提督をみつけたらの三次創作   作:夜仙

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続きです。

 八千字ぐらいあります。よかったら根気よく読んでください。


 名探偵 と あきつ丸 後編

「はぁ〜毎度毎度ですが先輩、あなたに任せると証言者達がかなり振り回されて、今頃面食らっていますよ」

 

「ふぅ〜ん、良かったじゃないか。犯人もさぞそうなったに違いないね」

 

 その言葉を聞くと、宮浜刑事は大きなため息をまた吐き出します。確かに、犯人が彼のペースに乗れない事はいい事ではありますが、それにも限度があります。現に館内で事情聴取に参加していた侍従長が『あんな人を連れてきて大丈夫なんですか?」と言われたばかりだからでした。

 

「何だよ、宮浜。ため息ばかりついて」

 

「先輩のせいです。って言うか、あんだけ意味不明な質問で犯人の目星は付いたんですか?」

 

 宮浜刑事のこの質問にパッキーを食べる手がピタリと止まります。そして、顔に真剣味を急に持ち始めました。宮浜刑事はゴクリと唾を飲みます。何故なら山笠がこの顔になったときは彼の頭の中で様々な考えをこらしている時にする顔だからです。しかし、その顔は一分もすると崩れ、元の顔に戻っるのでありました。そして、提督は一言言いました。

 

「もちろん!あとはあきつ丸が調査書を作ってくれたら、確信がつくよ」

 

 

 自分は提督主導で行われた事情聴取の顛末を書き記したものを見て、何か手掛かりがあるか探っています。

 

 まず最初の質問『昨日から外に出た人はいるのか?また、それは何のために?』に答えたのは四人。若当主の定晶さんとその妻の弓月さん、メイドの法子さん、侍従長だ。

 

 定晶さんと弓月さんは一緒にショッピングに行ったそうで、その行った時間帯は十時頃から十一時頃で、一方の法子さんは館内の砂糖が尽きたのでそれを買いに行ったそうで、時刻は十時頃から十一時半頃だそうだが、どちらも出かけたのは午前中。被害者が殺されたのは午後六時であるため、アリバイは立証できていない。だが一方の侍従長さんは午後五時にこの館には居らず、帰ってきたのも午後十一時で、行った先は百キロメートル離れた友達の家で、この友達自身も家に来ていたと言っていたため、侍従長さんのアリバイは成立した。

 

 次に『コーヒーを入れたことが被害者、もしくはこの中にいるか』には女性陣である弓月さんや法子さん、定晶さん、侍従長さん以外入れたことがないという。

 

 さらに、宮浜刑事から聞いた事だと次の事も分かったそうです。

 

 『事件当日、被害者がコーヒーを作っているのを見たという従者の人が居た。時刻は午前五時半。』

 

 鑑識によると、コーヒーの中には青酸カリが入っていて、それ以外はコーヒーの成分しか出てこない。

 

 この事から考えると、やはり被害者のコーヒーに何らかのの方法で犯人が入れたのでしょう。ふーむ…

 

「あ、あのー」

 

 後ろから声がしました。少し、内心驚きつつも振り向くと、そこには弓月さんがいました。

 

 ピンク色の長い髪をしていて、その姿には「お姉さん」という言葉がよく似合う美人さんです。

 

「何かお困りですか?えーと…」

 

「山笠です」

 

「そう、山笠さん。何か困った事はない?」

 

 すごいですな、流石は次期当主の奥さんですね。上品さがあって美しいであります。

 

「そうですね。提督が何を言っているか分からないので、取り敢えず自分なりに推理しているところです」

 

「へぇ〜、やっぱりあの質問は相棒である貴方でも分からないのね」

 

「はい。と言うか、いつもなんですが」

 

「フフ。まるで、ホームズとワトソンみたいね」

 

「本当にそうでありますな」

 

 アハハと笑う自分と弓月さん。もし、これが探偵とお嬢様という立場がなければ友達になっていたかも知れません。

 

「じゃあ、あなたの提督さんが訊いたこと以外あなたはまだ何も知らないの?」

 

「えぇ、まぁそうですが」

 

「だったら、私と一緒に捜査しましょうよ。そうしたら犯人も早く捕まえられるかもしれないし」

  

 ここで弓月さんは思いもかけない言葉をかけてくれました。確かに彼女の立場を借りれば、外から来た自分が質問をしたとしてもお嬢様である彼女を眼前にしたら嫌がる姿勢を出せないため、ものすごくありがたかったのです。

 

「分かりました。一緒に調査しましょう」

 

「じゃあ、決まりね」

 

 こうして自分とお嬢様の調査が始まった。

 

 

 

 

 最初に訪ねたのは法子さんの部屋だった。

 

 法子さんの部屋は十九歳の女の子らしい部屋であった。そこで法子さんは自分達を待ち受けているかのようにドアの方に正面にすえ体を置いている。

 

 法子さんは自分達に軽い会釈をし、弓月さんがそこそこの世間話をしだしたので、それを済ませるまで自分は待ち、もし聞かれても否定はせずにただ適当に流していました。

 

 ようやく話が終わり、自分は今か今かと待っていた言葉を口から出します。

 

「事件の事で聞きたい事があります。あなたが事件あった今日何をしていたか詳しく教えてくれませんか?」

 

 それを聞くと法子さんは「分かりました」と言い、

 

「私は午前五時にここに来て仕事をし始めるので、四時ぐらいに大体起きます。そして、午前五時にはもう侍従長さんと台所にいました。午前六時にはご当主様方達が起きていらっしゃるので、お食事をお食事所へと持って行きました。午前八時に私達メイドの食事が始まります。というのもご当主様のご要望等を聞くためです。午前九時にこの館の清掃を、午前十一時に昼食の準備をして、午前十二時に昼食をお食事所へ持っていきました。そして、その日の昼食で砂糖が尽きたので、街まで買いに行きました。それは午後二時でした」

 

 スラスラと出てくるこの人の証言は凡人である自分にもかなり想像できる程の詳しさで驚いてしまいました。

 しかし、まだ証言は終わっていません。自分の気持ちはいざ知らず、法子さんは証言を続けます。

 

「その後、午後四時に屋敷へと戻りました。これは一挙に砂糖を丸々一袋(大体サンタさんの袋まるまる一つ分)持っていくため、これだけかかるのです」

 

「屋敷の方とかは手伝ったりしないのですか?」

 

 自分の質問に彼女は首を横に振り、

 

「いいえ。この朝倉家はそういう事をするのは駄目だと禁止されているのです。おそらく無駄な労力としてご当主様は思っていたんでしょうが…でも、もちろん私一人では持ち運べませんので、タクシーを使って持って帰りましたが」

 

「なるほど…その後は?」

 

「その後は夕食の準備をしていました。ただ侍従長さんは途中でいなくなったので、お洗濯やお風呂の準備で忙しかったりして、台所を抜けたりしていました」

 

「ご当主様の死に気づかれたのは?」

 

「私が夕食を作り終えた午後七時です。若君が血相を変えて、私に知らせたのです。『父さんが死んだ』と…」

 

「なるほど…ありがとうございました」

 

「いいえ、事件解決の手掛かりになってくれたらそれは嬉しい限りですから」

 

 法子さんはそう言って笑って自分とお嬢様を見送った。

 

 

「そういえば…」

 

 自分は部屋を出てから、弓月さんの取り調べが終わっていないのに気づきました。だとすれば、定晶さんの前に弓月さんをやらなければ、もしかしたら小説あるあるの『協力者が犯人でした』に引っかかっているかもしれませんし…

 

「弓月さん、失礼ですがあなたのことも聞いても?」

 

「ええ、いいですよ」

 

 そう笑顔で弓月さんは答える。自分はさっきと同様一つ一つを聞き漏らさないようにしっかり耳を立てます。

 

「私は朝六時ぐらいに起きて、顔を洗ったりし終えたのが半頃かしら。その後、提督と一緒におしゃべりをして時間を潰していたわ」

 

「ちょっと待ってください!」

 

 さっき聞き捨てならない言葉が聞こえる。提督ってことは…

 

「もしかして弓月さんは艦娘なんですか!?」

 

「あら、言ってなかったかしら。私は『由良』っていう軽巡洋艦の艦娘だけど」

 

 そんなの自分初耳です!でも、よく考えてみたら確かにそういう見た目してますね…。

 

「話を戻すけど私はその後、八時に朝食を食べて、その後は身支度をしていたわ。提督とのショッピングのためにね。そして、十時から十一時頃までショッピングをして、十二時ぐらいには帰って来ていました。昼食を食べ終わったあと、大体一時ぐらいかしら?買った服の手入れと試着をしていました」

 

 

 

「手入れはご自分でなさるんですか?」

 

「ええ、そっちのほうが落ち着くの」

 

「なるほど。続きを」

 

「それで三時頃から少し仮眠したの、ちょっと眠くなってきたから。起きたのは四時ぐらいかしら。その後四時半にはお風呂に入って、五時ぐらいに出たの。そこから、ずっと部屋にいたわ」

 

「なるほど、有難うございます」

 

「いえいえ」

 

 ふ~む、法子さんも弓月さんも被害者には食事以外に会っていない。まるで犯人はいないようなものだ。ただ、どちらもアリバイは成立していないため、決めつけできないが。そもそも犯人なんているのでしょうか?…いや、やめだ。取り敢えず捜査だ。次の定晶さんに賭けよう。

 

 

〜その頃〜

 

 宮浜刑事がある物を山笠にみせていた。それは…

 

「これを見てください。先輩」

 

 宮浜刑事が持っていたのは、何処にでもありそうな小袋だ。宮浜刑事はそれを誇らしげに山笠に見せつけ、こう言う。

 

「この袋は被害者の部屋から発見されたものです。それで気になったので調べてみました。そしたら、この袋から青酸カリがこの中に入っていたことが分かりました。そこで僕は確信に辿り着きました」

 

 山笠は何も言わず、黙って宮浜刑事を見ている。それに元気づけられたのか彼は意気揚々自分の推理を説いた。

 

「つまり、これは自殺だったんですよ先輩!やり方としてはまず従者に持ってきてもらったコーヒーに青酸カリを入れて、それで飲んだ。そして動機の方は現にここ最近被害者は日々の老化を恐れ、いつも「死にたい」と言っていたそうです。つまり被害者は老化を恐れての自殺です。どうですか?」

 

「うん」

 

 山笠はその一言を言うと、続きの言葉を後輩である宮浜刑事に送った。 

 

 

 

 自分と弓月さんは定晶さんのもとへ向かいました。定晶さんの部屋は事件現場の近くにあります。そう考えると、今のところ彼が一番被害者を殺せるチャンスが一番あります。

 

「ここが提督の部屋よ」

 

「はい」 

 

 コンコン

 

「はい誰ですか?」

 

 中から出てきたのは優しそうな笑みを浮かべる眼鏡がよく似合う好青年でした。

 

「あぁ、あなたは探偵さんの相棒の方ですよね。どうぞどうぞ」

 

 そう言って中へと案内してくれました。その後、後ろから「由良、君も来たのか!」と嬉しそうな声が聞こえました。フフ、仲良し夫婦なんですね。

 

 

 

「改めて自己紹介します。ここの次期当主の朝倉定晶です」

 

 彼は丁寧に自分に頭を下げてくれました。そこまでしなくていいのに…

 

 そう思いながらあの質問を定晶さんにしました。

 

「早速ですが、あなたが今日何をしていたか答えてくれませんか?」

 

「分かりました。じゃあ僕の事を話しますね。僕は午前六時に起きて、その後由良と話しました。朝食を八時頃に食べて、その後は趣味に没頭していました」

 

「趣味?」

 

「はい。これです」

 

 そう言って取り出したのは、黒と茶色のちょうどいいぐらいの配色をしたレトロな雰囲気を醸し出すコーヒーメーカーでした。

 

「僕はこれでもコーヒーにうるさいんですよ」

 

 微笑みからはどこか不敵な笑みとも見て取れる要素があります。それにしてもコーヒーは自分も好きだから、頼んでしまおうか…

 

「せっかくでいいですから、一杯入れてくれませんか?おこがましいかもしれませんが」

 

「分かりました、砂糖は?」

 

「なしで」

 

「へぇ〜」「ほう」

 

 弓月さんと定晶さんが何故か感心している。何か悪いことでも?

 

「すごいですね、苦いのが好きな父も砂糖を二個入れるのに」

 

「そうなんですか?」

 

「えぇ」

 

 そこまで言われると、威張りたくなります。

 

 なお、このあとは楽しくお茶会的な雰囲気で尋問しました。

 

 

 

〜台所〜

 

「侍従長さん、コーヒーお願い!あ、砂糖三個ね!」

 

 そう山笠は言うと、パッキーを美味しく一本加えた。

 

 だが、その向かい側にいる宮浜刑事は不満げに彼を見ている。それはどこかムスッとしている表情だった。

 

「教えてください」

 

 宮浜刑事は山笠に言う。山笠は何も言わず、台所を見ている。それが気に入らないのか、彼は怒りを含んだ声で言う。

 

「『君は馬鹿か?そんなんじゃ三歳児に負けるぞ』って」

 

「そのまんまだけど?あっ!コーヒーありがとう」

 

 山笠は宮浜刑事など意に介さず、コーヒーをすずる。だが、次の瞬間…

 

「辛い!!」

 

 と山笠が咳をしながら言った。それに侍従長は驚き、

 

「申し訳ございません!塩と砂糖を間違えたようです!」

 

「もう気をつけてよね!」

 

 そう言うと、山笠は台所に入って行った。驚く侍従長や宮浜刑事には興味を示さず、何故か砂糖と塩が入っている箱を弄っている。やがて済んだのか彼は宮浜刑事の方を振り向き、

 

「ねぇ、頼みがあるんだけど」

 

 と言った。

 

 

 

「失礼します」

 

 自分は提督が事件があった部屋にいることを聞き部屋へと入った。提督は無邪気な笑みを浮かべて、

 

「どうだった?」

 

 と訊いた。自分はあれから聞いた証言などを記したメモを提督に渡しました。

 

 提督は「うん、ありがとう」と言ってメモに目を向ける。

 

「犯人は分かりましたか?」

 

 自分の問に彼は何も言いません。かなり集中しているようです。

 

「自分はこの事件が未解決事件になると思っています。だって、犯人候補だった定晶さんは屋敷の屋上に一時から居て、それは従者が裏付けています。さらに被害者は自らコーヒーを入れていたそうで、見た従者を除けば誰もいなかったそうです」

 

 しかし彼は返事をしてくれません。自分はポツリと

 

「完全犯罪、ですな」

 

 と言う。これは他殺に違いない。理由としては別に被害者が自殺しそうな動機がないからだ。だが、そう言ったとしても駄目だろう。犯人は自分達をマリオットのように操っている。

 

 そう言えば、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』に主人公の完璧すぎる計画があった。だからあれみたいに…

 

「だけど乱歩の小説の『屋根裏の散歩者』だと、明智小五郎が解いたじゃん」

 

 え?と思い、振り向くと先程と変わらない無邪気な笑顔をした提督が居た。

 

「完全犯罪も全部裏を返せば簡単なトリックの連続だ。それを人間が絶対に解けないかと言えば、答えはノーだ。犯人が考えた謎が同じ動物で脳を持った人間に解けないことはないんだよ」

 

「って言うことは、解けたんですね!!」

 

「あぁ!」

 

 

 

 

 

「話ってなんですか?」

 

 食事室に集まった館の関係者達。彼らは不安そうにこちらを見ている。弓月さんや定晶さんも同様でした。

 

「それはね〜犯人が分かったから皆に伝えようとおもってさ~」

 

 提督…パッキー食べながら言われても皆さん困るだけです。

 

「本当ですか!?」

 

「うん」

 

 おぉと何処からか感嘆の、絶望から希望へと変わろうとする声が聞こえてきました。

 

「ご、ご主人様はどうやって殺されたのですか?教えてください!」

 

 法子さんは興奮を抑えきれない声で叫びました。

 

 それをまぁまぁ、と提督は暴れまわる馬を落ち着かせるようにあやすとその口から真実を語ろうと、口を開きます。

 

「まず今回の事件。これを自殺だと宮浜刑事は言った。だが、それは違う。何故なら自殺だとしたら二つおかしな事がある」

 

 おかしなこと…そんなのありましたっけ?

 

「一つは被害者が殺された部屋にあった青酸カリの袋。もう一つは…コップの中だ」

 

「どういうことですか?」

 

「あきつ丸、コップの中には何かが足りない。なんだと思う?」

 

 提督がこっちを振り向いて尋ねる。それにしても足りないもの?そんな物…。だって、コップの中にはコーヒーと青酸カリが…ん?…あっ!

 

『苦いのが好きな父も砂糖を二つ入れるのに』

 

「砂糖がない!」

 

「そう!」

 

 提督は満足そうに言うと、再び真正面を向いて言った。 

 

「砂糖がないんだ!被害者は砂糖無しじゃ飲めないのにね。でも、コーヒーを作っているということは砂糖をその時入れたはずだったら、何故砂糖の成分が出てこないか?それは簡単!」

 

 ここで一区切りし、提督は言う。

 

「犯人は被害者にコーヒーを作らせて、予め砂糖の箱に青酸カリを仕込んだからだ」

 

 衝撃の真実。つまり、犯人は被害者を間接的に自殺に追い込んだのだ。

 

「そして被害者をマリオットに仕立て、自殺させたのは君だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

法子さん」

 

 その名が上がると同時にザワザワと周囲がざわめき、彼女を見る。一方の彼女は汗まみれになりつつも「違う!!」と叫ぶように言った。

 

「なんで私なんですか!?警察の方から聞きました!ご主人様が部屋でコーヒーを飲んで自殺したって言ってたじゃないですか!」

 

「あぁ、それが人形技師の最大のトリックにして盲点だったところだよ」

 

「え?」

 

 法子さんは勢いを無くした声で言うのを聞いてから提督はその続きを言います。

 

「確かに被害者の部屋に青酸カリの袋があったら、自殺と錯覚してしまうだろう。でもね、それだとおかしいんだよ。だって、台所でコーヒーを作ったのなら台所で青酸カリを入れた方が簡単にできる。なのにその袋が被害者の自室にある。つまり、これは犯人が警察に被害者は自殺したと錯覚させるトラップだったんだよ。そして、それができるのはあなただけだ」

  

「そんな…」

 

 最早何を言っても打開できない。彼女、いや犯人は抵抗を諦めた…かのように見えた。

 

「!!」

 

 彼女はポケットからナイフを出すと群衆を脅しながら、提督目指して突き進みました。

 

「死ねっ!」

 

 彼女はそう叫んで、提督を刺そうとします。ですが、遅いですね。その時、既に自分は法子さんの前に来ていました。そして、法子さんの足を引っ掛けて、転ばせました。ドテンと転ぶ法子さんを自分は艦娘の力を使って押さえつけました。抵抗しますが艦娘の力には勝てず、ついに力尽きました。

 

 

 

 

 

 

 

 その後、犯人である法子さんは逮捕されました。これは後々分かったことですが、動機は彼女自身にありました。なんでも、彼女は実は被害者の隠し子だったそうで、それを被害者に話したら『遺産は貴様にはやらん。出ていけ!』と言われたことに腹を立て、今回の凶行に移ったということでした。

 

「そういえば提督はなんで砂糖のトリックに気づいたんですか?」

 

 ん?言って、と振り向くと

 

「従者の証言の時から。でも、確証がついたのは塩と砂糖が入れ替わっていたからだよ」

 

「え?」

 

 それはどういう?

 

「実はね、コーヒーを侍従長にコーヒー入れてもらった時に塩と砂糖を入れる手を観察してたんだよ。そしたら、ちゃんと砂糖の入れていたのに、塩の味がしたんだよ。(砂糖は赤、塩は青という色のマークをこの時すでに彼は知っていた)それで確証がついたんだ。おそらく、犯人がそれを元に戻そうとするところを定晶さんが知らせに来たからだね。それで、そのまま忘れていたんだろう」

 

「なるほど」

 

 提督はやっぱりすごい。ん?でも…

 

「だったら、なんで自分が屋根裏の散歩者のことを思っていることがわかったんですか?」

 

 それを聞くと提督はにっと笑って「なんとなく」と言った。やはり、あなたには勝てそうにないですね。

 

「それより、提督そろそろ事務所に着きますよ」

 

「あぁ」

 

 事務所の駐車場に車を停めて、シートベルトを外し事務所へと歩いていきました。

 

 

 

 

 事務篠の中に入ると、二人の子供がいました。

 

 一人は男の子。一人は女の子。

 

 二人は自分達に気づくと、揃ってこう言いました。

 

「おかえり!お父さん、お母さん!」

 

「帰ってきたよ!子供達!」

 

 

 提督はわ〜っとあの子達のもとへ行きました。それはまるで子供のように走って行きます。

 

 そして、こっちを振り向き、

 

「早く早く〜♪」

  

 と言ってきます。

 

 まったく…相変わらず無邪気な人です。

 

 

 世界で一番の探偵であり、自分の提督、そして…

 

「今行きますよ。あなた」

 

 愛しい人。

 

 




ミステリーって難しい。
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