近日中に一夏編も上げます
はい。
「ふんふんふん~♪」
「このコードがこっちだから・・・・・・・でこれがこうだから・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
本音さんは凄くご機嫌なようで、鼻歌歌いながら何かを弄っている。虚さんはブツブツ独り言を呟きながら、ミサイルポッドと黒夜を繋げている。簪さんは・・・・無言で黒夜のソフトを見ている。オレ?やること無いよ。いやマジで。正直虚さん以外何やっているのか分からない・・・。手伝おうともしたよ?でもやんわりと断られるし・・・
ごめん、ぶっちゃけ暇。・・・・・飲み物でも買ってこよ。思い立ったが吉日、座っていた機材箱から降り、整備室につながる通路にある自販機を目指す。が、背中から本音さんに止められた!あばばばばば、背中がががががが。
「ひがのん?どこ行くの?」
「飲み物でも買いに。あ、三人もなにか買ってほしいものあったら買ってきますよ?」
「じゃあ私温かいおしるこ~!」
「今の時期売ってんの?」
なぜおしるこ?もう6月中旬、十分蒸し暑いんだけど?
「それでは私は熊のスープカレーで」
「あなたは木山先生ですか!?」
・・・あるの?てか本当に熊肉入っているのかな・・・?
「じゃ、じゃあ私は・・・ガラナ青汁で・・・」
「どうしてそれを選んだ!?」
2大地獄と呼ばれるあれを選ぶとか・・・いや待ってここいつから学園都市になっていたの!?
◇
「ねえ本音」
「なあに~?おね~ちゃん?」
「葵君のこと好きなの?」
「ごふっ」
「・・・本音?大丈夫?」
「その反応・・・これから弟ができるのね・・・!」
「ちょ、おね~ちゃん!ストッ-」
「・・・頑張って、本音・・・!私、応援してる・・・!」
「か、かんちゃんまで~!?」
◇
嘘・・・だろ・・・
自販機に行って見たら本当に売っていたぞ・・・。熊のスープカレーも、超健康補助飲料ガラナ青汁も、手作り風冷たいおしるこもあるなんて・・・
あ、温かいおしるこもあった。・・・いやあるんかい!!
あと後ろの人、誰ですか・・・?さっきから扇子がパッチンパッチン鳴って気になるんですが・・・?それに向けられてくる敵意も気になる・・・。まっ、いっk-
「やっほー♪」
「うわっ!?いつの間に!?」
「何よー、そんなに引くことないじゃな~い!」
「だったらいきなり横に来ないでくれませんかね!?」
少し気を逸した瞬間、いつの間にこの人は隣に来て耳に息を吹きかけて来た。すぐにバックステップで距離をとり、ファイティングポーズで構える。扇子を持った青髪の女性・・・どことなく簪さんと似ているけど、纏う雰囲気が全く違う。前もって念入りに準備して、自分の土俵に引きずり込めれば話は変わるかもしれないが、今やりあったら絶対負ける。・・・・別に勝たなくてもいいけどな。要はここから離れられればいいだけだ。オレの勝利条件はそれだけだ。職員室に逃げ込めれば織斑先生の力を借りられる。手持ちの武器は・・・って今オレISスーツ着ているから持っていないじゃん!しょうがない、ジリジリと、少しずつ距離を取るしか・・・
「ねえちょっとー!逃げなくったっていいじゃな~い!」
「勝てない相手とやり合うつもりはサラサラないんですけど!?」
「別に私はあなたと戦いに来たわけじゃないのに!」
「それじゃあその扇子はなんですか?暗器でしょ?」
「・・・・へえ、わかるんだ?」
「実家にそれと同じものがあるんでね」
「・・・あなたの家、何なの?」
何なのって言われても知らないよ・・・。でも飾ってあるんだよその扇子と同じものが。持ってみたけど妙に重いからいろいろ弄って見たら親骨のなかに2本の刃物があったんだよ。一つは振ると出てくる斬るためのナイフ。一つは突き出すと出てくる突き刺すためのナイフ。どちらも刃渡り約15cmもある。・・・あんなのに斬られたり刺されたりしたら死ぬわ!
「まっ、それはともかく、さっきも言ったけど私は別にあなたたちと戦いに来たわけじゃないよ。これが理由でわかってくれないなら-」
カシャン
「-ほら、これでいいでしょ?」
目の前の女性は、いきなり扇子をポイッと捨てた。けど直感ではまだ敵意を持っているように感じる。一体なんなんだよコイツ・・・!
「さて、お話をしようか、氷鉋君♪」
「そうですね。それじゃあまず最初に、なぜオレに敵意を向けるのですか?」
「あら、直球ね。そういうの嫌いじゃないわ」
「なぜオレに敵意を向けるのですか?」
「せっかちね・・・。いいわ、教えてあげる!」
女性は「ビシッ」とかの効果音が付きそうな速度でオレを指さし―
「それはね、貴方が私の愛しの愛しの愛しの簪ちゃんと仲良くおしゃべりしていたからよっ!!」
「・・・・はい?」
「とぼけたって無駄よっ!!」
―なんか変なこと言いだしたよこの人・・・。えっ、なんなのこの人?頭の病気なの?シスコンなの?
「証拠だって掴んでいるからねっ!!」
そう言って見せてきた写真は、オレが簪さんと本音さんと虚さんの4人で黒夜をどのように弄るか話し合っていた時の写真だ。確かに隣に簪さんはいたけど・・・ほんっと凄いね。オレと簪さんのツーショットに見える角度で撮っているね。もしかして別角度によってはオレと本音さんのツーショッ―
いかんいかん、オレは何を考えているんだ!?
「私は貴方を弟とは認めないっ!!」
「思考が吹っ飛びすぎだ!?」
「何!?簪ちゃんに不満でもあるの!?」
「会話が成立していない!?」
なんでオレと簪さんが付き合っているみたいなこと言ってんのこの人!?誰か助けて!!
そんなオレの願いが通じたのか-
「-お嬢様?」
「ひっ!う、虚ちゃん・・・?」
「お嬢様、葵君と何をやっているのでしょうか?」
虚さんが救助してくれた!・・・この人虚さんの知り合いなの?
「虚ちゃん?目が怖いわよ・・・?」
「さようでございますか?もしそうならば、それはこんなところでお嬢様が油を売っているからじゃないですか?書類は全て終わったのですか?」
「は、八割程は終わったわよ・・・?」
「全部じゃないのですね?」
「ちょ、ちょっと休憩をしようかな~って」
「ならもう休憩はいいですよね?さっさと帰って残った書類を片付けてください」
「もうちょっとだけ―」
「今すぐ」
「虚ちゃ―」
「今すぐ!」
「は、はい!」
・・・結局何だったんだ?あの人・・・。変な人に変わりはないけど・・・
「葵君、大丈夫ですか?帰りが遅くて心配しましたよ。あの変人が何か迷惑を掛けませんでしたか?」
「い、いえ何も・・・」
変人って・・・さっきまでお嬢様って呼んでいたじゃん・・・
「そうですか。あ、黒夜の改造、終わりましたよ。テストをしてもらいたいのですが」
「分かりました。すぐに戻りましょう。・・・・あ」
「・・・?どうかしましたか?」
あっぶな。流れでそのまま整備室に戻るところだった!あの人のせいでガラナ青汁やスープカレー、おしるこを買い損ねてた・・・
ピッピッピッと・・・
ガコンッガコンッガコンッ!
嗚呼、この音、いい・・・!っと、余韻に浸っていないで戻らねば。スープカレーはその場で虚さんに渡して、おしることガラナ青汁は手に持つ。片方は温かく(熱く)、もう片方は冷たいというこのミスマッチ感・・・。うーん・・・
「あ、ありがとうございます、葵くん。・・・・君は、面白いですね」
「・・・・それはどういう?」
「・・・本音のこと、よろしくおねがいします」
「!?」
虚さんはいきなりその場に止まって頭を下げた。・・・えっと、これは、姉公認ってこと?まだ何もしていないけど・・・
そして虚さんは頭を上げると、本音さんについて語りだした。
「家の家系は変わり者が多いとよく言われていますが、本音は家の中でも特に変わり者なのですよ。あの独特な距離の流れを掴む能力それは暗部に仕える家系として優秀な方に分類される才能なのですが・・・」
あの独特の雰囲気のことかな?読まれるのが嫌な人にとったら嫌なのか。
「それ故に本音とは私と両親を除いて関わりを持ちたがらない人が多いのですよ。それこそ、親戚も。」
へえ、ちょっと意外だなー。
「ですから、葵くん」
「-はい」
虚さんの目がオレを真っ直ぐと射抜く。その目はまるで、狙いを定めた鷹のようだ。
「妹を・・・本音を・・・よろしくおねがいします」
再び頭を下げる虚さん。・・・・・・・・どうしろと・・・・・いや、こんなの答えは決まっているじゃないか。
「わかりました!任せてください!」
「っ!ありがとうございます!・・・良かった・・・本音に嫁の貰い手ができて・・・」
うっ、ど、ど、どうしよう・・・。虚さんがその場で蹲って泣いてしまったんだけど・・・
狼狽えていると、背中から強い衝撃が。あっ、これ本音さんだわ。
「ひがのんおそ~い。ってあり?なんでおね~ちゃん泣いてるの~?」
「いや、えっと、これは・・・」
まずい、このままだとオレが泣かしたようにしか見えな-
「ひがのん泣かせたの?」
-見られてた・・・そういうふうに・・・ガクッ
「本音、違うのです。葵くんが悪いのでは無くてですね・・・」
「?」
「いや、本音には説明したほうが早いわね・・・。こっち来て、本音」
「は~い」
本音さんはオレの背中から降りると虚さんの傍によると二人でコショコショと話し始めた。・・・オレは断じて盗み聞きをしていないぞ。
例え、本音さんの顔が茹でダコのように赤くなっても。
例え、虚さんの顔が(`・ω・´)ってなっていても。
例え、二人揃ってこっちをチラッと見てきても。
「あー、えっと、先に戻りますね?」
結局オレは逃げ出すように整備室に戻った。
あっ、おしるこ・・・渡すの忘れてた・・・