職員室の扉でノック二回。・・・・スー、はー・・・・よし、いざ、参る!
「失礼します。織斑先生は
「ここだ。来い」
言われたとおりにいってみる。・・・・机がごっちゃごちゃやん・・・いやまあ作業スペースは確保されてるし資料がどこにあるか把握するために付箋が貼ってあるのはわかるけどさ、その積み上げられたタワーは一体・・・
「ああ、机は気にするな。いつもはちゃんと整頓してある。今は誰かさんのせいで特別忙しい。・・・お前のことじゃないぞ」
「アッ、ハイ」
き、気にしちゃダメだ・・・!
「それで氷鉋、右目は大丈夫か?」
「大丈夫です。痛みはないですし血も流れてません」
「そうか」
そういって織斑先生は立ち上がり、右目の眼帯を剥ぎ取った。咄嗟の出来事に反応できずフリーズしているオレをほっといて紅い右目を見つめる織斑先生。
「はぁ・・・・また豪く色が変わったな・・・」
「一応言っておきますがこれ裸眼ですからね?」
「知ってる。昔私の親友も同じことが起きた。いきなり血が流れたから洗ったら左目が碧くなっていたんだ。左目だけとても鮮やかな碧眼だったぞ。・・・次の日には右目と同じ色のコンタクトを用意して付けていたがな」
「オレはコンタクト、遠慮しときます・・・目に何か入れるって怖いので」
すると先生は「そうか」と呟いて手を放し、椅子にドスッと深く座った。
「それで、最近どうだ?」
「特に何も変わっていませんよ。一夏君とシャルルさんが互いに向ける目以外は」
「ほう?」
織斑先生の口端が吊り上がった。まるで、面白いものを見たかのように。
『私が何と言っているか分かるか?』
『大丈夫です。わかります』
・・・・・さて、ここからは口にできない内容なのか。口パクになったぞ・・・・
『後ろの山田先生がこちらを見てますがいいですか?』
『問題ない。山田先生には知ってもらわないと困るしな。寮の部屋替えの割り振りとかが』
うっわ山田先生大変だ。そして涙目でこちらを見ないでください何故か罪悪感で包まれそうなんです。
『それでお前からみてデュノアはどうだ?』
『あれどう見ても女ですよね?隠す気ないですよね?制服の下にはISスーツ着ているみたいですが』
『・・・・一夏は知っていると思うか?』
『多分、昨日の夜くらいにかと。昨日の昼は特に変わりはありませんでしたし、あの二人は今朝からよそよそしいので』
「そうか・・・」と呟き少し顎に手を添えて考えている・・・・
『状況が変わった。何か少しでも変化が起きれば私に連絡しろ。携帯は持っているか?』
『すみませんデータ全部黒夜に移植したあと実家に送りました。今は中身デリートして契約を更新して妹のものです』
「それ黒夜が無くなったら大変なことになるだろう!?」
「いやだってISって便利すぎるんだもん・・・写真はハイパーセンサーのおかげでブレないし・・・」
「お前ISはただの便利な家電くらいにしか思っていないだろ!?」
「まあ実際便利な家電なので・・・」
何故だろう、職員室にいる人全員から”何言ってんだこいつ”みたいな目で見られているのは
ああ、そうか、そういうことか。それならオレが悪いか。・・・だがオレは謝らない!ISに乗りたいと思っていたのは事実だし、叶って嬉しいけど、自由に飛べない空では足りない。意味がない。そうなったら何を思うか?オレの場合”ISって他に何ができるんだ?”と思い、買ったばっかりのパソコンを弄るかの如くISをあちこち弄った。そしたらなんということでしょう、量子変換する余裕はないのに電子機器の5つ6つは余裕の容量があったのだ。そうなったらもう・・・移植するしかないだろ?
「・・・まあいい。私の連絡先を教える。後で登録しろ。その後空メールを送れ。いいな?」
「了」
「分かったのならば帰れ。私はこれから忙しいからな・・・」
織斑先生から完全に疲れ果てたOLみたいな雰囲気が滲み出ている・・・
とりあえずここに来るまでに買っといたぬるいブラックコーヒーを置いておこう・・・そして出よう。
扉を閉めると同時に後ろから「おのれ氷鉋ォォォ!」と聞こえたのは気のせいだろう。うん。きっと気のせいだ・・・・
尚、ちふっゆーはそのあとぬるいブラックコーヒーが許せず普通に湯煎して温めたことをここに記す。職員室で何やってんだよ
◇ 第二アリーナ
サッとISスーツに着替える。この空気がスッと抜ける感覚にようやく最近慣れてきたぜ。・・・・体形がもろにでるから筋トレは続けているけど。それじゃあ・・・行きますか!黒夜を展開してセシリアさんのもとへ向かう。今日は人が多いから見つけるのが大変だ・・・
「お待たせ!」←葵
「あれ、その右目はどうされましたの・・・?」←せっしー
「葵、イメチェンしたの?」←しゃるるん
「流石に裸眼じゃ・・・ないよな?あの人じゃないんだし」←いっちー
あ・・・織斑先生に眼帯取られていたの忘れてた・・・。というかなんで一夏君とシャルルさんが?
「安心しろ、ちゃんと見えてる。それに裸眼だ」
「ということは左目がカラーコンタクトですの?」
「いやなんでそうなるんだ?・・・雑談はこのあたりにして、そろそろやろうぜ」
「それもそうですわね。時間は有限ですもの。ではまずティアーズを出してくださー」
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
ー 警告! 白式がロックオン ドイツ所属のシュヴァルツェア・レーゲンによるものと断定 回避推奨 ー
すぐさま肩のスラスターを吹かせて一夏君にタックル、そのまま加速してオレも射線上から出る。その直後―
ズドン!
さっきまで一夏君がいた場所に一発の鉛玉が埋まっていた。原因はアリーナのピットにいる、あの黒いIS、シュヴァルツェア・レーゲンとそれを駆るラウラ・ボーデヴィッヒさんだ。
「どういうつもりかな?」
「このような人が多い状況でそのような大型銃を撃つとは、とても正気とは思えませんわ」
「貴様らに用はない。そして氷鉋葵、貴様もどけ。用があるのは織斑一夏、ただ一人だ」
「俺に用ってなんだよ」
「この私と戦え、織斑一夏」
「断る!」
「・・・・どーしてもか?」
「アホ言うな。お前のせいでけが人が出るかもしれなかったんだぞ!」
なんだこのデジャヴは・・・ま、まあそれは置いといて―
「おいどうすんの?諦めて帰ってくれる感じはしないぞ?」
「でも、ちゃんとした理由がないのに戦いたくない」
「お前変なところで武士だな」
「ほう?戦う理由があればいいのか?ふむ・・・」
なにか考え始めたけど・・・絶対ろくでもないな・・・
「シャルル・デュノアを私のものにする」
「「「「・・・・・・・・・・は?」」」」
き、聞き間違いかな?
「えっと・・・もう一回言ってくれるかな?」
「だから、お前、シャルル・デュノアを私のものにする」
「・・・・なんで?」
シャルルさんが顔がキョトンとしている・・・そりゃそうだよな・・・
「なんで?愚問だな。だが答えてやろう。今日の様子を見るからにお前は織斑一夏にとって心底大事な存在だと判断したからだ」
「「え!?」」
「一夏さん、不健全ですわ・・・」
「一夏・・・いや今の時代Lが認められる時代だからBくらいは普通か・・・」
「お前らとんでもない勘違いしているだろ!?」
いや、そりゃ、ねえ?シャルルさんは男設定なんだし?ねえ?
《そこの生徒!何をしている!》
騒ぎを聞きつけたのか、アリーナの放送機から先生の声が・・・
「ふん・・・今日のところはここまでにしとこう。だが、シャルル・デュノア」
「な、何かな?」
「お前は私のものだ、そうだろう?」
それだけ言い残してISを解除、颯爽と帰っていった。
その時のその場に居合わせた者の顔は皆、ポカーンという顔だったという・・・