病み琴子(※未完終了)   作:猫目

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原作の流れの部分はスルーで
ぶっちゃけ幼年期を真面目に書くと短編じゃ間に合わなくなる




第2話

 

あの4日間の事は良く覚えている

私に初めて友達が出来た日からの4日だ

彼に会えなくなるまでは本当に色濃くも早い4日だった

 

初めて友達と歩いた

右も左も分からない道を二人に両手を引かれて

縁日の時間まで勇気君の家でワイワイ騒いだ

 

初めて友達と縁日に行った

二人共、疲れ切った私に合わせて

ゆっくり休みながら取り留めの無い会話を楽しんだ

 

初めて友達と遊園地に行った

華澄さんと出会い、引率してもらいながら…

一応、おばあちゃんも来たけど自分の事で手一杯だった

よく子供3人を中学生1人で面倒見てくれたものだ

今でも華澄さんには頭が上がらない

あの時、無邪気に手を引っ張ってくれた2人にも頭が上がらない

 

 

そして最後の日…何故かおばあちゃんに朝早く起こされ、

二人の家に連れて行かれ…そして…

『大きくなったらあの高校に3人で行こう』と約束した

 

 

「琴子、どうすんだい?奨学生待遇で来てたんだろ?」

「…え」

「琴子、しっかりして。どうしたの?ボーっとして」

 

えっと…まず私は何をやっていたっけ?

ああ、そうだ

何時ものタバコ屋の奥で光とお茶を飲みながら話をしていた

そこでタバコ屋のおばあちゃんが話しかけてきたんだった

…中学校の推薦…いや勧誘と言って良い程の高待遇について

 

「そう…ね」

「…琴子、私は行って良いと思うけど…行かないの?」

「…でも」

「琴子に来たのは、確か他県の私立中学校なんだっけね?」

「はい…たまたま真面目にやった時の成績に目を付けられちゃって…」

 

その中学校は正直遠すぎた

家から通うなんて冗談じゃない

だがお金をかけた中学校らしく、寮もあるらしい

 

「これがそこのパンフレットかい?…ふーん」

「どうかな?私立の良い所だと思うんだけど…」

「うーん…琴子…どうするの?もう他の入試手続きまで時間無いよ?」

「ホント遠いねぇ…ヘタに電車乗るより飛行機の方が良さそうだ」

「琴子…」

 

光が話しかけてくる

正直、今は光と顔を会わせるのも辛い…止めてほしい

そんな想いも虚しく、私の親友は一気に踏み込んできた

 

 

 

 

「別に私の事で遠慮しなくていいんだよ」

 

 

「もえぎの中学校、行って良いんだよ」

 

 

私より先にゆーきちゃんに会って良いんだよ

 

 

__________________________________________

 

 

 

 

 

「光…あなた…」

「ゆーきちゃんも学力上がれば、ひびきの高校に来れるでしょ?」

「でも…それは…」

「私、酷い事言ってるんだよ?向こうに行って奨学生やりながらゆーきちゃんの学力上げろって」

 

確かに一番の問題はソレだ

私達が困っているのは、勇気君の学力不足で『ひびきの高校で再会』という約束が難しくなる事

それが本格的に難しくなった今、これは渡りに船と言って良い

 

「あー、何でゆーきちゃん外国に行っちゃうかなぁ…」

「落ち着きな光、今更どうこう言っても変わらないだろ?」

「うぅ…でも、まさかオーストラリアだなんて…英語は良くなるだろうけど…」

「現地で鍛えられりゃ喋りなら問題無くなるよ、問題はテストの殆どが文章って事だけど」

「…え?」

「アタシも色々やってたからね。英語と中国語の会話だけならお手のモンだよ。でも書くのは微妙だ」

 

…色々やってた事はあまり聞きたくない

何せおばあちゃんに対して家族以外で敬語抜きの会話をして

時折、「あの時、和美ちゃんやひとみがムチャクチャしなけりゃねぇ…いや、それじゃ響野城は無理だったか」

とか「あそこで水無月来なかったら全滅だったねぇ」

とか物凄く意味深な独り言を呟く

正直、聞くのが怖い…おばあちゃんもとんでもない何かに関わってるんじゃないの…?

 

「それじゃ英語もそこまで…ゆーきちゃん、日本語は大丈夫かな」

「多分、漢字は何とかなると思うわよ…多分ね」

「お?何か対策立てたのかい?」

「何でも親が日本の豪大使館に勤めている子と仲良くなって、一緒に日本語の勉強やってるらしいわ」

「大使館…名前は分かるかい?」

「ええ…確かパットという子だとか…」

「パット…パトリシア…女の子かい」

 

正直、困る

光だけでも関係が酷く拗れて勇気君が関わると冷戦みたいになっているのだ

これ以上荒波立てるような自体にはならないでほしい

おばあさんが『パトリシア?…豪大使館の父…ああ、マクグラスか』

とか言って当たりを付けているのも頭に入らない

…待って、おばあさん当たりどころか確信してる?

 

「琴子、悪い事は言わない。行ってきな」

「え?」

「マクグラスと日本語を学ぶとか不味すぎる」

「…どういう事?おばあさん?」

「あの家、日本語は日本語でも関西弁なんだよ…」

「ええぇ…」

「しかもアッチの家は日本語をニュアンスで聞き取るだけで本当は半分も理解出来てないんだ」

「えぇぇぇぇ…」

「父親がソレで敏腕外交官やってきてるんだ、その娘と勉強しても…不安しか無いよ」

「「」」

 

よくそれでやってこれたな外交官!?と呆れを超えて声も出ない

…いや、言葉以外で理解するからこそなのかもしれない?

例えば相手が本当に求めてるもの、隠したい事が分かれば…?

 

「可能な限り、早く坊やと合流して、缶詰にする勢いで勉強詰め込むしかないね」

「そんなに不味いの?」

「そりゃそうだ、漢字は小学校で習うのが殆ど全部だろう?それが抜けてるとか半分以上は虫食いの問題文を見るようなもんだ。更に言えば日本語への勘ってもんが出来上がってない」

「確かに。それに歴史関係も危ないでしょうし…」

「でも、小学三年生までは日本だったから何とかなるんじゃないかな…3年間もやってたし」

「光、思い出して。その頃に学んだ漢字はどうだった?特に画数」

「…画数、少ないものばかりだったような」

 

本当に小学三年生のままの漢字力だとすれば入学試験すら危うい

龍とか画数が多すぎる漢字は滅多に無いが、10画ぐらいまでの漢字はとても多い

そもそも年単位で日本語から離れているのが怖い

英語は良くなっていると思う…が、もえぎの中学校の入試の英語がどれぐらい評価されるのか…

 

「うん…私、行ってきます」

「お願い、琴子…頑張って」

「善は急げだ。早く家に帰って、向こうの気が変わらないうちに返事をしてあげな」

「はい」

「じゃあおばあちゃん、私も帰るね」

「気が向いたらまた来なよ」

 

 

 

 

 

 

_____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

光抜きで勇気君に会うのは悪いから…とか言ってられない

ヘタをすれば中学入試に落ちてしまう

彼のひびきの高校への入学、そしてひびきの市への転居は彼が学業で躓かない事が条件になっている

そこまでやれば父だけ単身赴任させると…何故かおばあちゃんが交渉した

それなのに中学入試で躓いてしまえば、もしかしたら二度と会えない?

 

 

そんなのは嫌だ

 

絶対にそれだけは嫌だ

 

 

 

行こう、光と彼を再会させる為に

私の大切な友達を再会させる為に

 

だから…だから…

何も考えず、友達との再会だけを喜んでほしい

 

 

運が向いているとか考えないように

光抜きで会える事に喜ばないように

 

 

 

鏡を見るのが怖い

私は今、どんな顔をしているのだろう

お願いします、何時もの顔でありますように

 

決して、決して

親友の想い人を、初めての友達2人を

その仲を引き裂けると喜ぶような

浅ましい顔をしていませんように

 

 

 

 

 

____________いいんだよ____________

 

______私より先に会って、思い通りにして良いんだよ______

 

 

 

___________二度と会えないのは絶対に嫌_____________

 

 

_________________じゃあ____それ以外は良いんだ__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

珍しく、兄さんと長く話した

誰にも見せられないからと

鏡で切った両手を消毒して、包帯を巻いて貰って

更に、鏡を割ったのは兄さんだと言わせてしまった

ロックがどうとか適当な嘘を言わせてしまった

 

 

お父さんとお母さんは私の怪我を見て兄さんを問い詰めたが

おばあちゃんの一声でそれは終わった

 

 

 

 

 

私は何をやっているんだろう

 

 

 







あとがき
分かる人には分かりますが二つ、ときメモ2ではないナンバリングのネタがあります
1つはもえぎの中学校。これは3のもえぎの高校から派生しました…つまりときメモ3の舞台です
もう1つはパットというオーストラリア人。
GB版のときめきメモリアルポケットで追加されたキャラの1人、パトリシアの事です。
実際の国籍は不明ですが、オーストラリアの可能性を匂わせたので…
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