最初に想定していたプロットの説明と、それをダイジェスト風に書き起こします
後半から地の文がロクになく会話だらけでしかも本当に長いので、ごゆっくりどうぞ
まず初めはどうして書こうと思ったのか?…からです
まず考えたのが『水無月琴子はどうすれば正しく評価されたのか?』です
隠しキャラ含めても人気最下位という結果になった琴子でしたが
この理由を考えると
1.強制登場な上に敵対的
2.初対面なのに何もしていないのに嫌われるという理不尽
3.デートが難しく、何度も「自分より光を誘え」という楽な道を提示してくる
4.怒られるイベントが目立つ、特にビンタの『シリアスな暴力』が強烈、あと顔怖い
5.どのキャラも最後は明るい青春なのに、琴子だけ光を傷つける昼ドラ展開
6.分かり辛い、クリア後に再プレイしてようやく納得いく事が多い
このように心情的にもシステム的にも不遇です
特に『光の親友』という大きな芯がめんどくさい
メインヒロインの~ではなく、光の~というのが大きい
光は本当に非の打ち所がないキャラクターです
明るく、元気で、優しく、怒らず、主人公が好きで、距離が近い
MROの酷い環境ですら一人静かに涙を堪えるような、もはや聖人というか聖母でした
正直なところ、「光は嫌い」という人は滅多に見ません
見かけても劣等感や爆弾処理によるものぐらいでした
光に関わる事は、もうどうしようもありません
ではそこ以外の問題はというと…近寄りにくさです
嫌われる理由が分からない、仲良くなる必要も無い
プレイヤーの興味というか意志にガンガン水を差して鎮火させてくる
ではどうすれば…というと、『鎮火出来ない程の大きな興味を持たせる』です
これで思いついたのが『琴子を幼馴染にしてみよう』です
琴子が幼馴染になる事で
光と出会う前の大人しく引っ込み思案な琴子を知る事でのギャップが生まれます
これでプレイヤーは「あの大人しい子がどうして?」と強く好奇心で琴子を追うでしょう
でもそれだけでは光あっての琴子のままです
やはり光が強すぎる…全作プレイヤーに投票取ったら上位争い確定なぐらい強い
じゃあ光と争うのは誰?
1の虹野沙希? 2の八重花桜梨? 3の和泉穂多琉?
4の…大倉都子?
そうだ、都子を琴子に植えてみよう
琴子の光を思う気持ち、都子の囲い落としにくるガチっぷりをミックス!
…親友を思って引きたいけど、それでも譲れない板挟みで都子よりもブッ壊れるわ!
でもコレはコレで良いんじゃないか?
そもそも悩んで苦しんで友情崩壊して、それで得たものに泣くのが琴子の醍醐味である
もっと重くなって壊れちゃって良いんじゃないの?
そうして書き出そうとしたのがコレでした。
そこに昔から考えてた「伝説の~ってぶっちゃけ呪いじみてるよね」が混じり、
迷走した結果、
『琴子が呪いに手を出して圧倒的な優位を持ち、
光の事を思うと手放したい…でも手放すのが怖い』
そんな親友の顔と女の顔の二面性に苦しむキャラを書く事になりました
…でも時間が足りなすぎた
流石に数日じゃ書ききれないと途中から巻いて巻いて書きましたが全然時間が足りない
呪った後の琴子を書こうとすると凄く長くなるんでワザと全く姿を出しませんでした
___ここから先はプロットから会話文式のダイジェストになります___
本当は幼年期は数話分書きたかったんです
琴子が入るのを理由に、毎日3人一緒に動き回って
幼年期の全イベントに光と琴子を入れた描写をじっくり書きたかった
主人公の転校後も塞ぎ込んだ光と琴子の為に
華澄が琴子祖母と協力して連絡取れるようになる所とか書きたかった
中学編はひびきの市主観で、もえぎの市とは電話や手紙での離れたやりとりで進めるつもりでした
具体的には琴子が伝説の坂の効果を偶然独り占めしてしまい
1.序盤 自覚が無いので気付いていない琴子と光の普通の電話
2.中盤 異常に気付いた琴子が祖母に話して真相発覚、そして解呪出来るよう手配する(これで神条芹華を呼び出すとかでも良かったかな)
3.終盤 光と主人公の他愛ない電話、だが解呪していない証明が僅かに見える
という、異常性が見え隠れするホラー調でした
あと、前に書いていたような思いっきりおかしく見えるような呪いにするつもりじゃありませんでした
精々、1年ぐらいつるんで「コイツ何か変だ」と思うぐらいでした
具体的に言えば
『出会いがあってもイベント描写されず、出現済みフラグも立たなければ爆弾も起きないときメモ』
『初期キャラの琴子と男友達以外は立ち絵も雑談も表示されないモブ扱い』
『休日は琴子が誘わない限り、どの友人が誘っても断ってフリーにしている』
『休日に琴子に電話してアポ取り→それだけで一日を終える』
『やたらいい印象を与えて琴子が自分を好きになるように動く』
高校生になってからは一気に群集劇にする予定でした
光と運動系部活の縁で出会った美幸が幼い頃に会った3人と気付き
3人との思い出を持っていると知っていた美帆が呼び出され
光、美幸、美帆の3人で話している所で仕事から逃げだしたほむらにかくまってと頼まれ
それを追うよう頼まれた茜が見つけ連れて行こうとした所で、ほむらの頭が回り自分も共通の話題があると思い出し
「久々の顔に会ったし多めに見ろよ」と言い出した所で茜も「私もその3人知ってる!」と言い出して…
ほむら連行。今度集まってゆっくり話そうと決める
後日、昼に琴子と主人公も混ざったグループが出来た所で匠が自分も混ぜろと入ってくる
男が少ないと匠に引っ張られた純が「いくら何でもうるさくなるし、別の場所にしよう」と提案
じゃあ屋上行こう、昼食は屋上にしようとなって移動
屋上へ向かう花桜梨と、野球部マネージャーの先輩に用があった楓子の正面衝突に遭遇
花桜梨のパンを潰してダメにしてしまったと慌て、自分のお弁当を持ってくる
『長身の花桜梨に小さな楓子の弁当じゃ全然足りない』と言い出したほむらによって
『10人の弁当分ければ1人前分ぐらい出来るだろ』と2人も連行
これで1年中に会える全員が集合
後日、楓子が変な顔をした花桜梨を見つけ問いかける
話す事を渋る花桜梨に楓子が無理を言ったと謝り、それに慌てた花桜梨が
『今週の教科が運動で、主人公と同じグループになった』
『皆、受験で鈍っていたからメキメキと伸びるのに主人公は全く変わらない』
『心配になった所で急に激的に伸びた』と話す
これは3の能力値システムだけが数字ではなくLv式な事
ちなみに2のあって3に無いコマンドは雑学と容姿ぐらいなので授業は特に問題無いかと
まぁ3は育成システムは特に問題なかったから…
問題は服装システムとキャラ数の少なさ…あとトゥーンレンダリングだから
1年目はそのへんまでゆっくりやってから最後に琴子とのデート
周囲に知っている顔が居ないか不安で落ち着きのない琴子
それに気付かない主人公
そんな二人を見かけた純は『普段、休日は誰とも付き合わないのに琴子とは遊ぶのか』と驚いた
2年目からが本番です
メイ登場、だが主人公の中ではモブ判定なので強制イベントをパパッと終わらせて終わり!
そして放置ではないがおざなりだった光に爆弾点灯
爆発寸前のそれに気付いた純が「理由無く休日を開けてるなら陽ノ下さんとも遊べよ」と忠告
『とも』の部分に引っかかった匠が後から幼馴染3人組抜きの場でツッコんだせいで、
かなりの人数が『主人公と琴子のデートを見た事がある』と発言
流石におかしいと話を詰めると『あの二人、中学から付き合ってるのを光に隠してるんだ』と思うぐらいのデートを行っていた
三角関係になりそうな厄ネタに触れられず、「とりあえず今度の休みは光と遊べ」と命令
だが主人公は休日をモブに割けるなんて冗談なときメモシステム
光の爆弾を解除しながら休日を開ける方法を取った…平日デートである
放課後デートみたいな形になったが光はまぁまぁ喜んだ
間に合わせだが危機が去った事に胸を撫で下ろす皆
そこに何も知らずに出くわしたメイが『琴子と付き合っている事に嫉妬か?』と着火
光、爆弾爆発
琴子、顔面蒼白
2年生、顔を覆う
震えながら2人に問う光
主人公は違うと否定したが
琴子はごめんなさいと泣きだした
まぁ隠れて付き合ってればなぁ…と皆が思ったが…主人公がおかしい
付き合っていないと本気で言っている
全員でその認識はおかしいだろう?とツッコんだ
しかし主人公は『4年前からずっとこうだ』と返す
光も琴子も学校どころではなくなり早退、主人公も悪目立ちするから帰す
ほむらがメイに空気読めと怒り、そこから喧嘩が始まった
そこから場がギスギスしだす
考えてみれば2は女性間の相性が随分悪い
今まで荒れなかった分、一旦荒れるとちょっと酷かった
「こんなの見るぐらいなら、退学すれば良かった」
そんな場で花桜梨が呟いた言葉を楓子が聞き取った
「か、花桜梨さん!?今!?今、退学する気だったって言わなかった!?」
驚いた楓子が問い、場が静まった
「皆がいてくれたから、少し希望を持てた」
花桜梨の言葉で空気が変わった
高校一年で希望を無くして退学?どう考えても尋常ではない!
花桜梨と相性も良く、このグループを気に入っていたほむらと楓子が焦る
組めば友好関係に殆ど穴の無い2人の静止により修繕された
だが幼馴染3人組はボロボロのままだ
何とか出来ないかと部活も休み、負い目を感じるメイも加えて話し合った
有効打も出ず、話は主人公達の行ったもえぎの中学校にまで伸びた
「そういえば、もえぎの高校って所にも伝説があるようですね~」
「ん?そういえばメイも聞いた事があるのだ…確か、伝説の坂だったな」
「そうなの?白雪さん、伊集院さん」
普通の女の子な楓子が触れる
もう時間も遅くなってきたのでお開き寸前となり
気力が尽きてきた皆はその雑談を聞いて解散する流れになった
「はい、きらめき高校に知っている人が居て、伝説の樹の話を聞いたんです」
「あ、ボクも聞いた事あるなぁ。常連のお爺さんが教師やってた時の事を話すんだ」
「美幸も伝説の樹なら知ってるよ!伝説の鐘と違って樹の下で告白するんだよね?」
「何処にでもあるもんなんだな、そういうの」
「本当に女の子はそういう話題が好きだな…」
「まぁまぁ、良いじゃん。それで伊集院さん、伝説の坂って何?」
「話からして、坂で告白…?」
「うむ!確か二つの社の中間地点がその坂で、そこで告白するという話だったな」
「じゃああっちは神様みたいなものが関わってるんだね」
何となく9人分の一行を書いたけど、これ凄く大変だもう止めよう
労力の割に話もロクに進まないし
まぁ、そんなこんなで伝説の坂の話をした後で「何で遠い高校の事知ってたの?」となる
美帆は『家族(妹)の友人(朝日奈優子)が情報に長けていまして』
メイは『昔から付き合いのある家の、またその付き合いの家が神事関係でな』
マイペース2人が自由に喋り始めたので半分に分かれて話を聞く
「何でも…その坂の伝説って数年前から効果が無いそうなんです…確か…」
「何か催事でおかしい事が起きたらしくてな…最初に騒ぎが起きたのは…」
「4年前だったっけ」
「4年前だな」
ダブった『4年前』が響いた
今日、主人公が話した声が記憶から引きずり出される
『4年前からずっとこうだ』
解散する前に情報収集する事にした
電脳部で伝説の坂について調べると確かに4年前に伝説が息を潜めたという情報が多い
主人公になにかしら関係しているのではと皆がバラバラに聞いていた情報を統合すると
琴子、主人公に猛勉強→中学入試→高校卒業式で伝説不発→主人公が変な価値観に
という、2人が何かやってしまったのではと疑う結果になる
翌日、光と琴子が休み、主人公は登校してきた
主人公を捕まえ、何時から琴子とそうなった?と日付の詳細を詰める
…もえぎの高校の卒業式の日、もしくはその前後日と結果が出た
主人公に坂の事を聞いてみると
『入学まで暇だったので寂れた場所に社があると聞いて行ってみた』
『琴子も一緒だった』
『その日、卒業証書の筒持った高校生が多かったんで卒業式だったんだろうな』
確信を得た2年生が調査を決めた時、メイがやってきた
昨日、兄に話したら是非、主人公に会いたいと言われたと言う
今日行こうと放課後にメイと比較的友好な美帆、花桜梨を連れて伊集院家へ
待っていたレイは主人公にある中年女性を会わせる
美帆は妹と入れ替わった日に会った古式という少女にどこか似ているなと思った
そしてその女性は『消えた男社の霊気は彼に移っている』と言った
また翌日、流石に2日連続で休む訳にいかなかったのか光と琴子が登校した
お互い、相手の顔を見ると塞ぎ込む
グループは琴子を呼び出した
調べた情報を告げると観念した琴子は地面にへたり込む
「どういう事…琴子…」
こっそり後をつけた光が呟き
「ひ、ひか…り…あ…あ、ああああああああアアッ!!」
それに気付いた琴子が顔を手で覆い、絶叫した
騒ぎを聞きつけた野次馬で授業を受けるどころではなく、
爆裂山校長に許可を取り集団で早退し
一番近く人数の入る、茜のバイト先でまだ仕込み中の大衆食堂にメイが呼んだ車で向かった
リムジンではなく普通車を数台にして、主人公と光と琴子は別々の車だった
車内は静まり返っていた
大衆食堂の大将に話をボカして頼むと、気を使い男子3人を連れて二階に篭ってくれた
暫くの沈黙の後ポツリポツリと琴子が話し出した
『最初は気付かなかった』
『1年程経って主人公のおかしさ、琴子を最優先する事に気付いた』
『伝説の坂に関わる事なのはすぐ悟った』
『光の辛そうな顔を幻視して』
『霊的な事はよく分からないので顔の広い祖母に泣きついた』
『祖母が清めや破魔の道具を送ってくれた』
『でも主人公のソレを手放すのが辛くて道具は使わず終いだった』
『祖母にお礼の電話をした時に悟られ怒られた』
『それでも使うのは嫌で、道具を捨てた』
『道具を見ると、使う前に体を使ってでもと別の繋ぎ止めようとか考えてしまうから』
『そのうち訳が分からなくなって』
『むしろそうしようと思えてきて』
『鏡の向こうの自分が嗤っているのに気付いて怖くなった』
「ごめんなさい…こんな女で、ごめんなさい…浅ましい女で…醜くて…ごめんなさい…」
「…」
「…」
「…琴子」
「…」
「そこまで好きなんだよね…ごめんね、私こそ」
「…違うの…光は悪くないの…」
「ううん…私も琴子の事を分かってたのに中学に行ってって背中を押しちゃったから」
「…え」
「琴子に遠慮させて、辛い思いさせちゃうんだろうって分かってたんだ」
「…」
「もし行くのが私だったら、琴子の顔を思い出して辛いだろうから」
「そんな…こと…」
「ううん、私も…同じ事をやってたと思うよ」
「…」
「知ってるもん、ずっとずっと一緒に待ってた仲じゃない」
「…ひ、かり」
「同じ人の手を繋いで笑って、あの日も二人でわんわん泣いて」
「…うん」
「琴子のおばあちゃんが連絡取れたって言った時、やったやったって大騒ぎしたよね」
「うん…うん」
「だから、私達は親友で…同じ人を好きで居続けたライバルで…だか…ら…」
「…光、泣いて…」
「許す…よ…ことこの…ヒック…こと…」
「ひか…りぃ…」
「ごめ…ごめん…ことこ…くるし…ませ…て…ヒック…」
「ひかり…わるいの…わたしだから…ゥ…なかないで…」
「なの…に…ズルい!…って…思うなんて…わた…しが…ずるい…ヒック…う…うぅ」
「ごめ…なかな…ぅ…いで…ひか…ひ…ヒック…ひか…ァァア…」
「ウワァァァン!」
「アアアァァァ!」
そして二人は抱き合い、散々泣き続けた
見守っていた皆は貰い泣きを抑え続けた
ようやく会えた、ようやく光と琴子は再会出来た
「琴子…」
「うん…」
「呪い、解いてね」
「勿論よ」
「それでね、そこからが始まり」
「光?」
「これからは遠慮無しだよ」
「それで良いの?」
「琴子は散々苦しんだし、私も待つの疲れすぎちゃったから」
「…ありがとう」
「あっ!でも騙すのとかは嫌かな!もう少し明るく勝負しよう!」
「うん、私ももう騙すの疲れちゃった」
そして男達に終わった事を告げ、店を後にした
大将に礼を良い、待機していた車に乗り込み、匠と純は話を聞いた
向かう先は伊集院家、既に現地で解呪する為の足は用意出来ていた
そして解呪が終わり、主人公は普通に戻る
とはいえ、校内で騒いだのもあり3人の関係は有名になっていた
今更、この3人に色恋沙汰で寄ってくる者は居ない
助けてくれた皆に見守られ、光と琴子は仲良く争った
「一年も上映してた癖に…沈没船恋物語ってダメ映画ね…」
「え?そうだったかな?」
「そうよ、あんな船の上で愛を誓い合って死に別れ…そんな軽さじゃあね」
「ううん、軽くないよ熱愛だったよ」
「私なら婚約者に致す姿でも見せて婚約破棄や勘当された後に死ぬ」
「うわぁ…重い…重いよ琴子…」
「光に勝つには、それぐらいの醜い女じゃないと無理だもの」
「うぅ…吹っ切れた琴子が怖いよぉ…」
そして夏になり
「楓子…あっちに行っても…」
「うん!そっちもバレー部、頑張ってね」
「うん、大会は出れないけど、私の青春…取り戻さないと」
「花桜梨さん、着いたら手紙…ううん、電話するね」
「待ってる…あと、さん付けはどうにかならない?」
「うーん、実は年上だったって知っちゃったから呼び捨ては…ちょっと」
「はぁ…ところで穂苅君も来るんだよね?居ないけど、何かあったのかな…」
「あ、純一郎君は昨日お別れ済ませたんだよ」
「昨日…花火大会!?」
「へへっ…」
「2人とも来ないと思ったら…隠れて会うなんて、抜け目ないなぁ…」
「ゴメンね」
「本当だよ、楓子とお別れだからって皆で予定開けてたのに」
「え…そうだったの!?」
「メイさんも寂しがってたよ」
「あぁ…荷解き終わったらすぐ電話して謝ろう…」
秋になり
「じゃあ3人の言う、かすみおねーちゃんって言うのは~」
「華澄ちゃんの事なんだね!」
「寿さん、ちゃん付けは止めてね?」
「え~、良いじゃないですか。かわいーですよ」
「そうそう、かーわーいーいー」
「…ほんの数歳差なのに、年を感じるわ」
「ふふふ~」
「華澄ちゃん、華澄ちゃん!」
「はいはい、何ですか?」
「分かってると思うけど、手を出しちゃダメだからね!」
「えっと…流石に年が離れてるし、有り得ないわよ?」
「ホントー?」
「そんなドラマみたいな事、現実には起きないからね」
「でも私達、ドラマみたいな事を見ちゃいましたし~」
冬になり
「おーい、パソコン壊れたぞー」
「そう簡単に壊れるか!見せてみろ!」
「すいませーん、生徒会長来てませんかー?」
「一文字先輩、ここに居るぞ。そして壊れてないじゃないか、赤井ほむらぁ!」
「なんだよぉ…これだからパソコンは面倒なんだ」
「デジタルが分からない輩はメンコや花札でもやっていれば良いのだ」
「あ?メンコ馬鹿にしてんじゃねーぞ?」
「あーもー。落ち着いて、ほむらもメイちゃんも!」
「茜!校長室行くぞ!和美ちゃんにメンコ出して貰ってコイツを泣かす!」
「ハッ!勘でしかやれない奴に理論派のメイ様が負けるものか!」
「…ふたりとも?」
「「ヒィ!」」
「仲良くしようね?」
「「…」」
「…返事は」
「「ハイッ!!」」
また新しい春が来て
「本気みたいだけど…?」
「ええ、生徒会長に立候補して、ほむらを蹴落とします!」
「…本当に赤井さんに頼まれたんじゃなかったのね」
「華澄さん、まだ疑ってたんですか…ほむらも信用無いわね」
「だからです。信用の無い生徒会長など、神輿にすらならん」
「部活は大丈夫なの?電脳部長と生徒会長の兼任になるけど」
「構いません!副部長が動けるようになって暇が出来たので!」
「伊集院さんが会長かぁ…何かやりたい事はある?」
「まずは予算を変えます、最初にやるべきは、やはり茶道部だな!」
「あーあー…とうとう来たわね」
「まぁ文化祭も酷い出来だったって聞くし…仕方ないかな」
「部員が二人しかいないとか…そんなのは同好会です!」
「でも茶道部室は校長先生のお気に入りよ?琴子ちゃん、通ると思う?」
「学生時代の思い出とか言ってるし、無理でしょうね」
「うぅ…そうなのか…。華澄先生、校長の弱みとか知りませんか?」
「まぁまぁ…茶道部は諦めて他の事にしよう?ね?」
「…メイ、資料を見せなさい。ほむらから預かってるんでしょ?」
「おお…おお!琴子さん!琴子さんが、本気を出してくれるのだ!」
「そういえば琴子ちゃん、中学は生徒会長だったっけ」
「ええ…テニス部の予算削減した後に来年廃部と脅しなさい。美幸が死ぬ気でやれば大会勝てるわ」
「おお…おお…美幸さんが…命懸けになってしまった…」
「上手く行けばスポーツ大学に推薦だけど…上手く行くと良いわね」
「どうせ三流企業ですら落ちるでしょうし…あ、バレー部は増やしておいて」
「ほむらも何とか農業大学に受かってくれれば…メイも安心なのだがなぁ」
「…生徒会の予算は…良し。それじゃあ、私はそろそろ帰るわね」
「琴子ちゃん…帰るって…」
「今日もアッチですか」
「いえ、おば様は朝帰ってきたから今日は真っ直ぐ家に帰るわ」
「…何度も言うけど、身持ちはしっかりしてね?」
「大丈夫です。華澄さんが解任されるような事はしません」
「食事を作る為だけにわざわざ通って…琴子さんも良くやるのだ」
「おばさん、どう考えてるのかなぁ…」
「お義母さんと呼んで、と言われますけど…光にも同じ事言ってるんですよね」
「強かな奥方のようで」
「あの時の小さい子達が…ほんと、どうしてこんな事になったんだろう…」
また新しい夏が来て
『大門高校、優勝おめでとう!』
『ありがとう美帆ちゃん!』
『ウチは仕方ないとして、きらめき高校が負けるとは思わなかったな』
『そうだね、真帆の話だと野球部は本気だったらしいのに』
『真帆さんかぁ、私会った事無いんだよなぁ。双子なんだっけ?』
『うん!私が姉で真帆が妹。たまにお互いの服を来て成りすますんだ』
『バレた真帆を追い掛け回したのがあたしの最後の会長業務…ホントどういう事だよ?』
『あはは、真帆も謝ってたじゃん、許してあげてよ』
『顔は同じでも性格は似てないんだよね?喋り方とかも違うのかな?』
『今まで私が書いた文章をハッキリした私の声で想像してみて?それが真帆だよ』
『そうそう、本当にメールやチャットの美帆そのまんまなんだよ』
『実は楓子ちゃんも会った事あるんだよ』
『え!?そうなの!?』
『うん!楓子ちゃん、私だと思って真帆と話してた事は何度もあるって言ってた』
『おい、入れ替わりで学校に来だしたのは2年の秋からじゃなかったのか?』
『あっ…やっばい!』
『バレちゃった!』
『ははは、わざわざ2回書き込まなくても』
『…おい、コイツ同じ秒に連投しやがったぞ』
『え?同じ秒って…無理だよね?』
『ああ、予めマクロでも組んでないと無理だ』
『まくろ?』
『ああ、予めキー入力のリスト作ってRUNだけでリスト通りに動く仕掛けだ』
『らん?』
『それもかぁ…説明ならメイの仕事なのに…何であいつ居ないんだ』
『えっと…ゴメンね、ほむらちゃん?』
『で、お前らそろそろ出てこい。あたしを騙せると思ってたか?』
『ごめんね二人共。今までずっとほむらと電話しながら時間稼ぎの指示貰ってたんだ』
『ネタは上がってんだぞ。片方、串刺してIP変えてたのが運の尽きだったな』
『上の楓子の書き込みが「まくろ」とか「らん」とか変になってるだろ』
『その時にお前達を調べた。バレてんだ、とっとと出てこい』
『えーと』
『意味は良く分からないけど』
『ごめんなさい』
『ごめんなさい』
『うわぁ…本当に2人でチャットしてたんだ』
『やっぱり2人だったか』
『え、どういう事?』
『もしかしてカマかけられた?』
『電話をかけたのはお前等がミスった時からで』
『本当は専門的な難しい事とか、意味ありげな事を言って自白させようって作戦だったんだよ』
『ほむらずるいー』
『ほむらずるいー』
『おまえ等、どうやって同時に書き込んでるんだよ?隣にでもいるのか?』
『こっちは電話しながらタイミング合わせるから大変だよ』
『じゃあ別に』
『合わせなくていいじゃん』
『そりゃ、何だか負けた気がして』
『ちょっと悔しいからだよ』
また新しい秋が来て
「ねぇねぇ見て見てヒラヒラのフリフリ~」
「わぁ、美幸かわいい!」
「茜ちゃんも着ようよ~」
「…いやボクは止めとくよ、似合わないしさ」
「そんな事ないよ!ねぇ、一緒に着ようよ~」
「でもサイズ合わないから無理だよ」
「フフフ…ククククク…」
「どうしたの、変な笑い方して…怖いよ?」
「サイズが合えば…着るんだよね?」
「え…まぁ、サイズが合うのが有ればね」
「じゃじゃーん!」
「え…それって…もしかして」
「この寿美幸!茜ちゃんサイズのウェイトレス服を作ってきました!」
「うわぁ…あれ、これ何だか和風っぽいような?」
「うん!琴子のおばあちゃんから和服の事を詳しく聞いて作ったんだ~」
「わぁ…可愛い!わぁ!」
「もう出来上がってる書き割りを壁にすれば簡易更衣室の出来上がり~」
「えっ!?そこで着替えるの!?更衣室じゃなくて!?」
「大丈夫大丈夫!男子が見ないように女子で見張るから」
「えええ…ってもう書き割りで壁作ってるし…」
「ほら入ろう入ろう」
「美幸も来るの!?」
「うん!ほらほら」
「とっとっと、…仕方ないなぁ。皆、見えないようにお願いね」
「一名様ご案内~っと」
「強引だよ美幸ー」
「テニス漬けでストレス溜まってるの!付き合ってよ!」
「しょうがないなー…えっと」
「まず脱がないとだよ」
「同じ女子でも恥ずかしいよ…」
「でも一人で着るのは慣れが要るから結局、最後は下着姿見せる事になるんだよ」
「うう…」
「はい、制服は畳んでおくね」
「うん…あれ、これ何処から着るの?」
「あ、そっちは腕だよ、首はコッチ!」
「ああ、こっちか…んっしょ!」
「んで、こっちをこう…背中は私が抑えとくね」
「うん…あれ?腰は一番締めるボタンでもブカブカだよ?」
「じゃーん!この帯を直ちに装備シタマエ!」
「ああ、帯で…ってコレ、結構良い物なんじゃないかな?」
「そうなの?琴子のおばあちゃんが要らないからあげるってくれたものだけど」
「うーん…帯だけ高級品ってのも何だかなぁ…」
「…よし、後はこっちを」
「…出来た!美幸、これでどうかな!?」
「えっとね…ねぇ、ちょっと来て~うん…茜見てみて」
「え、何?何で何人も見に来るの?」
「うん…やっぱり…だよね。オッケー、見張り戻っていいよ」
「なんなのさ一体…ボクの格好が変なの?」
「茜…それ、エッチぃ」
「え?…エッチ?」
「うん、ちょっと胸にパット入れたからさ、ただでさえ大きい胸が…凄い事に…」
「え…ああ、ほんとうだ…」
「そして胸で見えないだろうけど、腰細いのを帯でギュッとして…胸が袋みたい」
「わー!わー!」
「しかもミニスカをチュチュで膨らませてるからボン・キュッ・ボン」
「待って!言わないで!」
「これじゃあ袖のフリフリは可愛いというより…こけしっくなえろしちずむを感じるよ~」
「やーめーてー!」
「調子に乗って白サイハイ持ってこなくて良かった…」
「まだ何か着せるつもりだったの!?」
「うん、ニーハイブーツとどっちにしようか迷って持ってくるの忘れた」
「あんまり服とか分からないけど…それ履いたらどうなってた?」
「膝の上まで隠すからさ…茜は褐色肌だし…」
「うん…」
「もう、えっちとかじゃなくてエロイ!」
「キャー!」
また新しい冬が来て…
「もう…あと一ヶ月かぁ」
「うん、早かったね」
「…うん、色々あったなぁ」
「本当に色々あった…凄い三年間だった、予想もできなかった」
「皆、同じハズだよ」
「あの時、楓子にぶつかってから…こうなるなんて…」
「どうかな、花桜梨」
「ん?」
「忘れられるぐらい、楽しかった?」
「…」
「どう、かな?」
「…フフ」
「あ!笑うなんて酷いよー、ちょっと不安だったんだよ?」
「ごめんなさい、言われるまで…忘れちゃってた」
「…なら良かった」
「…ありがとう、光」
「私こそだよ、あの時の花桜梨がこんなの嫌だって言わなかったら…私と琴子はどうなってたか」
「あの時は、本当に、少し期待してた所だったから…つい喋ってたんだ」
「皆も言ってるよ、あの時の花桜梨が居なければ…うちのグループは無かったって」
「私も、皆が…うん、皆だったから卒業まで…そう思ったんだ」
「3年の進級時は皆怖かったんだからね」
「もう退学する気なんて無かったのに…皆、何度も聞いてきたっけ」
「メイなんて泣きそうだったもんね」
「私はほむらが進級出来るのかでハラハラしてた」
「うん、本当にね。まさか学年末試験で再々々追試とか…血の気が引いたよ」
「アレが最後の追試って言ってたけど、まだ何回か残ってたんじゃないかな」
「メイに頭下げてようやく合格点だったから…回数での望みは薄かったような…」
「それで見かねたメイが学校の恥になるってほむらのお尻を蹴ったね」
「物理的な意味でもね。まさか農業大学に行けと言い出すなんて思わなかった」
「ほむらはりんご園を継ぐんだから、ウチの園で勉強するのが一番だ、って言い返して」
「それに対して、書類も出来ない奴が自営業出来ると思うな!って掴み合いの喧嘩」
「危なかったね、椅子とか飛ぶし、窓も割れるし」
「あの時は二人共、本気だったろうからね」
「ほむらは早く継いでお爺さんを安心させる事しか考えてなかったし」
「メイはそれじゃ途中で廃園確定だって信じてたからね」
「…二人ボロボロだったね」
「頬も腫れて…3日ぐらい殆ど喋らなかったっけ」
「どうしようどうしようって思ってたら、ぼそっとお互い名前で呼び出すんだから」
「フフフ…」
「あははは」
「あれでようやく12人、全員…うーんと」
「…」
「えっと…は、腹を割ったって事かな!?」
「フフ…フフフフ…おじさん臭い…ふふ」
「お、思いつかなかったんだよー!ほむらならどう言うかって考えたら…」
「最初に腹を割ったのは光と琴子だけどね」
「やめてー。思い出すだけでも恥ずかしいんだから」
「…でも、あの時の貴方達だったから、皆、こうなれたんだよ」
「う、うん」
「皆、二人のようになりたいって思ったから…だから、自信を持って」
「でもやっぱり、ただの友達だった頃の皆の前であんな、あんなさぁ」
「あんなって?」
「花桜梨ー!何を言わせたいのさ!?ここ廊下だよ!廊下!」
「でも、1年でも知ってる程じゃない」
「もぉー…男の子の取り合いする修羅場が、何で語り継がれるのー!?」
「ふふふ…私達は何時でもあの泣き声を忘れないよ」
「花桜梨って時々鬼畜だよぉ…」
「流石に琴子の覚悟を聞き直すのは勇気がいるけどね」
「…は、孕んでも良いって啖呵切った時はどうしようかと…」
「ああ、女子だけで着替えてる時の…あれでクラスの皆、琴子さんって呼び出したっけ」
「そうそう、遊びに来たメイが『これが…女の覚悟…!?』ってナワナワ震えて」
「ふふふ…琴子さん」
「ぷふぅ!」
「ふふふ…ふふ…ふふふ…」
「あはははっ…はっ…はははっ…ハハハハハ!」
「あの時の琴子の顔」
「ハハハハハハハハ!止めて!笑わせないで!お腹、おなか痛い!」
「『琴子さん!』」
「アハハハハハハハハ!!!メイ…似てない…ハハハ!…はーはー…ひー…ひー…」
「『人生の先輩!尊敬を籠めてそう呼ばせてもらいます!』」
「ハハ…ハー…ハー…アハハハハハ!」
「メイは色々と変わった娘ね」
「ふーふー…鬼!悪魔!花桜梨!」
「呼んだ?」
「…こっち来る前の花桜梨って絶対に小悪魔タイプだったでしょ」
「んー、どうだったかなぁ…内緒っ!」
「えー、教えて下さいよ花桜梨先輩~」
「あ、今の凄く部活の後輩っぽかった」
「そう言えばまだ楓子をさん付けで呼んでるの?」
「うん意地になっちゃって、素直に花桜梨って呼んでくれるにはまだかかるのかなぁ」
「もぅ…花桜梨が楓子を可愛がりすぎたからだよ」
「だって、あんな悲しそうに『また何時か会おうね…』って言っておいて…」
「あー、うん。アレは楓子にとって痛恨のミスだったね」
「あの時、メイが力強く頷いてたのは…分かってたのかな」
「うん、絶対『やはりこの絆は裂ききれない運命なのだな』とか思ってたハズ」
「まさか一ヶ月程度で、修学旅行先で再会するとは…」
「そうそう、それで純と楓子の花火大会すっぽかしを囃し立てて…」
「あの時の二人は顔真っ赤過ぎて死ぬんじゃないかと思った」
「一番、遊んでた人が何を言う」
「光も大門高校の人達に『この娘、この通り先約ありますからね』って釘刺したじゃない」
「匠の『なおキャンセルは受け付けておりません』よりはマシ」
「あの後、純は部屋から出ないし、楓子のメールは怖いしで苦労した」
「何食わぬ顔した琴子がスッと携帯電話を純に渡した時は何が起きたのかと思ったよ…」
「光も知らなかったの?琴子が携帯電話持ってた事」
「本当に知らなかった…すっごい驚いたよ」
「何でも旅行前日の夜に1日で携帯電話の説明書を丸暗記したらしいよ」
「もー、本当にどうでも良い時に本気だすなー琴子」
「まぁまぁ、純と楓子には一大事だったし…ね」
「そもそも楓子が携帯電話を持ってるか分からないってのにもー」
「メイに調べさせたんでしょ、佐倉家の電話契約とかで」
「メイを便利屋扱いし過ぎだよー」
「琴子は覚悟が決まってるというかブレーキが無いから…」
「呪い解いた時にブレーキもへし折れたんじゃないかな」
「…ああ、呪い解けたか確かめた時の」
「うん、皆に普通の態度取ってて、琴子優先じゃなくなった時のアレ」
「声も出さず無言で涙流したよね」
「無表情で泣く顔って威圧感あるね」
「で、それを見た陽ノ下さんは心の中で琴子ザマァと罵った」
「言ってないよ!思ってないよ!」
「えー?本当に?」
「何で私を悪女にしたがるのかあ…」
「だって光が綺麗過ぎるもの…あ、知ってる?」
「何を?」
「伝説を知った1年が付けた光の異名」
「新しい伝説にされちゃってる…なんだろう、聞きたくない」
「聖女」
「…えぇ…私、聖人なんかじゃないよぉ…」
「でもアレを許せるのは真人間じゃないと思う」
「私だって怒る時は怒るんだよ?」
「…うん、ごめん」
「全くもう」
「うん、全然怖くないから、怒った顔はやめよう?」
「…酷いトドメの刺し方だよぉ」
「まぁ…光が聖女じゃなかったら殺傷沙汰だったろうし、良かったよ」
「え、何?今度は怖い事言い出したこの人」
「うん、まぁ、光達の3人抜きで集まった時が何度かあってね」
「ああ、そういう事もあるよね」
「その時、光が許さなかったらどうなってた?って話になったの」
「人の修羅場を話の種にしないでくれるかな?」
「結果は美帆の予想に全員賛成だったよ」
「美帆かぁ…メルヘンな事言いそうだけど…」
「壊れた琴子が、あなたを殺して私も死ぬで、無理心中」
「えぇ…えぇ…美帆はそんな事言わない…あ、真帆だ!絶対に真帆だ!」
「うん、まさかの13人目でしたとさ」
「13人いる!」
「ああ、美幸がハマった小説」
「そうそう、眠る為にって読んでたのが思いの外ハマって舞台まで見に行ったやつ」
「茜がこの世の終わりかって顔してたっけ」
「赤点仲間が減る事が茜には辛すぎたんだね」
「ほむらが勉強しだしてテストの最下位争いに入ったからかな」
「で、映像じゃなく生の舞台見に行きたいって言い出して」
「メイがほむらより上の点数取ったら自家用機で日帰りツアー組んであげるとか言って」
「ほむらには更にやる気出させる為に勝ったら農業大学の推薦取ってやるって言って」
「…どうして美幸が勝ったんだろうね」
「分かんない、アレって奇跡だったんじゃないかな」
「ほむら、涙の男泣き」
「彼女は女性です」
「それはペンですか?」
「いいえ、それはトムです」
「あの時のほむらの絶叫は凄かったね」
「美幸、泣いて謝ったもんね」
そして終わりが来た
「今、登っていったの九段下さんだよな?」
「また総番長と遊びにでも来たのかもね」
「でも華澄さんが居ないな」
「ほら今、華澄さんは吹奏楽部と写真撮ってるし」
「あぁ…じゃあ潜り込んでる事も気付いてないのか」
「どうする?吹奏楽部の娘に電話して伝えてもらう?」
「別に良いだろ、今日ぐらいは」
「卒業式だもんな」
「そうだな…」
「そうそう」
「…」
「純、佐倉さん来るまでまだ時間かかるから落ち着けって。まだ電車だろ?」
「あー、いや。それだけじゃないんだ」
「アイツがどっちを選ぶかって事?」
「陽ノ下さんも、水無月さんもどっちも頑張ってきたからなぁ」
「本当、どっちでもおかしくないからね…賭けでもする?」
「やめてやれ」
「はーい…ん?」
「どうしたの?」
「いや…もしかして、さっきの九段下さん…鐘を鳴らしに来たんじゃないか?」
「あ、そうだよ!だから一人で大手振るって校内徘徊してたんだ」
「手続きとかも伊集院さんがやってくれてるんだろうな」
「…そういや純、皆の事を結局さん付けのままだったよね」
「お前も同じようなもんだろ」
「まぁ、俺は相応の親愛を籠めて呼んでたから」
「俺もだ」
「…純、変わったなぁ」
「急に何だよ」
「いや、入学したての頃は女の子に近づくなんてハレンチな!って感じだったのに」
「何だよお前だって変わっただろうが」
「ん?そうかな?」
「今じゃ女子の前でも猫かぶらなくなったろ」
「いやいや。これは仕方ないだろ」
「まさか女子が分かった上で可愛いとか言ってきていたとはな」
「それ知った時は本当に血の気が引いた…目の前が真っ暗になった」
「後は、他人に深入りするようになった」
「うん、自分のスタンス曲げちゃったなぁ」
「それと…無条件に年下嫌ってたのも治ったな」
「…まさか、伊集院に指摘されるとは思わなかった」
「素の顔で淡々と話してるの見つけた時は本気で焦ったぞ」
「俺もだよ。女子9人がわいわいやってるの見てたら…どうしてああなった」
「あの時、俺は後から来たから分からなかったけど…どういう流れだったんだ?」
「忘れたの?喧嘩の内容はその時に言ったじゃん」
「いや、そうじゃなくて…何で伊集院さんがお前に噛み付いたのか知らなくてな」
「あー。急に、『お前は何時もそうやって部外者の顔をするな』って言われたんだよ」
「…なるほど、女子だけ仲良しなのが気に入らなかったのか」
「そうそう、男共も入ってこいよって…」
「男はなぁ…そういうのじゃないからな」
「そう言って拒否してたら売り言葉に買い言葉で…あんな事に」
「まさか陽ノ下さんと水無月さんの次がお前達とか…本当に想像出来なかったぞ」
「俺、八重さんと赤井さんだろうなと思ってたよ」
「俺もだ。あの二人、何でか相性良いもんな」
「だって言うのにさ…まさか最後は泣きながら本音ぶちまけるなんて…恥ずかしいよ…」
「まぁ、あれがあったから俺達2人もあの輪に入る事になったし…良かったよ」
「もう二度と喧嘩なんてしない…お前等、強すぎる」
「お前が弱すぎるだけだ、最初は気絶したフリかと思ってたんだぞ」
「純はまぁ分かるとして…アイツは反則だろ!」
「呪いの副作用なのか、何でか鍛えたものが鈍りにくいからなアイツは」
「先月走ったからって何だよ…そんなので喧嘩強くなるかよ…」
「お蔭でどんどん超人化して…頭も学年トップ当たり前だったな」
「あの修羅場が無かったら、アイツ女子が虫みたいに纏わりついてただろうな」
「頭良くて運動も出来て社交性も問題無し…欠点は、察しの悪さぐらいか」
「3年になるまで二人の取り合いに気付いてなかったもんな…」
「怒った水無月さんがぶっちゃけて、暫く混沌としたな」
「新任なのに3年を任された上、初日の朝に妹分達のド修羅場を見せられる華澄さんの明日はどっちだ」
「止めようとしたら『華澄さんは黙ってて!』『ごめん華澄さん』『華澄さんごめんね』」
「アレで皆、麻生先生じゃなく華澄さんって呼ぶようになったんだろうね」
「あんなに連呼されたらなぁ…頭に染み込む」
「呼び方変えるよう言ったら寿さんが『じゃあ華澄ちゃん!』って」
「アレは酷かった…華澄さんの途方に暮れる顔は酷かった」
「あの人、学生時代は総番長達に説教して回ってたらしいし…生粋の苦労人なのかなぁ」
「説教されてアレか…もうどうしようも…ん?」
「ん?…ああ、メール届いたの?佐倉さん?」
「ああ、駅に着いたら三原さんが待ってて、車に乗せてくれたって」
「また伊集院か…じゃあ思ったより早く着きそうだね」
「…そうだな」
「佐倉さん、インターハイの応援に来てたんだっけ?」
「わざわざ三原さんが新幹線を手配してくれてな」
「正月に会わせようと画策してたのに失敗したからだろ」
「三原さんにも慣れたなぁ…」
「佐倉さんの事で散々お世話になったから頭が上がらない」
「そういや、こないだ久しぶりに銃構えられたよ」
「ん?何やったんだ?」
「いや、スケート行った時、伊集院がコケて悲鳴あげた」
「ああ、条件反射か」
「他の客が全員、偽装したSPらしくてさ…四方八方から…銃を…心底怖かった」
「うわ…」
「あ、そういや九段下さんもバイトでSPやってたよ」
「あの人、伊集院家ですらバイトするのか…」
「かなり勧誘頑張ってるけど正規雇用は嫌だって断るんだと」
「あの人は本当にサッパリ分からん…よっと」
「あれ?もう行くの?」
「ああ…でも、その前にだ」
「ん?」
「結局、お前は誰の所に行くんだ?」
「…さぁね?」
「寿さんか?頭空っぽで話せて楽って言ってたし」
「どうだろう?」
「…一文字さん?胸が胸がって言った事あったよな」
「いやいや、白雪さんかもしれない。純粋に可愛いし」
「八重さんは?お前、年上好きだろ」
「赤井さんと伊集院は今頃、別れを惜しんで泣きじゃくってるだろうなぁ」
「…言わないつもりか」
「うん、大衆食堂でのお楽しみだ」
「…まさか打ち上げで貸し切りしてくれるとはなぁ」
「あの時の席に座ろうって話になってるね」
「じゃあ、俺達は二階か?」
「流石にそれは嫌だよ」
「だな。…なぁ、匠」
「どうしたのさ、急に真面目な顔して」
「大丈夫だよな?」
「何が?」
「今度はお前が原因で修羅場にならないだろうな?」
「…」
「匠?」
「…ごめん…自信無い…」
「お前…お前!水無月さんの件で女は怖いって分かってるだろ!?」
「やばい…どうしよう…俺、刺される?」
「そこまでか!?無防備になりすぎだろお前!」
「うわ…うわぁ…どうしよう…純…俺、俺死ぬ」
「…まさか全員に粉かけてた訳じゃないよな?」
「流石にそれは無い…でも3人…じゃあ2人に殺される?」
「水無月さんが宣言した内容みたいになりそうで怖い…」
「…振られても、みっともなく泣きわめいて再判を求めるって?」
「ああ、選べないとか言ったらそれを口実に陽ノ下さんを縛ってでも2人で押しかけてやる」
「自分が一番になるまで争ってやる、それまでは子供が生まれても止めない」
「料理で胃袋を掴んでやる」
「たま…あーっと…下世話な方も握ってやる」
「周囲にアイツの女だと思わせて外堀埋めてやる」
「過剰に世話を焼いて自分が居ないと生きられなくしてやる」
「先に子を孕んで事実婚になってやる」
「…ただし、高校出るまで節度は守る」
「…怖いな」
「…俺の方は、大丈夫だよな?」
「むしろ水無月さんを手本に大暴走するかもしれん」
「あぁ…どうしよう…本当にどうしよう…」
「骨は拾ってやる…」
「殺されないけど別の意味で死にそう!」
「お前、昔ウチに来た時に言ってたろ?家族とはいえ女性だらけの生活なんて羨ましいって」
「なんだよ…それがどうしたんだよ…」
「明日…いや、夜辺りからその3人に囲い込まれる生活になるな」
「水無月さんが増えるとか勘弁してくれ!」
「そろそろ俺は行く。頑張れよ匠」
「待って!純、知恵貸して!一緒に考えて!」
「とは言っても、俺じゃあな…あ、そうだ」
「何か思いついたか?」
「いや、そうじゃなくてだな…」
「ん?」
「お前は3人の認識だけど…向こうはどうなんだろう…って思ったんだ」
「…1人に減る?」
「ヘタすりゃ増えそうなんだが…」
「お前は良いよな!1人で!」
「いや、俺に当たるなよ」
「いや、でも、それはただの予想だから…」
「そういやバレンタインデーの時の事なんだが」
「ん?ああ、あの9人合作巨大チョコ?」
「うん、あの時に女性陣だけでコソコソやってたろ?」
「佐倉さん、まさか前日にジェットで来てたとはなぁ」
「8人合作だと思ってたら…本当に三原さんには頭が上がらないな」
「また出たよ旦那ヅラ、でそれがどうしたのさ?」
「バレンタインデー後も女性陣だけでコソコソしてないか?」
「…まって、マジまって…」
「多分、お前の事で話し合ってたんじゃ…」
「うそだ…」
「そういえばお前の入る地元新聞社って、伊集院系列の広告増えたよな」
「…」
「新聞社だし、変な会社命令もあるんだろうな」
「…」
「何処へ飛んで、何を撮るまで帰ってくるな、ってのもありそうだな」
「どうなるの!?俺、どうなっちゃうの!?どんなネタにされちゃうの!?」
「…さてと」
「…ええ」
「泣いても笑っても…だね」
「いいえ、私は泣いて喚くと宣言してるから」
「…ずるい」
「そうでもしないと勝ち目が無いからよ」
「絶対ウソだ…私、勝てる気がしないよ」
「まぁ…っ!」
「…あ、やっと来たね」
「…それじゃあ、単刀直入に聞くわよ」
「うん、私も」
「どっち?」「どっち?」
という訳でお終いです。
ありがとうございました!