・・・さて、とりあえず―
「えい」
「なあ!?」
―サバイバルナイフを抜いてーのー・・・
ゴン ガタガタガタ・・・
「ピグッ!」
ガタガタガタ・・・
血濡れの刃先を持って驚いているラウラさんの頭を
・・・そんな痛いか?手首しか使っていないのに・・・
あと扉の外にいる人たち!ガタガタうるさい!
『何、やっているの・・・?』
『あ、かんちゃん!』
『あら、この間の方ですわね』
『どうしたの?葵に何か用でも?』
『うん・・・。いつまで経っても、武装の受け取りに来ないから・・・』
・・・・ん?あれ、今何時だ?
まさかと思い、左腕につけてある待機形態の黒夜を見ると・・・
[16:17]
「え、オレ8時間近く寝てたの!?」
「うむ。朝叩かれてからずっと寝ていたぞ」
「あ、そう・・・」
あー・・・、何だろうこの小動物感は。猫・・・じゃないし、犬・・・?でもないな。兎・・・も違うな。うん・・・何だろう?
『ねえ?もう、いいでしょう?入るよ?』
『ま、待ってくださいな!』
『そうよ!中にはまだ奴が!』
プシュー
・・・はい、扉の外でひと悶着あったみたいですが、空気が抜ける音と共に一人の美少女が入ってきましたね。あとオプションには本音さん付きという豪華特典です。
ってよく見なくてもこの前のかんちゃんさんだ。
「おはこんにちこんばんは、かんちゃんさん」
「あの、それ、名前じゃ・・・ない!」
「いやだって本音さんがそう呼んでいたから・・・」
「・・・本音!」
「にゅ!?」
あ、かんちゃんさんが顔を恥ずかしのか真っ赤にしながら怒った。流石の怒気に背中に張り付いてオプション化している本音さんも驚いた・・・というよりはおきたようだ。
「いつもいつも本音は人の名前を勝手に・・・!」
「だってそのほうが呼びやすいし~?親しみやすいし~?あ、ひがのんおはこんにちこんばんは~♪」
「おはにちばんは、本音さん」
「更に省略した・・・だと・・・!?」
「ちなみに・・・本音はそれ、気に入った人にしか・・・いわない・・・」
!?
あなたは何ということを暴露してくれたんだ・・・!?
「ちょっとかんちゃ~ん!?何言っているの~!?」
「ふふ・・・さっきの、お返し・・・!!」
うん、これは・・・期待していいのかな!?
・・・ってそんなことよりなんでここに来たんだ?
「お前らは何しに来たんだ?遊びに来たのなら早く帰れ」
「貴女が・・・ドイツの・・・?」
「そうだ。ドイツから代表候補生として送られてきた。尤も私はそんなものなる気はさらさら無いが」
「そういえばラウラさんってドイツ軍所属って風のうわさで聞いたけど・・・」
ちなみに噂の出所は一夏君。なんでも、織斑先生のことを『教官』と呼ぶのは第二回「モンド・グロッソ」決勝戦前に一夏君が誘拐され、それを助けに行くために決勝戦を棄権してまで助けに行ったのだとか。で、その時にドイツ軍が協力してくれたらしく、その恩を返すためにドイツ軍のIS部隊の教官を一時務めていたらしい。ラウラさんはその時の生徒だとか。
「ああ、そうだ。正確には『ドイツ軍 IS配備特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」』だ。日本語にすると『黒兎隊』ってところだな」
「ふーん・・・「シュヴァルツェ・ハーゼ」以外にもISが配備されている部隊はあるの?」
「一応あと2つある。しかし、「シュヴァルツェ・ハーゼ」と比べ配備されているISの数は少ない」
「ラウラさんのシュヴァルツェア・レーゲンってフィッティングはしてあるんだよね?」
「ん?ああ、そうだが?」
「隊員たちのISはどうしているの?」
「「シュヴァルツェ・ハーゼ」には3機のISが支給されていて、内1機は私の、1機は副隊長のクラリッサの、そして1機は訓練用として使い回している」
「それ、言っていいの?機密情報じゃないの?」
「別に構わん。どうせwebにでもあげているだろう」
「それでいいのかドイツ軍」
なんでそんな情報をwebに出しているんだよ!そんなことしたらアラスカ条約に・・・え!?
「ラウラさん!」
「な、なんだ!」
「その部隊、アラスカ条約に引っ掛からないの?」
「なんだ、そんなことか。問題ない。「シュヴァルツェ・ハーゼ」は日本でいうところの自衛隊と気象庁を合体したようなものだ。それに主な仕事は被災した地域への復興支援だ。平時は訓練ばかりだがな」
「マジかよ・・・」
そんなもんなんだなあ~
・・・ところでさ?ラウラさんと話している間オレの太ももからは血が流れていたんだよね。それを止血のためなのか包帯を巻いてくれている人がいるんだよね。
はい、本音さんです。
やたら強く締めてくるんですが・・・肉がずれて正直不快です。まあこのほうが早く血が止まるけど。けどいつまでやるの?
「あの、本音さん?」
「な・あ・に?ひ・が・の・ん?」
「そろそろいいんじゃないかな?そんなに強く締めなくてもいいじゃん」
「お仕置き!」
「・・・はい?」
なんでお仕置き?
「なんでひがのんは、目を離すとすぐに怪我するの!」
「別にそういうわけじゃないんだけど?」
「本っ当に心配しちゃうから~!」
「ちょ!?肉がずれる!?」
このずれている感覚だけは嫌だああああ!?
「本音・・・ちゃんとやらないと、氷鉋君が困る・・・」
「かんちゃん・・・だって~!」
「本音・・・(コショコショ」
「っ!?」
ん?かんちゃんさんが本音さんに何か囁いたのは分かるけど、一体何を言われたんだ?あの本音さんの顔が真っ赤になるだなんて・・・
「そうそう・・・私の名前、更識簪。簪でいいよ。・・・お願いだから、かんちゃんって・・・呼ばないで・・・氷鉋君・・・」
唐突な自己紹介だけど、簪さんね。だからかんちゃんか。そして恥ずかしかったのか頬を赤くしてモジモジしながらお願いされたけど、そういわれると言いたくなるよねー。
「分かった、簪さんね。よろしく」
「・・・うん!」
まあ、言わないけどね。
「それでどうしてここに?」
「装備・・・本音に頼まれて準備していたのに・・・・いつまで経っても来ないから・・・・3日も待っていたのに・・・!」
「装備?・・・まさか、ミサイルポッド!?」
「うん・・・。私のIS、まだまだ完成しそうにないから・・・。今度のトーナメントまで、使って・・・いいよ?」
「ありがとうございます!」
「っ!!・・・うん、どう・・・いたしまして・・・。だけど、近い。離れて・・・ね?」
「あ、ご、ごめんなさい!」
嬉しすぎて思わず手を握ってしまった・・・ああ、やってしまった・・・
「ひがのん、良かったね~」
なんか、本音さんが怖い。まず声に抑揚がない。次に顔が笑っているのに目が笑っていない。そしていつも笑うときは細目になるのに今は目が開いている。最後に種割れでもしているのか目のハイライトがない(気がする)。
「そ、それじゃあそろそろ・・・」
「おい待て氷鉋葵!私の質問に答えろ!」
「・・・質問?」
ハテ、何のことだ?
「お前、なぜ痛みを感じていない!正直に答えろ!」
ああ、あれか。うーん・・・ま、正直に言ってもいっか。
「痛覚を消したから」
「・・・・・・・は?」
黒夜に他の装備・・・!ワクワクするぜ!
あ・・・扉の近くで覗き聞きしていた鈴さんとセシリアさんが逃げた・・・
◇ 第二アリーナ、ピット内
「氷鉋君・・・ISを展開して・・・そこのシステムベースに乗せて・・・固定して・・・」
「アイサー」
簪さんに言われた通り、黒夜を展開して指定の場所に移動。そして俺だけ降りて肩とか足とかアンロックユニットとかを固定化させる。・・・因みにこれ、人が乗っているときにやると動けなくなります。
「それでは・・・ミサイルポッド2基接続改造を・・・行います・・・!」
「おお~!」
「どんどんパフパフ~!」
「今回は・・・お手伝いさんを・・・お呼びしました・・・!どうぞ・・・!」
「こんにちは、初めまして、氷鉋葵君」
簪さんの妙にテンションの高い案内で呼ばれて出てきたのは、何処か本音さんに似ている感じの3年生の先輩だった。
「布仏
・・・・本音さんのお姉さんかい!道理で似ているわけだよ!
一夏「あれ・・・?俺の出番は?」