提督をみつけたらの三次創作   作:夜仙

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 気づけばこんなに話を書いていたんですね。


 委員長 と 卯月

 僕の名前は長岡吹雪。吹雪という艦娘ではない。本名だ。

 

 僕は今日も、ここ三宮学園委員長として、この学校の風紀の乱れがないかをチェックするために見回りをしている。あそこの女子、うむオーケー!あそこの男子、オーケー!

 

「よし!今日も完璧だ!!」

 

 そう思い僕は教室への最短ルートであるグラウンドを通って行くのだった。

 

 

 グラウンドは乾ききった黄色い砂を一面に広がさせ、微風が吹けばその度ごとに砂埃が風に舞って何処かへ消えていく。

 

 それはあたかも物質の無常という物を人間に説いているみたいだ。

 

 そんな事に思いを馳せ、グラウンドの真ん中にまで行ったときだった。

 

「うおっ!?」 

 

 急に真下の地面が崩れ落ち、それに伴い身体が重力に従い急降下する。やがて、地面に立てるようになった。底についたからだ。

 

 ビリリ

 

 足の裏から着地したせいで、衝撃が全てそちらへ吸収されて痛い。だが、そんな事に気を取られている暇が僕にはなかった。

 

 辺りを見回してみた。

 

 どうやら、ここは穴の中みたいだ。形はというと、きれいな円型をしている。昨日はこんな穴はなかった。しかも、こんなきれいな円型なんて自然現象が説明できない。だったら、答えは一つ。これは誰かが故意で作られた物。そして、それをやる奴を僕は知っている。

 

 

「出てこい!!」

 

 僕の叫び声を聞いたのか、ひょこっと顔が一つ出てきた。ピンク色の長い髪、天辺にある癖っ毛、そして人を小馬鹿にするような笑顔

 

「おい、卯月!お前だろ、こんな落とし穴作ったの‼」

 

 僕は奴、卯月にそう怒鳴った。卯月は「プハハハ!」と笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卯月、お前って奴は〜!!」

 

「引っかかる提督が悪いぴょん!」

 

 こいつは吉野桜。艦娘の『卯月』であり、僕の幼馴染だ。いっつも僕に悪戯をしてきて、凄く迷惑だ。そして、そんな奴の提督は僕だ。幼なじみ同士で提督と艦娘の関係。見えない神の手でもあるのだろうか?

 

 この事を友達である上田に言うと、ニヤニヤした顔で、

 

「お二人さんは赤い糸で結ばれていらっしゃいますな〜♪」

 

 と言った。

 

 何だ赤い糸って……そんな物早々に切れちまえ。動きにくいだろ。

 

 そう僕が言うと、やれやれという呆れ気味のため息をついた。ほんとに何なんだあいつは……。

 

「それより提督。また風紀をチエックしてたぴょん?あれいい加減にやめたほうがいいぴょんよ」

 

「何故だ?」

 

「外から見たら提督がただの変態に見えるからぴょん」

 

「そうなのか!?」

 

「やっぱ提督はバカぴょん」

 

 おい、バカとはなんだ。一応僕の方がお前より賢いんだぞ。いっつも一点だけ上なだけだけど……。

 

 

 

 

 三時間目の数学の授業になった。

 

 担当先生は我がクラスの担任、物部先生だ。

 

 この先生の授業は大変分かりやすくて助かる。全くもってこの先生の授業を受けれて感極まる。

 

 だが、周りの奴等はそれに気づかず熟睡している。なんと惜しいことをしているんだ。

 

 寝ているのは、鎌倉と上田に吉野だ。……あれ?こいつ等って学園内で五本の指に入る賢い奴らではないか?

 

 もしかして、熟睡による安眠効果というのでもあるのだろうか?

 

 

 休み時間になって本を読んでいると、誰かが僕の近くに来た。まぁ、大体想像がつくが。

 

「なぁなぁ、長岡ー。何読んでんだー?」

 

 僕に喋りかけるこいつは友達の上田だ。いつも「暇だー」とか言って、僕に喋りかけてくる。正直迷惑だ。

 

「見ればわからんか。本だ」

 

「そういう事じゃねぇよ。本の何を読んでいるかだよ」

 

「夢霊圭さんの『偶然か必然か』だ」

 

「ふーん。じゃあ、そっちの本は?」

 

「物部海斗さんの『暗殺者推理』だ」

 

「あり?お前ってミステリ、そんなに好きだったけ?」

 

「この人達のが面白いから読んでいるんだ」

 

 本当にこの二人の作品は面白い。夢霊さんはトリックや犯人があるのかどうかも分からなくさせるのが得意で、まるで、登場人物が全員魔法によって見えなくなっているみたいな感覚を味合わせる。対して、物部さんのはこの暗殺者である主人公を上手に使ったストーリーが面白い。しかも、この主人公にはモデルがいるらしい。そう考えると物部さんは人を引きつける魔法を使っているみたいだ。そして何と言っても、この二人はライバル関係にあるから、まるでお互いがお互い高めあっているようで、ミステリもどんどん面白くなっていくのだ。これは読者にとってはたまらない。

 

「ふーん。俺はそんな活字だらけのやつは読めねぇなー。見るだけで眠くなる」

 

「それぐらい我慢しろ」

 

「いや無理っすわ」

 

 やっぱり、こいつとは相容れないな、僕は。

 

 

 

「一緒に帰ろう!提督!」

 

 ホームルームが終わった後、卯月が僕に言う。

 

「お前、友達と帰れよ。僕と何かじゃなくてさ」

 

 実際、こいつには沢山の友達がいる。と言っても同型の、つまり睦月型の姉妹という関係でだが。

 

「えー!睦月達と帰るよりも提督と帰った方が楽しいぴょん」

 

 なんだそりゃ。帰るに楽しい楽しくないなんてないだろうに。

 

「とにかく、提督は卯月と帰るの!‼いい?」

 

「お、おう」

 

「じゃあ、行くぴょん!」

 

 そう言って卯月は俺を強制連行して行った。

 

 最後に教室のドアから見えたのは上田のニヤつき顔だった。

 

 

 

「フンフンフーン♪」

 

 卯月が上機嫌に歩いている。

 

 そんなに僕と帰れて嬉しいのだろうか。でもさ……

 

「卯月、お前なんで僕と手を繋いで歩いてんの?」

 

 さっきから、卯月と僕は手を繋いで歩いている。しかも、繋ぎ方が何故か恋人同士がするやつで。

 

「それは、もちろん提督の手の温もりを感じたかったからぴょん!」

 

 なんでだよ。それだったら恋人繋ぎじゃなくていいだろ。そう言うと……

 

「これじゃなきゃ駄目だからぴょん♪」

 

 と言われた。

 

 本当になんだよ。こいつは意味が分からない。僕の幼馴染で艦娘である彼女の気持ちはどんな本を読んでも分からない。ミステリーも歴史小説も純文学も哲学書も……何を読んでも分からない、彼女の気持ち。

 

 おそらく、どんな文学や書物も化学も彼女に通用しない。絶対不変のもの。

 

 

 だけど、一つ分かる事がある。

 

 

 

 それは僕自身が彼女を、卯月を嫌いではないことだ。

 

 

 どうしてかは分からない。これもまた本に載っていない絶対不変のもの。

 

 

 けれど……

 

 

「あ!もうすぐ家に着くから!じゃあね、提督!」

 

 夕暮れの斜光に照らされた彼女はとても美しいと思える。その笑顔、髪が僕の心にドクンと鼓動を上げさせ、何物かを伝えてくる。だが、それが何か分からない。

 

 

 

 でも、分かった時は彼女に伝えたい。そして……。

 

 

 この先にどんな物語があるか分からない。でも、それが幸福でありますように……僕はそう思って、彼女と何の事もない日常生活を過ごしている。

 

 

  




睦月型は可愛いデス。 
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