「それでは今から質問をします。肩の力を抜いて正直に答えてください。あ、その前に氷鉋君、痛いところとかはありますか?」
「いえ、ありません」
山田先生が言った通り、肩の力を抜いて正直に答える。戦闘中の痛みが嘘のように、痛くない。なんでだろう?
「分かりました。それでは一つ目の質問です。あの黒いISと戦っているときに何か違和感とか感じましたか?なんでもいいですよ」
「違和感ですか?二つあります。一つはオレはアリーナの観客席にいたのにあの黒いISはオレがどこにいるのかも分かっているみたいでした。二つ目はオレ達が会話をしているときには攻撃が緩かったです」
「ふむふむ、分かりました。それでは二つ目の質問です。・・・なぜ氷鉋君は地面に叩きつけられたとき、避けなかったのですか?氷鉋君なら避けられたはずですが?」
「避けなかったのではなく、黒夜が動かなかったんです。理由は分かりません」
「そ、それって、ISがいうことを聞かなかったってことですか?」
「はい。まあ黒夜がファーストシフトをしたのも事実ですが」
「分かりました。質問は今ので最後です。おつかれさまでした。あ、黒夜を先生に預けてくれませんか?ちょっと確認したいことがあるので」
「はい。外れるかな・・・あ、外れた」
待機状態の黒夜はあっさり外れ、山田先生が出してきた茶盆に乗っける。大人しくなったのはファーストシフトをしたからなのか?だとしたら何が原因で今までファーストシフトしなかったのかをしっかり調べてほしい。前に部屋で外した黒夜を腕に着けず、そのまま持ってきて山田先生に渡そうとしたことがあるんだが、渡す直前に黒夜が光り、オレの左腕に付いていた。何が言いたいかって、こいつ他の人に触られるのが嫌みたいだ。それなのに今は嫌がらないなんて、一体何があったんだろうね?
「それでは明日のSHRのあとに返しますね。あと、帰りに職員室に行ってください。織斑先生から話があるそうです。それと織斑君を呼んでください。あ、えっとこれを渡すのを忘れてました。学食デザート半年フリーパスです。もう一枚は布仏さんの分ですのでちゃんと渡してくださいね」
「・・・・はい、分かりました。失礼しました」
部屋から出て、そっと扉を閉める。・・・・織斑先生から呼び出される原因ってあれしかないよな・・・無断IS展開、器物破損、無断出撃をしたんだからな・・・ああ、行きたくないなあ・・・
「葵、何だったんだ?何があったんだ?」
「織斑先生からのお呼び出したさ・・・あ、次一夏君だよ」
「お、おお・・・とりあえず、ご冥福をお祈りいたします」
「待って流石に死ぬことはないだろ!」
「いや、千冬姉は自分に厳しく他人にも厳しいだからな。でもあの黒いISを倒せたのは葵のおかげでもあるから意外と大丈夫だと思うぞ」
「そっか・・・じゃあ、逝ってくる」
「おう、逝ってらっしゃい」
怒られるにしても出席簿アタック1発で済ましてくれないかな・・・無理かな・・・無理か・・・・
道中少し迷いながらも教室に戻り、鞄を取り、職員室に向かう。あれ、そういえば本音さんの鞄がなかったけど誰か持って行ったのかな?あとで保健室に寄って行こう。・・・なんて考えていると職員室にもう着いてしまった。仕方ない、覚悟を決めよう。よし、行くぞ!
「氷鉋、職員室前で何をしている。さっさと入れ」
「・・・・・はい」
なんで、入ろうとしたタイミングで織斑先生が扉を開けるんですか・・・・オレの覚悟は一体・・・
「さて氷鉋、お前は自分が何をしたか、分かっているな?」
「はい」
「分かっているならいい。布仏も軽傷だし、あのISとの戦いでもお前の活躍がなければ一夏達ももっと苦戦していただろう。だから今回のことは不問にしよう」
「ありがとうございます!」
よかった・・・本音さんは無事みたいだし、怒られずに済んだ・・・
「だが、報連相は社会人としての基本だ。忘れるなよ?」
「はい」
「それじゃあもう帰れ」
「はい、失礼しました」
職員室の扉を開けると、そこには本音さんがいた。謝らないと不味いよな・・・・というか保健室じゃないの?
「本音さん、昼間はごめん」
「ひがのん、こういう時は謝るんじゃなくてお礼をいうべきでしょ?」
うぐ・・・正論だ・・・・でも感謝より罪悪感の方が強いんだよな・・・・
「…本音さん、昼間はありがとう」
「どういたしまして、ひがのん♪」
「怪我とかは大丈夫なの?」
「足にはもう薬と卵白を塗ってあるのだ~」
「卵白?」
「なんかね~卵白を塗ると痕が残りにくいんだって~それでも残ったらナノマシンの出番だって先生が言ってた~」
「・・・確かナノマシンって滅茶苦茶高いはずなんだけど」
「大丈夫~お金出すの私じゃないから~」
「そりゃそうだろ・・・あ、頭から血が出てたけどそっちは?」
「ふふん、私は傷が塞がるのが早いのだ~!」
「ほうほう、どれどれ」
「んにゃ!?」
おお・・・髪の毛で隠れて分かりにくいけどかさぶたになってる・・・本音さんは嘘つきじゃなかったんだ!
「こら~!ひがのん!女の子の髪の毛は勝手に触っちゃだめだよ~!」
「あ、ごめん」
「他の子とかにやっていたらポリスマンのお世話になるところだからね?勝手にしちゃだめだよ?」
「はい、すみませんでした」
女性に悪いことをしたときは素直に謝る。でないと冗談抜きでポリスマンのお世話になってしまうからな・・・最近なんて買い物に行っただけでポリスマン呼ばれるところだったし(食材の奪い合いの結果だ)・・・あ、フリーパス渡すの忘れてた!
「本音さん本音さん」
「ん~?」
「これ、学食デザート半年フリーパス」
「ふぉお~!これがフリーパス!」
「そこまで食らいつくとは思ってなかった」
「ひがのん酷~い!」
「はいはい、悪かったって」
ぽかぽかと叩いてくる本音さんは・・・・そのままでいっか。痛くないし。・・・・ん?首が引っ張られてる?
「ひがのん部屋まで運んで~」
「ちょ、待って首にぶら下がらないで頼むマジでお願いします本当に首絞まってきたんだけど!?」
「ちぇ~ひがのんはわがままだな~」
「はいはいわがままですよ~で、運べばいいの?」
「脇抱えはやめてね~」
「へいへいっと」
脇抱えがダメならおんぶか姫様抱っこかな・・・・うん、どっちもハードルが高い。どうしよう・・・
「ううう・・・」
あれ?この声凰さん?もしかして泣いてる?場所は・・・曲がり角にある自販機のそばのベンチか。よし、ちょっと覗くか。
「本音さんや(小声)」
「いってらっしゃい(小声)」
「えっ(小声)」
「さあ行くのだ!(小声)」
・・・・・こっそり覗こうぜって言おうとする前に送り出された。これじゃあ見なかった、聞かなかったことにもできないじゃないか・・・しょうがない、やるしかないか。こういう時の一夏君なのに・・・あいつは今何処だなんだ・・・おい、もう寮かよ、何があったんだよマジで
「ほらひがのん行った行った(小声)」
「ハイハイ(小声)」
覚悟は・・・できてない。けどやるしかない。逃げ場?ナイヨ。本音さんが塞いじゃったよ。チクショウ!
「・・・凰さん?」
「・・・な、なによ」
「ほれ、全部出しちまいなさい」
そういいながらオレは隣に座り、鞄から今日はまだ一度も使っていない白いハンカチを出し、凰さんの顔を拭く。昼間使った奴はズボンのポケットだ。いやこんなこともあろうかとちゃんと用意してあるのだよ、ふふふ・・・・ごめんなさいただ何となく入れていただけです使うことなんて全く考えていませんでした。はい。
「うわぁあ・・・わぁああん・・・うぁあああん・・・」
・・・・で、その凰さんは、オレの胸に顔を押し付けて泣いてる。服が、かなり濡れたけど気にしない。自分でそうするように言ったんだから。・・・そう、気にするな、気にしてはいけない、気にするべからず、気にせざるえない。って待て待て、気にするなと言っておいて気にせざる得ないはないだろ流石に・・・これ考えるのやめよ・・・。そうしてしばらく凰さんの背中をポンポンと軽く叩くと段々収まってきた。よかった・・・ようやく泣き止んでくれたよ・・・
「ごめっ、んなさいっ、・・・濡らしっ、ちゃって・・・」
「ああ、いいよ気にしなくて。女性に胸を貸したというのは男にとって名誉なことですよ 」
濡れたブレザーは明日までに頑張って乾かすから(勿論オレが)
にしてもさっき拭いたのにまた泣いたから涙で顔がくしゃくしゃだ。また拭かないと・・・(謎の使命感)・・・・・よし、綺麗になったぞ!まだ目のあたりは腫れてるけど・・・
「あ、ありがと・・・」
「もう、大丈夫?」
「うん・・・」
「それじゃあオレは帰るとするか」
立ち上がってブレザーを脱ぎ、適当に3つ折りにして左腕に掛ける。右手に鞄を持って、何事もなかったかのように帰ろうとするが、そうは問屋が卸さない!
「ね、ねえ!」
「・・・・・」
はい、凰さんに捕まりました。あ、これもしかして終わった系?さっきの「ありがとう」は油断させるためだったのか・・・今の時代は慰めることもダメなんだな・・・オバロの見すぎだな・・・
「名前、氷鉋葵だっけ?」
「はい、そうですけど・・・」
はっ、もしかして、名前を聞き出して通報する気か!?やめろ、やめてくれ、やめてください!せめて通報するならISで世界一周してからにしてください!
「その、ありがと、本当に。どっかの誰かさんにも見習ってほしいくらいだわ」
「・・・えっと、はい」
「・・・?どうしたのよ、あれ?みたいな顔して」
「いえ、なんでもないです。ですので通報だけはやめてくださいお願いします」
本当に、お願いだから、通報しないで欲しいなあ・・・・
「え?なんで?」
はい、人生オワタ\(^o^)/
セバス、カッコイイなあ・・・
どうでもいいことだけど、アニメ版の一夏の服をよく見ると中にYシャツ付けているんですよね。だから、制服をブレザーということにしました。カスタマイズ自由なブレザー、4つ?の型から選んで自分好みにするなんて・・・一体日本政府はどれくらいの負担を強いられているんだ!