ゲーム、それは万物を兼ね備える、いわば秘密兵器。
ゲーム、それは人を究極に引きこもりにさせると言われる、魔の道具。
そんなゲームを俺はこよなく愛する。勿論アニメとかも好きだ。だが、やはり一番はゲームだ。
クレーンゲーム、ガンゲー、カードゲーム、色々なゲームがある。俺はそれら全部が好きだ。
そして今日、俺は日頃の疲れを癒やすためにゲームセンターで話題のガンゲーを遊ぶ。
さぁ、俺よ。お遊びの時間だぜーー!!
この時間帯のゲームセンターで遊ぶ人はあまりいない。いたとしても、どっかの世紀末のようなモヒカンをしている不良らしき奴らしかいない。
そんな時間帯に俺は毎週月曜日と水曜日にここへ必ず足を運ぶ。仕事の都合もあってのことだ。しかし、俺にとっては世紀末の奴らがいろうがどうでもいい。ただゲームさえできれば、たとえ火の中、水の中でも行く。それが俺だ。
そんな俺に対し、妹は
「はぁ?何言ってんの、あんた」
と言われる有り様。お兄ちゃん、そんな言われ方すると悲しくなるよ。
まぁ、とにかく俺はそれぐらいゲームが好きだということだ。家の人に引かれるぐらいに。ただ、外ではそういう素振りを見せたりしないから、同僚とかにはどん引きされたりしない。それに学生時代にはテストでいっつも百点を悠々と取ってきたりしたから、家族は俺に対し、「ゲームはそれぐらいにしなさい!」とは言うが、ゲームを没収された事はない。それは今でも同じだ。
さて、こうして今と昔の事に思いをはせているうちに目当てのゲームの所に来た。周りには特に誰もいない。よし…
「さぁ〜て、やったりますか!」
そう言って、ゲーム機に百円玉を入れた。
「うしっ!今日もマスタークラスのコンピュータを撃破した!」
今日もマスタークラスを撃破してやったぜ!なはははは!我に敵と言える敵はいないのだーー!!
「さて帰ると……ん?」
振り向いてみると、近くに女の子がいた。水色の髪をしている高校生ぐらいの娘だった。こんな時間帯にどうしたんだろう?しかもさっきから、こっちをじっと見ている。
「あ、あの〜」
そう彼女に聞いてみる。もし何かあったら、助力しようと思ったからだ。
しかし、そんな俺の予想をはるかに超えた反応を彼女はしてみせた。いきなり笑顔になって
「兵装実験軽巡夕張です!よろしくね提督!」
と言ってきた。……は?提督?
「えっ、えっ?俺が提督って冗談だよね?」
「何を言っているんですか提督。提督は提督ですよ」
マジかよ。俺も提督だったのかよ。俺の仕事場の後輩が俺と同期の艦娘の適性者で、去年に結婚したのを思い出す。いや、確かにお似合いとは度々言っていたけども。まさか、あぁなるとは…
「ところで、提督?」
俺の回想途中に夕張が声をあげる。いきなりだったため、内心びっくりしているのを押さえつけ、
「何?」
とだけ言って要件を聞く。これ大事。メモの準備を。
「提督ってそのゲーム好きなんですか?」
「そうだが、もしかして君も好きなのか?」
「はい!私もここのゲームセンターに行くときは必ずこのゲームをします!」
マジか。このゲームってよっぽどのゲーム好きじゃないと知らないゲームだぞ。って事は…
「…もしかして君って、かなりのゲーム好き?」
「はい、もちろん!」
やっぱりかー。…でも仲間を見つけれたのは素直に嬉しい。
「あ!よかったら一緒にゲームやりませんか?お金は私が払うので」
「うん、いいけど。自分の分はきちんと払うから、君は君の分だけ払いなよ」
「分かりました。…あと私の事は君と呼ばず、夕張と呼んでください。そっちのほうが私的には良いので」
「分かった。ということで、よろしく夕張。負ける気は一つもないから」
「こちらこそです。よろしくお願いしますね、提督」
俺と夕張はそれぞれ財布から百円玉を取り出し、ゲーム機に入れた。
「ヤッターー!!勝ったーー!」
「チクショーー!!」
結果、俺の負け。
途中までいい勝負をしていたが、その後必殺技をやられて負けた。完全敗北だ。
「にしても提督も強かったですね。こんなに強い相手とぶつかったのは初めてでしたよ」
「俺もだよ。まさか自分に勝てる実力を持った人と出会えたのは嬉しいよ」
「…もし、時間があるのなら私ともう一戦やります?」
「あぁ、もちろん」
「おはよう栗原君」
「はい…って課長すごいテンションが低いですね。どうしたんですか?」
新婚ほやほやの後輩が心配してくれた。おや?
「君の愛しい愛しい嫁はどこへ行ったんだ?」
「先輩は新しい社員の社内案内です」
そうか。あと俺の台詞はスルーか。
昨日の俺はあのあと、夕張とゲームセンターで十分間遊び、その後お互いのおすすめアニメを語り合った。いや〜楽しかったが、寝たのが朝の三時だったのはまずかったな。おかげさまですごい眠い。
「あ、谷口」
そう言って扉から出てきたのは新婚ほやほやの同僚だった。しかし、俺はこいつに対し、違和感を覚えた。いつもよりも顔がニヤニヤしていたのだ。
「どうした、お前。気持ち悪いぞ」
そんな俺の言葉を無視して、青葉はニヤニヤを止めないどころか、体を指でつついてくる。本当に何、こいつ?
「いや〜谷口さん。あなたも人の事言ってられませんねー」
そう言うと、夫である栗原君にこしょこしょ声で言う。それを聞いたあいつもニヤニヤしてきた。
「課長、おめでとうございます」
何がたよ、おい。そう思っていると、青葉の後ろの扉が開いた。
そこには見たことのある、水色の髪をした少女がいた。
「新しく、ここの会社で働く夕張です。よろしくお願いします、提督!」
俺は驚きのあまり、しばらくポカンとしていた。
その後、夕張は俺のところで働くことになり、週末には必ず一緒に遊ぶ仲になった。
ただ、職場の人達からニヤニヤされるようになったが。
もうすぐゴールデンウイークが終わりますね。