バカ正直な少年と空に憧れる少年   作:針金はやて

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3章 学年別トーナメント
016 銃を使わせたら右に出る者なし


5月中旬、昨日のクラス対抗戦は中止になったが今日の学校は中止にならなかった。ちっ

 

とまあそんなことは置いといて・・・何なんですかね、あれは?オレが見るには男装女子なんだけど?気のせいかな?・・・いや、気のせいじゃねーな。うん。間違いなく女子じゃん。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さんよろしくお願いします。この国では不慣れなことが多いかと思いますが、分からないときや間違っているときは教えてください」

 

あ・・・ありのまま 今、起こった事を話すぜ・・・「SHR前に山田先生から黒夜を返してもらった後、「転入生です」とか言って入ってきたのは三人目の男性操縦者だったんだ」・・・な・・・何を言ってるのかわからねーと思うが・・・三人目男性操縦者だとか・・・そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ・・・もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・てかどう見ても女子じゃねえか・・・

 

「お、男・・・?いや、男の娘・・・?」

 

いやそこの人、そいつの肩と腰をよく見比べてみろ、男女の身体的特徴のひとつに男は肩の方が腰より広いんだが女は腰の方が肩より広いというのがあるが、シャルル・デュノアは腰の方が肩より広いじゃないか。というかなんで息を荒くしてるの?ねえ?

 

「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて・・・」

 

おいこら、お前はお前でサラっと嘘をつくな嘘を。・・・因みに、なぜ嘘をついているのか判断できるかというと、小学5年生の頃から幼馴染(男)に読心術の練習台にされ、ついでに読心術を身に着けさせれたのだ。「ついでに」で覚えさせられたのは読心術だけでない。剣術も覚えさせられた。二刀流の実験台にもされたなあ・・・懐かしい。夏休みになったら一度実家に帰るけどそんときに二刀流、教えてもらおう。そうしよう。けど、そんなことを考える余裕は次の瞬間、消える。

 

「「「「きゃあああああああああああああああああっ!!!」」」」

 

耳が、耳がぁ~!痛い!うるさい!冗談抜きで痛いしうるさい!というか教室の窓がカタカタと揺れてる!凄い!けど!うるさい!

 

 

「ああ、騒ぐな、静かにしろ!」

 

織斑先生が教卓を出席簿で叩くと、ミシッという怖い音とともに、教室は静かになった。・・・うん、ミシッて言ったんだよ、教卓が。IS学園の教室にある教卓は、一見すると木製に見えるから「壊せるだろ」って思う人はいるかもしれない。が、敢えて言わせ貰おう!IS学園の教卓は木製ではないと!というかあれはタッチパネルディスプレイ搭載型のパソコンだ。前に教卓の裏側を見るとUSB差込口があったし。・・・それ以前に木に見える部分も塗装してあった。目立たないところをこすったら指にインク付いたし・・・

 

結論:織斑先生は出席簿で鉄製品にひびを入れることが出来る。

 

織斑先生怖いよ!!そしてそれに耐えれる出席簿も怖いよ!!あれ何でできてるの!?気になって夜も眠れるよ!!

 

「・・・・本日は二組と合同でIS実習を行う。着替えてグラウンドに集合しろ。織斑、氷鉋、同じ男子としてデュノアの面倒をみてやれ」

「はい!よし、行こうシャルル。葵!」

「すぐ行く!」

 

織斑先生、その言い方だと滅茶苦茶怪しいんですが。まあいいや。すぐに教室から出よう。でないと、女子が着替え始めるからだ。・・・そう、「着替えられない」じゃなくて「着替え始める」なのだよ。分かるか?見せつけてきたくせに文句言うんだ。「変態!」とか言ってくるんだよ?理不尽だよ・・・

 

まあ、さっさと出ないオレも悪いんだけどな?

 

 

「なあ、葵」

「何だね、織斑君?」

「俺たち、生きて明日を迎えられるかな・・・・」

 

状況を説明しよう!閉じ込められた。後ろには人、前にも人。右は壁、左は窓。オレ達が一緒にいるからなのか、それとも女子生徒Fが言った「者ども!出会え出会え!押し倒せ!」という言葉のせいなのか、あっという間に包囲網が出来てしまった。さらに、じりじりとにじり寄ってくる。これ、地味に怖い。このまま固まっていたら状況は悪化の一途をたどる。時間は無くなり、織斑先生に叱られるビジョンしかみえない。一夏君もその心配をしている。シャルルさんは状況についていけず、おろおろしている。

 

「なに、簡単な話さ。間に合えばいい。幸いにも窓からは第二アリーナが見えている。しかも入り口側なうえに織斑先生もいない」

「やるなら今しかないな。千冬姉に見つかったら絶対怒られる」

「シャルルさんはどうする?」

「葵、頼めるか?俺にはそこまでの自信はないよ」

「わかった。・・・失礼」

「え?きゃっ!」

 

・・・・・・・・・・・ねえ、君さ、今何て言ったか分かる?女の子のこえで「きゃっ!」だよ?「きゃっ!」。きゃっ!・・・いや、いまはいいや。一分一秒一ナノが惜しい。オレは窓枠に立ち、反転。後ろは外。落ちたらケチャップ。さあて・・・『黒夜』がちゃんと動いてくれますように・・・

 

「ねえ!?何をするつもりなの!?というか降ろして!?あとボクの意思は何処に!?」

「口を閉じて。舌噛むから。怖いなら目を閉じて」

「う、うん・・・優しくしてね?」

 

シャルルさんは黙った。よし、行くぞ!

 

オレはそっと後ろに傾き、落ちた。そしてそのあとすぐに一夏君も飛び降りた。・・・黒夜、脚部のみ展開。PICとスラスターで速度を殺し、着地。収納してダッシュでアリーナの更衣室に駆け込む。・・・・うん、まだ時間的にはぎりぎり間に合う!

 

「うわ!時間やばいな!さっさと着替えようぜ!」

「だな」

「え、あ、うん!」

 

アリーナの中に一番近いロッカーを開け、服を脱いでハンガーに引っ掛けて、運動靴を履いて終わり。ISスーツは制服の下に来ていたから、脱ぐだけで終わりだ。・・・あっちはなんか揉めてるけど聞かなかったことにしよう。うん。先行こう。あ、でも恨まれたらいやだし一応時間だけ教えるか・・・

 

「あと1分で授業始まるぞ!先行ってるからな!」

「え、うそ!あ、本当だった!やべぇ、急がないと!」

「じゃ、じゃあ一夏、ボクも先行くね?」

「待って、ねえ!?置いてかないで!?」

「シャルルさん、時には見捨てることも大事だ。というわけで行こうか」

「う、うん・・・」

 

 

 

グラウンドに着くと、既にみんな並んでいた。チャイム?今鳴ってるよ。一夏君は、いない。正確に言えば今走ってこっちに向かってきてる。織斑先生はオレとシャルルさんについてはギリギリだったが間に合ったということで見逃された。が、一夏君を見逃すつもりはないみたいだ。・・・・・一夏君が到着した。すぐさま織斑先生の所に行き、「遅れてすみません!」と頭を下げる。

 

「遅い!氷鉋やデュノアが間に合って、なぜお前が授業に遅れる?時間管理は社会人としての基本だ。今はまだ私に怒られるだけで済むが社会に出てからだとこれだけでは済まないぞ!特に今の時代はクビで済めばマシな方だぞ!」

「はい、すみませんでした!以後気をつけます!」

「分かったならいい。早く並べ」

 

なんでだろう、織斑先生が言うと現実味があるのは。はっ、もしかし実体k・・っ!なんか織斑先生にめっちゃ睨まれてる!このことを考えるのはやめよう、うん。

 

「それでは、授業を始める!今日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を行う。が、いきなりやれと言われても困るだろう。よってまずはデモンストレーションを行い、午前中は実際にISに乗り稼動実習を行ってもらう」

「「「「「はい!」」」」」

「さて、誰にデモをやらせるか・・・よし、遅れてきた織斑と時間ギリギリに来た氷鉋にしてもらおう。ああ、安心しろ。デュノア、お前にも罰はある。3人とも前へ」

「「「はい」」」

 

うん、説教はされなかったけど見逃されたわけじゃなかったんだね・・・

 

「そう言えばちふ、織斑先生、今日は山田先生は来ないのですか?あと俺は葵とやるんですか?」

「あー、もうすぐ来るはずだ。織斑と氷鉋は今のうちに準備しとけ。お前たちの相手は山田先生だ」

 

マジか、山田先生なのか・・・あの人、入試の時に滅茶苦茶撃ってきて、弾切れになったら槍を投げてきて怖かったんだが・・・今思うとなんで勝てたんだろう?やっぱり手加減されてたのかな?で、一夏君、なんで「ええ・・・ホントに?」みたいな顔してるの?はっ、まさかもう勝つためのビジョンが見えているのか!?

 

「来たぞ」

 

織斑先生が呟いたので上を見ると、ラファール・リヴァイブを纏った山田先生の姿があった。・・・あれ、なんか様子がおかしいぞ?なんか制御できてないような気が・・・・『黒夜』、着地もとい落下予想地点を割り出して。『黒夜』のヘッドを展開、なんかいろんな数式とかが表示された後、全部仕舞われて一枚のディスプレイが。そこにはアリーナの簡単な3Dモデルと落下予想地点が。場所は、ここ。・・・目にゴミが入ったのかな?えっと、落下地点は何処かな?うん、やっぱりここだわ。

 

落ち着け!こういう時は焦ってパニックになるんじゃなくて、回れ右からの全力ダッシュだ。うん、オレは落ち着いているな!うん!逃げるか!『黒夜』の360度視認ディスプレイを見てみると女子のみんなも気づいたみたいで、慌てて走り出していた。しかし、織斑姉弟は落ち着いていた。・・・あ、これ違うな。織斑先生はギリギリ安全なところまで移動してるけど一夏君の方は何が起こるのか理解してないな。

 

「一夏君、逃げろ!」

「織斑君どいてくださ~い!!」

「え?ええ!?」

 

オレの注意と山田先生の悲鳴は空しく、一夏君は山田先生に直撃した。まあ、無事だったけど。一夏君はギリギリで『白式』の展開が間に合っていた。だから、一応無事だ。

 

「あ、俺もうここが墓場でいい気がしてきた(超小声)」

「あ、あの、織斑君?何やっているんですか?私と織斑君は仮にも教師と生徒、そんなこと言われても困るんです・・・場所も雰囲気もあれですし・・・あ、でもこのままゴールインすれば織斑先生が義姉さんに・・・」

 

状況を説明すると、ラファールに乗った山田先生と白式を纏った一夏君が高速度で衝突、白式にぶつかっただけだと勢いを殺すことが出来ず、そのまま二人仲良く地面に激突。山田先生が下に潜ったため、一夏君が上から押し倒す姿勢になり、山田先生の胸に手はWA☆SHI☆ZU☆KA☆MI、頭はU☆ME☆TE☆I☆RU!白式の腕のパーツだけは展開してないから直接手で触っている。おまけにオレは黒夜のヘッドパーツを出しているからハイパーセンサーが機能しており、超小声で呟いても半径200mくらいは聞き取れる。なお、山田先生もその呟きを聞いたらしく、赤面しながらも嬉しそうだ。

 

・・・その願い、叶えてあげよう。安らかに眠れ。そんな嫉妬を込めながら《ドレッドノート》を取り出し、構える。セーフティー解除、フルオート射撃モードに設定、センサーリンク確認、ロックオン。ってあれ、鈴さんやセシリアさんも甲龍とブルー・ティアーズを展開して武器を取り出してるじゃん。

 

「んじゃー一夏、私は優しいから一夏の願い、叶えてあげようかな~」

 

何て言いながら《双天牙月》を連結して・・・

 

「一夏さん?私はあなたのことを紳士だと思っていたのですが、紳士は紳士でも変態紳士だったのですね」

 

と言いながら《スターライトMk-Ⅲ》を構えた。・・・ねえ、どこでそんな言葉覚えたの?ねえ?直ちに忘れなさい。いや忘れてください。純粋なあの頃に戻ってくださいお願いします。

 

「まずは、ヘッドショットから行きますわ」

 

セシリアさんは宣言と同時に撃った。その弾(レーザー)は、確かに頭に当たったが、白式の<絶対防御>が発動し、死ぬことはなかった。

 

「死ね巨乳!!」

 

次におおきく振りかぶってー投擲!ギュルギュル言いながら回転する《双天牙月》、一夏君は体を逸らしてギリギリ避けたが、こいつはブーメラン式だ。そして、無理に体を逸らしたことにより、回避ができない。詰みだなこれは。安らかに眠れよ。あと、鈴さん?主旨が変わってません?

 

誰もが一夏君の死を確信したとき、火薬の音が一回、暫く経ってから空の薬莢が一つ地面に落ちて《双天牙月》の軌道が大きく逸れて、落ちた。一体誰が撃ったか・・・・その正体は少し体を浮かせた山田先生だった。

 

「怪我はないですか?織斑君?」

「は、はい」

 

さっきの射撃、とても精密な射撃だった。こいつは油断できないな・・・

 

「山田先生は元代表候補生だったからな。これくらいの射撃はどうということもない。むしろ当時は銃を使わせたら右に出るものはいないと言われるほどだ」

「そ、そんなの昔の話ですよ。えへへ・・・」

 

ま、まじか・・・普段あんな感じにこう、ふわふわしているのに・・・あれ、オレ達この後山田先生と戦うんだよな?

 

「なにをぼさっとしている。さっさと始めるぞ。早く準備しろ」

「お、お手柔らかにお願いしますね?」

 

あ、どうしよう、何をどう頑張っても負ける未来しか見えないんだけど・・・




※葵は未来視をすることはできません(当たり前)
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