ナイトローグの再評価を目指す話   作:erif tellab

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それでも世界三大恥ずかしい告白には及ばない


学年別タッグトーナメント 中編 ブロス兄弟

 人目が届かないアリーナ内の廊下にて、ナギは悶絶していた。積極的すぎる京水に習って一世一代の告白を弦人にしたのだが、人質にされた時がアレだからという理由でフラれてしまったのだ。あの試合の様子は観客席にいる人だけでなく、モニター越しに観戦していた人も見ていたのだ。常識的に考えて、恥ずかしいなんてものではなかった。

 もちろん、人生で初めて告白されてしまった弦人も試合終了直後にのたうち回っていたのだが、それはさておき。フラれてしまった事で悲しむよりも先に、ナギは恥ずかしさを滲み出していた。壁側に向かって体育座りをし、頭を抱える。

 

(どうしよう、どうしよう……もうバレバレだよね? みんなに筒抜けだよね? 次からひむ……弦人くんにどんな顔すればいいの?)

 

 動転しきったままの頭では、何も良い案は浮かばない。むしろ、己の羞恥心をエスカレートさせるだけだった。

 玉砕してしまった以上、残された道は限られている。しかし、すんなり諦められるほど弦人に対する気持ちは軽くない上、彼がナイトローグであらんとしすぎていたために振り方があまりにも不完全燃焼だった。いっそのこと、「だいっ嫌いだ! アンポンタンのバーカ!」と罵ってくれた方が清々しかった。

 諦めずに執着するのは見苦しいとわかっている。それでも、こんな形で恋が叶わない事を認められない。あまりにもあっさりしていて、とても悔しい。京水と自分を比べて、スペック的に弦人の隣に立つに値していない事実を受け入れたくなかった。

 

「なら! 強くなればいいのよ! 簡単な話じゃない!」

 

 その時、横から京水の叱咤が飛んできた。ナギは彼女を一瞥し、皮肉も込めた調子で話す。

 

「泉さん? 私を笑いに来たの?」

 

「オーホッホッホッホ! オーホッホッホッホ!」

 

「っ、やっぱり笑いに来たんだ! 負け犬だからって!」

 

 京水から咄嗟に顔を背けたナギは、目尻に涙を溜めながらぎゅっと目を閉じる。すると京水の笑い声が不意に止み、間髪入れずに凛とした言葉が投げ掛けられる。

 

「負け犬? ええ。あなたは今、自分から負け犬に成り下がったのよ」

 

「……へ?」

 

「わからなかったのかしら? 弦人ちゃんはね、大切なものはなるべく遠くにしておきたい派なの。悪魔の魂に目覚めれば話は別だろうけど、どこか臆病なところがあるわ。だから、怖い事が起きないように全力でナイトローグを頑張っている訳」

 

 大切なものは遠ざける。それはナギにも理解できる部分があった。だが、自分で自分を負け犬足らしめてしまったという京水の発言には少し引っ掛かるものがある。自分には端からそんなつもりはなかった。

 

「まだわからないの? 自分がどれだけ本気で弦人ちゃんが好きなのかを。それなのに諦めたら、弦人ちゃんを裏切る事になる。あの告白は、始まりに過ぎないのに」

 

「そ、そんな……でも私は、泉さんみたいに強くないし……」

 

「だーかーら。強くなればいいのよ。今の弦人ちゃんに必要なのは、身近で自分を支えてくれる人。彼の夢を叶うにしてもそう。戦う理由に愛があるなら、弦人ちゃんはもっと強くなれる! そう、いっそのこと……NEVERでも何でも作ればいいのよぉぉぉぉぉ!!」

 

 そう大声を出しながら、ちょこんとナギの隣に座る京水。恋敵の意外すぎる柔らかい態度にナギは目を白黒させ、戸惑いながら彼女に尋ねる。

 

「ねぇ? どうして私にここまでしてくれるの? 泉さんにとっては、邪魔な恋敵な訳だし……」

 

「それは簡単な話。弦人ちゃんがまだ本気の恋をしていないから。良くも悪くも彼の心を射止めるには競争が必要だから」

 

「へ、へぇー……」

 

 自身の予想斜め上を越えていた京水の持論に、ナギはおずおずと頷く。とりあえず連想したのが、激しい競争に伴って発展する科学技術であった。

 

「あと、何のアテもなしに強くなれって言わないわ。光る球やファイアトルネードを使えるナギなら、きっとこれだって!」

 

 そう言って京水が胸の谷間から取り出したのは、トランスチームガンだった。面食らったナギは口をパクパクとさせて、すかさず京水に問う。

 

「い、泉さん? それって……」

 

「弦人ちゃんのとは違うわよ? お父さんとその仲間たちが作ってくれたの。これ以上は禁則事項だから言えないけど……ホラ!」

 

 次に京水が取り出したのは、円筒状の黄色のケースでカバーされているスマッシュボトルだった。表には月の絵が刻まれている。正式名称はルナスマッシュボトル。スマッシュ化防止機能を付けてある未浄化品だった。

 瞬間、京水がルナスマッシュボトルをトランスチームガンに装填すると「Luna!」という音声が出る。しかし、それから引き金を引いても何の反応もなかった。京水はおもむろにボトルを外し、ポケットにしまう。

 

「うん。まだレベルが足りないみたいね。弦人ちゃんへのサプライズには早いかしら。それで、ナギはどうしてみる? 遺伝子検査の内容次第で使えるかどうか変わるらしいけど」

 

 それを聞いてナギの表情が変わった。未だに呆然としているが、迷いなんてものはとっくになくなっている。答えは決まっていた。

 例え一縷の望みでも恋が叶うなら。弦人に認めてもらえるのなら。ルナティックな空気に心を染められた彼女はもう止まらない。京水の顔をじっと見つめて、口を開く。

 

「……やる! 弦人くんの隣に立てるなら!恋はパワー!」

 

「……そう。それがあなたの答えなのね。いいわ! こうなったらワタシも、とことん付き合ってあげる!」

 

 かくして、二人の間に熱い握手が交わされた。恋のために迷走を極めすぎているとは、決して口にしてはならない……。

 

「「恋はパワー!」」

 

 ※

 

 学年別トーナメントにはお偉い人たちも観戦に来るとはわかっていたが、まさかトランスチームシステムの研究チームが数名来るとは思わなかった。主任がいないのは、あくまで彼らが代理だからだろうか。来賓が多く集まるモニター室の近くに来てほしいと連絡を受けたのだ。

 

「こんにちは、レオナルド博士!」

 

「おう、弦人くんか! さっきの試合見てたぞ! 大活躍じゃないか!」

 

 このクマみたいな人は、愛称を込めてレオナルド博士と呼んでいる。博士号はまだ取っていないようだが。

 出会い頭に俺が挨拶すると、レオナルド博士は他愛もなさそうな話を振ってくる。なお、ナギの突然の告白によるダメージはまだ癒えていないので、なるべく掘り返されないようにしてほしい。

 

「おいおい、レオ。君は日室くんに博士と呼ばせているのか? ダメじゃないか、博士にはまだなっていないのに」

 

「黙れ泉。俺はな、自分の事は自分がよく知っているんだ。すなわち、俺自身が博士と名乗ってもノープロブレムだ」

 

「ムチャクチャだ……」

 

 そうやってレオナルド博士に突っ込んだのは泉元気さん。奇しくも京水と同じ名字である。これは気にしないでおこう。

 

「ところで日室くん。娘の京水の事で話があるんだが……」

 

「えっ」

 

 今、京水の事を娘って言った? やっぱり親子なの?

 

「おいこら泉。お前こそ関係ない話しようとしてんじゃねーよ。この親バカめ」

 

「何を! 娘の将来を案じて何が悪い! あっ、そうだ、日室くん。ガイアメモリってなんだかわかるかい? 京水のプレゼントにしたいと思ってるのだが……」

 

「よし、このバカは放置するぞ。用件はナイトローグのパワーアッププランだ」

 

 泉さんを無理やり押し退けて話を進めるレオナルド博士。前触れもなく告げられたナイトローグのパワーアッププランとやらに、俺は思わず食い付いてしまった。

 

「パワーアッププラン!?」

 

「ああ、そうだ。速攻型とか耐久型とかの要望は後から聞くとして、基礎はもうできているんだ。それに必要なアイテムも持って来ている。じゃーん!」

 

 次にレオナルド博士は懐からこそこそと一つのドライバーを取り出す。それは黒を基調としたデザインで、右側には回転式のレバーが備え付けられている。左側には、フルボトルを二本装填できる箇所があった。

 なんだろう、ものすごく身に覚えがあるぞ。目の錯覚ではない。確かに俺の前には、例のアレが差し出されていた。そう、これはまさしく……。

 

「ゴマだれー♪ 試作品ビルドドライバー♪ 名付け親は俺だ」

 

「……ふん!」

 

 次の瞬間、レオナルド博士からビルドドライバーを奪った俺はそれを宙に投げて、トランスチームガンで狙い撃ちにする。所詮は試作品だったのか、光彈一発で破壊される。

 

「あぁ!? なんて事をしてくれるんだ!! 俺の世紀の発明を!?」

 

「ビルドドライバーって……ビルドドライバーって! 俺にナイトローグを浮気しろって言うんですか!?」

 

 突如として沸き上がった怒りに任せて、俺はレオナルド博士にひたすら叫ぶ。ナイトローグの仇敵であるビルドドライバーを出してくるなんて、まさしく俺の琴線に触れるおこないだ。故意がなくても許せそうではない。

 ナイトローグは幻徳に捨てられ、内海に払い下げられ、そして肝心の内海は一向に変身しなかった。仮面ライダーローグが二度も反抗してきた時や、エボルドライバーを奪う時や、パンドラボックスを開けようとするエボルトを止めようとした時も。ナイトローグは……常に所有者に裏切られ続けてきた!

 こうして一人ぼっちになったナイトローグには味方がいない。だからこそ、俺はナイトローグを裏切ってはダメなんだ。俺がナイトローグの側に居てやらないと、やがてナイトローグは唯一の自分自身すら裏切ってしまうから。それはとても可哀想な事だ。

 

「浮気!? お前、ナイトローグを愛してるとか、そういうタチか!?」

 

「そうですよ! 悪いですか? 俺は、デザインのカッコいいナイトローグが好きなんです。そんなナイトローグを裏切るなんて、できる訳がない! この……クマ野郎ぉぉぉ!!」

 

 思い切りレオナルド博士を罵倒した後、俺はすぐさま彼らの元から走り去る。頭を冷やしてみればとんでもない無礼を働いてしまったが、ナイトローグのためを思えばなんて事はなかった。

 ビルドは敵。クローズは敵。ブラッドスタークは敵。ビルドドライバーは敵。ナイトローグを捨てた幻徳と内海は憎き相手。これは絶対。俺は……ナイトローグを守りたい……。

 気がつくと、俺はアリーナの観客席までやって来ていた。ステージの方を見れば、一夏・デュノアペアとボーデヴィッヒ・篠ノ之ペアが激戦を繰り広げている。

 ……呼び捨てにするなんて荒れているな、自分。

 当初はボーデヴィッヒさんのシュヴァルツェア・レーゲンが押していたが、連携を怠ったスタンドプレーのせいで篠ノ之さんがやられる。結果、数の差と連携力で一夏たちに徐々に押されていった。二対一になった瞬間から、一夏たちの有利に運ばれた感じだ。

 そしてボーデヴィッヒさんが負けそうになった時、彼女の機体に謎の変化が訪れる。急に泥に飲まれたかと思いきや、別の機体を模したものへと変身を遂げた。あれは……織斑先生泥人形バージョン?

 

『緊急事態発生! 観客席にいる生徒の皆さんは急いで避難を――』

 

 立て続けに避難指示のアナウンスも流れる。周りの女子たちにとっては二度目の経験であるので、次の行動に移るのが非常に早かった。さて、俺もとりあえず避難誘導はしておかないと……。ステージ側は一夏たちは先生方に任せる。俺は俺の仕事をするだけだ。

 その時だった。俺の背後から彼たちの声が聞こえてきたのは。

 

「あれがVTS……まんま千冬さんじゃね?」

 

「おいおい、一夏の奴。突っ込んだのはいいけど返り討ちにされたぞ? 大丈夫か? なんかキレてるように見えたけど……」

 

 振り返って見れば、そこには歯車の戦士が二人もいた。片方は右半身が白い歯車型の装甲を纏っており、もう片方はお馴染みの――

 

「エンジンブロス君、リモコンブロス君……」

 

 二人とも、どうしてここにいるんだ……?

 

 

 




Q.エンジンブロスゥ!!

A.IS世界の住人です。ご安心ください。


Q.ここにバット、エンジン、ビルドドライバーがあるだろ?

A.ナイトローグではないので却下。


Q.このクマ野郎ォー!!

A.本名は石倉レオ。クマ野郎と言われても怒り狂いません。詐欺グループを生身で壊滅させたり、誰かをディナーにしたりはしません。れっきとした大人なのです。


Q.仮面ライダーポッピーって、使ってるオリ主を全然見かけないです。ナイトローグも然り。

A.良いネタを思い付いたぞ!

スマイルプリキュアの世界 × 仮面ライダーポッピー

オリ主「たった一つの命を投げ捨てて、生まれ変わったこの身体……悪の軍団を叩いて砕く。キャシャーンがやれねば誰がやる? (キャシャーンもやんねーよ)」

キュアハッピー「えっと、あなたは……?」

オリ主「変身」

『ドリーミングガール♪ 恋のシミュレーション♪ 乙女はいつもときめきクライシス♪』

仮面ライダーポッピー「……敢えて名乗らん!」← やけくそ気味

さぁ、君も男主人公で仮面ライダーポッピーが主役の話を書くんだ! もれなくカオスになるぞ!
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