読者の皆さん、こんな駄目作者の書いた作品をこんなに見ていただけるなんて、あまりにも光栄なことです。
いつも、ありがとうございます!
「暇だ〜」
退屈そうに叫んでみる。俺はベッドで一人ゴロゴロと寝転がっていた。
その傍らには何故か沢山の書類が散らばっている。そこにはこう書かれている。
『神連さん、早く新作ゲームを……』『新作、期待しています!』『次のシナリオを……』
「はぁ〜……こんな言われてもなぁ……。いいネタがないからなー」
そう俺は自分以外誰もいない密室で一人愚痴っていた。
「宿題でもしようかな」
起き上がって机に置いてあるワークをし始める。
「終わったー」
終わってしまったよ、宿題。ものの三十分で終わっちゃったよ。他に宿題は……ないなー。先生もっと宿題出してよ。おかげさんで暇になっちゃったよ、こっちは。ふと、時計を見る。まだ朝の八時。どうしようか……。委員長の家にでも遊びに行こうかな。そしたら、ちょっとは暇つぶしになるかも。……あ、待てよ。確か俺、委員長の家行けねぇんだ。
「どうしようかなー」
そう思って、ゴロリとベッドに寝転がった。ふわふわとして包み込んでくれる布団が俺に程よい心地よさを与える。それを味わっているときだった。
ピンポーン
家のインターホンが鳴った。誰だろうか、こんな朝早くに……。
玄関へ行きドアを開く。
すると、そこにいたのは茶色い髪をポニーテールで縛り、大きなバッグを持っている、背丈から見れば中学生ぐらいの少女がそこに立っていた。
俺は彼女を見て、全てを悟った。
「提督、急に来てしまってすみません」
「いや、別にいいよ。俺、暇だったし。さぁ、あがって」
俺は少女を中へと案内した。
「はい。お茶」
「あ、ありがとうございます!」
少女は俺が渡したお茶を美味しそうに飲んでいる。
「ところで、風雲。お前、今日はなんのようだ?」
少女こと風雲が『思い出しました』と言わんばかりの顔をしてから、ごそごそと大きなバッグから何かを取り出す。
「ずばり、用はこれです!」
出てきたのはパソコンとその他諸々の機械だった。
「コラボのことか」
「はい」
風雲は机の上にパソコンを置き、機械達は何処かに置く。
さて、では俺と風雲が何をしているか、説明しなければいけないだろう。単刀直入に言うと、俺と風雲は動画投稿者だ。と言っても、俺と彼女は趣味でやっているだけだから、決して本職ではない。まぁ、高校生で動画投稿者を本職としていたら、それはそれでどうかと思ってしまう。
じゃあ、なんだと言われて上げるとしたら『ゲームクリエイター神連』だろう。いやぁ、遊び半分でゲームを一人作ったら、めっちゃ売れて、スカウトされて……本当に自分で凄いと自画自賛してしまう。まぁ、そんな訳だから、毎日が忙しくて時に徹夜をする時もある。そうなったら、次の日は授業中ずっと爆睡だ。それを友人である長岡に怒られるのだが、そんなのは日常茶飯事なので別に気にしないでいる。というか、あいつは昔から、自他共に細かいところまでやるから、むしろあんなんを慣れていなかったら、あいつと意気投合どころか仲が悪くなるだけだろう。
「ところで、何のゲームをするんだ?」
「あぁ、その事ですか。今日はこのゲームをやります」
彼女が持ってきたのは、『ビルドクエスト』という今話題のゲームだ。ざっと説明すると、魔王を倒す勇者としてプレイするゲームだ。だが、このゲームは他のロールプレイングゲームとは違って、魔王の手から救った村のところを統治できたりするモードがあったり、村人が戦ってくれたりと色々と規格外のゲームでかなり面白い。
「このゲームを二人で共同プレイするんです」
「なるほど。つまりお前と一緒にゲームするんだな」
「はい!その通りです!」
いやぁ〜、風雲って何でこんな可愛らしい笑顔が出来るのかねぇ〜……撫でたくなっちゃうじゃないか。と言う事で撫でちゃおう!
ナデナデ
「え!?ちょっ!提督!?」
うんうん、この反応。面白いなぁ〜風雲は。
パッ
俺は手を瞬時に風雲の頭から離す。
「あ……」
すると風雲は悲しそうな目をこちらに向ける。
それは寂しそうでもあり、悲しそうにもしていた。まるで犬みたいだな。
そんな事を思いながら、俺はまた風雲の頭を撫でる。
「///」
気のせいか風雲の顔は少し紅くなっていたように見えた。
可愛いなぁ〜、俺妹が出来るんだとしたら、この娘みたいな妹がいい。
「では、そろそろやりましょうか」
「分かった」
風雲は俺に促すと、机の上にある機械達の電源をオンにする。
一方の俺はゲームを起動させ、ゲーム画面に行くまでの行程を全てやる。これは二人で決めたことであるため、俺や彼女も文句は何一つ言わない。
そして、彼女の指が「三、二、一」とカウントダウンをし始める。
三
ニ
一
「どうも、こんにちは!風蜘蛛です!今回は紅月さんと一緒に実況をやっていきたいと思います!」
…
……
………
「これで実況は終わりにしたいと思います!ご視聴ありがとうございました!」
その言葉を締めにして風雲は動画を終わらせる。俺はそれを合図に機械に対して録画をやめさせた。
風雲はその様子を確かめると、ふぅ、とため息に似たような息を出して、その場に倒れ込むように床に寝そべる。
実況の時は終始視聴者の事も考えて、やらなければいけないため疲れがどっとくるのだ。ただ、それは慣れればなんてことはないが、風雲はそれが中々できない人間であるため三年やっているにも関わらず、こんな状態になってしまう。
全く彼女は何時になったら慣れることやら。
「やるか」
風雲が一回こういう状態になってしまったら、暫く治らない。下手したら一時間かかる時もある。その間、彼女の代わりに動画を編集するのは俺だ。
まぁ、こういう機械仕事は指先が器用な俺にとってはかなり楽な仕事なので、別になんとも思わないのだが。
改めて撮った動画を見直す。
俺の動画の時に出すハイテンションな声、風雲の明るい声、風雲がレベル1のスライムにやられているシーン、それを見てた俺の爆笑、俺が調子にのってドラゴンに戦ってやられたシーン、それを見てた風雲の笑い声……
俺はそれらの詰まった動画を編集していく。カチカチッとクリックする音が断続して響き、音楽を奏でる。
「あ……」
俺はそうしている間に次の新作のストーリーを思いつく。それを忘れまいと手近にある紙と鉛筆を手に取ると、スラスラとどんどん書いていく。もちろん、このストーリーを書いている作業と動画の編集は同時進行だ。正直、猫の手は本当に借りたい。
それならば、風雲を起こして作業を手伝わせたらいい、と誰しもが言うかもしれない。
確かにそのとおりだ。俺だってそうしたい。
だが、隣で寝ている風雲を起こしたいところだがその猶予もないし、それに……
「ていとく……スゥー」
こんな寝言言っていて可愛い寝顔をしている奴を起こす事なんかできるはずがない。
「はぁ〜、俺って忙しいなぁ〜」
そんな小言を呟いて俺は作業した。
兄妹みたいですね、この二人。