とある欲望の幻想破壊《イマジンブレイカー》   作:歌音

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第1章/10万3000冊の禁書目録


第一章/10万3000冊の『禁書目録』
第1章・第1話/愚か者は手を伸ばす


「で、小娘。お前は何者だ?どうしてここにいる?」

 

アンクは目の前で当麻の作った野菜炒め(残り物の野菜、痛んでないよ♪)をモグムシャ喰っている修道服を着た少女を睨みつけて、問う。

 

「見た所、『神』の下僕らしいが?」

 

「ふぁふぁふぃのふぁふぁえふぁ…」

 

「…喰うか喋るかどっちかにしろ」

 

アンクが苛立ちながら言うと、少女はガツガツ無言で食べ続けた。

 

アンクは野菜炒めを奪い取る。

 

「ああ!返して!」

 

「人が聞いているのに喰う事を優先しといて何が返してだ!第一これは俺の下僕の食料だ!」

 

「上条さんは下僕じゃありませんよ、アンクさん…まあ、確かに俺も聞きたいな」

 

と追加の具の貧相なチャーハンを持ってきた当麻は呟いた。

 

「最大限の譲歩だ?この食料が欲しければ、言え!貴様何者だ!?その『修道服』から見てただの小娘じゃないだろう!」

 

アンクは少女の『修道服』の正体に気づいていて問いかける。

 

『う〜』と唸りながら少女はコホンと咳払いし、

 

「私の名前はね、インデックスって言うんだよ?」

 

「誰がどう聞いても偽名じゃねぇか!大体何だインデックスって!『目次』かお前は!」

 

「おい、あの忌まわしい神の下僕が偽名を語っていいのか、餓鬼」

 

「見ての通り教会の者です、ここ重要。あ、バチカンの方じゃなくてイギリス清教の方だね?」

 

「こっちの質問は無視かよ!?」

 

「まて…」

 

アンクは自分のツールフォンを操り『イギリス清教』を検索する。

 

「俺が封印された800年の間に生まれた宗派か」

 

「う~ん。『禁書目録(インデックス)』の事なんだけどね。あ、魔法名ならDedicatus545だね」

 

「一体ナニ星人と通話中ですかこの…「まて」アンク?」

 

アンクは急に神妙な顔をする。

 

「お前は教会の者だよな。何で魔法名を持つ。800年前はそういうのを絶滅させる為に必死だっただろ?」

 

「おお、こちらの坊やは詳しいようだね」

 

「坊や言うな餓鬼。おい、当麻、しばらく黙ってろ。ややこしくなる。聞きながら冷蔵庫のアイス持って来い」

 

アンクの真剣な声に当麻は従う。

 

「こっからは正真正銘の真剣な話だ。場合によっちゃあ…」

 

「…わかったよ」

 

「なぜベランダで布団になっていた」

 

まずは最初の疑問。

 

「落ちたんだよ。ホントは屋上から屋上へ飛び移るつもりだったんだけど」

 

「剛毅だな。で、理由は?」

 

「仕方なかったんだよ。あの時はああする他に逃げ道がなかったんだし」

 

「逃げ道?」

 

アイスを持ってきた当麻が口を出してしまった。

 

「追われてたからね」

 

当麻はそれを聞いて眉をひそめる。

 

「ホントはちゃんと飛び移れるはずだったんだけど、飛んでる最中に背中を撃たれてね」

 

「う、撃たれたって…」

 

「うん?ああ、傷なら心配ないよ。この服…」

 

「かなりの『防御結界』だな。人間のモンにしちゃ上出来だ」

 

今度は少女…インデックスの方がびっくりする。

 

「わかるの?」

 

「ああ、随分なモンだ。だから俄然気になる事がある」

 

「おい、アンク」

 

「ああ、なんだ?」

 

「上条さんにもわかるように説明しなさい」

 

「はぁ~、馬鹿に説明すると、時間がかかるんだが?」

 

「…アイス。今沸かしてるポットの中にいれるぞ」

 

「この小娘の修道服を見ろ」

 

アンクは手のひらを返して説明し始める。

 

「この小娘の着ている修道服これ自体が『結界』だ。800年前でも、これほどの『結界』となると『秘宝』だな。多分どっかの聖人の死体を包んだ布…聖骸布のコピーか?」

 

「ちょっと待て、ちょっと待て。アンクわかりやすく説明しろよ」

 

「…はぁ。小娘。大体想像はつくが…なんに追われていた」

 

 

 

 

「…名前まではわからないけど…『魔術結社』だよ」

 

 

 

 

 

「はぁ、魔術?おいおい、ファンタジーもいい加減に…」

 

「まだ存在してんのか?ここまで科学技術が発達していれば廃れて滅んだと思っていたがな」

 

「廃れて滅んでないもん」

 

当然のように会話を進めていく2人に、当麻は着いていけない。

 

「おいおい、アンク…本当に魔術なんてあるのか?」

 

「…そうか、今の時代の人間は知らないのか?もしかして秘匿してんのか」

 

「マジですか?」

 

「ああ、お前、800年前の存在の言葉を信用しないのか?」

 

「…そういえばそうだな。古代魔法生物」

 

「…だがな当麻。重要なのは今そこじゃない」

 

アンクはインデックスを睨みつける。

 

「どうしてこんな小娘が、こんな上等の防御結界を身につけて、魔術結社から逃げているかって話だ」

 

「そりゃあ…宗教がらみじゃ…?」

 

「…私は、『禁書目録(インデックス)』だから」

 

『はぁ?』

 

「私の持つ10万3000冊の魔道書。きっと、それが連中の狙いだと思うの」

 

それを聞いて当麻は呆れた顔になり、アンクは初めて興味深そうにインデックスを見た。

 

「10万3000冊の魔道書だと?」

 

「おいおい、鍵でも持ってんのか?」

 

「ううん。10万3000冊、1冊残らず持ってきているよ」

 

さらに不可解な事をインデックスは言う。

 

(まさか…なるほどな…)

 

アンクはニヤリと笑い、

 

「当麻…この小娘を匿うぞ」

 

「え?」

 

突然のアンクの言葉に理解できない…言葉の自体の意味は分かるのだが、アンクが言っているから理解ができなかった。

 

「困っている奴を助けるのは当たり前だろう」

 

「アンク…アイス喰いすぎたか?お腹、痛くないか?」

 

当麻は心底アンクを心配する。薬はあったか?と救急箱を取りにいこうとした時、

 

「俺は間違った事は言っていまいぞ。さぁ、シスターにおいしい物をたくさん食べさせてやれ」

 

「おお!なんと心優しい少年なんだよ」

 

インデックスは感涙する。

 

「あなたには必ず神のご加護があるよ」

 

「なぁに、当然の事をしたまでだ」

 

と、アンクは右手でインデックスの頭を触ろうとすると、

 

バチンッ!

 

跳ね飛ばされた。

 

「………」

 

「………」

 

「あれ?どうして?」

 

インデックスだけが不思議そうにアンクを見る。

 

当麻はアンクが弾き飛ばされた理由がわかる。

 

「やっぱ、邪な生物なんだな。お前」

 

「ちっ…仕方ないか」

 

アンクは念の為に、左手で当麻の右腕を掴む。そして、

 

ぽふっ

 

「あっ」

 

「ん?なに?」

 

当麻の右手が、インデックスの頭に触れた。

 

「お、お前なんて事を…」

 

「え?何かした…」

 

と突然、インデックスの着ていた修道服の糸が綺麗に解け、解いたプレゼントのリボンのようにストンと落ちた。

 

そう…インデックスは頭の帽子を残しているだけで、素っ裸となった。

 

「これでよ…」

 

アンクが全てを言い切る前に見たのは、ピラニアのような歯だった。

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ、ぐぅぅぅぅ…」

 

アンクは全身に走る激痛に呻いていた。

 

「ほんと、ウチのバカが申し訳ない」

 

当麻は相棒の蛮行に頭を下げている。

 

「キシャーキシャー」

 

当麻の安全ピンによる必死の手作りによって修復された修道服を着たインデックスはまだ『ピラニアンモード』を解除していない。

 

「まま、ウチのバカのだけど、アイス食べますか?」

 

「…食べる」

 

用意されたアイスを食べ始める。すると落ち着きを取り戻したのか?

 

「君のその手、何?」

 

「あ、ああ。この右手は『幻想殺し(イマジンブレイカー)』っていって異能の力なら戦略級の超電磁砲(レールガン)から神の奇跡(システム)だろうが…」

 

当麻はチラッとアンクを見て、

 

「神代の化け物だろうが打ち消す事ができます」

 

「うそー…と言いたい所だけど。こんなことされちゃったから信じるしかないんだよ」

 

「ホント申し訳ない。だけど…」

 

当麻は一息吐いて、

 

「まあ、匿うってのは賛成だ」

 

「え?」

 

当麻の言葉にインデックスはきょとんとする。

 

「暫くここにいてもいい。その服が壊れちまったのは俺のせいでもあるしな」

 

「…そうだけど…でも、この服が壊れたから、あいつらは私を狙ってくるよ」

 

「そうなのか?なら尚更だ」

 

「でも…」

 

「だから素直に聞きなさいって」

 

「じゃあ…」

 

少女はニッコリと…とても辛そうな笑顔で、

 

 

 

 

 

「私と一緒に地獄の底までついて来てくれる?」

 

 

 

 

 

 

その言葉に当麻は絶句する。

 

自分より年下にしか見えない少女が…なぜ、こんな笑顔ができるのか。

 

「私は大丈夫だよ。教会まで逃げれば匿ってもらえるし」

 

「その教会ってどこだ?」

 

「ロンドン」

 

「遠すぎだ!一体ドコまで逃げるつもりだ!?」

 

「うん?あ、大丈夫だよ。日本にもいくつか支部はあると思うし」

 

少女は教会の事を喋る。どうやら彼女の所属する教会でないと門前払いを食らうようだ。

 

「じゃあ、だめだ。匿う。ちゃんとそれが見つかるまで」

 

「なんで!?君…もしかして、バカ?」

 

「ああ、バカさ。バカヤロウだ。今日気づきましたよ。気づいちゃいましたよ。いいかシスター娘ちゃん。教えといてやる」

 

当麻は本当にどうして自分はこうなのかという顔をしながら、

 

「手を伸ばす時に伸ばさなきゃ、後で死ぬほど後悔するんだよ」

 

「で、でも、伸ばして後悔したらどうするの?」

 

「そんときゃその時だ。後悔してから考える」

 

インデックスは絶句して、当麻を暫く見ると、

 

「ぷっ」

 

噴出して、

 

「バカなんだね君」

 

「先程からも申し上げているように、上条さんも今まで認めたくありませんでしたが、本日認めてしまいましたよコンチキショウ」

 

「そうなんだ…ところで、『アンク』ってその変態の名前だよね」

 

「ああ」

 

「おい、誰が変態だ。小娘」

 

「おっ、復活したか?」

 

アンクは噛まれた体中を痛そうにしながら立ち上がる。

 

「キシャー」

 

「うるさいぞ小娘」

 

「うるさい変態小童!小童に小娘って言われたくないんだよ」

 

吼えながらいうインデックス。

 

「黙れ。それから当麻」

 

「ん?」

 

「客だ。外に出るぞ」

 

「え?」

 

「小娘はここで待ってろ…そのアイスはと~~~~くべつ~~~~~~~~にっ、喰っていいが、他のを喰ったら殺すぞ」

 

とアンクはそう言って当麻を引きずって外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

アンクに連れられて外にでた当麻の見たものは、タバコを咥えて、紙切れを貼り付けていた幼い顔立ちの赤髪の男だった。

 

「随分と間抜けだな?ご大層なルーン文字でも、張っている姿は間抜けだな」

 

「…まさか、気づかれるとは思わなかったよ」

 

「おい、アンク。上条さんは一体何がなんだかついていけないのでせうが」

 

アンクは呆れた顔をして、

 

「こいつが、『魔術師』だよ。大方、あの小娘を攫う準備をしてたんだろう?」

 

アンクは目の前の赤髪の男を見下すように見る。

 

「…やれやれ、坊やは随分と詳しいようだね」

 

「黙れ、クソガキ」

 

その瞬間、世界が凍る。

 

「…っく」

 

赤髪の男は怯んで下がる。

 

目は恐ろしく凶悪で強大な化け物を見る目だ。

 

「おい、アンク。なんで本気だしてるんだ?」

 

当麻はこんな中でも平気でアンクに話しかける。これには少しアンクも驚いた。

 

(こいつ…馬鹿だから、それとも『OOO』に変身した影響か?)

 

「なぁに、クソガキに礼儀を教えただけだ」

 

「まったく、上条さんは今日は置いてけぼりですが…」

 

当麻は今日初めて会った少女を思い出しながら男を睨んで、

 

「あの子を撃ったのはあんたか?」

 

「だと言ったら?」

 

当麻は少し、怒気を高める。

 

「なんで撃ったんだ?」

 

「まあ、『保護』する為かな」

 

「保護?」

 

「そっ、『アレ』の持っている10万3000冊の魔道書をね」

 

「…やはりな。本当にあの小娘が『持っている』ようだ。よく『生きてる』な、あの人間の小娘」

 

アンクが嘲笑う。

 

当麻もう知っている。アンクが『嘲笑っている時』は、決まって『人間の最も醜くい欲望(モノ)』を見たり知ったりした時だ。

 

「あんな小さな女の子によってたかって…テメェら!大体!あいつがどこに魔道書なんか持っているんだよ」

 

「『完全記憶能力』…だな」

 

それに赤髪の魔術師は目を開く。

 

「当麻。こいつの言っている魔道書は…あの小娘の頭の中だ。どんなゴミ記憶でも『忘れられない』記憶能力でな」

 

「御名答。君は中々学があるようだ、少年」

 

「ガキが人をガキ言うな、クソガキ」

 

その言葉に少し、青筋を立てる赤髪の男。

 

「まあ、そこのツンツン頭くんなんかは意味がわからないだろうけど、そいつはね『使える連中』の手に渡ると少々厄介な代物なんだ。だからこうして僕達が保護してやりに来た、と」

 

「………」

 

「随分いい解釈のしかただな?」

 

「保護だよ。アレにいくら良識や良心があったって、拷問と薬物には耐えられないだろうしね。そんな連中に女の子の体を預けるなんて考えたら心が痛むだろう?」

 

「てっめぇ…何様だ…!」

 

当麻は怒りで赤髪の男を睨みつける。

 

「ステイル=マグヌスと名乗りたい所だけど、ここは『Fortis931』と言っておこうかな」

 

赤髪の男…ステイルは余裕たっぷりに咥えていたタバコを持ち、

 

「僕達魔術師は魔術を使う時に真名を名乗ってはいけないという因習があってね。魔法名…」

 

タバコを投げ捨てる。

 

ヴォォォォッ!

 

いきなり火の手が上がる。

 

「『殺し名』かな?」

 

ステイルの手に炎が集まり、それを一気に

 

「――巨人に(Purisaz)苦痛の(Naupiz)贈り物を(Gabo)

 

超高熱の炎が当麻とアンクを襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふん」

 

ステイルはつまらないものを見るように吐き出す」

 

「やりすぎたか?まあいい。夏休みとやらで住民は残っていないようだしね」

 

ステイルは軽く笑みを出し、

 

「『彼女』を匿ってご苦労だったね。僕がちゃんと回収…なっ!」

 

ステイルが驚くのも無理はない。さっきの炎剣の温度は摂氏3000度…普通の人間なら消し炭になっている。

 

そう…

 

「お前の『右手(それ)』はこういう時には本当に便利だな。忌々しいほどに褒めてやる」

 

アンクは自分の体を『破壊された時』の事を思い出しながら当麻を褒める。

 

「で、どうするんだ?俺はあのガキの持つ10万3000冊の本が気になるな。人間(カス)共がどんなものを書いたのか俺が採点してやろう」

 

俺ならアイスを喰いながら読める、といいながら当麻を見る。

 

当麻はアンクの『予想通り』の顔をしていた。

 

「アンク…俺さ、あの子にさっき言われたんだ…」

 

 

 

『私と一緒に地獄の底までついて来てくれる?』

 

 

 

「誰が今日あったばかりの赤の他人と地獄に落ちるって?冗談じゃねぇ。だから…」

 

当麻の言葉に溜息を吐くアンク。

 

当麻が次に何を言うのか完全にわかっているからだ。

 

「だから手を伸ばして、掴んで、握って!地獄の底から引きずり出してやる!アンクッ!」

 

当麻はオーズドライバーを装着する。

 

「まったくお前は、一枚にもならない事を…まあ、10万3000冊の代金だと思えばいいか」

 

アンクはコアメダルを渡す。

 

当麻はコアメダルを『左手』で受け取り、オーズドライバーにセットする。

 

「腹立つから速攻でケリをつける。帰ってアイス喰うぞ。俺はチョコだ」

 

「安心しろお前と違ってお利口な俺はもう作戦(プラン)を考えている。俺はクッキー&クリームだ」

 

『左手』でオースキャナーを持ち、

 

「変身!」

 

『力』を読み取った。

 

 

 

 

 

ステイルは目の前の存在に驚愕の表情をする。

 

それはそうだ…さっきまでなんの力も感じなかった一般人から、自分を、いや、もしかしたら『聖人』すらも遥かに超えるほどの暴力的魔力が溢れ出たからだ。

 

 

《TAKA!》《TORA!》《BATTA!》《TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!》

 

 

ステイル=マグナスの目の前に、『欲望の王』は不可思議な歌と共に現れた。

 

「お前の幻想…破壊してやる!」

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