライドから一切手抜きせず、美味しい『ギガンティックラーメン』を作り、

 

「おまち…」

 

少女の前に置いた。

 

「いっただっきま〜す!」

 

少女は本当に美味しそうに食べる。

 

その美味しそうに食べる所だけは、癒される。

 

そう、自分のラーメンを美味しく食べている所をうれしくないわけがない。

 

しかし…

 

「俺、この戦争(イベント)が終わったら、その稼ぎで結婚するんだ」

 

「店長!死亡フラグです!」

 

稼ぎどころか、別の貯めていた資金まで消えそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだありゃあ」

 

「も、物凄いわね」

 

「間違いない。あの小娘に『ヤミー』がいる」

 

「ヤミーがいるってどういうことだ?」

 

当麻がアンクに問う。

 

「ヤミーにも色々あってな。あれは寄生型だ」

 

アンクは微妙な顔をする。

 

「本来なら人間の欲望を利用して、その欲望のままに走らせる。最終的には人間が苦しくなってもな。だが…」

 

アンクはほんっとうに微妙な顔をして、

 

「あの小娘はなんだ?もう結構育っているのに理性的に欲を叶えて、幸せになってやがる」

 

「どういう意味よ」

 

「ああいうタイプは本来食い物をみると他人のモノでも奪って喰うんだが、あの小娘はちゃんと注文をして注文を待って、喰ってやがる。ちゃんと無料になる事を考えてな。それに…普通はあそこまで育ってたら人間の腹がパンクしそうなくらい膨らんでいるはずなんだが…今の人間ってあんな感じなのか?」

 

つまりあの少女は『理性を保つくらい精神が強い事』と『ヤミーが育っても補えるほどの食欲』があると言っている。

 

「人間って…あんなに食えるものなのか?」

 

「絶対体重凄い事になってるわよね?ほら、質量保存の法則で」

 

「それなのになんで体型がかわらないんだ?」

 

3人は疑問に思いながら物影に隠れる。

 

「アンク、あのヤミーの対処法は?」

 

「あのタイプのヤミーは育つまで出てこない。この際だ。あともう少しで育ちきる、それまで…」

 

そこでアンクは言葉を止めて、

 

「…うっとうしい」

 

といって、走り出した。

 

「お、おい!アンク!?」

 

「どこいくのよ!?」

 

2人はアンクを追いかけた。

 

「おかわりなんだよ!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃっ!」

 

悲痛な悲鳴を背にして…

 

 

 

 

 

 

「お、おい。一体どうしたんだよ」

 

2人はアンクを追いかけて、人気のない場所に着いた。

 

「…あまり今目立つのは得策じゃないといっただろ。カザリ!いるんだろ、出て来い」

 

「へぇ…そんなになってもやっぱりわかるんだ」

 

『!?』

 

突如、建物の影から出てきたのは、一体の化け物。

 

猫科の動物を思わせる顔で、黒い鎧…そして下半身が『不完全』だった。

 

「久しぶりだねアンク」

 

「ああ。そういえば、人に寄生するヤミーはお前のお得意だったな」

 

「こ、こいつは!?」

 

「気をつけろ、当麻!こいつはカザリ。俺と同じ『グリード』だ」

 

「こ、こいつが!?」

 

「化け物の親玉!?」

 

当麻はアンクに近づき、

 

「アンク!ベルトとメダルを…」

 

「ほらよ」

 

「え?」

 

「気をつけろよ。その黄色の『コアメダル』はヤツのだからな」

 

アンクはやけに素直にメダルとオーズドライバーを渡した。

 

「な、なんだ。どうしたんだお前」

 

「………」

 

「ちょっと!早く変身しないと!」

 

「あ、ああ」

 

当麻はベルトにメダルをセットし、

 

「変身!」

 

キィン!キィン!キィィィィンッ!

 

《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》《TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!》

 

当麻がオーズに変身する!

 

それを見てもカザリはゆったりとしている。

 

「いくぜ!」

 

オーズはカザリに向かっていくが、

 

「遅いね」

 

「へっ?」

 

一瞬でカザリが消え、

 

「そんなんじゃ僕に追いつけないよ」

 

背後からの声にオーズが反応した瞬間、

 

「そら!」

 

ガギィンガンッ!

 

「ぐぁっ!がぁっ!」

 

「ちょっと下がりなよ」

 

と黄色い竜巻を放ち、

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

とそのまま攻撃を食らうと同時に吹っ飛んだ。

 

「なっ!よくもやったわね」

 

バチッ!

 

美琴の体に電撃が迸る。

 

「くらえぇぇぇぇぇっ!」

 

構えたコインに電撃を込め、自身の二つ名でもある『超電磁砲(レールガン)』を解き放つ!

 

しかし!

 

カキィンッ!バスッ!

 

「へっ?」

 

まるで何事も無かったようにカザリは自身の爪で弾いた瞬間、

 

「少し大人しくしといてよ。可愛い女の子を刻むのは趣味じゃないんだ」

 

「…!?」

 

いつの間にか自分と間合いを詰め、

 

「ほらっ!」

 

すばやく掴んで放り投げた。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「御坂!?」

 

オーズは痛みを抑え、美琴を受け止めた。

 

「だ、大丈夫か…!?」

 

「う、うん!?って、あんたは!?」

 

「ちょっと不味いかな…」

 

オーズの変身が解け、当麻の姿になると、地面に膝を付いた。

 

「ちょっと待ってよ。別に戦いに来たわけじゃないんだ」

 

カザリは2人に静止のポーズをとる。

 

「わかるよね、アンク」

 

「…お前がコソコソする時はいつも何かを企んでいる時だからな」

 

カザリはアンクを見て、

 

「アンク。僕と組まない?」

 

「なに?」

 

カザリの突然の言葉にアンクは少なからず驚く。

 

「だから、オーズなんか捨てて、グリード同士、僕と組まない?」

 

カザリは次々と告げる。

 

「わかってると思うけど、オーズなんて元々は僕達を封印する存在じゃないか。そんなのと組むなんて無理だよ」

 

「マジですか…」

 

(アンクの野郎…俺が思ってたよりずっと切羽づまってんじゃねェか)

 

自分の絶対的な敵となる存在を使うなんて普通はできない。

 

「僕は昔からグリードの中でも君に注目していた。だから君と手を組んだほうがいいと思ったんだ。僕と組んだほうが、メダル集めは効率的だよ。それに…」

 

カザリは当麻…いや、正確には当麻の見につけているオーズドライバの中心にある『トラ・コア』…自身のコアメダルを見る。

 

「君が僕達が失くしたメダルを全て持っているとは思ってないよ。君自身が『腕(それ)』しか復活してないんだからね」

 

それを聞いて当麻は頭を回す。

 

確かに、アンクが今まで自分に使わせたメダルは自身のコアメダルが2枚、緑の2枚に、黄色が1枚だ。

 

「確かに…」

 

アンクは当麻と美琴を見て、

 

「俺としても仕方なくオーズを使ってるだけだ。なにしろ…」

 

アンクは『右手』を自分自身にもどして、

 

「これしか復活できてない。それに、人間と組むとメダル集めが厄介だな。お前の方がマシかもな?」

 

「アンクッ…!?」

 

「あんたまさか…」

 

「きまりだ…オーズはもういらないね…」

 

カザリは当麻と美琴に近づこうとするが、

 

「待て」

 

アンクがそれを止める。

 

「『グリード』であるお前と組んでも、それはそれで『デメリット』はある。少し考えさせろ」

 

アンクの言葉を聞いて、カザリは少し考えると、

 

「ふっ、わかった。でも…長くは駄目だ。君は…油断ならない」

 

とカザリは振り返る。

 

「頭のイイ君なら正しい答えを出せるはずだ…」

 

そして去り際に、

 

「またね。カワイ子ちゃん」

 

と美琴に手を振って、去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「私の『超電磁砲(ちから)』がまた効かなかった…」

 

「あれが…グリードか。なんつうか、力が強いんじゃない…」

 

当麻は傷ついた体を起こし、何とか立つ。

 

「力の…質が違う」

 

「当然だ。あのカザリの他にもあと5人…」

 

アンクは『仲間』を思い出す。

 

「ウヴァ」

 

昆虫の『王』。

 

「ガメル」

 

巨大な生物達の『王』。

 

「メズール」

 

水や海に住む者達の『王』。

 

「ギル」

 

毒甲殻類の『王』。

 

「ガラ」

 

爬虫生物の『王」。

 

「もし奴らのコアメダルが揃ってたら…今頃どうなってたか」

 

 

「確か…『世界』を『喰らう』って言ってたな」

 

「ああ、あらゆる意味でな」

 

アンクはニヤリと笑う

 

「さてと、カザリのありがたい申し出で、カザリにボロボロに負けた人間(オーズ)が必要ってわけじゃなくなった」

 

アンクは笑いながら当麻に近づく。

 

「どうする?黙ってメダル集めを優先するな考えてやってもいいぞ」

 

「…それはできない」

 

当麻はまっすぐアンクを見て、

 

「人の命が最優先だ」

 

「バカが…電気女もそう思うだろ」

 

「………」

 

美琴は何も言わない…言えなかった。

 

「御坂?」

 

「なら、聞く。お前はなんで人間の味方をする」

 

「な…に…?」

 

当麻にアンクは言う。

 

「この『体』の事は話しただろ」

 

アンクは自分の体を指す。

 

「お前がいくら否定しても真実は変らない。この800年で人間の欲望は膨らみ、淀み、芳醇となった。だがな…」

 

アンクは嘲笑う。

 

「人間はさらに愚かになった」

 

「………」

 

同じ、人間の自分でも許せない気持ちになるアンクの『体』となっている少年の生い立ち…

 

「お前は馬鹿だ…時代が時代なら『聖者』だろうよ。だからこそ、聞きたい」

 

アンクは当麻に突きつけるように…

 

「なぜ、お前が人間の味方をする?」

 

それは、決定的な一言だった。

 

「よく考えろ。それまで俺は…」

 

買ったばかりのツールフォンを出し、

 

「こいつをお勉強だ」

 

とアンクはテクテクと歩いていってしまった。

 

美琴は残された当麻を見る。

 

その表情は悲痛と葛藤に溢れていた。

 

そして、なぜか当麻のその顔を見ると、自身の胸も痛くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっ、ただいま」

 

「カザリ…」

 

「お帰りなさい。どう?育ってた?」

 

メズールとガメルは帰ってきたカザリに声をかける。

 

「うん、結構育ってたよ。面白い娘でさ…シスターの服着てたね」

 

「あら?十字教ってまだ残ってたのね。800年前、騎士団から聖人まで皆殺しにしてあげたのに」

 

「うん、ガメルは覚えてる?あっ、ガメルは仏教徒とイスラム教と戦ってたんだっけ」

 

「うん…たくさんたくさん…」

 

「僕は魔術師連中だったからな〜、馬鹿だよね」

 

カザリはあざ笑いながら、

 

「『人間の欲望』でできた僕達が…人間に破壊できるわけないのにね」

 

「ええ、私達は人間の力の源…『欲望』で生まれた。だから、人間が欲望で造るモノ…創るモノは『食べればいい』から」

 

これは本当の事だ。人間の欲望でできた『コアメダル』と『セルメダル』。

 

『欲望』というものは人間の『ほぼ全て』に関わっている。

 

例えそれが『強くなりたい』…『護りたい人の為に強くなりたい』というのも、『欲望』なのだ。

 

「でも、最初にいた人間達は『いい線』いってたよね。セルメダルをエネルギーにするなんてさ」

 

「ええ、でもあれじゃダメね。たった数枚しか使えないんじゃ、私達に対抗はできないわ。でも…」

 

メズールの声色が変わる。

 

「今は弱いけど…忌々しいわよね。オーズ…」

 

「あれでも一応、僕達を封印できる唯一の存在だからね」

 

「オーズ…なぜ戦う?」

 

ガメルは首を傾げる。

 

「まっ、何とかなるでしょ。今はセルメダルを集めながら、オーズと…どこに行ったかわからないコアメダルを探さないと…あ、そういえばさ、この街に何人か魔術師が…って」

 

カザリは辺りを見回し、

 

「ウヴァは?」

 

「ああ、ウヴァは昔から私達の手伝いも率先してやってくる真面目なヤツだから…」

 

800年前、他の6人を率先して手伝ってくれていた仲間思いのウヴァを思い出しながら、メズールは一息吐いて、

 

「真面目な奴がイライラすると回りに当る事って多いのよね」

 

 

 

 

 

ウヴァは血塗れの廃ビルにいた。

 

そこに屯していたスキルアウトを殺していると、重武装の警備員(アンチスキル)が乱入してきたが、ウヴァはそいつらを皆殺しにした。

 

しかし、ウヴァの気持ちは治まらない。

 

「こんな…こんな奴らを殺すのに、こんなにも…」

 

かかった時間は一分もなかった。

 

だが、ウヴァは納得できない。

 

一瞬で…刹那で…片付けるはずだったのに…

 

「俺の…!」

 

ウヴァの咆哮は…

 

「俺のコアメダルはドコダァァァァァァァァァァァァッ!」

 

周りに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…どうやら本当にグリードが復活したとは…世界の終わりが近いのか」

 

アンチスキル全滅の報告を受け、『男』は溜息を吐いた。

 

『いや!これは誕生だよ!』

 

モニターの向こうの鴻上が叫ぶ。

 

『探究心あふれる科学者も神秘を紐解く魔術師も敬虔な宗教家もいい加減気づくべきだ!欲望こそ!素晴らしき人間のパワーだと!』

 

「それが…あなたの組織の原動力か?」

 

『組織?そんな物騒な言い方はしないでくれたまえ。『会社』だよ。まったく君達は一企業にそんなに警戒心を出してどうするというのだ?』

 

「…単なる一企業が全ての『魔術師』を敵にできるとはな」

 

鴻上ファウンデーション…一切の魔術組織と関わりを持たずして、『魔術師や能力者に対抗する力』を持つ…『会社』。

 

『敵対するとは失礼な。私達は『会社』だよ。契約・提携してくれればいくらでも力を貸す。現にちゃんと契約してくれた『君』には惜しまず協力してるじゃないか』

 

「セルメダルはくれないようだが?」

 

『メダルは価値が違う。あれ一枚がどれだけの価値があるか君も知ってるだろう』

 

そう…あそこまで高純度なエネルギー物質を『男』は見たことがない。

 

あれが数枚もあれば…大魔術が可能となる。

 

現に、たった3枚で『欲望を超えた王』は…『世界を切り裂いた』。

 

(この男はまさに体現している…この世で最も強いのは…)

 

モニターの鴻上を見ながら、

 

(欲望を際限なく持つ普通の人間と言う事を…)

 

自分の実感を心で

 

『さてと…本題だ。いい加減君の誕生日を教えてくれないか?』

 

の毎日届く彼に取って最上の好意である素晴らしく美味しそうなホールケーキを見ながら、溜息を吐いた。

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