目を開けると知ってる天井でした。
いやなんでオレ保健室で寝てるんだ?
待て、よく思い出せ・・・
ラウラさんを取り出す
↓
残骸がオレを取り込む
↓
ISコアを掴む
↓
保健室で寝てた←今ここ
もしかしたら黒夜になら空白の時間の出来事の記録があるかも。
「あれ・・・?」
呼び出そうとしてもなんにも反応がない・・・?いやいやまさか・・・
(黒夜、起きてくれ・・・起動してくれ・・・)
いつもなら呼ぶとするとすぐに起動するのに、今はいくら念じても黒夜がやってこない。なんで?
しょうがない、物理的に起動させるか。・・・あ、あれ?左腕が動かない?なんで?
困惑していると仕切りの向こう側から、椅子から立ち上がる音がした。
「・・・私は戻る。お前も動けるなら着替えて寮に戻れ。明日は元気な顔を見せろ。後でちゃんとあいつらに礼を言うんだぞ」
「はい・・・!」
この声、織斑先生とラウラさんか。無事だったんだ、ラウラさん・・・!
そうだ、織斑先生をここで呼び止めれば確認出来る!
「織斑先生、織斑先生」
「っ!?氷鉋、起きていたのか!?」
「今しがた。それより左腕が動かないんですが」
「・・・すまない氷鉋、その事については19時頃に説明させてくれないか。これから緊急の職員会議が入っているんだ」
「それじゃあせめて黒夜だけでも起動させてくれませんか?さっきから反応しなくて・・・」
「黒夜なら今修理中だ。ダメージレベルは『D』、オーバーホールだそうだ」
うそん・・・そこまでの無茶をしちゃったのか・・・
「悪いがあと2、3時間程このまま待ってくれ」
「あい・・・ところで、その頭は-」
「なんでもない。気にするな。それじゃあまたあとでな」
そういうと織斑先生は扉を開けて出て行った。おでこに絆創膏貼ってたけど一体どうしたんだろう・・・?
まあいいや。まだ時間あるし二度寝するか。おやすみなさー
「氷鉋葵、お前に聞きたいことがある」
・・・寝る直前に言われたら流石に寝れん。頭だけ頑張って起こし、話を聞いてみる。
「なにかな、ラウラさん」
「あの時私は教官・・・いや、織斑先生を呼ぶように言った筈だ、なのになぜ私を助けようとした?」
「そんなの知らないよ。一夏君がやりたいと言ったんだから」
「・・・そうか」
まあ多分理屈じゃ無いんだろうけど。大方戦友のピンチくらい助けられなきゃ友達になれないとか、そんなあたりしないのかな。
「・・・けどな、ラウラさん、人を助けるのに理由なんか求めていたら誰も助けられないよ」
「・・・誰も?」
「助ける理由を助ける前に考えるなんてしてたら時間が経って手遅れになる。まあ要は頭より先に体は動くということだよ」
「そんなものか?」
「そんなものだよ」
「そうか・・・今日はありがとう」
そう言ってラウラさんは軽く微笑んだ。
・・・・・・あのラウラさんが夕日をバックにとか反則級だろ!?
「あれ?日本では感謝を表す言葉はありがとうじゃ無かったのか?」
「え、ああ、合ってるよ。どういたしまして」
「私は部屋に戻る。また明日な」
「お、おう、また明日!」
・・・ラウラさんって根は本当に素直なんだよなぁ。どこかおかしいだけで。
◆□◆
「さて、今の君の状態を伝えると・・・」
「はい」
「軽い全身打撲と左腕がミンチ。まず全身打撲だけどこれは黒夜のお陰でこの程度で済んだというレベルね。で、左腕は・・・正直現代の医療だと切断がオススメになるレベルよ。氷鉋君のスーツがフルスキンタイプだから幸いにも中身は出てないけど、 放置は流石にダメね」
「だから左腕が動かないんですか」
「そういうことだね。にしてもこの怪我で悲鳴をあげないってことは氷鉋君が痛みを感じないって噂は本当なんだね」
「ははは・・・」
笑ってる場合じゃないぞ・・・!?切断ってのは嫌だが!?まだ15年の付き合いなんだけど!!
どうしよ・・・
「まあ一つ分かっているのは君の腕というか細胞というか・・・そういったのは残らず研究所行きだろうね。間違いなく。少なくとも処分はされないね」
うっ!?そりゃそうだよな・・・今世界に二人しかいないからね。
でもなんというか、自分の体の一部だったものでも研究材料にされたくはない。かといって放置もできない。
決断出来ずに迷っていると織斑先生が助け船を出してくれた。
「氷鉋、今すぐ決めるのは厳しいだろう。返事は明日の放課後まで待つ。それまでにゆっくり考えていてくれ」
「はい、そうします!」
「やけにいい返事だな・・・?ああ、それとフォローになるか分からんが、私の知り合いに義手のIS乗りの奴もいる。だからISに二度と乗れなくなる訳ではないんだ」
「ほぉ・・・」
義手か・・・どうせなら火を吹くとか銃になってるとか・・・いやまず義手から離れよう。
とりあえず明日まで時間はあるんだ。寝ている間に名案の一つや二つ出てくれると信じたい。
・・・いやこれただの現実逃避じゃん。
「~♪」
「ん、私の携帯か。すまない、少し出てくる」
「分かりました。・・・まあ氷鉋君、今晩明日、じっくり考えていてね。今日はここで寝て良いから。食欲ある?」
「いえ、そんなに」
「そう、なにかあったら君からみて右にあるボタン・・・そうそれ、それ押してくれれば夜中でもすぐ来るから」
「はい、分かりました」
「そんじゃあ先生は職員室に戻るから。職員室で業務外業務という仕事が私を待ってるからさ!」
「あ、えっと・・・頑張ってください!」
「おう!それじゃあ何かあったら呼んでね!」
そういって出て行った森先生の目はまるで死んだ魚の眼のようだった。
・・・とりあえず寝よ。
◆□◆
千冬は保健室から出ると急いで近くの小教室に飛び込み、誰もいないことを確認し、電話に出た。
「もしもし?」
『やっほーちーちゃんお久しぶり!あ、でもこの前会ったからお久しぶりって程でもないか!』
「・・・要件は何だ。このあと氷鉋の両親に色々説明をしなきゃならないんだ。これ以上私の頭痛の種を増やすな」
『酷い言いぐさだなぁ。まあ良いけど。でね、要件はまさにそのことについてなんだよ!』
「・・・なに?」
『ちーちゃんに2つお願いがあってね、1つはあーくんの両親への説明はなしにしてくれないかな?』
「いや流石に無理だろ。腕がミンチだぞ?手術レベルだぞ?」
『うん、知ってる。ならせめて1日待ってくれないかな?』
「・・・2つ目のお願いはなんだ?それによっては考えてやる」
『2つめはねー、あーくんが寝ている部屋の窓を1つ開けておいて欲しいんだ』
「一応聞く、何をするつもりだ?」
『んーとねー、一言で言うなら"人助け"、かな』
「お前が?私や一夏みたいな仲でも、お前の家族でもない氷鉋に?」
『まあ確かに家族じゃ無いけどさー?んー、ちーちゃんに言える言葉で言うと・・・ソウルメイト?心の友?あーくんとはそんな感じかな?』
「やけにハッキリしないな。束にしては珍しく」
『一応言っておくけど、黄色いのやいっくんが同じ目にあってたとしても私はこうして電話してないと思うんだよね。でもあーくんが今使い物にならなくなるのは困るんだよね』
「お前にとってそれだけの価値があいつにはあると?」
『コアナンバーXP-000』
「・・・確かそれは動かないコアだったよな?」
『ちーちゃんどころか私にすら殆ど反応しないコア。けどこいつがある日を境に反応をし出した』
「まさか、氷鉋がISを動かした日か?」
『Exactly、でも私の言うことは聞かなくてねー?とりあえずまだ魔改造中の白式に繋いでみたらなんかいい反応をしたから似たようなものを用意して、そいつに繋いで白式と一緒にちーちゃんのところに送りつけたんだー♪』
「いやまてそれ一歩間違えば氷鉋は適性なし、ISを動かしたのは偶然だ、ということにされてたかもしれないぞ!?」
『まあその時の為に初陣の時ピットで待機してたしね?』
「やはりあれはお前だったのか!!仕事増やしやがって!」
『あっ・・・ご、ごめんねちーちゃん!ついでにドイツ絞めてくるからさ?それでチャラにして?』
「・・・ダメだ。」
『そんなっ!?』
「だが私の要求を呑めばお前の頼まれごと含めてチャラにしてやる」
『何でも言って頂戴よ!』
「今度の日曜日に普通に遊びに来い」
『え?なんて?』
「ええい!二度も言わせるな!!どうせ録音してるんだろ!?だったら後で確認しろ!!それじゃあ頼んだぞ!!」
『えっ、ちょ、まっー』
プー、プー、プー
「はぁ、なんで私はこんな形でしか誘えないんだ・・・」
◆□◆
「ええい、まだ話の途中だっていうのに勝手に切っちゃってさ・・・この照れ屋さんめ!」
束は名残惜しげに携帯電話を置き、クローゼットの扉を開ける。そこにある一着を取り出し椅子に掛けた。
「さて、まだ時間あるけどどうしようかなー」
暫くうーん、うーんと悩んだ末、とある番号に電話を掛けた。
「もしもし?ハロー!束さんだよー!」
追いかけていた作品がいきなり運削された悲しみで書き上げました。たばちゃんとちーちゃんの電話シーンは今の私にはこれが玄界だったのでいずれ直します。