西暦勇者娘   作:ムネ・タイラー

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触発されて書いてみました


災厄の日

2015年7月30日

その日、空から白い異形の存在〈バーテックス〉が降り注ぎ人類を容赦なく蹂躙した。

 

2019年秋

勇者・乃木若葉(のぎわかば)、高嶋友奈(たかしまゆうな)、郡千景(こおりちかげ)、土居球子(どいたまこ)、伊予島杏(いよじまあんず)、○○○○の計6人が天の神を討伐しに行くも敗北。

その時の戦死者は高嶋友奈、○○○○の2名。

他の勇者は生存するも精霊を酷使した反動で三人が半年間ものの間、目を覚まさなかった。

ただ唯一、精霊を同時に二体降ろした郡千景のみ、短期間で目を覚まし、人間とは異なる姿に変わっても戦い続け命を散らした。

戦える存在が居なくなった人類は天の神に赦しを乞うた。

 

そして、そこから約300年後のーー神世紀301年

ようやく人類は全員が勇者になることにより天の神との長きに渡る闘いに終止符を打った。

 

 

 

 

***

 

 

『ごめんなさい』

 

神世紀301年 2月上旬

あの決戦から約一ヶ月が経った。改めて思い返すと、よくもまああんなことを思い付いてそれを実行してしまったと驚くほどだ。そのおかげで生きているんだけれど。

今、同じことを再現しろと言われても出来ないことばかりだな。

……超越者や全乗せ勇者パンチ。

まあ、あんな曲芸行動二度と御免だ。

後のことは大人が何とかしてくれるだろう。

 

それよりも来週は遂にバレンタインという、男のボクにとって嬉しいイベントがある。

誰かから貰えるか楽しみだ。

 

しかし、それとは別にちょっと気になることがボクにはあった……

 

「あ、暑い……」

 

何だ、この真夏のような暑さは。

さっきまで、寒さ対策で厚着のジャケットを羽織っていたのが馬鹿らしくなる。

 

「ここ、どこ?」

 

冬場だから陽が落ちるのも早いのもあって周りは暗いけど、来たことがない場所だ。ここら一帯を少し歩いてみたけど、見覚えがない。

それに何か記憶も曖昧なんだよな。

確か、アイツらと一緒に帰っていたような気がしたんだがなんでいないんだ?

そんなことを考えていたらーー

 

「うわっ!?」

 

突如、地面が激しく揺れ始めた。

突然だったのでボクは尻餅を着いて近くの電柱にしがみついた。

数十秒くらい続いた後、揺れは次第に収まっていく。

 

……うっ、頭がクラクラする、気持ち悪。吐きそう。

 

もしかして、これが地震と呼ばれる現象だろうか?

ボクの住んでいる四国は今まで神樹によって外界から守られていたから、バーテックスによって神樹が傷つけられる以外で災害なんて起きなかった。

しかし、神樹が眠りに着いた今、地震のような災害が突発的に起きてしまうのもおかしくない。

……今度、春信に報告しておいた方がいいな。

 

「……何だ、あれ?」

 

不意に空を見上げたら、白い何かが降ってくるのが見えた。

雪にしては粒が大きいような気がする。白はアイツらを連想させるから、嫌なんだよな。そのまま、ジッと見詰めていたら。

 

「……嘘だろ」

 

まさか、ありえない。

冗談が事実に肯定された。

戦慄する。

魂が危険だと告げている。

体は勝手に動き、気づいたら近くの家へと駆け込んでいた。

家の中は暗く、人の気配がしない。

 

「すいません」

 

土足で入ったのは失礼だけど、今は緊急事態だ。

ボクは焦りつつも外がよく見える居間へと移動する。

……おかげで堕ちてくる"存在"をじっくりと観察することが出来た。

 

「っ!?」

 

ボクはあり得ない存在を目にした。

 

星屑

 

バーテックスの雛形。かつて、人類の敵であり、天の神の使いであった存在が空から降ってきた。

ボクにとっては約一ヶ月振りの再開。二度と観たくなかった奴等だ。

 

……けど、何でここに居る?

使役していた天の神も神樹と一緒に永い眠りに着いた筈なのに。

神の力を吸収して貰う時にただ一人、ボクだけがそれに立ち会い見届けた。

だから、星屑が現れるのは……おかしい。

……ここは本当にボクが居た世界なのか?それとも夢でも観ているのか?

 

「きゃぁぁぁぁぁ!?」

 

声のした方を眺めていると少女が走っている……否、逃げているのが見えた。

追いかけているのは勿論、星屑。

 

(ヤバイな、あの子)

 

あの感じだと捕まって喰われるのも時間の問題だろう。少女の方は必死なのに対し星屑は遊んでいるように見えたし。

勇者だった頃なら直ぐにでも助けに向かったが、生憎、神の加護が無くなったボクは非力で無力だ。

今、追い掛けて少女の所へ向かったところで肉塊が一つ増えてそれでお仕舞いだ。

 

……幸いにも奴等はボクのことに気づいていない。

なら、少女が囮として機能している今、この場から離れることがボクだけが助かる可能性があるかもしれない最良の手段。

うん。我ながら下衆、考えだ。

きっと、去年のボクだったら我が身可愛さに躊躇なくそうしていたはずだろう。

しかし。

 

『勇者部六箇条一、なるべく諦めない!』

 

『一、なせば大抵なんとかなる!』

 

脳裏に少女たちの言葉がよぎった。

 

「……そうだよな」

 

怖いけど逃げ出したいけど、ここには恐らくボクしかいないだろう。

頼れる存在や助けてくれる大人もいない。つまり、ボクだけだ。

危険だと解っていながらもボクは今、愚かなことを考えてしまっている。

 

あの子を助けたいとーー

 

それが無茶で無謀な願望だと判っている。

 

それでもーーそれでもボクは人間だ。

困っている人を助けるのに理由なんて要らない筈だ。

それに、今回はバーテックスを上手く撒くことが目的。

戦って倒すことが目的じゃない。

それなら何とかなるかもしれない。

ああ、本当にこんなことを考えてしまうなんて勇者部精神に感化されすぎだろ、ボク。

 

(よし……!)

 

覚悟を決めた。

故に突き進み現状を切り開くしかない。

腹を括り、一歩踏み出した時だった。

 

(あ、れ……?)

 

それはほんの一瞬だった。

突然、視界がボヤけ、体が思うように動かなくなる。

一体どうしたんだ、ボク?

それに体は熱く、火照る感じで苦しい。

けれど、歩を二歩三歩進めればその違和感はすぐになくなり、それとは別に何故か……身体中から力が漲ってきた。

体は羽が生えたように軽く、何でも出来そうな気分だ。まるで、勇者に変身した時みたいな感じだな。

 

(これなら、逝ける!)

 

とりあえず、考えるのは後にしてボクは大きくその場から跳躍した。




次にいつ投稿出来るか判らないので感想にあった世界観について。

原作との違い。
西暦と神世紀に男オリ主の追加
のわゆでは、○○○○のおかげで最終決戦まで、全員生存。しかし、高奈ちゃんは原作通り死んでしまう。
わすゆ、特に変更なし。またね。
 
ゆゆゆ、一期ラストで銀復活。花結いのきらめきを体験したとして扱い、勇者部を強化(樹ちゃん強化!)。 
原作では、枯れてしまったがこちらでは神樹は枯れない。そして、天の神と和解する。
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