提督をみつけたらの三次創作   作:夜仙

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どうしても書きたくて、書きたくて耐えれませんでした。


 小説家 と  綾波

 目覚まし時計がけたたましく朝を告げる。俺はまだ夢の中へ居たいので、目覚まし時計を止め、深い眠りへと堕ちようとする。しかし、それを妨げるように家の前にあるインターホンが鳴る。

 

 おそらく奴だろう。そう思って扉を開けると、案の定奴だった。茶色い髪を長すぎるせいか後ろへ縛っており、セーラー服が髪型とかと合って中学生らしさを引きたたせている。

 

「さぁ、提督。今日も頑張りましょう!」

 

 少女、綾波がそこに居た。

 

 

 

 先に自己紹介をしよう。俺の名前は織川正一郎。職業は小説家。出会いも女性とも付き合ったことの無い二十二だ。そして、こいつは先程も言ったが綾波、艦娘だ。しかし、別に綾波は深海凄艦と戦ったりしていない。何故か?昔、と言っても百年ぐらい前、彼女達、艦娘が全滅させたからだ。じゃあ、何故存在するか?簡単に言うと、提督と艦娘との間に子供ができ、そのDNAによって、何故か艦娘の適合者と艦娘が出てきて、それで何故か艦娘はこの適合者を探しているらしい。まぁ、一種の呪いみたいなものだ。と言うか、俺今誰に向かって説明しているんだ?

 

 そして、俺は目の前で聖域(布団)を片付けている綾波の提督らしい。

 

 

「それで提督、原稿はどうですか?」

 

「あぁ、順調だよ。一応」

 

 そう言って原稿を見せる。まぁ、あと百ページあるけど。それを見て、綾波は顎に手を当て、読んでいく。彼女の癖だ。さて、俺は彼女が読み終わる前に百ページを書いてしまわなければいけない。え、彼女と俺は提督と艦娘だけの関係かって?

 

 綾波は俺の担当の人だ。彼女は大淀社の編集者で、そこにはたくさんの艦娘と提督がいるらしい。つまり、彼女と俺の関係は仕事の関係しかない。

 

「あ、提督。手が止まっていますよ。締め切りは今日までですから、急いで」

 

「分かった、分かった」

 

 さ〜て、正午には終わるかな。

 

 

「はい、これで最後だ」

 

「ありがとうございます。こっちも後ちょっとなので待ってくださいね」

 

「ふー。終わった〜」

 

 俺は原稿の相手をして、疲れた体を床へと預け、伸びをする。時刻は昼の十二時になっている。朝飯を食パン一枚で済ませた俺の腹は食べ物をよこせ、と喚いている。  

 

 一方の綾波は読み終わったのか、とんとん、と原稿を整えている。

 

「じゃあ、仕事も終わったので何か食べに行きましょう」

 

「そうだな。何か食べたい物あるか?」

 

「ん〜。あっ、じゃあレストラン行きましょう!私、いい店知ってるんですよ」

 

「そうか。じゃあ、そこへ行くか」

 

 身支度を済ませ、二人で外へ出た。

 

 

 

「お待たせしました。ミートソーススパゲティとカルボナーラです」

 

 綾波と俺のところに料理が出される。美味しそうだ。綾波のお気に入りの店、「神戸熊野レストラン」は日当たりが良く、また人通りのいい場所にあるので、店にはたくさんの人がいた。  

 

「ここは、店長の熊野さんとコックさんの二人で切り盛りしているんです」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

 綾波の話を聞きつつ、店内を見回した。レトロな音楽に、おしゃれな店内と喫茶店を連想させる。それにしても、さっきの話が本当だったとしたら、あそこにいるサラリーマンらしき人と女の子に持っていっている人が店長なんだろうが、さっき料理を持ってきてくれた若い男性は一体…

 

「…提督、話聞いてます!?」

 

「あ、すまん。聞いていなかった」

 

「ヒドイ!」

 

 店内に綾波の声が響き、店内にいる人全員がこっちを見る。声を発した当の本人の顔が真っ赤になっていた。

 

 

 

「すまん、すまんって」

 

「ふんだ」

 

 さっきから、綾波がこんな調子だ。レストランでの事で余程怒ったのだろう。

 

 しかし、こんな調子ではせっかくのお出かけが台無しだし、楽しくない。…仕方ない、最後の手段だ。

 

「綾波、お願いだ!機嫌を直してくれ。俺にできることなら、なんでもするから」 

 

 それを聞くと、綾波はさっきの怒りが消え、すごい嬉しそうな顔でこっちを見た。 

 

「本当ですか!!」

 

 すごい食いつきだ。そこまで喜ぶか。あと、

 

「綾波、顔が近い」

 

 それを聞いた彼女はまた、顔を赤くして黙った。忙しいな、お前。

 

 

 

「着きましたよ。提督!」

 

 綾波に連れられるまま来たのは、本屋だった。何か買いたい本でもあるのだろうか。

 

 

「あっ、これです。これを買ってください」

 

 そう言って少女が一冊の本を見せた。そこには『夢霊 圭』という文字が作者欄に書いてある。……これって。

 

「これ、俺が書いたやつじゃないか」

 

 それは俺が一ヶ月前に書いた小説で、その時も今日と同じように締め切りぎりぎりだった。そんな俺の本を彼女は手に取り、

 

「これを買ってほしいです」

 

と言った。

 

「こんなんでいいのか?他にもいいのはあるだろう?」

 

「いえ、この本がいいんです」

 

 綾波は断固として譲らない。何が彼女をそうさせているか分からないが、本人が買ってほしいと言っているのを拒絶することはあまり良くない。俺は綾波の要望通り、自分の本を買った。自分の本を自分で買うというのに対し、すごい変な気分を味わった。

 

 

「なぁ、綾波」

 

「なんですか?」

 

「なんで、俺が書いた本をわざわざ欲しがるんだ?お前なら、俺の書いたやつを最初に読むのだから、読んだことがある本なんていらないだろう?」

 

「そんな事はないです」

 

 綾波はそう言って、先程の俺の言葉を否定した。続けて綾波は言う。

 

「確かに、あなたの原稿を見て内容はざっととは言え覚えています。しかし、それでも……」

 

 綾波は一瞬何かを躊躇っているのか、下を向く。が、決心した顔をして上を向く。俺は何を言われるのかと思い、ゴクリとつばを飲む。

 

「それでも、あなたが書いた本は特別なんです。ずっと大切にしたいぐらいに」

 

 俺はポカンとした。これではまるで愛の告白ではないか。その場にいる人達もこっちをチラチラ見る。正直恥ずかしい。だが、言った本人はもっと恥ずかしいに違いない。

 

「…帰るか」

 

「そうですね」

 

 こうして俺らは周りの目から逃れるように帰っていった。

 

 

 

 この後、綾波と居酒屋で酒を飲みまくり、ともに二日酔いになった。

 

 

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