ナイトローグの再評価を目指す話   作:erif tellab

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オウルハードスマッシュって、飛ぶだけでなく明らかに浮いていますよね。完全に航空力学で空を飛べる体型ではないですよね。反重力でも使っているのだろうか……。



座学においてもナイトローグを使おうとする鋼の意志

 一年一組のクラス代表決定が終了したその日の夕方。学生寮の帰り道を歩く一夏の足取りはトボトボとしていた。表情に影が落ちている。

  その隣を歩く箒は彼の顔色をチラチラと窺っては、気まずそうにする。しかし、どうにか声を振り絞って話し掛ける。

 

「一夏。その、なんだ……負けて悔しいか?」

 

「そりゃぁなぁ……悔しいさ。二連敗だし」

 

  二連敗という単語を聞いたところで、箒は声を詰まらせる。掛けるべき言葉がすぐには見つからなかった。

  その一方で一夏は今日の試合の出来事を振り返る。特にナイトローグとの戦いで彼に一矢報えた分もあって、負けた時の悔しさはセシリア戦と比べると倍となっていた。すんなりと気持ちの整理がつかない。

  また、見せ付けられたナイトローグとの実力差に愕然とした自分がいた。セシリアには遊ばれていた事があっても相手の弱点を看破し、逆転の目を掴めたおかげでイイ気になっていた部分もある。錆びていたために一から研ぎ直した己の剣をことごとく避ける様は、一周回って惚れ惚れとした。雪片弐型の上に立たれた瞬間は、しばらくは忘れられそうにない。

  自分が初心者だから。ナイトローグが的としては小さすぎて、セシリア戦とは完全に勝手が違っていたから。言い訳ならいくらでもできる。だが、言い訳してしまうのはどうにも性に合っていなかった。

 

「そ、そうだな。では、次からはISの訓練も取り入れなければな」

 

  偶然にも一夏の心情に合わせて、箒はおずおずとそう告げる。一夏は何も答えないが、心の中では彼女の意見に同意している。自分には決定的にIS操縦の基礎力が足りていない。試合までの時間は全て剣道に費やしてしまったが、ISの練習はやはり必要だった。

  無言を貫いてしまった一夏に、箒はたちまち黙り込んでしまう。彼の暗い表情をなかなか直視できず、あらぬ方向へ顔を背ける。

  しかし、彼女がそうしている間にも一夏の曇った顔が徐々に晴れていった。まず最初に脳裏に思い出すのはナイトローグ、次にセシリア。男としての尊厳もあって女に負けるのは精神的に堪えてしまうが、同性の場合だと別のベクトルで心が燃える。弦人に勝ちたいという純粋な思いが密かに生まれる。

 

(ますます負けてらんないな。弦人にも、セシリアにも)

 

  試合中に白式が第一次移行を果たした時、目の前にいたセシリアだけでなく姉にも思いきって啖呵を切ってしまったのだ。ここで中途半端に終わらせてしまえば、男が廃る。

 

「箒」

 

「ん?」

 

「俺、絶対に強くなるからさ。無理にとは言わないけど、もしも手伝ってくれたらすっげぇ助かる」

 

「わ、私でいいのか? なら、受けてやらん事もないが……」

 

「そうか。ありがとう」

 

「礼には及ばん!」

 

  一夏が心から感謝すると、箒は照れ隠しに腕組みしてプイッと顔を逸らす。それでも真っ赤に染まっている耳たぶが一夏に丸見えだったが、特に思われる事はなかった。精々、まるでサボテンの花が咲いているのを何気なく見つけるのと同じぐらい、素っ気ない感想しか抱かなかった。

  そして一夏は後々に気づく。箒のISの操縦の教え方は擬音だらけで、贔屓目に見ても下手くそだという事に。セシリアに至っては箒の対極に位置するように、理論や数値尽くしのわかりにくい指導である事も。ついでに弦人も。

 

 

「白式だ! 俺がコウモリになるのと同じくお前も白式になるんだ! 内なる小宇宙を燃やせ! 命を燃やせ! 魂を燃やせ! 心火、心の火だ! ハヴォック神の加護を味方につけろ! 水上走りの特訓で師範からタカになれって言われたみ○ぞんっているだろ? 要領はそれと何も変わらない! たぁーっ!」

 

「ちくしょう! 何となく通じるのが悔しい!」

 

 

 ※

 

 

「では、一年一組のクラス代表は織斑くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

「すみません、先生。どうして連敗した俺がクラス代表なんですか?」

 

  翌日の教室にて。山田先生がそう告げると一夏は疑問を口にして、俺の方へ視線を向ける。いきなりクラス代表の座に収まって困惑するのは当然の事だろう。

  ここは説明責任を果たすのが道理。俺はまず挙手をしてから、丁寧な口調で一夏に話す。

 

「えー、一夏が出してきたビームサーベルの特性を見抜けずに間抜けなやられ方をした自分に、クラス代表を務める資格はないと考えました。あと、クラス代表が面倒そうなのでオルコットさんに丸投げしました。戦い事はやっぱ縁起悪い」

 

「おいコラ、最後の本音」

 

  そこまで言い終えると、即座に一夏に突っ込まれた。ナイトローグにとって縁起が悪いのは本当の事だ。

  昨日の試合を通して俺は悟った。負け癖の強いナイトローグには、依然としてご利益装備……開運フォームが必要だという事に。しかし、戦う度にご利益装備の大半を失ってしまうのは痛すぎる。できる事なら、なるべく平和にやっていきたいものだ。五月に開催されるクラス対抗戦とか、もれなく地獄になるだろ。

  次はオルコットさんが発言する番だ。静かに起立し、ゆっくりと口を開く。

 

「その前に。まずこの場を借りて、先週の件で失礼な発言をした事を深くお詫び申し上げます」

 

  そうしてオルコットさんが頭を下げると、教室が瞬く間にざわつく。俺は昨日の内に彼女へクラス代表を譲った際に知る事ができたから落ち着いていられるが、この場の雰囲気はたちまち不祥事を起こした人の記者会見に似たものへと包まれる。誰に言われるまでもなく、悪ふざけは到底起こせない。

  先週の件とは、周りを憚らずに日本をさりげなく罵った事だ。ほとんどの生徒が自然と合点し、神妙な面持ちでオルコットさんを見守る。のほほんさんは相変わらずのんびりと聞いていた。

 

「先日の一夏さんと日室さんとの試合の後、どうしようもなく傲慢だったわたくしはようやく己の過ちに向き合える事ができました。頭を冷やしてみれば、専用機を預けられ、将来的に国を背負っていく身としてはかなりの愚かさです。あの失言の重さをしっかりと受け止めて、これからも気を付けていきます。大変な迷惑をお掛けしました」

 

  真摯に、粛々と述べられる彼女の言葉。生徒だけでなく、山田先生たちも静かに耳を傾けるばかりだ。謝罪はまだ終わらない。

 

「なお反省の意味も込めまして。一夏さんには是非ともIS操縦の鍛練を積んでいただきたく、クラス代表を譲る事にしましたが……」

 

  そう言ってオルコットさんは恐る恐るクラス全員の反応を窺う。初対面の時と比べれば、随分と柔らかくなっているものだ。

  本人がキッチリ反省しているなら別に構わない。だが、確かに他の人の反応は気になる。出来事がこの空間で完結しているだけマシなのだろうが、公の場なら確実に週刊誌界が誇る精鋭たちに社会的生命を刈り取られかねない。いくら女尊男卑な社会でも、限度はあるはずだから。

  しかし、俺が思っていたのと反して生徒たちの反応は意外と軽かった。

 

「なーんだ、そんな事か」

 

「いいよいいよ。それよりもセシリアわかってる~♪」

 

「え? え? そんな簡単に許してもらっていいのですか?」

 

「うん。せっかく男子がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとねー」

 

「私たちは貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね」

 

  中にはわりかし現金だったりする人もいる模様。これには耳を澄ましていた一夏も辟易としている感があった。

  重たい空気は一気に和気藹々なものへと入れ換えられる。なんだか気持ちが沈んでいたオルコットさんも徐々に元気を取り戻したようで、「ゴホン」と咳払いしながら言葉を続ける。

 

「そ、それでですわね! わたくしが一夏さんにIS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を遂げ――」

 

「待った! あいにくだが一夏の教官は足りている。私が直接頼まれたからな」

 

  途中で篠ノ之さんが立ち上がり、オルコットさんの言葉を遮る。自信ありげな表情をしながら、威嚇するが如くオルコットさんを睨み付ける。オルコットさんは一度萎縮するが、負けじと反論しようとする。

 

「座れ、馬鹿ども」

 

  二人の間で一触即発の空気が漂う中、織斑先生の凜とした声が彼女たちを制した。これは二人も流石に何も言えなくなり、すごすごと着席する。

 

「用件が終わったのなら授業へと早速移る。クラス代表は織斑で決定だ。だが、その前に……日室」

 

「はい!」

 

「そのお面を外せ」

 

  突然名指しされたかと思いきや、ここでようやくその事を指摘されてしまった。そう、今の俺はナイトローグを模したお面を被っているのだった。

  お面をわざわざ作った理由としては、専用機の展開に限らず変身しようにも許可のない勝手な行為は、学校側で決められた規律に抵触するためだ。学校生活を送る上で守り事を破らないようにするのは当然だが、それでもナイトローグとして色々とやりたい事がある俺にとっては死活問題であった。

  一応、規律を破る分だけ再評価活動をするのもアリなのだが、それは世界最強の織斑先生二十四歳を正面から敵に回す事になるので、自爆などと同じく最後の手段として残しておく。それに、高校生活の謳歌するのに損はない。たかが三年でも貴重な経験だ。今は比較的大人しくしておきたい。

  規則破りや法律違反は今に始まった事ではない? そうだな。それをやる時は今度こそ、全てを振り切る覚悟で望ませてもらう。アフリカのサバクトビバッタを駆逐したり、密猟者を引っ捕らえたりとか。世界が敵になるのは少し怖いからな。

  しかし、そのままではナイトローグではなく俺自身としての高校生活の軌跡を描くだけだ。軌跡にナイトローグがたくさん入っていなければ、何の意味もない。なので、せめてお面を被る事にした。

 

「ダメです! これはナイトローグに変身して授業を受けたくても規律があるからと考え抜いた苦肉の策なんです! どうかお慈悲を! ナイトローグに教育を受ける権利をぉ!」

 

「外せ」

 

  刹那、織斑先生からプレッシャーと殺気が俺に集中して放たれた。全身に冷や汗が止まらなくなり、我が身の危険を察してしまう。

 

「哀れ、弦人……」

 

  すると、一夏からそんな言葉が零れてきた。そう言えばお前、クラス代表の推薦に道ずれとして俺を選んでたっけな? よし。

  バットフルボトルを握り締めた俺は跳躍し、天井に逆立ちする。クラスの皆が目を見開いているがスルーで。それから一夏の席へとひとっ跳びし、代わりにナイトローグのお面を無理やり被せる。

 

「死なばもろとも!」

 

「あっ、おい! 何被せてんだ!? 千冬姉に怒られるからやめろぉぉぉ!!」

 

  必死にお面を外そうとする一夏に対し、俺は頑なに彼の頭を押さえる。お前だけは……死んでも離さないっ!!

 

「織斑先生、だ」

 

  そして、俺たちの頭に出席簿が叩き落とされた。小気味良い音が鳴り響き、結構な痛さに悶絶する。一夏はともかく、少なくともハザードレベル3以上ある俺にも通じているとはどういう事なのだろうか。

 

 




Q.フライングスマッシュもあれで滑空に留まらずどうやって飛んでいるんだ?

A.ライダー世界ではよくある事。バイオライダーがゲル状になっただけで飛行するとか、不思議な事が起きすぎですから。


Q.ライダーバトルは相手を変身解除に追い込むか、仕留めるかが礼儀。

A.このナイトローグはシールドエネルギーがゼロでも戦闘続行可能です。存在意義としては、あくまでも変身者を守るというもの。あとは装甲に頼る。なお、この状態で大ダメージを受ければ皆さんのお察しの通り。

やったね、神崎くん! ライダーバトルが捗るよ!

攻撃用エネルギーとかは完全に別枠用意になってます。ファイズはベルトが外れまくるからわかるけど、ゼロ距離でトランスチームガンを背中に撃たれただけで変身解除されるクローズってどうなんだろうね? デバイス変身系ライダーたちの強制変身解除の基準がイマイチです。



Q.クローズって成分があからさまに幻想種である西洋のドラゴンなのに、最初から翼を生やして飛べなかったのはなぜ?

A.クローズドラゴン(ヒナ)→クローズチャージ(子ども)→クローズマグマ(大人)

恐らく、こんな感じの理由でしょう。いや、グリスみたいにスクラップフィニッシュ&ブレイクのコンボを使えば実質的に飛行は可能でしょうけど。
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