HBP第二弾です。
どうぞよろしくお願いします。
曜ちゃん、Happy Birthday!!
これは、私が高校を卒業して間もない頃の話。
私は、船乗りになる夢を叶えるために、東海大学海洋学部に進学した。
私は静岡を出て、上京したのだ。
大好きな静岡を離れるのは本当に寂しかったけど、本当に船乗りを目指すなら東京に行きなさいとパパに言われたことがきっかけだった。
でも決して、嫌々上京したのではない。
私は、静岡が大好きだった。
だからこそ、静岡にいるままでは確かに何かがダメな気がした。
長年の夢をちゃんと叶えるためにも、私は一歩踏み出さなければならないと思った。
そうして、私は久方ぶりに東京の地を踏んだ。
* * * *
やっぱり東京、人が多いなぁ…
引っ越し先へと向かう電車に揺られながら、ふとこんなことを考える。
静岡でも、人が多いときは確かに多いけど、東京は常にこんな感じなのかな。
もうあと二駅で、目的の駅に着く。
そんな時だった。
突然、頭がなんだかぼんやりとしてきて、私はその場に倒れこんだ。
「(あ、れ…?何、この感覚…)」
そして私は、意識を失った。
「…はっ!」
目が覚めた私は、がばっと起き上がった。
私は、ベッドで眠っていたようだった。
窓からは、見慣れない景色が広がっている。
いったい、ここは――
「あら、目、覚めたんですね」
一人の女性が部屋に入ってくる。
背は、私よりちょっと高いくらい。
白衣をまとっているからか、赤い髪がすごく目立つ。
「は、はい…」
とりあえず返事はしてみたけど、聞きたいことがたくさんあって頭の中がぐちゃぐちゃだ。
「あなた、電車の中で倒れたんですよ」
手にしたリンゴの皮をむきながら、そう言われた。
言われてみれば、そんな感じだったな…と思い出してきた気がする。
あの時私は、電車内で吊革につかまって立っていた。
そしたら突然、意識が朦朧としてて気付いたらここに来ていた。
じゃあ、ここはいったいどこなんだろう?
どうやって私は、ここまで来たのだろう?
意識がはっきりしだした頭が回転し、疑問が頭の中を駆け巡り始めた。
「特に身体に異常は見られなかったから、何か精神的なものだと思うんですが…あなた、出身は?」
「えと…静岡の、沼津というところから」
「東京には…旅行?引っ越し?」
「引っ越しです。この春から、東海大学に通うために」
「なるほどね、まあ…人混み酔い、とかかしらね」
「はあ、そうですか…」
確かに言われてみれば、東京のような人混み、私は殆ど経験していないけど…。
「はいこれ、リンゴ」
「あ、ありがとうございます」
と、ここで、ずっと気になっていたことを聞くことに決めた。
「あの~ココって、どこのなんていう病院なんですか?」
「あ~、ココはね、実は病院じゃないのよ。私の家」
「…はい?」
「あなたが電車で倒れるのを見かけて、車を呼んでココに連れてきたのよ」
「えっと…え?」
この人の家って?
車を呼んで、って言った?タクシーじゃなくて?
「何?全く分からないって顔してるけど?」
「じゃあその、白衣はどうして?」
「ああ、これのせい?私はね、医学部に通ってるの」
漸く理解できてきたかも。
この人は私を電車で見かけたから、車を呼んで自宅まで連れてきた。
普通なら病院に連れて行くところだろう。
だが、この人は医学部生だった。
車の中で、脈拍とかを計って安全と判断したのだろう、自宅に連れてきた。
ついでに言えば、今日は日曜日だから、近くの病院があまり開いていなかったのかも。
そして一応念のためか、私が病人であることに変わりはないから、白衣を着た。
こんなところだろうか。
「あの、ところであなたの名前は…?」
「私?私は、西木野真姫っていうわ」
西木野、真姫…?
どこかで聞いたような気がするような、しないような…。
「あなたは?」
「えっ、はい。私は、渡辺曜って言います」
「ちなみに私、東海大学に通ってるの。
だから、学部は違うのかもしれないけど、あなたの先輩、ってことになるわね」
「そうなんですか!?」
こんなにキレイな人だし、さぞかし人気なんだろうなあ…。
「そういえばあなた、学部は?」
「えっ?」
「学部はどこなの?って聞いてるの」
どうしよう…。
西木野先輩には世話になった。
だから本当のことを言ってもいいんだけど…。
「実は…医学部なんです」
「ふーん、そう」
あれ?興味なさげ?
「で、本当は?」
「えっ?」
「医学部なんて嘘でしょ。本当はどこなのよ?」
ちょっと、なんでバレちゃったの~?
私、そんなに分かりやすかったかな。
意を決する。
「…海洋学部です」
「ん?」
「海洋学部で、航海学を専攻しようと思ってるんです。
将来の夢が船長になることなので。
でも、女子がそんな夢、言ったらバカにされるんじゃないかって。
だから、あんまり口に出さないようにしてるんですよ」
ここまでを、早口で喋る。
西木野さんの反応は…
「あなた、そのためにわざわざ静岡から上京してきたの?
静岡の方にも、そういう学校はあるんじゃないのかしら?」
「まあ、そうですけど…」
やっぱり少し、呆れられてる…?
「すごいじゃない!」
「えっ?」
呆れられて、ないの?
「船長になりたい?立派な夢じゃない!
人の夢をバカにするなんてそんな屑みたいなヤツ、気にしなくていいのよ!」
「呆れたり、しないんですか…?」
「はあ?なにそれ、意味わかんないんだけど?!
とにかく、自分の夢を少しバカにされたからって、それを曲げちゃダメよ。
自分のしたいことを、自分の思うままに叶える、それが一番なんだから」
「……」
「どうしたのよ?」
「いえ、そういう風に言ってもらえると、ホントに嬉しいというか。
私の夢を肯定してくれる人、そんなにいなかったので…」
「…そう」
「はい、ありがとうございました!
なんかすごく、元気になった気がします!」
「そうみたいね。
…体調不良には、そういう悩みも関係してたのかしら」
「船長が体調崩してちゃダメですよね、エヘヘ」
「そうね。上京したてで不安も多いでしょうけど、何かあったら連絡しなさい。
せっかく知り合ったんだもの」
「はい、是非!」
携帯端末を取り出し、連絡先を交換する。
「では…」
「ちょっと待って、送るわよ」
「いえ、いいですよ。ってあれ?ココ…」
「ほら、どこか分からないでしょ?
引っ越し先の住所教えなさい、送ってあげるから」
「いえ、あの…」
「何よ?」
「あそこ、です」
私が指さした先は、西木野さんの家の真向かいにあるアパート。
「え?」
「…こんなことって、あるんですね」
「…そうね」
「では、お世話になりました!西木野先輩!(`・ω・´)ゞ」
「ちょっと、恥ずかしいからやめてよ…。
そうだ。最後に一つだけ」
「はい?なんですか?」
「あなたが医学部って言った時、なんで私はあなたの嘘を見抜けたんだと思う?」
「それは…」
「医者を目指すのなら、自分の体調は把握して行動しないといけないからよ。
あなたは、何かしらの無理をして行動していた。少しの体調の悪さをおして、ね」
「だから、医学部ではない、と?」
「まあ、そんなところかしら。
とにかく、無理だけはダメよ。いいわね?」
「了解です!西木野先輩!(`・ω・´)ゞ」
「だから、それは恥ずかしいからやめてって…」
「では、またいつか会いましょう!さようなら!」
「ええ、またね」
そして私は、アパートの一室へ。
とにかく、助かった…。
私は、電車の中で倒れたのだ。
西木野さんがいなかったら、果たしてどうなっていただろうか?
無理をしていた、と言われた。
確かに、そうだったかもしれない。
不安や心配事で、頭の大半は埋め尽くされていた…気はする。
でも。
西木野先輩にああいう風に言ってもらえて、私は気が楽になった。
本当に、感謝でいっぱいだ。
そうだ、せっかくだし…
「って、うわ!通知メチャクチャ来てる」
母親からのメール、千歌ちゃん梨子ちゃん、それに善子ちゃんからも。
皆、私が向こうに着いたら連絡するね、って言ってたからだろう。
連絡が来ないことを心配している文面が見て取れる。
えーと、ママには『大丈夫、無事に部屋に着いたよ~!』
善子ちゃんには…『無事、堕天したぞ(*^^)v』
こんな感じでいいかな。
千歌ちゃんと梨子ちゃんは、まとめてグループに送ろ。
『大丈夫!ちょっと色々あったんだけど、無事に部屋に着いたよ~』
するとすぐに『良かった~』と梨子ちゃん。
千歌ちゃんからは『色々って?』と来た。
待ってたよ、千歌ちゃん。その返事。
『実は、電車内でめまいがして倒れかけたんだけど、優しい人が助けてくれたんだ~』
『ホントに大丈夫なの?曜ちゃん?』と梨子ちゃん。
『優しい人?もしかして超カッコイイ人?』これは千歌ちゃん。
『大丈夫!ピンピンしてるよ!
ちなみに女の人で、同じ大学の医学部の人だった!』
『女性で医学部って、かなりすごいわね』梨子ちゃんから。
『名前とか、聞いたの?』と、千歌ちゃん。
それにしても、見事なまでの二人の連携だ。
梨子ちゃんが返答して千歌ちゃんが質問する流れが出来ている。
『えっと、西木野真姫さんっていう人!髪が赤で、すごくキレイな人だった…。
白衣も、それはそれはもうカンペキなくらい似合ってて』
すると。
『『えっ!?西木野さんって、
二人から同じ文面で同じタイミングで返信が来た。
今までの流れはどこへ行ったのやら、そして二人は何を言っているのやら。
『
『曜ちゃん?!覚えてないってマジ?
『本当に、忘れてたの?』呆然と言った感じで、梨子ちゃんからの返信。
そして、かくいう私は、というと。
「…え?」
固まっていた。
言われて思い出してみれば、確かにその通りなのだ。
特徴的な赤い髪、そして釣り気味な目。
家が病院で頭がよくて、医者を目指していた、はずだ。
そして、ここでようやく、車を呼んだ、にも納得がいった。
お金持ちの家の娘だから、そういうことができるということなのだろう。
そして何と言っても、あの美しい外見。
それはまさに、あのμ'sの西木野真姫さんのものだ。
『…曜ちゃん?どうしたのー?』と千歌ちゃん。
『返信、止まったわね…』梨子ちゃんからも。
『あああああああああああああああああ!!!!
やらかしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『戻ってきたわね』これは梨子ちゃん。
『同じ大学なんだからいいじゃん!また会えるよ!』と千歌ちゃんから。
私は絶望的な気持ちになってしまったので、二人に『…寝ます』と送って、ベッドへ。
さっきまで西木野さん宅で眠っていたはずなのに、眠気は不思議とある。
眠る直前に、善子ちゃんからメッセージが来てる事に気付いた。
『曜、何かあったの?…今は安らかに眠りなさい』
自分がふざけた文面を送ったからこういう返信が来たと考えることは今の私には出来ず、
「善子ちゃん私のこと見張ってるのかな、なんて…」
と呟きつつ、私は眠りについた。
つい数分前に、西木野さんとは連絡先を交換していたことを忘れたまま。
なんか、思ってたよりも長くなりました…。
実は私、曜ちゃんがAqoursで一番好きなキャラでして、だからまあ書くことを決めたのが大きいんですけど、なかなかアイディアが浮かばなくてですね…。
このような話にしよう、と決まったのは今日の午前中でした。
読者さんに反応してもらえれば勿論嬉しいですが、今はとにかく書ききった満足感がでかいです笑。
そして、第一弾に目を通してくださった方ならわかると思いますが。
そうです。明後日には真姫ちゃん誕生日記念話がこの話のスピンオフ的な感じで投稿されるということです。
正直に言って、書ける気がしません!笑
ですが、なんとか頑張ってやり切りたいと思っています。
なので私に、どうか、力を与えてくれれば…。
後書きも長くなってきたので、この辺りで失礼したいと思います。
では。
この度は本作品を読んでいただき、ありがとうございました!