バカ正直な少年と空に憧れる少年   作:針金はやて

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040 乙女のお誘い(インヴィテーション・フォル・ア・デート!)

 ガギィン!ガギィン!

 鈴の初撃―右手で正面に振り下し、続けて左手からの下からすくい上げを葵はそれぞれ剣で受け止め、拮抗させる。

 

 だが長くは続けず、少し距離を取り今度は葵から仕掛けていく。

左腕を大きく捻り一閃、続けて右腕で突き、すぐさま鈴はスッと後ろに下がり剣の間合いから抜け出し、左の双天牙月を軽く当てて突きを逸らし右からのカウンターを狙う。

が、鈴の視界に葵はなく、カウンターとして振り抜いた一撃は空を裂く。

 

 頭上に影ができ振り向くが、既に上から葵の一閃が迫る。

すぐさま戻す時間などないと判断し、手首を捻りながら左の双天牙月で迎え撃つ。

 

 ガギィン!と甲高い音が響く。

葵は更に追撃を仕掛けようとするが、一瞬―ほんの僅か一瞬、葵の目には鈴の眼が笑ったように映り、慌てて攻撃を取りやめそのまま空高く上がった。

 

「あら、ここで離れるんだ?」

「なーんとなく嫌な予感がしてね」

「ふーん、それは大正解かも…ねっ!」

 

 せいっ!、と叫びながら鈴はそのまま左右の双天牙月の(かしら)を合わせ、1つの双刃刀にして投げる。

 

「ああ!そういえばそんなのもあったな!」

 

 

 葵は回転しながら向かってくる青竜刀を避け、手持ち武装がなくなった鈴に剣を構えたままイグニッション・ブーストで接近する。

 ドンッ!!

 

「んがっ!?」

 

 前方から受けた見えない攻撃―衝撃砲の打撃をうけてよろめく葵。当然そんな隙を鈴が見逃すはずがなく、間髪入れずに龍咆で追撃していく。

 

(不味い、ペースを持って行かれた!立て直さないと…ここはひとまず逃げる!)

「あっ!?ちょっと、待ちなさいよ!」

 

 ふらつく黒夜を気合いで姿勢制御を行い、龍咆の追撃をイグニッションブーストで逃れる。

射程と武装の都合により、鈴はそれを少し上空から砲撃しながら追いかけ回せざるを得なかった。

 

「待てって言ってるでしょうが!」

 

 鈴は戻ってきた双天牙月を振り回しながら龍咆で黒夜を追いかけ回すが、当の葵はこまめに左右にイグニッション・ブーストをしたり速度を上げたり下げたりして鈴の弾幕を避け続けた。

半分は勘で移動しているが、もう半分はISのハイパーセンサーで圧縮される空気量と減少量を観測し射角と規模を予想し見えない砲弾を回避。

鈴に返答する余裕が無いながらも葵は甲龍への評価を見直していた。

 

(やべぇ、近距離正面からだと弾が全然見えなかったや。こんなに衝撃砲の奇襲性が高かったなんてなぁ……んあ?)

「ええいちょこまかと!ちょっとはおとなしくしなさいってば!」

(もしかして―)

 

 黒夜の背面スラスターを反転、脚部スラスターも前に向け肩部スタスタ―も可能な限り前へ、さらにPICも進行方向とは逆に力をかけ減速をする。

そしてそのままイグニッション・ブースト、同時にPICも反転させ少しでも加速させる。

燃費はとてもよろしくないがここで鈴の後ろを獲るために仕方ないと割り切り、更にイグニッション・ブーストで下がりすぎた差を埋めつつ、葵はブレードを1本鈴の顔面めがけて投擲する。

 

 突然の後退に鈴は驚き、葵を目で追った。

 

 

 追ってしまった()

 

 

 ハイパーセンサーは目や頭を動かさずに全ての情報を捉え、絶対防御は搭乗者をその名の通り絶対に護る。

 そのことを頭で理解していても、ISの操縦者が人である以上生き物としての本能に抗うことは難しい。

 

 

 顔面に迫り来る剣を鈴は咄嗟に顔を逸らして躱す。その瞳は通り抜けた剣をチラリと追いかけていた。

 ハッと気がつけば葵に接近を許してしまい、慌てて葵の攻撃を双天牙月で受け流す。

 

「チィ!なかなかやるじゃない!」

「ありがとう!そう言ってもらえて嬉しいぜ!」

 

 瞳をまっすぐと射貫く視線に戸惑いつつも賞賛を送るが、葵の追撃は緩まない。それどころか苛烈になっていた。

 

(ビンゴ!これなら狙える!)

 

 近距離で放たれる龍咆の砲撃をループやバレルロール・マニューバ等で回避しつつ鈴との距離を近づける。

 

 そのの気迫に鈴は迎撃しながら後退、先ほどとは打って変わり追いかけられている。

 

(ああもう、なんなのよ!?なんで当たんないのよ!!)

 

 見えないはずの砲弾を掠りもせず確実に避けていく様は不気味で、次第に鈴は焦りが滲み出る。

 

 だがそこは代表候補生、攻撃が当たらないのであれば当たるようにする。

先ほどまでの無茶な飛行と砲撃を避け続けたことから黒夜のSEに余裕がないと推測し、次の葵の攻撃に合わせて仕掛ける。

 

(一撃貰うけどこの甲龍、堅実な設計がウリのIS、一撃では沈まないのよ!)

 

 葵が懐に飛び込んでくる瞬間、鈴が右から一閃、同時に葵が避けるであろう方向に左右の龍咆と左腕の崩拳を逃げ場を無くすように撃ち込む。

逃げ場をなくした葵は一瞬立ち止まったものの斬り掛かり、鈴の攻撃を左腕で受け止める。

直後、鈴は逃げられないように黒夜の右腕をつかむ。

 

 

双方動けなくなれば後はSEの張り合い、鈴は衝撃砲を、葵はティアーズをお互い至近距離で撃ち込んだ。

 

 

 

 ◇ 

 

 

 

「あー、負けた!鈴さんすげーわ」

 

 完全に見切ったと思ったのにあの機転の利かせ方、ほんと凄い。今度マネしてみよ。

 

「そりゃこっちの台詞よ」

 

 ISが自動解除され地面に倒れるように座り込んでると鈴さんが近づいてきた。

 

「ところで」

「…?」

 

 近くまで来ると顔を覗き込むように睨む鈴さん、つい反射的に体を後ろにそらしてしまう。

 

「どーやって甲龍の衝撃砲を避けたか教えなさい。弾も砲身も見えないことがウリなのよ、どーして軌道が分かっていたのよ」

「えっと…企業秘密ってことで…」

「勝ったのはあたしよ?勝利者の特権ということで♪」

 

 顔はにっこりとしているが目が笑ってない。あとそれを言われたら何も言えねえよオレ…

 仕方ない、気恥ずかしいがおとなしく言うことにする。

 

「えっと、鈴さんの目を見て分かった」

「へ!?ちょっと、な、何よ急に…」

 

 さっと右手の甲で口元を隠す鈴さんを他所に更に続ける。

 

「龍砲の圧縮機の角度が鈴さんの目と同期していた。だから弾は見えなくても避けられたんだ」

「…あー、うん、そういう…ことね…」

「…?おう?」

 

 何がお気に召さなかったんだろう…?さっきまでと様子が明らかに違うんだが

 

「あーもう、約束あるんでしょ、行った行った!女の子待たせるんじゃ無いわよ!」

「やべ!ありがとう鈴さん!それじゃあまた明日!現地で!」

「がんばりなー」

「ああ!それじゃ!」

 

 ひらひらと手をふる鈴さんに礼を言い、急いで本音さんのところへ。気恥ずかしい気持ちを抑えながら駆け足で行った。

 

 

 ◆

 

「んふふ♪」

「えらくご機嫌だなぁ」

「へへへ~」

 

 電車に揺られ数分、オレ達が居るのは駅前のショッピングモール。不思議なことに駅と一体型なのだが駅前とのこと。

 とりあえず近くにある地図を見て目的地を決める。水着売ってそうなのは…ここらか。

 

 ふと周りを見回す。このショッピングモールめっちゃ広いのに、日曜の午後ということもあってか人がとても多い。

 

「なあ本音さんや」

「なに~?」

「手、繋ごう」

「わかった~……ほへ…?」

 

 あ、ヤバい。単に人が沢山居たからはぐれないようにって理由だったけど、今冷静に考えたら同級生にこれってとても不味いんじゃぁ…

 途端、全身からぶわっと冷たい汗が流れる。

 

「あ、いや、その今のは―」

 

 あわわてて手を引っ込めるが、本音さんがオレの腕を引っ張り、手を絡めて抱きつく。

 

「いいよ~!いや~ひがのんから言ってくれるなんて~」

「へ!?っと、本音さん…?」

「それじゃあエスコート、よろしくね~」

「お、おう!?」

 

 緊張のあまりうわずった声が出る。心なしか全身が熱い。

 な、何が起きているんだ…これは夢なのか!?

 

 そんな夢見心地な足に力をいれ、てくてくと水着売り場に向かった。

 

 

 ◆

 

 

「それじゃあ30分後に一旦ここで。なんかあればここか向こうにいるから呼んで」

「うい~!」

 

 本音さんは元気よく返事すると絡んでいた腕をスッと外し、女性水着売り場へと向かって行った。

 さてオレも水着選ばないと。水着買うのが小学校以来だし、小学校のは学校指定だったから自分のを選んで買うの初めてなんだよね。

 

「…色と多少のデザインの違い以外さっぱりわからん」

 

 ざっと一通り見るが全然違いが分からない。多少のデザインの違いと言ってもメーカーロゴぐらいだし、男水着なんてブーメランかショートパンツかぐらいしかないから迷うこともなかった。オレにブーメランは合わんて

もとより売り場の面積が店の2割程度しかない時点で選択肢は少なかったのかもしれない。

 

 これでいいやと、黒のシンプルな水着を手に取り会計を済ませる。待ち合わせの場所に行き時計を見てみると分かれてから5分も経っていなかった。

 

「…流石に5分は早すぎたかもしれねぇ」

 

 ここで待ち合わせしている以上、勝手に他のところに行くわけにもいかないのでベンチに座り空を仰ぐ。

梅雨が明け夏本番前、じわじわとした蒸し暑さと店から漏れるエアコンの風が心地いい。

 

 あ、やば…寝れる…

 

 意識を手放す寸前、突如オレの肩がポンと叩かれる。

驚きのあまり体がビクッと震える。目の前に居たのはげらげらと笑う本音さん。

 

「ど、どうした?もう終わったの?」

「いやぁ~ひがのんに選んで欲しくって~狐と猫と犬と狼だったらどれがいい~?」

「なんちゅう選択肢だよ」

 

 少し考えてからオレは狐と答える。狐につままれるって感じで…ごめんもっと深く考えるべきだったかもしれない。

そんなオレをよそに、本音さんは「うい!」と元気よく返事し再び水着売り場へと向かう。

 

 そんな本音さんをみていると、ふと入り口近くの展示されてる布が細いセクシー寄りの白ビキニが目に入る。

露出度が高く人を選ぶ水着だが、純粋な疑問としてあれ買う人いるのか…?

買う人が居るとしたらプロポーションに自信があるか、堕としたい人がいるか―

 

「おまたせひがのん~」

「んや、大丈夫待ってないよ。いいもの買えた?」

「もち~!あ、まだ内緒から!へへへ~」

「わかったわかった、明日楽しみにしてるよ」

「うん!」

「即答かよ!」

 

 へへへ~と笑う本音さんを見てるとこちらも釣られて笑ってしまう。

 これが平和か。

 

「ねえねえひがのん、クレープでも食べにいこ!」

「クレープ…いいね、食べよう」

「いえい!決まりだね!くれーぷ♪くれーぷ♪」

「実は今までクレープ食べたことないんだけれど何かおすすめある?」

「ないの!?」

 

 そんなにショックだったのか、記憶違いじゃなければ過去1驚いてる気がする。

 

「だったらブルーベリーホイップとかストロベリーチョコがおすすめだよ~」

「ほー…じゃあストロベリーにするか」

「じゃあわたしブルーベリー~♪あ、でもストロベリーも食べたい…ひがのん後で一口ちょーだい!」

「そりゃいいけど、だったらオレにも一口くれよな」

「わーい♪あ、でもそしたらミックスベリーになっちゃうかな?」

「あれ、聞こえてない?」 

 

 本音さんが少し前にでて、くるっと振り向き、はにかむ。

 

「まだ今日は半分あるよひがのん、たのしも!」

「あ、ああ!」

 

 気の抜けた返事しかできない自分を密かに悔やむ。心なしか心臓の鼓動が早くなった気がした。

 




本音ちゃん書くの楽しい

ところでPixivや画像検索で本音ちゃんの水着姿検索するとアニメで描かれた着ぐるみきつね水着とえっちぃ白ビキニの2種類が多い気がするんですけど何でですかね全く…

大好きです

そして次回は海!
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