「なんで通報しなきゃいけないのよ?」
「いや、出すぎた真似をしてしまったので・・・」
「そう?」
・・・・なにこの空気、気まずい。何か別の話をして変えないといけない気がする。・・・・話題・・・話題・・・思い浮かばねぇぇぇぇ!!
「ねえ、葵って名前で呼んでもいい?」
「え、あ、はい。どうぞ」
「・・・・で、わ、私のことは
おっと、向こうから話を逸らしてくれた。ラッキー・・・なのか・・・・?いやラッキーだ。この空間から抜け出せる!
「・・・分かりました、鈴さん」
「!!・・・うん・・・」
「それでは、また明日」
「え、あ、ちょ、まっ」
オレは、早歩きでベンチから離れる。後ろからなにか聞こえるが気のせいだ。そういうことにしよう。うん。でも通報されなくって良かったぜ・・・
校舎を出ると本音さんに後ろから抱き着かれた。ぐえっ
「ひがのん、失礼なこと考えたでしょ?」
「イエ、ソンナコトアリマセン」
「ふ~ん」
そういうなり首を抓ってきた。ヤメテ、本当に痛いのそれ!
「ごめんなさい」
「よろしい。それじゃ~罰ゲームとして私を運んで~」
「ハイハイ」
運べと言われてはしょうがない。というわけでしゃがみ、乗りやすくする。・・・ぐはっ
「ちょ、助走つけるなよ!」
「よいではないか~よいではないくわぁ~」
もうこの娘なに言ってもダメだ・・・っく!諦めるしかないな・・・って寝てる!?ちょ、頼むから背中で寝ないで!!
寮に戻るまでの間、多くの人にこれを見られ、「私も私も」とか言っている人には丁重に断りつつ(中にはセシリアさんらしき人物も混ざっていたのは気のせいだろうか?)、無事部屋に戻ってこれた。勿論部屋に着いたら本音さんをベットに降ろしたのは言うまでもない。
◇ 三人称視点
IS学園の地下にある薄暗い、特殊な空間。レベル4以上の権限がないとその階に入ることすら許されない部屋があった。その部屋の中央に置かれているは昼間襲撃してきた黒いISの残骸だ。そして、そこにいるのは織斑先生と山田先生だ。山田先生は普段の様子からだと想像できなけどいろいろ凄い。色々と。
「織斑先生、やっぱり無人機です。機能中枢は全部焼き切れていたのでどのような方法で動いていたか分かりません。修復も無理でしょう」
「そうか・・・コアはどうだった?」
「・・・それが、登録されていないコアでした」
「そうか、やはり・・・」
「織斑先生、心当たりが?」
「一応な。・・・山田先生、あの時、遮断シールドがレベル4に設定され、ドアも全てロックされたことは覚えていますか?」
「それは、まあ・・・」
「ここのセキュリティーは世界最高峰、なのにそれを破ることができる人物なんてそうそういない。というかいて堪るものか」
「それで、誰が犯人かの目星が?」
「ああ。だがこれだけだと証拠ではない。もう二度とこんなことが無いように祈るしかないですよ」
「・・・織斑先生、口調が滅茶苦茶ですよ?」
「・・・・気にするな、私は気にしない」
何時ぞやの葵と同じことを言っている織斑先生には余裕がなかった。何故なら、いつかは分からなくても必ずまたやってくる、それが分かっているからだ。だが元世界最強、そのようなことを周りを心配させるかのような行動、発言はできない。だから、自分の考えがバレないように話をわざと逸らす。
「山田先生、同時作業として頼んでいた『黒夜』ですが」
「もう解析終了しています」
「そうですか。・・・それでどうでしたか?」
「一言で言うと、規格外です。『白式』とはまた違った意味で、ですけど・・・」
「具体的には何がありましたか?」
「これを見てきゅだ・・・見てください」
「・・・・なんですかこれは?ほとんど無いようなものじゃないですか」
「実はこれ、『黒夜』が公開している情報の全てなんです」
「これで?」
「はい。あとは強固なプロテクトで固められていて侵入することが出来ませんでした・・・」
「そうですか。それならば仕方がない。それで書かれているのは?」
「はい、最大出力、最大火力、インストール容量、あとは武装だけです。でも武装もまた問題なんですよぉ・・・」
「ええ?ちょっと見せてください」
「え、あ、はい」
動揺なんてしている場合じゃない、もしかしたら零落白夜みたいなものが仕込まれているんじゃ・・・と思い、慌ててディスプレイを見る。そして思わず顔が引き攣った。なにせ、『白式』同様に『黒夜』もイコライザが付けれないのだ。しかも最も容量を喰っているのはでかでかと表示されている『使用禁止兵装・中身は空』なのだ。中身は空なのに使用禁止とはこれ如何に・・・というかこれ消せないのか?とついつい思ってしまう。
「・・・山田先生、これ消せますか?」
「無理でした!」
「もう試したんですか!?」
「はい、でも全然命令を聞いてくれなくって・・・」
「・・・そうですか。それで、これだけじゃないでしょう?」
「あ、はい、これも見てください」
「・・・・・え?は?なんで?え?」
「だから、問題なんですよぉ・・・」
『黒夜』の特殊武装は『使用禁止兵装・中身は空』だけではなかった。むしろ
そして、織斑千冬はもう一つの可能性を思いついてしまった。
「・・・・山田先生、展開可能武装は見れますか?」
「あ、はい。見れますよ。・・・どうぞ」
「・・・・やはりか」
「え?」
そういって開いたのは、《ドレッドノート》だった。だが、山田先生にはただの専用装備にしか見えない。
「これのどこがおかしいのですか?」
「零落白夜を銃弾として撃てる」
「・・・・はい?」
「だから、零落白夜を銃弾として撃てる」
「・・・・・なにそれ怖いんですけど」
暮桜や白式のもつ零落白夜は剣の為、距離を取れば対処できる。が、《ドレッドノート》の零落白夜は離れればセミオートで精密射撃、近づけばフルオートにして数で押し切る、なんてこともできるだろう。というか氷鉋ならやるだろう、とすら思ってしまう。が、問題は他にもあるのだ。
「ま、まあ今のは置いといて、他のを見てみましょう!」
「山田先生、落ち着いてください」
「わ、私はいつでも落ち着いています・・・・よ?」
「はいはい、分かりましたから・・・」
そう言いながら次に開いたのは《デュエル》だった。基本性能を見ても、特に変わったこともない。しいて言うなら切断能力は雪片弐型と同じくらいだ。ならいいかと思い、最後の武装、《ハイペリオン》を開いた。
「そういえばこれは無人機のビームを完全に無効かしていましたよね?」
「ですね。・・・まさか零落白夜の盾じゃないだろうな?」
「・・・いえ、そんなことはないみたいですよ。なにせ物理シールド、SE消費もなしじゃないですか」
「それ無敵の盾なのでは?」
「いえ、無敵ではありません。ビーム兵器には強いですが、物理攻撃にはM9の一マガジンで壊せるほどの耐久力しかありません」
IS専用の重火器は今までのような人が使うことを前提にしているものとはサイズも威力も違う。ISバトルを考えるなら一発でも攻撃を防げたらラッキー程度の脆さだ。
「・・・なんかもう疲れたんだが」
「これ以上分かることはないんですから、帰りませんか?」
「だな。あ、山田先生、明日転入生が来るのですが資料は職員室の机に置いてありますから明日のSHRまで目を通してください」
「分かりました。その子は何処から来たのですか?」
「フランスの代表候補生であり、世界で三番目の男性操縦者です」
「え?・・・・ええ!?」
この日、山田先生が寝れたのは朝の5時過ぎだった。
第二章終了
次回からは貴公子が来ます!