「リミットブースターもあるぞ! ミニッツシールドもだ!」
「バットエンジンとエボルドライバー持ってきました!」
「ナイトローグが命じる! マッドローグを薦めてきたこのたわけを撃てぇー!」
「「サー、イエッサー!」」
「う、うわあぁぁぁぁ!?」
荒廃した街の中を、俺は指揮下に加えたハードガーディアンたちと共に駆け抜ける。低い位置に滞空しているキャリアー下部の投下口が開かれる瞬間を狙い、ライフルモードのスチームブレードを撃つ。
《スチームショット!》
たった一撃でキャリアーは大破。船体各所より爆発を上げて落下。地面に激突し、跡形もなく消え去る。押し寄せてくるスマッシュの群れは、なるべくハードガーディアンに任せた。引き撃ちを徹底すれば楽に殲滅できる。
これで残すは、丸裸にされたマザーシップのみだ。先ほどからあらぬ方向へ放っているジェノサイド砲を狙撃して破壊する。もはや流れ作業だ。
しかし、マザーシップ本体下部の大気吸収口にある程度のダメージを与えれば、船体表面より新しく砲台が展開される。大量の赤いレーザーと紫のプラズマ弾が、一斉に降り注いできた。俺はひたすら砲台を撃ち落としていくが、ワンショットで破壊できない。こうしている間に味方が次々と倒れていく。定期的に来るフライングスマッシュがウザイ。
いくらハードガーディアンと言えど、空戦能力は皆無。俺が一人で空を飛んでも、彼らは地上を走って付いてくるだけ。ぶっちゃけると、コイツらは俺の命令を聞かずにただ近くにいるだけだ。肉盾になれとか、俺を放っておいて突撃してこいとか、言っても全然従わない。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
「弾が! 弾が!」
「装弾不良! 援護頼む!」
「お前らのせいで皆死んだんだ! ちくしょう! ちくしょう!」
「墜ちろ! 墜ちろぉー!」
「よくも街を、俺の家族を!」
「アーマー損傷!」
また、比較的紙装甲な通常型のガーディアンたちが先にやられる。火力も乏しく、何よりうるさい。
そうこうしている内に砲台を全て撃破。当分は散発的なフライングスマッシュの襲撃しかなかったので、大気吸収口への狙撃を続行。一定のダメージを与えれば、マザーシップは第三形態へ移行する。新たな巨大砲台を七基ぐらい生やし、緑色の弾幕を形成する。
ここからは完全な我慢比べだった。早急に巨大砲台を落としても、比例して味方が死んでいく。俺と違ってローリングなどの回避行動を取らない点も悩みどころだった。
「ナイトローグ! 地球の平和は任せたぞぉ!」
そうして、ハードガーディアンは全滅した。だが巨大砲台を何とか殲滅させ、残りの人数が五人足らずになったところで突撃しようと思った矢先、通信が入ってくる。
『こちらスカウトチーム! ナイトローグを援護します!』
まさかの援軍だった。彼らは狙撃銃を装備し、空中にいるフライングスマッシュに攻撃を加える。フライングスマッシュが散り散りになっている今が好機だ。コウモリの翼をはためかせ、空を駆ける。
《Bat! スチームショット!》
瞬く間にマザーシップの真下へ移動し、スチームショットを大気吸収口に炸裂させる。一発の光弾は星船を貫き、たちまち黒煙と爆発を起こさせる。
『マザーシップ、大破!』
オペレーターからの連絡を受けて、落下するマザーシップから俺は大急ぎで待避。寸後、地に沈んだマザーシップは爆発四散するのであった。
終わった。そう思って地面に降り立つ俺だったが、こんな時に限ってヤツがやって来た。
《ドラゴンインクローズチャージ! ブルゥアァァァァ!!》
振り返ってみれば、晴れていく爆炎の中に青いゼリーの戦士の姿が窺える。どこからどう見ても、立派なクローズチャージであった。お前もタカフルボトルなしに空飛んだりしないよな?
ここまで攻略させておいて、嫌がらせとも取れる真打ち登場。勝ち目が薄くても俺は戦うしかなく、咄嗟に身構える。しかし、相手の出方を見ていれば、何だか様子がおかしいのがわかった。クローズチャージはプルプル震えて、唐突に叫ぶ。
「教えてくれ……俺は一体、誰なんだ? 俺は……何のために生まれてきたんだぁァァ!!」
《ビームモード》
左手のツインプレイカーをビームモードにして、がむしゃらにビームを乱射しながら走って来た。ビーム使うとかお前万丈龍我じゃないな? クローズチャージの亡霊か。
射撃はまるでなっておらず、俺は軽々とかわしながらクローズチャージへと駆け寄る。
わかるよ、お前の気持ち。せっかく強くなったのにろくな勝ち星を上げられず、捨てられて、負けて、挙げ句の果てにはゼリーを燃やされて。悔しかっただろう? 怒りたかっただろう? ナイトローグも気持ちは同じだ。何度も主人に浮気されて、捨てられた。
だが、ナイトローグと比べてもお前はまだ救われている方だ。少し悲しいかな、お前はどんなに丸焦げにされても、最後は再び主人の手に舞い戻った。新たな力をその身に宿して――
至近距離まで詰め寄り、がっしりとクローズチャージの両肩を掴んで大声を出す。
「クローズマグマに出世するためだよ!! 目を覚ませ! クローズチャージ!」
刹那、嘘のようにクローズチャージの動きが止まる。それから言葉にもならない声を出し、天へ顔を向けて静かに喋る。
「ぁ……ぁ……そうだ。俺は、クローズマグマに……」
その時、不思議な事が起こった。クローズチャージの身体が光に包まれたかと思いきや、いきなりクローズマグマへと変貌を遂げたのであった。ベルトもいつの間にか、スクラッシュドライバーからビルドドライバーへと変わっている。
クローズマグマは驚くぐらいに大人しかった。敵意は見せず、俺としばらく見つめ合う。そして、大気圏を突破して天空に舞い降りる星喰らいの訪問者へと視線を動かすのだった。正六角形のプレートがパズルのように合体し、空を覆い隠していく。
「ナイトローグ」
「ん?」
「ちょっくらエボルトの野郎をぶっ飛ばしてくる」
「エボルトじゃなくてアースイーターだけどな」
「細かい事はいいんだよ。行くぜ! 俺のマグマが迸る!」
この後、俺とクローズマグマは空を飛んで、速攻でアースイーターを操っている司令塔ブレインを破壊した。
『ゲームクリアー!』
直後、そんなアナウンスがどこからともなく響いてくる。気が付けば、このエリア一帯が徐々に金色に粒子化していった。真っ先にガーディアンたちが蒼天の彼方へと消えていく。荒れた街はたちまち、青空を鏡のように写し出す大地へと姿を変える。
再度クローズマグマを見てみれば、彼が一番粒子化に遅れていた。ポツポツと全身が霞んでいく中で俺と向き合う。そして、ぼっそりと呟いた。
「ありがとな、ナイトローグ。お前も頑張れよ」
「……ああ」
俺はそれだけ答えると、黙ってクローズマグマと握手を交わす。仮面で隠されているものの、彼は笑っているのだと何となく伝わった。
無言の握手が最後となり、やがて彼も消滅する。遅れて、頭の奥で誰かの声が響いた気がした。
「弦人くん? もしもしー! 起きてぇー!」
※
サイコローグは京水たちを逃がした後、廊下の壁を破ってプレススマッシュを強引に外へ連れ出した。プレススマッシュは地面に転がり、サイコローグは華麗に着地する。
クマのようなシルエットは健在だが、レオナルドが元々小柄なだけあってプレススマッシュの鈍重な攻撃はなかなか当たらない。颯爽と足払いを駆けてやった次の瞬間には、ベルトのレバーを素早く回していく。
《レディゴー! ボルテックフィニッシュ! イエーイ!》
必殺技発動。サイコローグの右足にエネルギーが溜まり、その場で高くジャンプする。遅れてプレススマッシュが立ち上がった頃には、サイコローグが飛び蹴りにと急下降してきた。
プレススマッシュは避ける間もなく、飛び蹴りをみぞおちに受けて大きく吹き飛んでいく。それから全身に電流をビリビリと流しながら、死んだように地面へ倒れ伏す。
まさしく速攻撃破。サイコロフルボトルによる運・クリティカル率変動効果と、コオロギフルボトルの脚力増強が噛み合わさった結果だった。サイコローグはエンプティボトルを取り出せば、そそくさとプレススマッシュの成分を回収した。怪人態が解けて、野座間の生身の姿を取り戻す。彼は気絶していた。
「こんにゃろ!」
「ん?」
すると、よそから誰かの掛け声が聞こえてきた。センサーチェックもしながらサイコローグがふと視線をやると、そこには別のスマッシュに攻撃を加えているエンジンブロスの姿があった。
すかさずエンジンブロスは右腕より歯車状のエネルギーを放ち、スマッシュの胴を激しく削っていく。それが決め手となり、エネルギー自身が爆発を起こしてスマッシュを巻き添えにした後には、見事地面に背中を付けさせていた。スマッシュはピクリとも動かず、おもむろにエンプティボトルで成分を回収される。中から出てきた人間も、野座間同様に気絶している。
ここで一段落すれば、両者が互いに気づくのは自然の道理だった。首を傾げたエンジンブロスは、おもむろに呟く。
「……ん? ぬいぐるみ、か?」
「失礼だぞ、お前」
「えっ、喋った」
かくして、サイコローグとエンジンブロスは邂逅を果たした。
Q.今気づいた。内海ってナイトローグに変身したくてもフルボトルがエボルトに取られてたから無理だと。
A.ごめんなさい、内海さん。だけどマッドローグに走ったのは許しません。
Q.ブラッドスタークのスーツって残ってるんだろうなぁ。それに比べてナイトローグは……
A.ナイトローグがマッドローグにリペイントされているはずがない(頑固)