楽しかったです
闘争のおかげで風邪も治りました
昨日、進路相談室を追い出されたオレ達はアリーナではなく食堂に移動した。補習最終日は再試験、これに落ちると再び補習が入る。即ち夏休みがさらに後ろにずれ込むのだ。ということで模擬戦は中止し、急遽勉強会を開いた。……主に一夏のために。
一夏の返却されたテストを見せてもらったが、数学と物理はどちらも解き方は間違えてなかったが理屈がわかっていないのか式がめちゃくちゃだった。IS科目は基本全て暗記なのだが、一般科目の公式やら歴史やらその他諸々の暗記に加えて電話帳サイズの参考書の暗記だから仕方ない気はする。
そこで一夏に数学と物理はオレとシャルロットさん、IS科目はシャルロットさんとラウラさんで教え、残る一人はサポートという厳重体制。一夏の希望もあって陽が落ち夕食後も消灯時間30分前まで勉強を続けた。
よくよく考えると代表候補生二人に勉強を教えてもらうってなんか贅沢だな………
そして今日、オレは自室にて本を読みながら荷物と一夏の報告を待っている。オレの再試験は朝1だったから終わってすぐ自室に戻り荷造り。今回はマークミスがないように大問ごと確認しつつ最後に入念に確認したから大丈夫……なはず。
ピリリリリリ!
黒夜に一夏の携帯から電話が入る。時計を見れば12時50分、昼休みに入り一夏の試験はとっくに終わっている時間だ。そして集合時間10分前。もうそんな時間か!と荷物片手に部屋を出ながら電話にも出る。
「もしもーし」
『葵!さっき目の前で採点されたんだけど!試験!合格だった!全部!葵も合格だってよ!』
「おおー、それはよかった」
『それと!なんだけどさ!』
「あと10分だから寮まで走ってるんだろ、ゲートに着いたらでいいから」
『わ…わかった!』
オレや一夏の部屋からゲートまでエレベーターのタイミング次第では5分以上かかる。学園内は走ってはいけないから、教室から見つからないように走ってると考えると恐らくぎりぎりの状態だろう。だがオレも一夏も再試験に合格したという報告に胸をなでおろした。
◇
「ぜはぁ……はぁ……はぁ……!12時59分!ま、間に合った………!!」
「そうだな、あと10秒遅かったら置いていくところだったぞ」
「ち……織斑先生!?あだっ……」
息を切らし全力で走ってきた一夏の後ろから13時丁度に来た織斑先生が持っている小箱で一夏の頭を小突き、その後その小箱を一夏に手渡した。横にいた山田先生も同様の小箱を持っており、そちらはオレの前にスッと差し出された。
「これは?」
「お前の銃だ。詳しいことはあとで説明してやる。ああ、授業でも言われたと思うが持ち歩く際は学生証を忘れるなよ、許可証も兼ねてるからな」
「こちらは氷鉋君の分です。学園内に未使用の在庫があったので何とか間に合いましたよ」
「ありがとうございます。ところで山田先生、そちらの細長い箱はもしかして……」
小箱を受け取り蓋を開けて中身を確認した後に鞄に押し込むように仕舞う。山田先生が脇で抱えているもう一つの箱が、オレが待っていた荷物なのかが気になって仕方ない。
「こちらは先ほどIS学園に届いた荷物の中に氷鉋君当ての荷物がありまして……部屋に届けることも可能ですが――」
「すみません、今受け取ってもいいですか!?」
「は、はいぃ!!」
送り主の「工房」の2文字を確認し箱を開封。中から出てきた黒の刀袋を開けると、飾りも模様もないシンプルな鞘に収められた二振りの太刀が姿を現す。外観はほぼ同じだが、柄と鍔の間にそれぞれ深紅の石と瑠璃色の石が埋め込まれているのでこれで見分けることができる。早速瑠璃色の石が付いている方を抜剣する。
「わぁ……」
「おお……」
「よかった、綺麗に直ってる……」
「直ったってことは、もしかして折れていたのか?」
「ああ……」
陽に当たり、刀身がキラリと光る。前に振るって折れた箇所をそっと撫でるが、段差も継ぎ目も見当たらない。だが持った感じからして刀身は以前のままで、新しい刀身になったわけではなさそうだ。
「半年前、洞窟探索を終えて家に帰っている最中に山から降りてきた熊に襲われたんだけど」
「「「熊!?」」」
「その熊が岩のように硬くてさ、動きを止めるために突き刺したら折れたんだよ」
「そ、それ、氷鉋君は大丈夫だったのですか?」
「逃げられないし危ないからすぐに首を跳ね飛ばしましたよ。無理矢理だったから刃こぼれしたけど……。そのあと折れた部分を回収して、お世話になってる鍛冶師にダメ元で見せたら「時間かかるけど直せる人がいるからその人に頼んでみる」と言ってくれたから二本とも預けて、その帰り道に買い物してたらIS動かしちゃって……」
折れてなければ今頃IS学園にいなかったかもしれないし、今思うとすごい巡り合わせだったな。入れ替わるように黒夜がオレのもとに来たが、この太刀もオレを支えてくれた大事なものだ。
「なあ、その刀の銘はなんだ?」
「これ太刀なんだよ。瑠璃色の石が付いてる方が
「へぇ~、珍しいものを持っているね~」
「束さん!?」
「「「篠ノ之博士!?」」」
突如、後ろからこの場に居ないはずの声が響く。ぱっと振り返るとすぐ真横から顔があり、驚きのあまり一歩横へずれてしまった。だが当の本人は周りの様子を気にすることもなく、ただじっとオレの持つ太刀を見ていた。
かと思いきや、急に顔を上げると織斑先生に向かい、両手を広げてとびかかった。
「やほ~!迎えに来たよちーちゃん!」
「束、呼ぶまで出てくるなって言っただろう……」
そんな束博士を織斑先生は呆れた顔をしながらこれ以上近づかないように顔を掴み片手で抑え込む。それでも尚抱き着こうと束博士は物理的に靴から煙を出しながら両手を振り回している。
「さて今回の訓練だが、特別に束に協力をして貰う事となった。一同、気を引き締め――」
「おっ、ちーちゃんのおっぱい触れた♪……あ゙あ゙っ!?ま゙っ゙……!い゙っ゙!!ご、ごめ゙っ、ごめ゙ん゙な゙ざっ゙……い゙い゙い゙っ゙!!」
束博士の顔面を掴む手はいつの間にかアイアンクローに。空を切っていた手は顔に食い込む指を剥がそうとするが、織斑先生が更に力を入れたのかアイアンクローが外れる様子はなく、余裕どころか威厳をなくした悲痛な謝罪がIS学園の入り口に木霊した。
「しっかりと!!気を引き締めるように!」
「「「「は、はい!!」」」」
「お゙願いだからはな゙じでぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙~~~!!!!」
◆
「うう、ちーちゃんってばひどいよ……この束さんの顔に痕が付いたらどうするのさ……」
「ふんっ、知らんっ」
「うわーん!いっくん、ちーちゃんがいじめるよ~!」
「いや、今回のは束さんが悪いので……」
「ひどーい!!」
一夏にも裏切られた束博士は大粒の涙をぽろぽろと零しながらその場で泣き伏した。まあ悪いのは100%博士だから弁護できないけれども。
とはいえここでずっと泣かれては話が進まない、気も進まないが束博士に訓練の内容について話を振ってみることにしよう。
「それで束博士、一体どのような訓練をする予定なんですか?」
「へっへ~ん!よくぞ聞いてくれました!」
うわっ、急に元気になって立ち上がってきた。
「聞いたところ敵陣に突っ込むみたいだからね、一週間で生身でそこそこ動けるようになってもらうには実践が一番だと思ってこんなのを用意しました!」
じゃじゃーん!と束博士が口で言いながら指をさす方向を見てみると、道路の真ん中にぽつんと一つの扉が設置されていた。
「え……?」
「扉……か……?」
「なんでこんなところに……?」
「いつの間に……」
「今日から1週間、君らにはそこで過ごしてもらうよ。どういうものかは直接見てもらう方が早いから……ちーちゃん」
「ああ……それでは山田先生、1週間学園をお願いします」
「はい、任されました!皆さんも気を付けてくださいね!」
「「「「はい!」」」」
「それでは行くぞ、お前達」
直後、誰の手も触れていないのに扉はガチャリと開いた。
扉の先は暗闇。
これから起こることに一抹の不安を感じながら、オレは扉をくぐった。
束博士の声を後ろから聞きながら暗闇の中を進む。
「ようこそ。私の移動ラボ、『
ちゃんと3周クリアしました
エアちゃんかわいい
ところで束さんの扱いが不思議系セクハラお姉さんになってきてる気がするんだ