「おめでとうあーくん。それじゃ先生は帰るね~」
「ひがのんおつかれ~」
「氷鉋君おめでとう!」
「最後大丈夫だった?」
第三ピットに戻ると先生、本音さん、相川さん、谷本さんの順で話しかけてきた。勝てたからだろうか、それとも3人が出迎えてくれたからだろうか、嬉しくて涙が出そうだった。出なかったけど。にしてもフィッティング作業、終わらないなあ・・・現在の作業進捗率は74%。遅くない?というか遅すぎない?なんで終わってない?で、なんで織斑先生と山田先生は疲れた顔をしながら入ってきたの?
「氷鉋、榊原先生は?」
「先程帰りました」
「そうか。データを渡さず帰ったのか・・・。それで氷鉋」
「ん、んー・・・ん?」
「その声は・・・榊原先生ですか!?」
「あれ・・・山田先生?私・・・もしかして寝ていました?」
織斑先生に先生はもう帰ったといったところ突如知らない女性の声が聞こえた。そして山田先生はその声の主は榊原先生と言っていた。つまり、さっきまでいたのは榊原先生じゃないっということだ!じゃあ誰なんだよって話だ。わりとマジで。
「織斑先生に山田先生!すみませんでした!(ゴン!)」
「榊原先生・・・今痛そうな音が聞こえたのですが・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫です。それで織斑先生・・・試合はどうなったのですか?もう終わったりしているんですか?」
「はい。ついさっき3試合全部終わりました。今から氷鉋にルールブックを渡すところです。榊原先生は休んで来たらどうですか?」
「そうさせてもらいます・・・織斑先生、山田先生、すみませんでした」
「いえ、お気になさらず。・・・・さて、氷鉋、お前のISなんだがまだフィッティングが終わってないだろ?」
「はい。まだです」
「それじゃあ待機状態にはできるか?」
「・・・あ、できました。フィッティング中でも待機状態にできるんですね」
「いや、普通はできない。ファーストシフト終えることでISは初めて専用機になる。フォーマットとフィッティングはその前段階だから、本来は無理なはずだ」
「じゃあなんで言ったんですか、というかなんでできたんですか。これが468の力ですか」
「ん・・・?氷鉋、468とはなんだ?」
「え?コアの話ですけど?篠ノ之博士がコア作成を再開したんじゃないんですか?」
「・・・氷鉋、今日は黒夜を預けてくれないか?それと布仏、相川、谷本、今聞いた話は忘れろ。いいな?」
「「「はい!」」」
左腕の黒い腕輪・・・・もとい黒夜を外し・・・って全然取れねえぞこれ!?もしかして待機状態のISは外すことできないのか?もしそうならシャワーはどうすればいいんだ!?
「氷鉋、早く黒夜を渡せ」
「織斑先生、取れないんですけど、待機状態のISは外すことはできるんですか?」
「できなきゃどうやって調べろというのだ。・・・・ちょっと見せてみろ・・・ふん!ぬぬぬぬ・・・」
「織斑先生、無理しないでください。黒夜が怖い音しています」
「・・・しょうがない、ファーストシフトを終えるまで私と戦うか?幸い、まだ少しの間ならアリーナは使えるぞ。なに、遠慮するな。私との戦いはなかなかできないぞ?」
「それじゃあお願いします」
「分かった。エネルギーが溜まり次第アリーナに出るように。私も準備をしなければならないからな。山田先生、あとはお願いします」
「は、はい!氷鉋君、これは規則があるので、ちゃんと読んでくださいね?いいですね?」
そういって山田先生が渡してきたのはIS起動におけるルールブックと書かれている滅茶苦茶分厚い本だ。どれ程重いかって、どさって音がするほどだ。・・・・え?これを読めと?本当に?そう思っていると山田先生が、なにか不安そうな顔をしていた。
「どうしたのですか、山田先生?貴女がこれを渡したんですからね?」
「い、いえ、そうじゃなくてですね?あの激戦のあとに織斑先生とファーストシフトするまで戦うなんて無茶ですよ!」
「ええ・・・そんなことないでしょ?織斑先生も手加減くらいはしてくれるんじゃ?」
「甘いですよ氷鉋君!織斑先生は手加減なんてしません!ついさっきもヘッドロックをされたのですがミシミシいったんですからね!」
『ほう。山田先生には今度から手加減しなくてもいいんですね。それでは今度久しぶりに手加減抜きの武術組手をしよう。せっかくだ、10本やろう』
「ひっ!お、織斑先生、一体いつからですか!というかIS取りに行ったのではないのですか!?」
『山田先生こそなぜあれを本気にしたのですか・・・・。体はともかくISがボロボロな氷鉋が戦えるわけないじゃないですか』
「そ、それはそうですけど・・・・」
『お前たち、今日はもう帰れ。氷鉋、ほとんどのISが30分ほどで終わるというだけだ。気にするな』
「「「「「はい」」」」」
『山田先生は帰らないでください。これからが仕事ですよ』
「ええ!?そんなぁ・・・」
状況を整理しよう。オレは織斑君とオルコットさんに勝った。けどまだ黒夜のフィッティングが終わってない。けどまあオレ達は帰ってよし。うん、オッケー。それじゃあ帰ろう。因みにこの時、山田先生は雨の中捨てられた子犬の目をしていた。先生、頑張って!仕事だもの!
◇ 三人称視点
第三ピット、モニタールーム。そこには二人の影がある。二人はモニターに表示されるログを見て唸っていた。なぜなら本来ならあり得ないことが起きていたからだ。
「やっぱりわかりませんね。織斑君の白式ですら30分で終わったのに氷鉋君の黒夜がまだ作業中だなんて・・・」
「しかも、作業ログやフラグメントマップが秘匿されている。他のISには無いほどプロテクトが頑丈だな」
「ううん・・・コアネットワークを使って外部からアクセスするのはこれ以上無理ですね。やっぱり本体から直接アクセスするしかないでしょうか・・・」
「だがISが外されるのを拒絶しているのならどうしようもないです。落ち着くまで待ちましょう」
「ですね・・・」
そう、あり得ないことというのはISがアクセス拒否をしていることだ。実は山田先生、ああ見えてもIS操縦技術に関しては元代表候補生、コンピューターに関してはハッカーレベルの技術の持ち主だ。分かりやすく言うとセキュリティー会社で働けるほどの技術の持ち主だ。読んでてよくわからないよね。そこは作者の語彙力と知識のなさが問題だから気にしないでください。
「それにしても気になるのは榊原先生が寝ている間誰がここを使っていたかなんですよね・・・・」
「戦闘ログや会話ログがすべて消されている。あるのは・・・私たちが来てからか。山田先生、復元はできないのですか?」
「無理です。塵一つも残らず丁寧に消されているんですからどうしようもないですよ」
「そう、ですか・・・」
織斑千冬は、こんなことできる人物に1人心当たりがあった。ましてや氷鉋の「篠ノ之博士がコア作成を再開したんじゃないんですか?」という発言、もう確定と言っていいのでないのだろうか?だが、物的証拠がまだ見つかっていない以上証明することはできない。第一、天災の前では「お前がやっただろ」と言っても意味がない。それは織斑千冬が最も理解しているのだ。ならば、もうここにいる意味はない。
「山田先生、帰りましょう。これ以上は無意味です」
「そうですね。もう何も出てきませんし・・・」
そういうと二人はパソコンを落として部屋から出て行った。直後、パソコンが起動、とあるプログラムがインストールされた。この時、このことを知る者はIS学園にはいなかった。
◇ ひがのん視点
今日の夕飯はカルボナーラを食べた。なにあれ、生まれて初めてあんなにおいしいカルボナーラを食べたよ。最高だった。本音さんはもう寝てる。勿論、手前のベットだ。この一週間同じベットで寝ていたせいで(というか本音さんがこっちのベットを使っていただけだが)ベット丸々一つ使えるのはうれしい。広く感じるのだ。さて、黒夜なんだが・・・部屋に帰ってシャワーを浴びようとしたとき、あっさり外れた。何この子、調べられるのが嫌なのかな?そんな黒夜は充電中。はいそこ、「はあ?」って言わない。本音さんが言っていたけどISは一般家庭用のコンセントに刺して充電することが可能らしい。ただし、時間がかかるからほとんどの人はアリーナや整備室の大電力コンセントを使うらしい。いやーこうしてみるとISも機械なんだなー・・・・オレは何言っているんだ?あと、USB差込口があったからウォークマンを差して「音楽を全部コピー」を言ったら本当にコピーしてくれた。なんて優秀なんだ、この子は。
「ひがのん・・・・」
「ん?本音さんどうした?」
「す~」
寝言か。いきなりどうしたのかと思ったじゃないか。・・・・オレも寝よ。暫くするとゴソゴソとベットに何かが潜り込む音がした。待て待て待て待て待て待て!こんなことするのって本音さんしかいないんじゃ・・・
「おつ、かれ・・・さま・・・す~」
一体これなんのシチュエーションですか?あ、待ってオレを抱き枕にしないでぇ・・・・・・
もすもすひねもすぅーの後にBeautiful Amuletを聴くと博士が歌っているように聞こえる。