オレの専用IS、「黒夜」は静かに座っている。乗られるその時が来るまで、静かに。それはまるで、夜空のように感じる。
「あーくん、そっと黒夜に体を預けて。そしたらフィッティングが始まるから、その間黒夜の情報でも読んでてよ」
「はい」
先生(名前?忘れたけどこれで通じるはず)に言われた通り、黒夜の装甲の開いてるところに足を入れ、腰を置き、手を差し込み、脱力させる。すると黒夜の装甲がそっと閉じ、カシュ、カシュと余計な空間が抜ける音がした。意外なことに、圧迫感が全くない。そして目の前には色々な情報が現れては消えるという、いかにも「作業してます」という状態だった。これは、「黒夜」が今ソフトとハードの一斉書き換え作業のフィッティングをしているからだな。んで、左上に見えるのが「フィッティング中 進捗率18%」という表記だ。ほとんどのISはフィッティング作業は30分ほどで終わるらしい。だが乗ってまだ2分も経っていないのに18%だから早く終わりそうな気がする。・・・・ってあれ?
「先生、フォーマット無しなのはなぜですか?」
「お~、そこに気づくとはさすがIS好きだね!それでは先生が特別に解説しましょ~!あーくん、現在ISコアは何機あるでしょう?」
「467機です」
「つい先日まではせ~かい!でも今は468機なので~す!その新しく生まれたのが黒夜に入っているISコアなのさ!つまりフォーマットがいらない新しい子なんだよ。理解できたかな?」
「つまりこの子は生まれて間もないISということですね。理解できました」
そっか・・・・もともと何も書かれてないコアならわざわざフォーマットする必要がないのか。なるほどなるほど。・・・ん?篠ノ之博士はISコアの製造を再開したのか?まあそんなことはぶっちゃけどうでもいい。それじゃあ黒夜、展開可能装備の一覧をくれ。そうして出てきたのは3つだった。
近接ブレード×3
中距離エネルギーアサルトライフル×1
使用禁止兵装×1
・・・・・・はいぃ?使用禁止兵装ぅ?なんでんなもんがあるんだよ!使用禁止っていうならば最初っから入れんなよ!もっとそこになんか入れてほしかったのに!まあ具体的に何をって言われても困るけど。あ、盾欲しかったなあ・・・
そうやって色々考えていると織斑君とオルコットさんの戦いが終わった。・・・約35分だよ?長くね?あ、フォーマットとフィッティングの時間も必要だから長いわけではないのか。因みに・・・・黒夜はまだフィッティング、終わってない。まだ36%なのだ。遅くね?で、10分後、織斑君VSオレのバトルが始まる。ああ、今から緊張してきた・・・大丈夫、その為の一週間・・・イメトレと教科書と参考書を読み直しただけだった。勝 て る 気 が し な い。やるしかない。36%だろうが近接ブレードが3本だろうが・・・ってなぜ3本?オレの手は2本しかないですよ?
『織斑君、氷鉋君、二人とも規定の位置についてください』
あれ?もう10分経ったの?山田先生、早くないですか?なんてこと思っていると織斑君はもう出て準備していた。なぜわかるか?だって黒夜が教えてくれたからさ。
ー 戦闘待機状態のISを感知。操縦者織斑一夏。ISネーム『白式』。戦闘タイプ近距離格闘型。ワンオフアビリティー有り ー
・・・・んん?ワンオフアビリティー?あれってセカンドシフトをしないと出ないじゃなかったけ?ってゲートが開いてる!
「さああーくん!行くがよい!」
「え、あ、はい!」
先生が言うなり、黒夜はピッチ・ゲートに進み、発進した。まるでガン〇ムが母艦から飛び立つように、あっという間に出てしまった。ああ、「氷鉋葵、黒夜、行きます!」って言いたかったなあ・・・
織斑君のIS,白式は飾り気のない、とても綺麗な白だった。そしてその手に持っているのは一・六メートルほどの刃渡りの刀だった。でもどっかで見たことあるような形だな・・・?あ、《雪片》だ!少し形は違うけどあれは織斑先生が現役時代のISが使っていた武器だ!白式を観察していると織斑君がオープンチャンネルで話しかけてきた。そうだ。あれを提案してみよう
「葵のISって白式に似てるな」
「そうか?細部にスラスターみたいのがあるけどそっちもあるのか・・・」
「いや、足と背中のでっかいやつだけだぞ」
「ほうほう、そうなのか。あ、そうだ織斑君、オレ達は勝負に負けたくはないけどクラス委員はやりたくないんだよな?」
「ああ、俺はやりたくない」
「それじゃあさ、負けた方がクラス委員。ただしオルコットさんがやりたいならオルコットさんにやってもらうっていうのはどうだ?」
「おお、それいいな!セシリアがやりたいなら任せればいいというわけだな!」
「うん、こっちはこっちで決めればオーケーだし」
織斑君の同意も得られた。負ければクラス委員長になる。ならば勝てばいい。そしてタイミングよく山田先生のアナウンスが聞こえた。
『二人とも準備はいいですか?』
「はい、大丈夫です」
「先生、
『え?はい。そうですよ氷鉋君』
「分かりました。準備完了です」
「葵、本気で行くからな」
「こっちこそ、全力だ。卑怯とかいうなよ?持てる技全て使ってでも勝ってやる」
『それでは、始めてください!』
そして、真剣勝負は始まった。
「うおおおおおお!!」
開始同時に織斑君は突っ込んできた。オレは咄嗟に左に避けた。が、織斑君は右手持ちにし振ってきた。すなわち、このままだと不味い。なので近接ブレードを1本呼び出し、振る。そして《雪片》との打ち合いが始まった。さすが、一週間も剣道一筋で訓練しただけある。滅茶苦茶速く、鋭い。少しでも気を抜いたら負けそうだ。だが、オレも負けられないんだよ!それに応えるかのように黒夜の反応がよくなった。
剣と剣の戦いは10分経った。SE残量、325、被弾回数、7回。たった7回で650からその半分になった。さすが《雪片》、当たると危ないな。と言うわけでもう一本の近接ブレードを左手に出す。俗にいう、二刀流だ。そしてあっちは・・・はい?《雪片》が割れ、光の剣が出てきた。あれか?ゴル〇ノヴァか?
「零落白夜!これで決着をつける!」
「お、おう!来い!」
ゴル〇ノヴァ・・・じゃなくて零落白夜で決着をつけるとか言われてもどんなものか分からないから怖いんだが・・・ってそうじゃない、オレも何かしないと負ける!光の剣に近接ブレードをクロスさせて防ぐ。・・・意外と痛くないな。当たらなければいいのか。すると織斑君は一度引いて横から剣を振ってきた。急いで後ろに避けたが少しかすった。ってうわぁああ!?SE残量が143!?何あれ!?織斑君の零落白夜は当たらなければいいのではない、当たってはいけないものだった。ならば、回れ右して飛ぶ。つまり、逃げる。
「あ、ちょ、待て!逃げるな!」
「嫌だよ!かすったら終わりじゃないか!」
「そうだけど!」
織斑君はオレを追いかけようとしてくる。オレもあれに当たるわけにはいかない。だから更に逃げようとすると、決着を告げるブザーが鳴り響いた。
『試合終了。勝者、氷鉋葵』
何故か試合は終わった。
先生のcv:田村ゆかり